2014年3月23日(日)
アメリカ・サンフランシスコにて現地時間3月17日~21日の期間で開催されたゲーム開発者会議“Game Developers Conference 2014”。3日目にあたる19日に行われたOculus VRによるセッション“Working with the Latest Oculus Hardware and Software”の模様をお届けする。
▲Oculus VRのプロダクトバイスプレジデント、Nate Mitchell氏。 |
Oculus VRが開発しているVRヘッドセット『Oculus Rift』の最新版開発機である『Developer Kit 2』が、このセッションに合わせた3月19日に発表された。登場以来、各方面で話題が持ちきりの『Oculus Rift』。まだ一般向け製品の発売は行われていないが、開発者たちがこぞって開発キットを購入し、先日3月7日より京都で行われたBitSummitでも、この『Oculus Rift』を利用したインディーゲームが数多く展示されていた。
では、その最新機種は従来機種と比べてどのような進化を遂げているのだろうか。Oculus VRのプロダクト バイスプレジデントであるNate Mitgell氏によるセッションの内容とともにお届けする。
掲載した動画でも紹介されているように『Oculus Rift DK2』は、ソフトウェアの刷新もさることながら、ハードウェアスペックの大幅な進化を見て取ることができる。
液晶部分は7インチの液晶パネル1枚から、5インチのOLED(有機EL)2枚に変更され、解像度も1920×1080ドット(1080P)へとアップ。リフレッシュレートは現時点で最高75Hzまでの対応となっているが、最終的には85Hzまで対応するとのこと。付属カメラを使ったヘッドトラッキングにも対応するようになった。このヘッドトラッキングは上下左右前後の6軸(6DOF:6 degrees of freedom)に対応する。
▲表示装置が液晶から有機ELに変更され、低残像を実現。 | ▲6DOFによるポジショントラッキングに対応。 |
▲その他、USBポートの搭載やコントロールボックスの廃止など。 | ▲『DK1』よりもわずかに重くなった。一般用製品ではデザインの変更も行われる。 |
▲『DK2』のスペック一覧。 | ▲有機ELでの低残像により、モーションブラーやローリングシャッターへの改善なども行われる。 |
▲赤外線カメラが付属しており、ヘッドトラッキングに対応。なお、プレイヤーは左右110度まで向くことができる。 |
▲USB機器を他に使わない場合はUSBバスパワーにて動作が可能。取り外し可能なケーブルにも対応している。 | ▲2週間以内にプレビュー版SDK0.3が配信。DK1とDK2の双方に対応している |
これまでの『Oculus Rift DK1』の課題でもあった3D酔いについては、操作と実際の画面におこる遅延の軽減を図ることで、対応する。これはハードとソフトの両方での対応が行われ、ソフト側では“TimeWarp”と呼ばれる技術が使われる。
▲これまではセンサーが読み取ってから画像を出し、ディスプレイに表示されるまでに31msまでの遅延が発生していた。 |
TimeWarpは、id Softwareの共同設立者でFPSの生みの親とも言われたジョン・D・カーマック氏が牽引している技術で、トラッキングセンサーの読み取りタイミングを複数にして描画をずらすことで、ゲーム画面への表示遅延を少なくするという方式だ。
▲センサーで読み取る場所を変えて、歪みの調整に2msを使うことで24msまでと7msの遅延低減に成功した。 | ▲さらにTimeWarp技術を使うことで20msまでの遅延となる。 |
▲センサーの読み取りタイミングを2つに分け、その差異を調整する。そうすることで遅延を減らせるようになる仕組み。 |
『Oculus Rift DK1』から『DK2』としてリリースされてきた開発キットだが、今後は一般向け用機器のリファインに専念していくという。現在受け付けている『DK2』の送付は7月頃から行われる予定で、価格は350ドルだ。
▲次の開発機は予定されていない。 |