2014年4月2日(水)
はい、どーもどーも。ブラウザの前の皆さんこんにちは、ごえモンです。この記事は、MAGES.のゲーム&音楽ブランド5pb.から4月10日に発売されるPS3/PS Vita用ADV『俺たちに翼はない』のレビュー第2回です。今回は2つ目のルート・千歳鷲介編の紹介と感想をお届けしたいと思います。それでは早速、ぬるっといこう!
千歳鷲介のシナリオで描かれるのは、主に夕方の時間帯で、アルバイト先のレストラン“アレキサンダー”での日常風景です。元々はアレキサンダーの常連だった鷲介が、とある事情でアレキサンダーでバイトをすることになり、アレキサンダーのスタッフたちとの親睦を深めていくことになります。
▲アレキサンダーのスタッフたちとの日常はとにかくにぎやか! 鷲介のキャラクター性も手伝って、読んでいてニヤニヤできるシナリオです。 |
【メインキャラクター】
主人公:千歳鷲介(声:三浦祥朗)
▲左下でトレイを顔面で受け止めているのが千歳鷲介です。 |
2人目の主人公は気ままなフリーター。別名・千歳ぬるぬる鷲介。ルート冒頭でアルバイトをすることになるレストラン“アレキサンダー”の他、出版社で男性向け雑誌のフリーライターとしても活躍しています。
物語途中で登場する“ぬるぬる”という表現が気に入り、以後は「ぬるっといこう!」が口癖に。軽薄さや調子のよさが表に出ていますが、実際は誰にも打ち明けることのない悲しみを胸に秘めています。場の空気を大事にしていて、他人のために道化を演じられるところがカッコいい青年ですね。
メインヒロイン:玉泉日和子(声:小野涼子)
鷲介が作中で「日和子さんひと筋」と語るように、このルートの攻略ヒロインは日和子のみ。1本目のルート・羽田鷹志編に登場したメインヒロイン・渡来明日香の後輩。元々はアレキサンダーの店員で、受験勉強のためにアルバイトから離れていました。店員が1人辞めることをきっかけに、鷲介と同時期に再度アレキサンダーで働くことに。
実は、デビュー作のラブコメ小説『ほほえみインサイド』が一世を風靡した学生小説家。ですが、2作目『米寿』は『ほほえみインサイド』のような物語を期待していたファンから不評で、世間的には失敗だったと言われています。
非常に生真面目な性格で、ルールにのっとった行動を重んじています。通称“タマイズム”(命名:千歳鷲介)。バカな言動をする鷲介のことを死んだ魚のような目で見るのですが、その時の視線がたまりません(笑)。
▲2作目の小説が『米寿』だけに、下着もベージュ。バスト88cmのわがままボディが鷲介を視覚的に襲う! |
【サブキャラクター】
▲米田優(声:萩原えみこ)……鷲介の担当編集。ほとんど原稿を見ないで通してしまう編集ですが、裏では鷲介のことをかなり助けてくれている大人。なんで攻略させてくれないんです? | ▲羽田小鳩(声:又吉愛)……鷹志ルートで登場した鷹志の妹。鷲介ルートでも時々登場します。鷲介と羽田兄妹は知り合いらしい。 |
鷲介編の半分は下ネタジョークで構成されているんじゃないかと思うくらい下ネタが多いです。というのも、アレキサンダーの店長・軽部狩男(かるべ かるお)の発言の8割(9割?)くらいは下ネタだからです。なので、知り合いの近くでプレイすることはオススメできません(笑)。
▲常に大声で下ネタが飛び交うアレキサンダー。こんなレストランに行ってみたいです。 |
下ネタだけではなく、会話での言葉の選び方1つとっても神がかっていて、1つ1つの言葉が出てくるタイミングも秀逸。ちょっと前に出たネタが絶妙な形で再登場する場合もあって、笑いと感心が同時にやってくることもあります。プレイしていて常にニヤニヤしてしまうルートです。
王雀孫さんは、『それは舞い散る桜のように』のころからテキストのおもしろさと独特な言葉選びには定評がありましたが、それは本作でも健在です。鷲介編だけでなく、これは全体を通しての魅力とも言えます。
▲このテキストはまだ序の口。他にもまだまだ狩男語録がありますよ! |
このルートで軽部狩男の魅力にやられてしまった人は、1ルートクリア後に解放される“ある日の狩男”が非常にオススメ! 狩男視点で数年前のアレキサンダーでの出来事を体験できるシナリオで、主人公以外の主要人物がほぼ全員登場する他、サービスシーンも多め。こちらも大変笑えます!
▲本編では見られないサービスシーンが多い“ある日の狩男”。元々は本編発売前の『Prelude』に収録されていたシナリオですが、すべてが終わった後に読んでも楽しめます。 |
上で紹介した通り、コミカルな日常が鷲介編の魅力なのですが、プレイしていくうちに、さまざまな違和感を覚えると思います。トイレが大好き(笑)な鷲介とトイレでの言動、「死神」などの意味深なセリフ、見知らぬ相手に敵意を持たれて襲われるなどなど。
▲鷲介編の始まりはトイレから。終わるのもだいたいトイレなんです。 |
鷹志編のグレタガルドもそうなのですが、この違和感によって、『俺たちに翼はない』が普通の恋愛ADVではないことが段階的にわかっていきます。真相自体は次回の成田隼人編で明らかとなるのですが、勘がいい人なら、鷲介編の情報で気が付いてしまうかもしれません。
これらの伏線は、初見プレイならなんとなく「なんかおかしいけど、まあいいか」くらいの印象で、特に引っかかりなく見過ごせてしまうレベルのもの。伏線伏線していないと言いますか、とても自然な描写なんです。再プレイ時や隼人編で「なるほど、そういうことだったのか!」とストンと納得できるこの構造自体が鷲介編の2つ目の魅力ですね。
▲無銭飲食をした客に襲われるひと幕。どうやら、何か事情がありそうですが……? |
鷲介編の物語は、他の2人に比べて物語の起伏が少ない日常系シナリオです。そして、全ルート中もっとも普通の恋愛に寄った物語となっています。その恋愛は、元AV女優の新人作家と日和子を間違えてセクハラしてしまうという最悪の出会い方で始まります。
▲この冷たい感じがたまらないんですわ。 |
そこから鷲介が見直されるような行動をして、日和子の好感度を上げていくのですが、好感度が上がったと思ったらラッキースケベなどで好感度が下がり、上がったと思ったらまた下がり……という繰り返しとなっています。最低値の好感度から徐々に徐々に仲よくなっていく展開は、まさに王道恋愛もの。2人の甘酸っぱいやり取りと、恋人関係になった後の日和子さんのかわいらしさが魅力ですね。
▲無表情か怒った表情ばかり見せる日和子さんが、たまに見せる自然な笑顔……これがヤバイ! 羽田さん家の鷹志くんじゃなくても惚れてしまいますよ。 |
他のルートに比べて派手さはないですが、個性的な登場人物たちが織りなす笑える日常と、鷲介と日和子の微笑ましい甘酸っぱい恋愛描写のおかげで、女性に好かれそうなシナリオかもしれません。……あ、ひんぱんに登場する下ネタに嫌悪感を抱かない女性、と注釈を入れておきます(笑)。男性プレイヤーには……おっ○いとパンツがたくさん出てくるルートなのでオススメですよ! と言っておきます。これが僕のタマイズム!!(笑)
それでは、次回は成田隼人編でぬるっとお会いしましょう! 世界が平和でありますように。
→第1回 羽田鷹志編レビュー&林田美咲ルートの感想はこちら!
→【読プレあり】本作をプレイしたアフィリア・サーガ ユカフィンさんの感想は?
▲このひどい画像でお別れ。この他のシーンはゲームでお確かめください! |
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