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2014年4月4日(金)

『World of Tanks』で今さら聞けない用語を解説! チャットでよく耳にする“芋”ってなんだ!?【めざせ! 戦車道免許皆伝 第26回】

文:田中尚道

 先日、『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』(以下、『WoT』)に念願の『ガールズ&パンツァー』キャラクターボイスパック第1弾(西住みほ)が実装されました。さっそく、この音声MODを導入してプレイされている方も数多くいるかと思います。

 かくいう小官も小躍りしながら導入してみたのですが、プレイしているうちにある重大なことに気づきました。「この戦車には、小官が乗ってない……」。西住殿はとても優秀な車長なので、搭乗員への気遣いを忘れません。何かあればすぐに「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれます。ところがどっこい、どこをやられても小官の名前は呼んでくれないのです。操縦手の冷泉殿、通信手の武部殿、砲手の五十鈴殿、装填手の秋山殿と、一通り名前を呼んでくれるのに……。

 当たり前と言えば当たり前ですが、ならばと6人乗りの【M3 Lee】に乗ってみることにしました。これなら、あんこうチームの中に小官が混ざっていても問題あるまい! そういえば、例えば操縦手が負傷すると「麻子さん大丈夫ですか?」と西住殿が声を掛けてくれますが、明らかにアイコンは真っ赤で、機動性が落ちている状況を見ると、「まったく大丈夫じゃないじゃん」と思ったりします。腕が悪くて搭乗員が負傷するたびに、小官の繊細なグラスハートがせつなさと情けなさで締め付けられる思いです。おっと、「そんなにいうなら上手くなれよ」というツッコミはなしの方向で……。

『World of Tanks』
▲射撃が命中すると「華さん、さすがです!」と五十鈴殿がほめられます。当てたの小官なのに……。「西住殿にほめられていいなぁ」と思いますが、「まぁ五十鈴殿がほめられてるなら、いいかぁ」とお気楽な小官は考えるのです。
『World of Tanks』
▲操縦手が負傷。つまり、冷泉殿が負傷してるわけです。こらあかん。戦ってる場合じゃない!

 はてさて、本連載も皆さまのおかげをもちまして、新年度の7カ月目に突入です。ありがとうございます。半年も『WoT』をプレイしていると、ゲームについて友だちと会話する際に、ちょっと独特で専門的な用語に「ん?」と疑問を感じることもあるかと思います。今回は、今さらちょっと聞きづらいという用語の数々について、あらためて解説してみようと思います。

■よくわかる『WoT』用語の基礎知識!

【芋】

 もともとはFPS(First Person shooter)で、スナイパーなどが銃を構えながら匍匐前進している姿が“芋虫”に似ていることからついたあだ名です。基本的には、相手に攻撃されない後方で戦闘態勢を解けない臆病者の意味合いを持っていて、あまりいい意味では使われません。

 『WoT』においては、戦場後方の茂みなどに隠れて動かないことを指します。特に最上位Tierの重戦車が自分の陣地の側で微動だにしないなど、味方の勝利に貢献しないことを揶揄する時に使います。自走砲など、足が遅くて陣地転換が苦手な車種では仕方ないことなので、特にそういう批判にさらされることはありません。ちなみに、動詞は「芋る」になります。

【カニメガネ】

 拡張パーツの1つとして有用な“双眼鏡”のこと。もっと縮めて“カニ”とだけ言われることもあります。

『World of Tanks』
▲ペリスコープ(潜望鏡)型に伸びた外観がカニの目に見えるから、カニメガネなんです。

【カモネット】

 拡張パーツの“迷彩ネット”のこと。ただ単に“カモ”というと、車体の迷彩塗装のことと区別がつきません。もっと縮めて“ネット”とだけ言われることもあります。

『World of Tanks』
▲効果が発動している最中は、ネットのアイコンが緑に点灯します。カニメガネと違って、相手から見えているかどうかが確認できないのがつらいところ。

【金弾】

 以前はゴールドでしか購入できなかった特別な砲弾(硬芯徹甲弾/APCRや対戦車榴弾/HEATなど)を指す『WoT』のスラングです。課金弾とも呼ばれます。

『World of Tanks』 『World of Tanks』 『World of Tanks』
▲金弾の価格は砲によって変わります(基本的には砲口径に比例して高価になっていきます)。現在はゴールドの代わりにクレジットでも購入可能で、この場合はゴールドの4000倍がクレジットでの価格になります。

【弾種】

 砲が装備できる砲弾のバリエーションです。AP(徹甲弾)、APCR(硬芯徹甲弾)、HEAT(成形炸薬弾)、HE(榴弾)、HESH(粘着榴弾)の5種類があります。

【AP】

 Armor Piercing Shellの略で、日本語だと徹甲弾の意味です。砲弾の運動エネルギーで装甲を貫通する砲弾で、通常砲の射出できる弾は大概これです。装甲を貫通しないとダメージが0になるため、レティクルの色をよく見て発射してください。砲弾の運動エネルギーを貫徹力に換えているため、目標との距離が離れると運動エネルギーが減少し、貫徹力が減ります。また装甲に対して進入角が浅いと跳弾してしまいます。

【APCR】

 Armor Piercing Composite Rigid Shellの略で、日本語だと硬芯徹甲弾と訳します。AP弾の上位で、基本的には貫通力を増した徹甲弾です。弾速がAP弾より速い反面、弾体の重量がAP弾より軽いため、目標との距離が離れるとAP弾以上に貫徹力が減少します。

【HEAT】

 High Explosive Anti-Tank Shellの略で、日本語だと成形炸薬弾と訳します。詳しい説明は割愛しますが、目標命中時に弾頭内の炸薬を爆発させて金属噴流(メタルジェット)を発生させ、装甲を穿つという砲弾。AP弾に比べ、距離による貫徹力の減衰がありません。また、AP弾より有効進入角の範囲が狭く、跳弾しやすいのが玉にキズです。

【HE】

 High Explosive Shellの略で、日本語だと榴弾です。砲弾内に詰め込まれた炸薬の爆発力で対象にダメージを与える砲弾で、榴弾砲が発射するのは大概これ。AP弾に比べて貫徹力に劣るものの、威力は比較にならないほど高く、装甲を貫通しなくてもある程度のダメージが与えられるというメリットがあります。炸薬の量がすなわち攻撃力となるので、榴弾砲の口径が大きいほど威力が上がります。つまり、小口径砲ではあまりダメージが与えられません。さらに装甲非貫通時のダメージは内張り装甲で軽減されます。また、この砲弾は射程による貫通力の減衰がありませんし、跳弾もしません。HE弾のもう1つの特徴が、炸裂して周囲にもダメージを与えられる点。自走砲の大口径榴弾砲ならば、最大で12m弱の範囲が爆発に巻き込まれダメージが入ります。至近弾というアナウンスがあるのは、この榴弾の爆発範囲に巻き込まれているということです。

【HESH】

 High Explosive Squash Headの略で粘着榴弾と訳されます。HE弾の装甲貫徹力を増したもので、その威力は絶大ですが、装甲を貫徹できなければHE弾と同じです。

『World of Tanks』
▲イギリスの駆逐戦車【FV215b(183)】の場合、装備できる砲弾は182mmAP弾/182mmHESH弾/182mmHE弾の3種類で、AP弾が最も貫通力に優れるものの、ダメージは低め。HE弾はAP弾の1.5倍のダメージを期待できるものの、貫通力に劣ります。HESH弾はAP弾並の貫通力で、HE弾と同じダメージを期待できます。
『World of Tanks』
▲続いて、AP弾とAPCR弾の比較。こちらは貫通力だけが異なります。APCR弾はAP弾より3割ほど貫通力が増しています。
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▲最後に自走砲のHE弾の比較です。233mmHE Mk.18と233mm HE Mk.19では数値的に一切の差がありませんが、Mk.19の方が爆発でダメージを与える範囲が広いのです。

【ハルダウン】

 砲塔だけを敵に晒して射撃する方法。本来は、車体(hull)を下げる(down)という意味で、窪みなどに潜りこんで砲塔だけを表に出すことを指しましたが、後に車体を隠して砲撃するという意味に拡大されました。破壊された車体の陰や、マリノフカの柵などに車体を隠せれば、立派なハルダウンです。

『World of Tanks』
▲窪みに隠れるだけでなく、建物に開いた穴から敵を狙うのもハルダウンの一種。要は自分の車体が隠れればいいのです。

【昼飯の角度】

 垂直装甲を多用していたドイツ戦車は避弾経始に劣るため、見せかけの装甲厚を稼ぐ手法が考案されました。敵を時計の12時の方向にとらえた場合、車体の向きを11時あるいは1時の角度(30度)へ向けることが推奨されたため、昼飯の角度と言われました。もちろん『WoT』でも有効な防御法です。

『World of Tanks』
▲垂直装甲でなくとも、装甲に角度をつけてやることは大事。避弾経始に優れた【T-34】なら、見せかけの装甲厚を上げてやれると同時に跳弾を誘うことも可能です。

【ペネ】

 Penetrationの略で、砲弾の貫通力を指します。高い低いで表され、AP弾やAPCR弾は貫通力が初速と弾頭の重さに由来するために、同口径の場合は基本的にペネが高いほど高初速の弾となります。つまり当てやすいということ。同じく高いペネを誇るHEAT弾は、モンロー/ノイマン効果(爆薬を凹型に成型して爆発力を中心に集中させる効果)により貫徹力を得ているので、弾速が遅い点に注意してください。また、ペネの高さと砲弾の威力は比例しません。APCR弾などの課金弾は通常徹甲弾よりペネが高くなりますが、威力は通常徹甲弾と変わりません。

【DPM】

 Damage Per Minuteの略で、理論値として1分間にどれだけのダメージを相手に与えられるかという数値。もちろん装甲貫徹を前提とします。同一Tierの車両や、各車両の搭載砲の比較に使われます。1分間の発射可能数×ダメージ量で計算するため、大口径の高威力砲がDPMの点で必ずしも優れているわけでない点に注意してください。どんなに高威力でも、装填に時間がかかる砲はDPMが低くなります。逆に、低Tierの車両が装備できる機関砲は1発の砲弾の威力が低いものの、連続してダメージを与えられるため、侮れないDPMの値となります。これと関連して、装填装置付きの砲はDPMが高い傾向にあります。

【fps】

 『WoT』におけるfpsとは、First Person shooterのことではなく、frames per secondを指します。これは、ゲームに使用するPCが、1秒間でどれだけのフレーム(コマ)を描画できるかの指標です。数値が高いほどなめらかな映像になります。処理能力の高いグラフィックボードを積んでいるPCほど高い数値が出ます。

『World of Tanks』 『World of Tanks』
▲fpsはPCの画像処理速度に由来するので、グラフィックの解像度を上げると低くなり、解像度を下げると高くなります。PCの性能以上に解像度を上げてしまうと動作がカクカクしてしまって、遊びづらくなります。画面左上に表示されているfpsの値に注目していただくと、グラフィック品質を最大にした場合、小官の非力なPCでは22fpsしか出ません。一方、最適化すれば87fpsまで上がります。

【ping】

 サーバーなどにパケットを送信し、返ってきた際の到達時間と応答率で通信のデータロスや回線のディレイ(遅れ)を計るツールのことです。潜水艦がパッシブソナーを打って、返ってきた反響音で周囲の様子を観測することに似ているので“ping”と呼ばれます。回線の状態や、サーバーまでの物理的な距離などで大きく変わり、この数値が小さいほどデータロスもディレイも少ないことになります。

『World of Tanks』
▲通信障害などでpingが一定の値を上回ると、ping脇のアイコンが赤く点灯して警告してくれます。

【GL HF】

 ゲーム開始時にチャットよく流れてくる言葉で、Good Luck Have Funの略です。意味は「頑張ろうぜ!」くらいの感じ。英語圏の人は、日本人の「よろしくお願いします」の代わりにこの言葉をよく使うようです。

【lol】

 Laughing Out Loudの略で、笑い転げるの意味。日本のネットスラングの「www」とほぼ同じ意味です。

【MOD】

 Modificationの略。変更・修正という意味の通り、ゲームデータフォルダに格納することでさまざまな機能を追加するプログラムを指します。海外製のゲームのテキストを日本語化する日本語MODから、キャラクターの外見を変えるもの、シナリオを追加するものまで、さまざまな種類があります。『WoT』における『ガールズ&パンツァー』キャラクターボイスパックも、MODの一種となっています。オフィシャルのものの他に、有志のユーザーが作った非公式のMODもあり、導入することでゲームが正常に動作しなくなる、データが破損するなどのトラブルを引き起こすこともあるので、非公式のMODを導入する際には注意が必要です。

【noob】

 こちらも、時々チャットで流れてくる言葉。Newbie(新兵)からの派生語で主に初心者を指しますが、転じて下手くその意味でも使われます。

【WTF】

時おり、チャットで流れてくる言葉。What the F**kの頭文字をつなげた略語で、「なんてこったい」くらいの意味です。

【10榴】

 アメリカの【M4 Sherman】や、ドイツの【Pz.Kpfw. IV】が装備できる105mm(10.5cm)榴弾砲のこと。短砲身で弾速が遅く、徹甲弾も撃てませんが(【Pz.Kpfw. IV】など一部は可能)、ペネ53mm、ダメージ410と、Tier IVあたりまでのほとんどの戦車を一撃で撃破可能という驚異の破壊力を誇ります。撃てるのがHE弾とHEAT弾なので、射程による威力減衰もないという優れもの。この10榴を装備できる戦車を相手にする場合は特に注意が必要と言えるでしょう。アメリカの駆逐戦車【T82】がTier IIIと最も低いTierで装備可能。弱点としては、53mm以上の装甲を持つ戦車にダメージを与えにくいことと、装填時間が長いことの2点を挙げることができます。

『World of Tanks』
▲Tier IIIとしては強力な10榴ですが装填時間がほかの砲にくらべて圧倒的に長く、実はDPMはあまり高くありません。

 さて次回は、4月5日に開催されるリアルお花見イベント“Wargamingミリタリーバスツアー in 土浦駐屯地”に潜入! 本物のM4シャーマンやM24チャーフィー、そして三式中戦車チヌなどが展示されている様子を紹介します。お楽しみに!

(C) Wargaming.net

データ

▼『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』
■メーカー:ウォーゲーミングジャパン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年9月5日
■価格:無料(アイテム課金)

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