2014年4月29日(火)
2月26日に『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』を発売し、4月1日に“株式会社アトラス”として営業を開始した新生アトラス。
この記事では、アトラス大好き編集・ミゲルによる、サウンドチームの土屋憲一さんと小塚良太さんへのインタビューをお届けする。『真・女神転生IV(真4)』の制作秘話やサウンドトラックのシークレットトラックで明らかになる裏設定、そしてアトラスが現在制作している新タイトルの話題など、『真4』ファンはもちろん、すべてのアトラスファンに括目して読んでもらいたい内容となっている。
また記事の終わりには、土屋さんと小塚さんのWサイン入りポスター&『真4』グッズが当たる読者アンケートもあるので、お見逃しなく!
土屋憲一さん(写真右):1973年生まれの自称・18歳(!?)。1995年、アトラスに入社。『女神異聞録ペルソナ』を始まりに、『ペルソナ2 罪』、『ペルソナ2 罰』や『真・女神転生if...』で、多くの楽曲を手掛ける。アレンジ楽曲や効果音の制作を含めれば、アトラスの大半のタイトルにかかわっている。『真・女神転生IV』では、サウンドディレクターとして効果音を主に担当し、過去作のアレンジを中心とした楽曲も制作している。
小塚良太さん(写真左):1984年生まれの29歳。PS2用ソフト『ペルソナ4』の完成直前となる2008年2月にアトラスへ入社。入社後初めて制作した楽曲は、土屋さんがジングルを作曲し小塚さんが編曲を行った『ジュネスのテーマ』だ。PSP用ソフト『ペルソナ2 罪』のアレンジ楽曲や『HOSPITAL. 6人の医師』での作曲も担当し、『真・女神転生IV』ではメインコンポーザーとして数多くの楽曲を手掛けた。
――『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』が発売された今、改めて見ると膨大な曲数ですよね。どれくらいの期間で制作されたのでしょうか。
小塚良太さん(以下、敬称略):『真4』は開発期間自体が長かったのですが、まだイメージボードしかない時にも曲を作っていたり、3DS用ソフト『デビルサマナー ソウルハッカーズ』を並行して制作していたりと、正確に「どれくらいの期間か」と言われると難しいですね。ですが、正味1年くらいはかかっていたと思います。
土屋憲一さん(以下、敬称略):開発当初のスケジュールでは4~50曲くらいの予定だったのですが、結果的に膨れ上がりましたね。
小塚:ディレクターから「曲を増やしてくれ」と言われたわけではなくて、我々が勝手に増やしたんですけれどね(笑)。少々力技っぽいやり方だったので、今となってはもう少し曲数を絞ったほうがスマートでよかった気もしなくはないのですが。
土屋:できあがっていく作品を見ながら音楽を作っていける立場なので、つい現場の判断でやりたい放題にどんどん増やしてしまうという(笑)。
――『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』では、すべての曲データに作曲者のお名前がきちんと明記されていて、とてもいいです。
土屋:今回のサントラは、我々開発スタッフの要望をしっかりと取り入れてもらったんです。ブックレットも、小塚君の人となりをファンの皆さんに感じていただけるものになっていると思います。
収録曲も、2ループさせて曲単体として聴き応えのあるように制作しています。曲数も多いので、マスタリングの際にエンジニアの方が大変そうでした。スタジオでチェックする我々も大変でしたが(笑)。
小塚:ページの量や紙の質などにもよるそうですが、今回のものに関しては、ブックレットを同梱したからといって定価が跳ね上がるわけではないそうなんです。だったら、何もないよりはあったほうがいいのかな……と(笑)。
――ブックレットを読むと、小塚さんはとても論理的に作曲をされている印象を受けます。
小塚:開発が終わって、相当経ってから解説文を書くことになったので、「あの時は多分こういう意識が働いていたんだろうな」と冷静に自己分析しながら書きました。制作当時に何も考えていなかったというわけではありませんが(笑)、イチから順に曲を理論的に作っていったわけではないですね。
▲24ページにおよぶ豪華ブックレットには、小塚さんや土屋さん、そして同じアトラスサウンドチームの小西利樹さんの『真4』サウンドに対する思いがギュッと詰まっていて、読み応え十分! 読む前と読んだあとでは、サウンドやゲーム本編の印象がまた変わってくるはず。 |
土屋:自分の言葉で語れる機会というのはなかなかありませんからね。収録曲についても、少しでもファンの皆さんに喜んでいただければと思い、アレもコレもと全部入れました。ただ、銀座の曲がね……。
ハンタートーナメントというイベントの舞台で、PS版『真・女神転生』から『銀座』という曲を流用したんです。“コロシアムで実際に流れている館内BGM風”のエフェクトをかけて、こちらの意図としては効果音のつもりだったんです。
そのエフェクトのままCDに収録するのも何か違いますし、かといって原曲は『真・女神転生 サウンドコレクション』にすでに収録されており、『真4』のために作った曲ではないし……と、悩んだ挙句に除外してしまったんです。そうしたら、「ハンタートーナメントの曲が入っていない!」とファンの方からお叱りを受けてしまいまして……。
小塚:「やっぱり収録しておけばよかった……!」と後から思いましたよね。ちょっとした小ネタのつもりだったのですが、そういう部分にもファンの方は反応してくださっていたんだなぁ……と。
土屋:『銀座』は、増子司さんが「『真・女神転生』用として最初に書いた曲」とおっしゃっていた曲で、人気も高く僕も好きな曲です。PS版『真・女神転生』を作る時に、最初にアレンジした曲でもあります。皆さんの反応を見ると、増子さんに人気を持って行かれた感じですね(笑)。
※2003年3月5日発売『真・女神転生 サウンドコレクション』(アニプレックス)
土屋:『真4』では、「あまり過去にこだわるのはやめようね」という話を小塚君にしていました。自分が過去にこだわる、伝統をフィーチャーする曲を担当するから、小塚君には“新しいメガテン”を作ってもらおうというコンセプトで取り掛かったんです。でも小塚君の曲の中にも、過去作をリスペクトした曲がたくさん入っていたよね。
小塚:そうですね。リスペクトは大前提としてありました。ただ、自分の場合は伝統をフィーチャーすること自体に特別なこだわりがあったわけでもないんです。戦闘の2D的な画面やテンポ感などに表れていますが、『真4』というゲームに合うサウンドを突き詰めていくと、特にSFC時代の“メガテン”のニュアンスが丁度いい部分が多くありました。ですので、結果的に当時のテイストをあちこちに取り入れさせていただいたんです。
土屋:『ロウ・テーマ』ができあがってきた時は、内心で「コヅっちよくわかってるじゃ~ん……」なんて思いながら聴いていましたね(笑)。
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
――土屋さんのお気に入りの小塚さんによる『真4』楽曲はどれでしょう。
土屋:全曲語れてしまうのですがどうしましょう!?
――ブックレットがもう一冊になりますね(笑)。
土屋:東京の大マップの曲『東京』は、山井一千ディレクターもこだわりがあったようです。主人公たちが東京で初めて1歩を踏み出す時の曲ですからね。『密売所』も、メガテンらしさと小塚君らしさがすごく出ていて大好きですね。『市ヶ谷駐屯地』は、イントロのデチューンな感じがすごくいい。
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
土屋:小西さんの曲だと、『築地本願寺』! あれはいいですね。小西さんは歩んできたゲーム道が自分と近いのではないかと思います。古きよきパソコンRPGについて語り合える者同士、趣味が合いますね。
小塚:小西さんの曲も粒ぞろいですよね。個人的には『Battle ‐c1』(トレーニングバトルで流れる戦闘BGM)も好きです。ちなみに小西さんは、メガテンマニア度的に僕なんかよりずっと上の人なんですよ。
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
――その中でも、何か特別な思い入れがある楽曲はありますか?
土屋:開発の最初期、まだ『真4』の全貌が見えてくる前に……絵もなく、ゲームもない中で、小塚君がデモとして制作した何曲かの中に、『メイン・テーマ』があるんです。音楽が先にできたのですが、すごく『真4』と合いますよね。強い手応えを感じたので、「もう小塚君に『真4』の音楽を任せられるな」と。
小塚:当初、僕は効果音などのお手伝いとして『真4』のチームに配属されたので……。
土屋:あれ? 僕、最初に「効果音は僕がやるから、曲は小塚君が作ってね」って言わなかったっけ!?
小塚:え!? 言われてないですよ! いつの間にか曲を作らせてもらっている状態でした(笑)。ですが、今思えばそのお陰で比較的スムーズに曲作りに入っていけたのかもしれないですね。
最初に「全部任せるから」と言われていたら、いろいろとプレッシャーを感じて考え込んでしまい、自由に作れなかった気がするんです。けれどそれがなかったので、何も考えずに自分なりの『真4』の方向性を作れたと思います。
土屋:そ、そうだよね。計画通りだね。
小塚:そう考えると自分にとっては岐路となった曲でもあるので、やはり『メイン・テーマ』は個人的にも思い入れが強い曲になりますね。
※2014年2月26日発売『真・女神転生IV オリジナル・サウンドトラック』(Mastard Records)
――小塚さんは、過去のゲーム原体験から何か音楽的な影響を受けたタイトルや、好きなタイトルはありますか?
小塚:すごくいろいろとあるのですが、「ゲーム音楽で鳥肌が立った」という経験は、SFC版『ファイナルファンタジーVI』が初めてだったと思います。最初のボス、ユミール戦(『決戦』)は印象深かったですね。それと近い時期にプレイした、SFC版『タクティクスオウガ』にもかなり思い入れがあります。こちらの音楽も大好きでした。
そのころのゲーム音楽の影響は、あまり目に見える形では出てきていないかもしれませんが、今でも自分の中に根強く残っていると思います。
『真4』の時でいえば、過去のメガテン作品の音楽を参考も兼ねて聴いていたのですが、普通にハマッてしまいましたね……。「ちょっと他では味わえない音楽だな」と改めて思いました。
――その中にはきっと、土屋さんの音楽も入っていますね。土屋さんの楽曲の中で、お気に入りのものはありますか?
小塚:人気が高い曲なのでベタな選択かもしれませんが、『真・女神転生III‐NOCTURNE マニアクス』の『魔人』は“ありそうでない曲”という感じで、独特でいいですよね。
土屋:あれは増子さんのモチーフを入れたからいい曲であって(照)。元々はPS版『真・女神転生if...』のために作った曲ですが、増子さんの築き上げたものをしっかり継承しようというコンセプトで作ったものだったんですよ。
小塚:それと『カドゥケウス NEW BLOOD』の音楽も好きです。『未知の病』とか『ロサンゼルス』とか……、土屋さんらしいとても繊細な音作りでカッコいいんですよ。自分には真似出来ないなと思いますね。
※2004年2月4日発売『真・女神転生III‐NOCTURNE マニアクス サウンドトラック extra version』(アニプレックス)
※2008年2月27日発売『カドゥケウス NEW BLOOD ORIGINAL SOUNDTRACK 完全版』(発売元:ドリーミュージックパブリッシング/販売元:キングレコード)
――小塚さんが初めてプレイされたメガテン作品はどれだったのでしょう。
小塚:広義のシリーズではセガサターン版『真・女神転生デビルサマナー』ですが、本家のナンバリングタイトルですと『真4』の開発前にプレイしたゲームボーイアドバンス版『真・女神転生』です。もちろん“メガテン”というタイトルは知っていましたが、実際にプレイしたのはこの時が初めてでした。
土屋:「メガテン大好きー!」と言ってアトラスに入社した人は意外と少ないです。過去を大切にすることはもちろんですけれども、「メガテンとはこうでなければならぬ!」ということを言っていても、世界が狭くなってしまいますしね。もちろん自分も含めてメガテンにうるさい人間はいるんですけれども(笑)。意見は意見として出して、この作品ではどうすべきかチームで考えて結論を出しています。
懐かしのメガテンの話ですと、『女神異聞録ペルソナ』の『雪の女王のテーマ』は、日本テレネットという会社のパソコン版『デジタル・デビル物語 女神転生』で小川史生さんが作曲された『ゴーギャンの靴』という名曲をちょっとだけ意識して制作した曲です。「3拍子の素敵な曲を作りたいなぁ」と思ったんですよ。
――『真・女神転生デビルサマナー』について、小塚さんは当時のアトラスネットに掲載されていたクリエイターワークスでも書かれていましたね。
小塚:あー! 新人紹介的なこの記事ですか……懐かしいですね(笑)。『真・女神転生デビルサマナー』と、その続編の『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の雰囲気は当時からすごく好きで、影響も受けていたと思います。自分にとってのアトラスゲームのルーツですね。
……あ、ちなみに記事中の「別に……」という受け答えは当時の流行語で、目黒さん(アトラスサウンドチーム 目黒将司さん)に提案されて書いたものです。今だと伝わらないかもしれないので念のため……(笑)。
――小塚さんの、土屋さんへの第一印象はどのようなものでしたか?
小塚:ざっくりとした感想ですが、“気さくな人”というのが第一印象です。面接の時に、アトラスだから怖い人が出てくると思ってすごく緊張していたんです。
土屋:“アトラスだから”(笑)!?
――小塚さんの入社前のアトラスの印象はどのようなものだったのですか!?
小塚:自分の中では、アンダーグラウンドというか、何となく怖そうなイメージがあったんです。それこそ『デビルサマナー』の世界観のような……(笑)。
(一同、笑い)
小塚:面接の時、土屋さんは目黒さんと一緒に来たんですけれど、気さくで雰囲気がよさそうな会社だなと思いました。実際、社内に悪魔がいるようなこともなかったですし(笑)。
――土屋さんの小塚さんへの第一印象はどのようなものでしたか?
土屋:「最近の若い人はすごいな……!」と思いましたね。クリエイターは作品がすべてですから、“いいものが作れるかどうか”の選考に残った時点で、彼の素晴らしさを物語っていると思います。能力もあるし、人間的にもいい人でよかったなぁと思いました。チームプレイですから、協調性も大切ですからね。
――6年間、小塚さんは土屋さんと一緒にお仕事をされてきたわけですが、土屋さんから学んだ大きなものはありますか?
小塚:“ゲームサウンドの考え方”ですね。曲を作っていると、どうしても曲だけの完成度を追ってしまいがちになります。その中でも、“ゲームに合ってなければ意味がない”という基本の考えには、影響を受けました。
土屋:曲をゲームに乗せるにあたり、“サウンドはもっと薄くていい”というリクエストを受けることがあるんです。絵や物語を見たうえで、そのテンションに合わせて曲も盛り上げたり、盛り下げたりといった表現をする必要も出てきます。
小塚:でも、そういったいろいろな条件に合わせていくことで、結果的にゲームならではの独特な音楽ができるという面もあると思います。制約があるからこそおもしろい部分もありますね。
――逆に、土屋さんが小塚さんから学んだことは何かありますか?
土屋:具体的なことですと、「この曲のこの音色はイカしてるな」とか「このイントロの入りはカッコイイな!」とかですが、大きな影響というと「負けられないな」というプレッシャーです。
幸か不幸か、自分がそれなりのポジションに立ってしまうと、他人に怒られなくなってしまうので気が緩んでしまいます。そんな中でプレッシャーを与えてくれる存在がいると、「頑張らないと!」という緊張感を得られますよね。
小塚:逆の立場としてですが、そういう緊張感は僕も持っていますね。
土屋:「サウンドチーム5人の中で誰かリストラされることになったら、自分はこいつに勝てるだろうか」という意識は持っています。いざとなったら後ろからエイッと刺さないと(笑)。
広い目でものを見なければならないディレクターのような立場だと、どうしても現場から一歩離れてしまいます。僕は最前線にいたいほうなので、常に同じラインで戦っていくには負けていられないですからね。
――切磋琢磨の素敵な関係ですね。
――もしアトラスで自分がゲームを作るとしたら、どのようなタイトルを作ってみたいですか?
小塚:他にないような世界観だったりゲームプレイだったり、多少小粒でもピリリと辛い山椒のようなものを作りたいですね。何だかフワフワした答えですが(笑)、やっぱりアトラスのゲームは王道過ぎない面もよいところだと自分は思いますから。
土屋:発表しているタイトルで言えば、直近では『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス(PQ)』や、いずれ『ペルソナ5』も出ますし、僕は次のメガテンを作りたいですね。アトラスのいちファンとしてもやっぱり『真・女神転生V』がプレイしたいです。
ただ、入社当時の自分は『女神異聞録ペルソナ』も“次のメガテン”という感覚で作っていたので、『真・女神転生V』ではない何か別の進化を遂げたものであっても全然構わないんです。自分にとっては『デビルサマナー 葛葉ライドウ』シリーズや『デビルサバイバー』シリーズも大きな意味で“メガテンやペルソナの新しいやつ”でしたから。
小塚:あ、それと、ファンとしてでしたら僕は、『グルーヴ オン ファイト 豪血寺一族3』の続編を作ってもらいたいですねぇ。……大好きなんですよ!
土屋:ファンの皆さんから見て、メーカーごとに役割や求めているものがあると思うので、「アトラスといえばこうだよね」というブランドイメージは大切にしたいです。
自分などは漠然と、メガテンの続編を作りたいな~と妄想していますが、アトラスのディレクター陣は常に“アトラスらしくて新しいもの”も模索しています。その生みの苦しみを目の当たりにしているので、「自分はディレクター向きではないな」と思ってはいますね。
――お2人が考える“アトラスらしさ”、“メガテンらしさ”というものは何でしょう。
土屋:言葉にできないなぁ……。微妙なさじ加減過ぎて難しいですよね。
小塚:“メガテン”シリーズの音楽に関していうと、特にSFC版のころの音に“らしさ”を感じます。例えば『アーケード街』は、そのまま生バンドで制作していたらあの独特な“異質さ”はなくなってしまうと思うんです。SFCの音源は生楽器とはまったく違う、情報量が削り取られた音なのですが、その音色であの楽曲を鳴らすことによって、“変質された不気味さ”みたいなものが生まれているんですよね。
個人的には、『真3』の戦闘BGMのデス声とか、『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』のコーラスにも微妙に共通したものを感じます。
土屋:SFC版『真・女神転生』のPS版への移植にあたり、「SFC版と比べると、音が全然ダメだよね~」とファンの皆さんから言われてしまいましたね~。オリジナルの、あの機械からでるあの音というのはあまりにも影響力が大きくて、越えられない壁ではあります。
音質も向上して和音も増えて、音楽的にはよりよい環境になっているはずなのですが、自分もユーザー目線で見るとSFC版のあの荒々しい音が強く心に刻まれているように思います。
※2003年3月5日発売『真・女神転生 サウンドコレクション』(アニプレックス)
小塚:歪な音なんですけど、だからこそ、目に見えない独特の空気をまとっているように聞こえるんですよね。そういう音でカッコいい曲を鳴らすことによって、何とも言えない“病んだカッコよさ”が出ていたのではないかと思います。この辺の感覚は、『真4』の楽曲制作の時にもいろいろと考えさせられた部分でした。
グラフィックでも、キャラクターの顔がのっぺら坊だったり、何も書かれていないポリゴンが立っていたりだとか、どこか欠落した部分があって、そこに不気味さを感じたんです。何を考えているのかわからない感じが漂っていて……。情報を削られてしまっているほうが不気味であったりしますよね。
土屋:プレイしていて想像できるというか、脳内補完の余地が大きいんですよ。説明されていない何かを、あれこれと妄想するのが楽しい。
▲画面はiOS用アプリ『真・女神転生』(左)と『真・女神転生if...』(右)。 |
小塚:最近の『ペルソナ』シリーズの曲を聴いていても思いますが、『メガテン』と『ペルソナ』の間にも微妙に共通した“何か”がありますよね。それが“アトラスらしさ”なのかなと思うんですが……。でも、自分もそこから影響を受けている気はするんですけど、それが一体“何”なのかはちょっとよくわからないんです。
土屋:我々からすると、もはや現実がまるっと“アトラス”なので、皆さんに“アトラスとは何か”というものを伝えにくくはあります。作品を作っているチームの、あの塊から何かが醸し出されているのだとは思いますけれどね。塊っていうとレギオンみたいですが。
小塚:そういう“醸し出される何か”を大事にしていきたいですよね。……塊の中でモゾモゾしつつ(笑)。
――アトラスのファンの皆さんに向けて、何か一言お願いします!
土屋:偉そうなことを言ってしまうと、今まで作ってきた作品に助けられて、アトラスは復活できたのかなと思います。それはすなわち、ゲームを買ってくださり、そして応援してくださったたくさんの方々のおかげですので、「ありがとうございます」としか言いようがありません。ですから、頑張ります。ひたすら頑張ります!
小塚:応援してくださっている皆さんには本当に感謝しかないですね。それと、過去にアトラスに在籍していた方が積み上げてきたものがあってこその今のアトラスで、それがあってこその皆さんの応援だとも思います。そういう意味でも、復活を機に気を引き締め直していきたいと思います。
土屋:シリーズを築き上げてきた先人の存在が常にプレッシャーとしてあるので、それに負けないようにという思いもあります。
株式会社アトラスとして心機一転、新しい作品をたくさん作っているので、ぜひコンゴトモヨロシクお願いいたします。すでに発表されているものだけでなく、私自身も驚くような未発表タイトルもありますのでどうぞお楽しみに!
――ありがとうございました!
25周年を前に、タイトルてんこ盛りのアトラス。ファンは今後の展開を楽しみに待とう!
……あれ? 大切な質問がまだあるような!?
――そういえば、『真・女神転生IV』のサントラの最後に入っている『【secret track】』は一体何の音なのですか!?
土屋:あれはクリアするまでに2回聴ける可能性があって、1つは“ガントレットの起動音”であり、もう1つはこの作品のタイトルを思い出していただければ、わかる方にはわかるかも……? ゲーム中ではそれぞれ別のエフェクトが掛っているのでわかりづらいですけれどね。アトラスのサントラや特典CDは、何かしらの小ネタを仕込むのが大好きなんです。なぜ同じ音なのかは、ご想像にお任せしようかな……!?
▲ポストカードとジャックフロストのラバーストラップ、メインビジュアルを元にした店舗用ポスターをセットにしてプレゼント! |
読者プレゼントとして、土屋さんと小塚さんのサイン入り『真4』のポスターとポストカード、ジャックフロストラバーストラップのセットを抽選で5名様にプレゼント! 小塚さんのサインは本邦初公開だとか。アトラスサウンドチームへのメッセージと記事の感想を添えて、どしどしご応募ください。なお、応募の期間は4月29日~5月7日となります。
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