2014年4月9日(水)
MAGES.のゲーム&音楽ブランド5pb.が4月24日に発売するXbox 360用シューティングゲーム『バレットソウル -インフィニットバースト-』。本作の制作に携わった開発スタッフへのインタビューをお届けする。
お話をうかがったのは、本作のプロデューサーを務める盛政樹氏とディレクターの鷺岡潮氏。開発経緯や開発中の苦労話はもちろん、『バレットソウル』の影の魅力である名作STGのオマージュなどの裏話を聞いた。(※インタビュー中は敬称略)
▲盛プロデューサー(写真左)と鷺岡ディレクター(写真右)。もはやシューターにはおなじみのお2人だ。 |
――まずは前作『バレットソウル -弾魂-』から3年を経て本作を発売することになった経緯と、機種にXbox 360を選んだ理由についてお聞かせください。
盛:5pb.はアドベンチャーゲームの開発がメインなので、どうしてもそちらにスタッフが割かれてしまうため、大規模な開発チームとしては動けなかったうえ、僕は『ファントムブレイカー:エクストラ』や『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA』にも携わっていたので、仕事を1つずつこなしていく都合上、前作から少し期間が空いてしまいました。
そういった状況でなぜXbox 360で『バレットソウル -弾魂-』の新作を作ったかというと、マイクロソフトさんからのラブコールがあったからです。Xbox 360には海外タイトル、アドベンチャー、シューティングという柱があります。シューティングに関してはこれまでケイブさんが多くの作品を出してきましたが、そのケイブさんが家庭用タイトルをいったんやめるかもしれないという事情がありました。
マイクロソフトさんとしては柱の1本をなくしたくなかったようで、発売当時、店頭から在庫がなくなるぐらい評判がよかった『バレットソウル -弾魂-』の関連作品や新作シューティングを作って欲しいとお話をいただいたんです。僕はお願いされると応えてあげたくなってしまうので「じゃあやりましょう」、とお返事しました。
とはいえ、今からXbox 360で大規模な予算を組んで完全な新作を作ることは難しかったんです。それで、今の状況で何ができるのだろうかと考えたところ、『バレットソウル -弾魂-』のバージョンアップ版のような新作を作ろう、という結論に至りました。
――前作でやり残したことや反省点はありましたか? また、本作でそれをどう解消したかを教えてください。
盛:前作でやりきった感があったので、実はそんなに心残りはありませんでした。ただ、当時はとにかく新作を作ることに精一杯で、モードをあまり多く入れられなかったため、『インフィニットバースト』ではその部分を解消しています。前作のモードに加えて、“バーストモード”などの新たな遊びが楽しめるモードを搭載しているので、ボリューム感はかなり増していると思います。
▲新たに加わった“バーストモード”(左)と前作の有料DLCで本作では最初から収録されている“キャラバンモード”(右)。新形式でのスコア稼ぎやタイムアタックなど、前作にはない楽しみが味わえる。 |
――鷺岡さんは『ケツイ』のスコアラーというベースがあって本作にかかわっていますが、『ケツイ』からフィードバックした点を教えていただけますか。
鷺岡:クリア自体はなるべくカンタンにしつつ、スコアを稼いでみたくなった時にいかにやり応えを感じられるか、というところに力を入れました。あくまで僕の個人的な考えなのですが、「こういう動きをしたらこれぐらいの得点になる」と先が見えてしまうと、シューティングはおもしろくないと思っているんです。
『ケツイ』も本作と同じ攻めゲーですが、攻めれば攻めるほどスコアが上がっていくところが非常におもしろい部分でした。その楽しみを『バレットソウル』でも実現しようと頑張りました。普段のプレイとほんの少しでも動きを変えると、それがそのままスコアに影響し、いつもより多く攻めればスコアが上がる。逆に控えめなプレイをするとスコアが下がるなど、プレイの結果とスコアの関係がより見えやすい形になるよう制作を進めました。
盛:新作のシューティングが出るとお互い週末に遊んで会社に来た時に話すんですけど、「あのゲーム、もうやることがわかっちゃったよね」って短時間で見えちゃうものもあるんですね。高得点の出し方はわかったから、あとはそれを実践するだけになってしまう。もちろん、実践することはすごく難しいですし、挑戦しがいがあるということも分かっています。『ケツイ』のノーミスも然り(笑)。ただ、そういうタイプのゲームだと、個人的には割と早く飽きてしまうんです。
それでもやり込む人は楽しくてやっていると思うし、新たな稼ぎ方の発見があるかもしれないので、そういった作りを間違いだと否定するつもりはありません。ただ、自分たちとしては、なるべく最終的な答えが見えにくい作りにしたいと思いながら開発しています。
――『バレットソウル -弾魂-』にはシューターならわかる名作のオマージュがありましたが、本作にもこのノリは継承されているのですか?
盛:今回は“バーストモード”が『弾銃フィーバロン』を意識した作りになっています。主に敵機を撃破した時に出てくるコインの動きなのですが、きっかけは2人でシューティングの話をしている時に、「ハイテンションな感じで画面中を飛び回りながらアイテムを回収して、っていうのがおもしろいよね」って『弾銃フィーバロン』の話題になったんです。
そこでお互いに同じゲームが好きだったことがわかったので、「じゃあこのシステムでしょ」と採用しました(笑)。敵が撃ってくる弾が速いのも、『フィーバロン』のテンションが上がった状態で弾を避けるところがすごく楽しかったからですね。それ以外にも細かいものをちょこちょこと入れていて、気づきにくいところで言えば、ゲーム起動時の最初のムービーで“Division 2”のロゴが出るんですが、その出方は『海底大戦争』のある要素を意識しています(笑)。
――『バレットソウル』は遊んでいて懐かしい感じがするんですよね。
盛:システムや絵作りも昔のゲームをうまく取り込んで作っているので、懐かしく感じていただけるのはうれしいです。ちなみにこれはボツでしたが、モアイを出そうと考えていたことがありまして(笑)。ある方に「どこまでだったら怒られないかな?」とリサーチしたこともあるくらいです(笑)。
ネタを入れる時にはセーフな範囲を実際に聞いて、その中からアレンジしています。『スターソルジャー』から参考にさせていただいたラザロやデライラ、ジグも、当時ハドソンさんにいた高橋名人に確認してから採用しました。ちなみにもう1つ入れられなかったのは、1面のビル街の最後で高速スクロールになるのですが、そこに“もうすぐボス”という看板を作ろうとしていました。こちらはスクロールが速すぎて見えないということでボツになりました。
――モアイが出てきたらおもしろいですね(笑)。
盛:追加ステージとして遺跡ステージを考えていたことがあるのですが、そこに出てきたらおもしろいかなと思ったんですけどね。
――『バレットソウル』シリーズを作るうえで苦労された点はありますか?
盛:「こうすればおもしろいはずだ」という企画を提案して、それをそのまま実現できているので、前作も本作もプランニングに関しての苦労はまったくありませんでした。ただ、プログラマーやグラフィッカーは、それを形にするための苦労があったとは思います。
一見すると、「縦スクロール型のシューティングはすごい技術を使っているわけでもないだろうから、開発はそこまで大変じゃないんじゃないの?」と感じるかもしれませんが、実はXbox 360の性能としては割と限界まで使って作っているんです。
もっとも大事にしているのはプレイ感覚で、全体を通してロード時間を最大限まで減らしています。リトライ時にもロードはなく即スタート地点から再開できますし、処理落ちもすべて排除しているのでスムーズなプレイが楽しめるはずです。キャラ同士の掛け合いやステージをもっとハデにすることもできるのですが、そのせいでロードが増えたり処理落ちが発生したりすると本末転倒だと思っています。
――意図的な処理落ちもまったくないのですか?
盛:入れていないですね。処理落ちで弾避けしやすくなるのは、システムに頼っている感じがしていやなんですよ。それに、僕自身が処理落ちから抜ける瞬間が大嫌いだという理由もあります。ゆっくりだった自機と弾幕がいきなり元のスピードに戻って、そのせいで被弾してしまった時のストレスはもう!(笑)
当然、処理落ちのことも考えて弾を避ければいいだけの話なんですけど、「なんで処理の問題にプレイヤーが合わせないといけないんだよ!」という思いが強くて。STGは自由に動いて遊べるところが楽しいですし、『バレットソウル』はスコアを稼いでなんぼのゲームなので、そのためのお膳立てはきっちりとしてあります。
ストーリーモードなども入れたくないわけではないのですが、シューティングにはもっと他に大切な部分がありますよね。スムーズなプレイと演出が共存できるのであれば、ストーリー的なものも入れたほうがいいのですが、ストイックにゲームだけを遊ぶ目的としては、僕はムダに感じてしまうので、現状では割愛しています。
――鷺岡さんは苦労された点はありますか?
鷺岡:一番苦労したのは敵の配置ですね。モードは違うのに敵配置を全部同じにしてしまうとおもしろくないので、盛に「敵配置をすべて変えます!」と言いました。その結果、まさか地獄を見ることになるとは……。
盛:モードやシステムを変えたらそれに合わせた敵配置にするのは当たり前のことで、敵配置をいじらずにシステムだけを変えているゲームは、僕はちょっと違うかなーと。せっかく新しいシステムを作っているのであれば、それを楽しく遊んでもらうための敵配置にしなければいけないはずなのになぁと思いますね。
僕的には、シューティングは同じステージでも敵配置が変わっていれば一生遊べると思っています。敵配置が違えば、当然敵から放たれる弾幕も変化しますしね。なので、鷺岡が「変えます!」と言った時は「そりゃそうだね」と答えました。加えて、「多分死ぬほどしんどいよ」とも言いましたね(笑)。案の定、最初は「大丈夫です」って言っていたのが、スケジュールが迫るにつれて「最悪、前と一緒はだめですか?」なんて言い出して(笑)。「やるって言ったんだからそこは頑張りなさい」と週末にプレイしていた『ケツイ』も封印して頑張ってもらいました。
鷺岡:きつかったです、本当に……。ただ、その甲斐もあって満足できるところまで作り込めたと思います。
――では前作にあったモードでも、敵配置が変わっているのですか?
盛:全部変えています。今回は1周目仕様になっているので、“ノーマルモード”は前回と比べると少し難しいかもしれません。その代わり、“バーストモード”はスコア稼ぎを考えなければ比較的簡単にクリアできると思います。
――ということは、配置替え前のステージは前作でしかプレイできないのですか?
盛:そうです。それもあるので、限定版に前作のダウンロードコードをお付けしています。限定版で初めて『バレットソウル』に触れる人は、前作の“アーケード”、“バージョンB”、“キャラバン”に今回の“ノーマル”、“バースト”、“キャラバン”、“隠しモード”の7つがいきなり遊べちゃうわけです。(※前作の“バージョンB”、“キャラバン”のDLCは別売)
――本作の新モードである“バーストモード”の一番の特徴はどこでしょう?
盛:『バレットソウル -弾魂-』では“原点にかえる”といったノリのシンプルな作りにしていたので、そこにシューティングが進化していく過程で通り、かつ『バレットソウル』に加えても破綻しない少し今風の要素を搭載したものが“バーストモード”になります。
僕的にはほどよい進化というか、最先端すぎないもののほうがちょうどいい味になるだろうという狙いがありまして。完全な最新システムではなく、シューターの人たちが「ああ、こういうゲームもあったよね」「当時はこれが熱かったよね」と思い返してもらえるような内容になっているはずです。
鷺岡:システム的には、“合体バースト”で自機のショットが強化されるだけではなく移動速度も速くなり、ノリノリプレイができるところです。
盛:合体バーストは僕が考えたんですけど、そもそも古来からシューティングやロボットものの合体は、自機がセンターに寄って後ろからパーツが飛んできて合体するのが合体なんですよ。でも開発途中のバージョンを確認したら、ピカッて光ってパワーアップするだけで「これじゃハイパーじゃん!」と鷺岡を責めました。
彼の中では、テンポ感としてカットイン的に別の要素が入って邪魔されることがいやだったみたいです。鷺岡はディレクターで進行の部分なども見ていたので、工数などの都合なども鑑みてお互いの落としどころを話し合って、製品版では中間的な演出になっています。
鷺岡:コインに関してはあえて自動回収にせず、“取りに行くと死ぬかもしれないけど行っちゃえ~”みたいな感覚を味わえる仕様にしています。攻めて敵を倒さなくてはいけないんですが、コインも取らなくてはいけないジレンマは最近のシューティングにはあまりないところなので、逆に新鮮に感じていただけるかと。
盛:“自分で動き回ってコインを取りに行く”という要素を攻略に入れたかったんです。自動回収は演出のおかげでハデで気持ちいいのですが、結局は普通に敵を倒して、自動的にスコアが入ってるのとあまり変わらないので。最近のシューティングは便利すぎるんじゃないかなーと個人的には思っています。とはいえ、1つ取り逃した時点でアウト、みたいなゲーム性も避けたかったので、コインは画面端で跳ね返る仕様にしています。
――“ノーマルモード”では敵を早く倒すと魂ゲージがたまり、得点の倍率も上がっていくシステムですが、“バーストモード”ではコインを取ると倍率が上がるのですか?
盛:コインを取るたびにコインの素点が上がり、取り逃すとそのぶんだけコインの素点も減少する、という形式です。合体バースト時に出る“番長コイン”のほうが素点が大きく上がるので、“番長コインを出すために合体バーストを発動する”→“合体バーストを発動するためにバーストゲージをためる”→“バーストゲージをためるために前に出て攻めるプレイをする”というサイクルになります。
鷺岡:基本的には、何も考えなくても爽快にテンポよく遊んでもらえることがコンセプトにあります。「今はコインを回収したほうがいい」、「今はコインをスルーして敵を倒したほうがいい」といったタイミングを考えなければならない要素は極力排除して、攻めと回収を両立しつつ、そのどちらを優先するかは自分の判断で、という形になっています。“シンプルに攻めて取る”、それだけです。
――ちなみに番長コインの“番長”の由来はなんですか?
盛:新作シューティングが出た時に、「トータルじゃなくてとりあえず1面のスコアだけ頑張ってみた」という“1面番長”が必ず出てくるんです。要は、特定のステージだけは超うまい、「このステージだけはオレが一番」といった意味の“番長”です。1ステージのスコアを競う“番長モード”の由来もこれですね。
余談ですが、MAGES.は高橋“名人”がいるので、新たに“番長”を育てていきたいなという野望もあります。PVに“名人を超えて番長になれ”というフレーズも入れて推しているのですが、浸透しているかは微妙です(笑)。のちのち鷺岡をそこまで育てて、高橋名人と鷺岡番長という2本柱にしてみたいのですが(笑)。
▲左が通常のプラチナコインで、右が番長コイン。 |
――続いて“キャラバンモード”についてですが、キャラバンという名前をつけた理由をお聞かせください。
盛:元々ハドソンさんで高橋名人が行っていたイベント名からいただきました。当時、高橋名人が全国を回りつつ、各地方に集まった子どもたちがファミコンのシューティングでスコアを競うイベントがありました。社会現象に近いぐらい話題になったイベントなのですが、その当時の熱を取り戻したかったのが狙いです。
“キャラバンモード”のルールになっている制限時間2分というのも、当時のイベントの予選に使われていた制限時間からですね。当時のゲームにはキャラバン用のモードも入っていたので、僕らのように知っている人間であれば“キャラバン”で内容が伝わりますし、当時を知らない人にはその時の感覚を味わってもらえればいいなと思っています。
――由来について高橋名人はご存じなのですか?
盛:はい。高橋名人がまだハドソンさんにいらっしゃる時に「キャラバンって名称を使っていいですか?」と聞いて、「別にいいんじゃない?」と答えが返ってきたので、まずは体験会で使わせていただきました。
僕らはイベントで全国を回るほどの知名度でもないし、そんな市場の状況でもないので、「じゃあ数カ所で行う体験会に合わせてキャラバンというスコアアタック大会をやろう!」となりました。皆さんに楽しんでいただけたと同時に、『バレットソウル -弾魂-』の時にはある地方で参加した人が別の地方の体験会にも参加してくれるなど、当時のキャラバンと似たような現象が起こったこともすごくありがたかったです。体験会に行かなくてもインターネット上で楽しめる“オンラインキャラバン”も好評で、シューティング業界の盛り上げ役や話題作りに一役買っていればいいなと願っています。
――モードの話に戻りますが、“キャラバンモード”には早く倒せば倒すほど敵が出てくる“早回し”の機能も搭載されているんですね。
盛:“早回し”は従来のキャラバン系シューティングには搭載されていた機能なので、とにかく入れたかったんです。攻めて高得点をたたき出す、という『バレットソウル』の魅力をさらに引き立てられる機能でもありますから。そのおかげで、敵配置がさらに大変なことになったようですが(笑)。
鷺岡:“早回し”がある場合は通常の数倍の敵を配置する必要がありましたからね。プレイアブルキャラの中にループという強力な女の子がいるのですが、彼女を使ってテストプレイを行うと、すごい勢いで敵を倒せるんですよ。おかげで彼女の強さに合わせて敵を増やさなければいけませんでしたし、テスト中にはあまりに早く倒しすぎて敵が枯渇してしまうこともありました(笑)。
盛:敵の追加はマスター直前までやっていたよね。
鷺岡:はい……。テストの段階で自機を無敵にしても絶対に敵が枯渇しないようになるところまで敵を配置したので、製品版では枯渇することはないのでご安心ください。
――前作をプレイしましたけど、キャラごとの性能の差が本当にすごいですもんね。
鷺岡:キャラ差をきっちりと出そうとして作っているので、そう言っていただけるのはすごくうれしいです。
盛:一般的には使いにくくても、そのプレイスタイルが好きなら突き詰める方もいますし、ランキングはキャラごとに用意しているので、上位を狙える穴場になるかもしれません。
――僕は最初にサダハールを使っていたのですが、かなりきついなと(笑)。
盛:僕らは実績解除のレポートも見られるのですが、キャラ使用時に得られる実績を見るとサダハールは本当に人気がないですね(笑)。前作で言うとユンは95%、ゼンイチは60~70%の方が1度は使ってくれたようなのですが、サダハールに関しては50%ぐらいで、パッケージを買ってくださった方の半分が1度も使ってないという結果でした。ここまで使われないなら、もっと玄人向けのキャラにしてもいいかなと今回は調整しています。前回人気だったユンも使いやすさは変わっていないのですが、少し弱く感じるかもしれません。
▲独特の性能を持つサダハール。彼が人気物になる日はくるのか!? |
鷺岡:『インフィニットバースト』ではループ人気一択になるかもしれないですよね。
盛:ループ100%、サダハール0%とか(笑)。ただ、そういう話を聞いてサダハールを使ってみようと思ってもらえるとありがたいです。
――各キャラを使う際のオススメの戦い方やアドバイスはありますか?
盛:キャラによって攻め方や位置取りが変わってきますので、まずは各キャラの個性を見極めることが大事です。
鷺岡:ゼンイチの場合はかなりピーキーな性能で、通常時から横に向けたショットが出ますし、合体バーストを発動すると横ショットがさらに強化されるので、それを考えた位置取りが重要です。その時には移動速度も強化されているので、ハイテンションに動き回って戦うのには向いていると思います。ユンは先ほど話した通り使いやすさはそのままです。サダハールは移動速度が遅いので、つねに先手を取りながらドリルを当てていくと強力です。ループは……近づいても離れてもとにかく強いです。
▲ゼンイチ(画像左)は敵を貫く貫通弾が特徴。ユン(画像右)は攻撃力こそ低めだが、広範囲をカバーできる性能を持つ。 |
盛:ループで合体バーストを発動させるとパンチが配置型になるんですよ。なので、パンチを前のほうに置いて自分は後ろに下がっておけば、ほぼ無敵といっていいぐらいの状況になります。クリアできずに困った時や、初心者の方はループを使えば安心です。開発中もループの性能に関して鷺岡に何度も確認されましたけど、ループが強いのは仕様です。本作の場合、彼女を使うことは恥ではありません。
鷺岡:前作で強力だったので、今作でバランスを取るか、強力なままでいくか盛に相談したのですが、ノータイムで「そのままで」と返されました(笑)。
盛:ループは強さが個性だからね。サダハールに関しては苦手な位置があるところが欠点で、イマイチ不人気なのかもしれません。バーストゲージがたまっていない状態で近づきにくいボスが相手だと、本当に絶望感を味わえます(笑)。
そういった時は起死回生を狙って突っ込んでもらえると、一発逆転できる可能性も秘めています。パーツを壊してゲージがたまり、無敵状態になって攻めまくる、というようなプレイも可能です。不利な部分も含めて個性だと思ってもらえると、愛に変わるんじゃないでしょうか。
▲ループの強さは本作でも健在! 人気トップの座は揺るがない!? |
――何かしら突破口はあると思いますしね。
盛:『ケツイ』の移植で“X MODE”を作らせていただいた時もそうなのですが、倒すとすべての敵や弾幕が消える赤い敵のように、“これさえ利用すればどうにかなる”という要素は絶対に入れるようにしているんです。それさえ覚えれば、次に同じ状況になった時にも対処法が見えてきますし、「次はあそこを気をつけよう」というモチベーションにつながるかなと。本作でも「この状況は厳しい」となった時に、「あのパーツを壊せばもしかしたらチャンスにつながるかも」といったノリで楽しんでいただければと思います。
――ちなみに、お2人が“キャラバンモード”でよく使うキャラは誰ですか?
盛:僕はゼンイチかループですね。“バーストモード”ではユンですが。ユンは弱さがよくて、弱いから使っちゃう感じです。
鷺岡:僕もゼンイチが一番好きで、何も考えずに遊ぶ時はループを使っています。
盛:同じじゃん。そこはサダハールって言っとこうよ(笑)。
――なるほど(笑)。基準的なものとして、お2人の“キャラバンモード”の得点が聞きたかったのですが。
鷺岡:スコアはネタばらしになりかねないので秘密で(笑)。ただ、スコアに関しては上達する過程でかなり変わるようにしているんですよ。3月21日のイベントでも、1時間しか練習時間がなく、遊んでもらう回数も2~3回が限度だったと思うのですが、その数プレイの間でもスコアにかなり差が出ていましたね。1位の方のスコアは3億8千万点で、前作よりもスコアが跳ね上がっているため高く感じるかもしれませんが、実はまだまだ先があります。僕らが予想している点数以上が出てくる可能性もあるので、発売後が本当に楽しみです。
盛:実は『ケツイ』のキャラバンの最中にPVを作ったのですが、当時のオンラインキャラバンでプレイをしていた方のリプレイをもとに、もう少し伸びしろがあるようなところをフォローするような映像を流したんですね。するとその方がPVの動きを取り込んで、前回よりもスコアが伸びたんです。いろいろなものを糧に研究していることがそこで見て取れたので、今回も楽しみにしています。
ユーザーがお互いのリプレイからヒントを得て、切磋琢磨しつつ伸びていくところが“オンラインキャラバン”の楽しさだと思います。他の人のプレイは参考になるし、当然自分のプレイも参考にされている。そういった中でスコアを競い、ユーザー同士で実力を高めていくのが“オンラインキャラバン”独自の楽しみ方です。発売されたら行き着くところまで見たいですね。3億とかの戦いではなくて、その2~3倍ぐらいの話だとは思うんですが。
――シークレットモードについて少し教えていただいてもいいですか?
盛:名前からなんとなくわかってしまうかもしれませんが、“無双モード”といいます。シューティングが苦手な方は、このモードで無双していただければと(笑)。出し方も特殊なものではないので、普通にプレイすれば2時間もかからずに出ると思います。このモードだけ遊んで「あぁスッキリした」で一日を終えていただくのも全然いいと思います。シューティングは、気持ちよく動いて壊しまくって、スッキリしてもらえればいいジャンルですので、ストレス解消にはぴったりなモードです。
――前作は初心者でも遊びやすい作品でしたが、本作はすべてを踏まえるとどのぐらいの難易度になっていますか?
盛:前作は“敵を倒せばいい”で、今回は“敵を倒してコインを取ればいい”なので、ワンステップ増えてはいますけど、やること自体は単純なままです。合体バーストを使えば自機がかなり強化されるので、点数稼ぎをしようと思わずに自分を強化する、無敵時間を利用するなど延命の方法として活用すれば、すごく高い効果が得られます。
慣れない方には、攻めずにバーストゲージがたまったらすぐに使って、破壊の爽快感を味わってもらえたらうれしいですね。そこから、合体バーストをもっといっぱい使いたい、いっぱいアイテムを取りたいといった欲求が生まれてきたら、また一歩進んでいただければと思います。
鷺岡:クリア自体はそんなに難しくないように作っていますが、稼ごうと考え出すと難しくなります。1回クリアして終わりではなく、「どこまで稼げるんだろう?」と先に進みたくなる要素を入れてあるので、長く遊んでいただけるはずです。
盛:うまくなるための特殊な技能というか、例えば他のゲームだとリチャージ(チャージが切れるまでチャージ用の要素を残しておき、切れた直後に回収して再度パワーアップする方法)といったテクニックが必要なものもあったりしますが、本作にはそういったものはありません。それどころか、リチャゲーにはしないように作っています。
うまくなりたければ、今のプレイを突き詰めればいいだけです。新たな要素を覚える必要もないし、別の攻略方法を編み出す必要もありません。今自分がやっていることを磨けば即上達につながる、というシンプルさは残したつもりです。
鷺岡:基本的に、攻めていただければ問題ない作りになっています。難しいことは考えず、どんどん敵機を倒してください。
盛:もちろんリチャージがゲームとしてダメという話ではないですし、1つの遊び方ではあるのですが、『バレットソウル』ではそうしたくなかったんです。引きつけて切り返しなど、考えてプレイしなくてはいけない部分がシューティングの敷居の高さにつながっていると思っています。
敵を倒すだけでなく、その後の処理も考えてパターン化していくのは、構築できる人は楽しいけど、できない人はわからないまま倒されて「無理」となってやめてしまいます。本作は攻めるゲームなので、耐えるストレスは極力排除して攻めまくれます。弾を避けるための道筋などは考えず、わがままに動いて、とにかく気持ちよくなれるはずです。そういった意味では初心者の方に本当にオススメだし、最近のシューティングにはない気持ちよさや新鮮さも感じていただけると思います。
――盛さんといえば“実績”というところがありますが、本作でこだわった“実績”はありますか?
盛:今回は全体的に取りやすく作っています。累積系が多いので、効率よく解除していく方法を考えられる面はありますが、基本的には『バレットソウル』らしい遊び方をしていれば、勝手に実績が開いていくんじゃないでしょうか。
『バレットソウル』を遊んだことがある方に対する僕のオススメは、初プレイで“バーストモード1面”をプレイすることですね。絶え間なく実績が開いていくと思うので、すごく気持ちよくなれるはずです。実績解除時のSEが好きな人は、たぶんプロフィールを変えてもう1回やるんじゃないでしょうか(笑)。
――ダウンロードコンテンツの予定はいかがでしょう?
盛:前作はパッケージに入れきれなかったところをDLCでフォローさせてもらったのですが、今回はすべて詰め込んでいるので、とりあえずはパッケージのみで終了です。DLCはそれほど高価な値段設定にはできないうえにそれなりの工数がかかるので、今回は厳しいかなと。発売後の評判やもう少しやりたいことが思いつけば出すかも、といった程度と考えておいていただけると幸いです。
――『バレットソウル -インフィニットバースト-』は、5pb.としては最後のXbox 360専用のパッケージタイトルになるのでしょうか?
盛:他の開発チームがどうなのかわからない部分がありますが、僕としては最後だと思います。最近は海外タイトルのローカライズなどにもかかわってるので、いい海外タイトルがあったらそのローカライズをする可能性も0ではないですが、Xbox 360専用のパッケージタイトルの開発に携わるのは本作が最後です。
――盛さんはシューティングに多く携わっていますが、今後もシューティングを出し続けたいという思いはありますか?
盛:思い自身はもちろんあります。ただ、商業のゲームのプロデューサーとして考えると、ビジネスとしては難しいような状況にあるとは思います。シューティングのユーザーが減っているというよりは、ユーザーがシューティングに対してどこまでの価値を見出していただけるかが大きいでしょうね。
前提として、低い価値のものしか生み出せないのであれば、それは僕らの責任であることは間違いないです。それは認めたうえであえて言うなら「シューティングは短時間でクリアできるし1,000円ぐらいでいいんじゃないの」とか、「同人のシューティングですごくおもしろいのがあるからそれでいいんじゃないか」とか、スマホと一緒ですよね。
無料や低価格でこれだけのことができるならそれでいいじゃないか、っていう波がシューティングにも来てしまうと、商業でやっていくのはなかなか難しいでしょう。シューティングでも工数は結構かかりますし、スキルを持った人が作らないとまともなゲームにはなりません。クオリティが高いものとなると低コストでは作れないのが現状なんですよね。自分自身としても、テキトーなものを出して「シューティングはつまらない」と言われたくないですから。
シューティングがなくなるといったジャンルとしての危機感はないのですが、企業がビジネスとしてやっていくのは現状のままだと難しいだろうなというのが、リアルな考えですね。『バレットソウル -インフィニットバースト-』に関しては、マイクロソフトさんの心意気に打たれて無理をしてやってみましたが、心意気だけでどこまでもつかは難しいところです。
それこそマイクロソフトさんが“心意気”と“心付け”をくれれば、「じゃあ作りましょうか」となるのですが(笑)。ですがそういうわけにもいかないので、出していきたいという気持ちがあったとしても、実際に出せるかどうかは別だと思っています。と言いつつ、研究はしていますけどね。
――移植なども厳しそうですか?
盛:移植はもうやらないです。移植は難しいとつくづく実感しました。やりたいタイトルはいろいろあるのですが、得意な方にお任せしておいたほうがいいと思っています。
――9月にXbox Oneが日本でも発売されますが、現状の印象やXbox Oneで出してみたいゲームなどの展望をお聞かせください
盛:Xbox Oneの印象は、実績の他に“チャレンジ”という仕様があるところが魅力的ですね。“チャレンジ”は、実績には加味されないけど、期間限定で「こういう内容に挑戦してみませんか?」という案内が出て、達成するとゲームに応じてゲーム内通貨や壁紙などの特典が得られる仕組みです。
僕も最初は、実績じゃないからやらないなと思っていたんですけど、好きなゲームの場合はそういうこともなくて、挑戦意欲をかき立てられるんですよ。挑戦期間が限られているので、「やらなきゃ」っていう感情も余計に強くなります(笑)。例えば、あと3日しか期間がないのに、丸々3日やり込んでいけるかどうかって時の緊迫感やリアルの予定が入って2日になっちゃった時の焦り。そんな時の「じゃあ、もう明日は会社を休むか!」みたいなゲームにコントロールされている感覚がおもしろいですね(笑)。
普段からゲームのことを考えて、ゲームのスケジューリングをして、どうやってノルマを達成するかを考えて。宿題よりもゲームをしたり、塾の合間にゲーセンに行ったり、昔、僕らがゲームに夢中になっていた時期の感覚を取り戻させてくれるんですよね。そういった意味で、ゲームに夢中にさせるためにはいいハードかなと思っています。
あとは、まだ対応しているタイトルはないみたいですが、ダッシュボードに置けるアプリを作れるところがいいですね。僕の野望に、シューティングメーカーの垣根を越えたランキングを作りたい、というものがあるんですね。すべてのシューティングゲームのスコアをオンライン上に保存して、プレイヤー同士が競い合いやすくなる環境を作り出してみたいんです。例えば、順位が1つ上のプレイヤーの得点が常時表示されるといったようなもので、アーケードの音ゲーなどにはあるシステムですね。
こういった仕組みが実現できれば、シューティング熱もより高まると思います。あとは当然ベースの性能もXbox 360から上がるので、先ほど言ったプレイ感覚のために排除していた要素も入れていけると思います。
――アプリに関してはすごく夢が広がりますね。
盛:市場や開発体制などの問題は多いですけどね。僕は、この会社にいる他の開発チームとは少し違うジャンルに携わっているので、リプレイやオンライン要素などの参考にしたい情報が聞こえてこないんですよ。すべて僕と開発会社さんで考えていくしかないので、すごくヘビーなんです。
ですので、ハードメーカーさんの協力が非常に重要で、心意気もそうなのですが、バックアップ体制も含めて参入するハードを決めないといけないんです。Xbox Oneについては、現状は特に新作は動いてないですね。
――ゲームに関しては以上で、少し近況的なものをお聞きします。盛さんはXbox Oneも買われていましたが、肝心の実績はいかがですか?
盛:今は28万2千ぐらいで、そのうちの1万1千がXbox Oneで取ったものになります。Xbox Oneはライブアーケード的な安いタイトルでも実績が1,000取れるので、稼ぎやすくてお得なんですよ。少し話が変わって恐縮ですが、僕がPS系に抱いている疑問として、安いタイトルにプラチナトロフィーがないのはなぜ? っていうものがあるんです。
パッケージタイトルとの差別化だと思うんですけど、ゲームが安かろうがコンプはコンプじゃないですか。値段で決めたら、それこそ安価で超大ボリュームのRPGが出て、すごく頑張ってトロフィーをコンプしてもプラチナトロフィーがもらえない、ってことになりますよね。値段にかかわらず、コンプしたという意味合いで言うならプラチナを入れてあげていいと思うんです。僕はXbox系の実績がメインですが、PS系でトロフィーを集めている人ともわかり合えると思うんですよ(笑)。彼らのために、ぜひ価格が安いゲームにもプラチナトロフィーを搭載してくれればと願っています。
――確かにそうですね(笑)。ちなみに、最近取るのに苦労された実績はなんですか?
盛:絶賛苦労中なのが『タイタンフォール』です。実績の1つに“ラウンド終了後に逃げる6人の敵をすべて倒せ”っていうものがあるんですけど、それが無理! 今4巡目のレベル40ぐらいなんですが、絶対に誰かが倒しているので、チャンスが全然ないですね。頑張っていますけど、リアルに厳しそうなので談合したいなって気持ちが……(笑)。
――鷺岡さんは『ケツイ』の調子はいかがですか?
鷺岡:実は最近あまりやれていないので、わからないんですよ。今年に入ってから、『インフィニットバースト』の敵配置の作業をずっとやっていたので……。こんな状況の中、イベントではよく裏2周目をノーコンティニューでクリアできたなと自分でも驚いています(笑)。
盛:イベントでは僕もあおっていて「クリアできて当たり前だよ」的な雰囲気を出していましたけど、内心はビックリしました(笑)。“わっしょい!”のえび店長も「よく行けたな」って驚いていましたよ。あと、社命で裏2周ノーミスクリアって言えちゃう社風がすごいなとおっしゃっていました(笑)。ただ、そうやって厳しくしながら鷺岡を高めている部分もあるんです。
鷺岡:自分で自分の首をしめている気しか……(笑)。
盛:でも、それぐらいプレッシャーをかけないとできないし、こっちからの押しがないとこのまま伸びないよ。うまくいけたら、それは僕らがあおったおかげだと思いなさい(笑)。
鷺岡:ノーミスしても絶対褒めてくれないですよね?
盛:ほめるよ~、ほめるほめる。ほめますよ(笑)。でもまぁいいんじゃないですか。ご褒美がわりに海外に行けて。実は彼はスタンフェストっていうイベントに招待されていて、来月フランスに行くんですよ。僕は呼ばれていないのが納得してないんですけどね(笑)。今から裏2周ノーミスしたら僕に変わるかな……無理か。絶対無理だ(笑)。
――最後に読者に向けてメッセージをお願いいたします
鷺岡:本作も前作とコンセプトは一貫して同じところがあって、攻めることを基本に設計しています。クリアは誰にでもできる作りですが、やり込み要素として稼ごうとすると難しくなるなど、初心者から上級者まで幅広く、かつ長く楽しめる作品に仕上がっています。僕自身がシューティング大好き人間で、今後もシューティング業界を盛り上げていければなと考えていますので、皆様応援をよろしくお願いいたします。
盛:おそらく僕、そして5pb.としても最後のXbox 360専用タイトルがシューティングということで、とても喜ばしく思っています。また、今の時代に以前の体験イベントのような、シューターに集まって楽しんでいただけるようなイベントが開催できたこともすごくうれしく思っています。
イベントに集まってくれた方もそうですが、本作を予約していただいている方はシューティングに対する熱量をお持ちの方だと思います。ライト層や新規層の取り込み、離れたお客さんを取り戻すなどのことは業界が成長していくうえでは考えていかなくてはならないところもあるのですが、僕はそれだけじゃなくて、ゲームが好きでコアなユーザーのためにゲームを作っていったり、イベントをやっていったりを大事にするスタンスで仕事をしていきたいなと思っていて。今回、イベントなどでそのための第一歩が踏み出せた気がしています。プラットフォームが変わろうがなんだろうが、熱いゲーマーへのメッセージは発信していきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
→『バレットソウル IB』レビュー+変更点まとめ記事を掲載中!
(C)2011-2014 MAGES./5pb.
データ