2014年4月21日(月)
アークシステムワークスが展開する格闘ゲームシリーズ『ブレイブルー』。4月24日に、最新作となるPS Vita用ソフト『ブレイブルー クロノファンタズマ』が発売されることを記念して、開発スタッフにインタビューを行った。
先日掲載した前編では、ゲームやアニメ、舞台など、森利道プロデューサーに『ブレイブルー』シリーズ全体の展開について幅広くお話をうかがった。今回の後編では、PS Vita版の追加要素やアーケードで稼働している最新バージョンのVer1.1など、制作スタッフ3名にゲームについてより深い質問をぶつけている。
インタビューに答えてくれたのは、ディレクターの遠藤良平氏、バトルプランナーの柚口俊佑氏、小澤陸氏。気になるキャラクターの変更点や、それによってどのような戦術が可能になるかなど、新しい戦いを有利に運べるようになるかもしれない耳寄りな情報が満載だ。また、PS Vita版での追加要素についても尋ねてみたので、こちらもあわせてチェックしてほしい。
※この記事では、レバー方向をテンキーに当てはめて表記しています。(【例】レバー前方向:6 レバー下方向:2 レバー斜め右下方向:3 レバー前方向+Cボタン:6C など)
▲写真左から、小澤さん、遠藤さん、柚口さん。より深いゲーム内容について、たっぷりとお話を聞いた。 |
――PS Vita版『ブレイブルー クロノファンタズマ』について、PS3版との違いを教えてください。
遠藤:まずはネットワークモードから変更点をあげていこうかと思います。期待してくださったユーザーの皆様には申しわけないのですが、PS3版で好評をいただいたオンラインロビーは大人の事情もあり今回は実装せず、その代わりに携帯機(PS Vita版)ならではの新機能として、アドホック通信によるローカル対戦を追加いたしました。
その代わりPS Vita版ならではの新機能として、アドホック通信によるローカル対戦が追加されています。アドホック通信はプレイヤーマッチと同様の作りで4種類のルールがあり、従来の2人が対戦するルール、ルーム内のプレイヤーが同時に組み合わせを作って乱戦できるルール、2人でやるトレーニングを他のメンバーが観戦できるトレーニングルール、そしてリプレイを全員で見られるルールがあります。
――プレイヤーマッチとは違うのでしょうか?
遠藤:はい。ランクマッチ、プレイヤーマッチとは別にアドホックモードが存在する作りになっています。プレイヤーマッチと似てはいますが、アドホックモードは友だち同士実際に集まって遊ぶモードになります。続いてストーリーモードですがここには過去の『ブレイブルー』シリーズである『ブレイブルー カラミティトリガー(以下CT)』と『ブレイブルー コンティニュアムシフト(以下CS)』のストーリーをおさらいする総集編が追加されています。今までの作品を振り返りながらキャラクターたちがツッコミを入れていくという、コメンタリー風の作りです。
小澤:堅苦しい内容ではなくて、“教えてライチ先生”に近い雰囲気で進行する感じですね。ストーリーのポイントを抑えるだけでなく、新しい掛け合いも見られるので、旧作をプレイ済みの方々も楽しめると思います。
遠藤:この総集編に加えて、水着のヒロインたちがキャッキャウフフするおまけシナリオもあります。
小澤:PS Vita版の追加シナリオを何にしようかという話になった時に、「やっぱり水着でしょ」という流れになったので(笑)。
▲ここでしか見られない水着シナリオ。ノエル、セリカ、ラグナ、カグラの水着姿を堪能できる。 |
――追加された水着シナリオは、本編とは独立したものになっているんでしょうか?
遠藤:もともと『ブレイブルー』のストーリーモードには、ギャグシナリオと呼ばれているルートがあったんです。その一環で、新しく追加された総集編の中に出てくる選択肢から派生する形になります。選択肢は1カ所だけで、従来のプレイヤーであれば見たらすぐにわかるような内容になっていますよ。
――水着シナリオのボリュームはどのくらいあるのでしょうか?
遠藤:フルボイスなので、音声を全部聞くと15分から20分くらいはあります。立ち絵からイベントCGまで全部描き下ろしになっているので、やり応えはあると思いますね。今回はテーマが“主人公とヒロインは誰だ!?”なので、ノエルとセリカの他にラグナやカグラも登場して争います。
――ギャグシナリオ扱いにしてはかなり豪華ですね。
遠藤:他には、アビスモードも前作よりパワーアップしています。これまでは自キャラを強化できるアイテムを入手して、3つまで自由に装備できるルールだったんですが、後半の強力なアイテムを入手してくると、序盤のアイテムの価値がなくなってしまっていたので、今回はアイテムそれぞれにコストを導入しました。
高性能のアイテムほど高コストになるので、強力なアイテムを装備したら、他のアイテムが装備できなくなるという形でゲーム性の向上を図っています。これによって自分なりのカスタマイズを考える楽しさも生まれましたし、アイテムの数自体も増えているので遊び応えは前作以上になっています。
小澤:追加アイテムのネタは、みんなで出し合いました。たとえば速さが2倍になるアイテムを装備すると、ジンなら自分で出した氷翔剣を走って追い越せるくらい速くなります。他にも異性から受けるダメージが半分になるという、ちょっと変な効果のアイテムも増やしたので、ぜひやり込んでいただけるとうれしいです。
遠藤:細かいところでは、画面が見やすくなるようにインターフェイスにも変更を加えています。
小澤:PS Vita版はやはり携帯機のゲームなので、1人でじっくり遊べるモードを強化しようということで、アビスモードには今回はがっつり手を加えています。
遠藤:そして、PS Vita版では現在ゲームセンターで稼働しているVer1.1をいち早く手に取って遊べるので、早く家でプレイしたいという方は、こちらをご購入ください。
――PS Vitaへ移植する際に、苦労した点などはありましたか?
遠藤:アーケードの最新バージョンを搭載するので、アーケード版を作りながらPS Vita版も同時進行で制作しなければいけなかったんです。アーケード版の作業が少し押していたんですが、PS Vita版ではキャラクター性能だけでなく、チャレンジモードや戦術指南にも影響するので、そこは大変でした。
――チャレンジモードって膨大な量がありますよね。あれを全部直すんですか?
遠藤:そこはVer1.1でつながらなくなってしまうチャレンジを見直すという形になっています。頑張ったのは、DLCをPS3版と共有できる機能です。PS3版で購入済みの方は、そのままPS Vita版でも使うことができるんです。でもそれには、DLC1つ1つに共有設定をしていかないといけなくて。簡単そうに思えるかもしれませんが、そのあたりの作業が地味に大変でした(笑)。『CP』はセット販売を行ったので、単品とセット版合わせて膨大な数のDLCがあったんです。システムボイスも20個以上作っちゃいましたしね。
――それでは、アーケードで稼働しているVer1.1のバランス調整についてお話をうかがいたいと思います。最新バージョンでは、全体的な調整コンセプトのようなものはありますか?
柚口:今回は、これまで『CS』、『CS2』、『CSEX』で行っていた大規模な調整ではなく、全体的につながりにくかった連続技のパーツをつなげやすくしたり、ちょっと使いにくかった連携の使い勝手を上げるといった、細かいケアを中心に行っています。
Ver1.0で強すぎた部分などはもちろん調整を加えていますが、基本的にこれまで使えていた連続技はそのまま使えることを想定していて、従来のプレイヤーが連続技を1から覚え直すといったことがないように心がけています。
――より操作感を向上させるための調整という感じですか?
柚口:そうですね。カグラ、テルミ、ココノエの追加をメインに、既存キャラには細かいブラッシュアップを行っているのが今回のバージョンととらえていただければと思います。
――個人的には236コマンドと623コマンドの使い分けがしやすくなって、必殺技の暴発が少なくなったのがすごく助かっています。
柚口:そういった意見も多く寄せられていたので、今回は全キャラクター共通でコマンド入力の優先順位を変更しています。
――それでは、Ver1.1の目玉とも言える家庭版の新キャラクターたちの調整内容についてお聞きします。まずはカグラからお願いします。
▲カグラ=ムツキ(声優:藤原啓治) |
柚口:カグラは家庭版の段階では、何が引っかかってもそこから大ダメージを奪えるキャラでした。代わりにC系統やドライブ“ヴィメンスエッジ”を繊細に使っていく必要があったのですが、今回はC系統の硬直を短くしたり、ドライブ攻撃をガードされても反撃を受けにくくなったりと、全体的な使い勝手の部分を向上させています。特にC系統の動作が軽くなったことが大きくて、C系統と飛び道具の“龍縛旋(4タメ6+AorB)”を使って立ち回り、ジャンプした相手を“龍刃翔(2タメ8+C)”で落とすといった戦い方が目に見えてやりやすくなっています。
火力の面では、たとえば家庭版ではどこからでも3Cから“クラッシュトリガー”が連続ヒットしていたんですが、そういった比較的簡単に大ダメージを出せた連続技のルートに調整を加えてあります。高いダメージを狙うためには他のキャラクターと同じようにカウンター始動や画面端などの条件をからめる必要がありますね。ただ、その際の火力は家庭版と変わらない数値を叩き出せるようにしているので、コンボ火力に楽しさを見出していたユーザーの皆さんは心配されなくても大丈夫です。
――構えからの派生技で性能が変わっているものも多いですよね。
柚口:そうですね。中段技の“砕龍撃(2D構え中にA)”が空中構えに派生するようになったので、家庭版よりも連携の隙が大きくなっています。家庭版と同じように、ここからのコンボで結構な火力を出せますが、ガードされた場合はラピッドキャンセルでのフォローも考慮するぐらいの性能にしています。更に、対の選択肢である下段技の“龍閃剣(2D構え中にB)”の硬直差を減らし、この2つのリスクリターン差を大きくした形ですね。家庭版とは違う意識の散らし方をする必要が出てくるかと思います。
――次はテルミについてお聞かせください。
▲ユウキ=テルミ(声優:中村悠一) |
小澤:テルミは家庭版の段階から立ちDをはじめとした高性能な通常技と、シンプルで扱いやすい性能がかなり好評をいただけたキャラクターでした。新バージョンでは、それぞれディストーションドライブの性能をメインに調整を加えています。テルミは多彩なディストーションドライブを持っているのですが、家庭版では“大蛇武錬殲(63214+B)”という技の使い勝手がよすぎて他のディストーションドライブが目立たなかった印象があるので、今回はそれぞれ使い分けないと勝つのは難しいぞ、という調整にしております。
中段技だった“大蛇武錬殲”には、下段版が追加されました。突進技の“蛇顎(236+D)”をガードさせた後にディストーションドライブでキャンセルできるタイミングを設けているので、突進技をガードさせてから中下段の“大蛇武錬殲”でガードの揺さぶりをかけられるようになっています。“蛇麟煉翔牙(236236+D)”という遠距離から鎖を伸ばす技には対空版が追加され、地上版が当たるのをいやがった相手に対空版を狙うといった行動ができるようになりました。空中版も地上版と同じくバリアガードでのみガード可能になっています。
――それでは、次は家庭版で猛威を振るったココノエの調整についてお聞かせください。
▲ココノエ(声優:松浦チエ) |
小澤:おっしゃる通り、ココノエはDLCということもあってかなり使いやすい性能のキャラクターでした。旧バージョンではドライブ能力がほとんど使い放題だったんですが、新バージョンではゲージ残量に気を配りながら戦うキャラクターになっています。“アクティベイト(236+D)”の攻撃判定がやられ中の相手にのみ発生するようになっているので、立ち回りでは斥力を使って相手を吹き飛ばすとか、相手をこちらに引き寄せるといった使い方になります。
リボルバーアクションも見直して、どこからでも出せて見切られにくかった中段の6Bは、立ちAやしゃがみAからしか出せなくなっているので、相手のガードを揺さぶるには飛び道具や設置技をガードさせながら出すといった工夫が必要になっています。
また、以前はジャンプキャンセルから低空で中段のジャンプCを出す連携が非常に強力だったのですが、今回はガードされた場合はジャンプキャンセルできない技を増やすなどの調整を行いました。
ディストーションドライブの“武装No07「重力ジャミングダーク Ver1.65」(632146+D)”は、画面端で使うと攻撃判定が画面外に出るようになって、今まで通りの連携はできなくなっているので、そこは新しい攻め方を考えてほしいです。オーバードライブ中なら旧バージョンと同じ性能になります。これまでオーバードライブ中に性能が変化するディストーションドライブは“武装No01「殲滅超弩級ゴールデンテイガー」(2363214+C)”しかなかったのですが、今回はすべてのディストーションドライブの性能が強化されるようになっています。やられ判定も調整したので、ココノエにはつながらなかった連続技が前回より少なくなっています。
――それでは、『CP』からの新キャラクターの調整についても聞いていきたいと思います。まずはアマネからお願いします。
▲アマネ=ニシキ(声優:石田彰) |
小澤:アマネはスパイラルゲージがLv3になっていればとんでもなく強いキャラクターだったんですが、代わりに防御面が弱かったので、その点を補うためにバックステップの移動距離を増やしました。ふわっと浮く感じで、イメージ的にはレイチェルのバックステップに近いですね。また、これまで2段技だったしゃがみAが単発で出せるようになったので、かなり使いやすくなっていると思います。リーチの長い立ちCは硬直を減らして中間距離で振りやすくしているので、立ち回りもかなり楽になっているはずです。
――小回りが利くようになっているんですね。強力なドライブ能力はどう変わっているのでしょうか?
小澤:スパイラルゲージを溜める際に、今までは6Dを空振りさせてゲージを溜めることが多かったのですが、今回は空振り時の上昇量を抑えた代わりに、“忍布穿撃『刃離剣』(236+D)”の構え中のゲージ増加量をかなり増やしました。なので、ダウンを取って起き攻めをするのではなく、“忍布穿撃『刃離剣』”にキャンセルしてそのままゲージをためることもできますし、相手が攻め込んでくるようならAボタンでドリルを近くに設置して接近を防ぐといった戦法が可能になっています。
――続いてバレットの調整についてお聞かせください。
▲バレット(声優:行成とあ) |
柚口:バレットは、近距離のプレッシャーと相手への近付きやすさを中心に調整しています。一番大きいのは、立ちCの発生を早くして、立ちBから連続ガードさせられるようになった点です。これまでの、フェイタルカウンターを誘発できる威力の高い攻撃はタメ版の立ちCに落とし込んでいて、タメ版立ちCをガードさせるとバレット側が有利になるので、相手もうかつに暴れられません。これによって割り込まれにくい展開の早さと、タメ版立ちCでのプレッシャーを同時に仕掛けられるようになりました。
投げ技“サーペンタインアサルト(レバー2回転+A)”の派生最終段“ブラックアウト(フランジブル・エンゲージ中にレバー3回転+D)”は、バレットのヒートゲージが満タンでないと出せなかったものを、今回バレットのヒートアップレベルが2になっていれば、ヒートゲージが50%でフィニッシュ技の“ブラックアウト”を出せるように変更しました。なので、ヒートアップレベルが2になっているバレットの攻め能力は、従来よりもさらに強化されています。
こちらはタメ版立ちCと2回転のコマンドがかなり噛み合っていて、Cボタンを押しながら回せば実は結構簡単に2回転が出せるので、レバー2回転入力が苦手な人でも積極的に投げを取り入れていけるようになっています。また、バレットの得意な接近戦に持ち込む難易度に関しても、3Cの体属性無敵を調整したので、中距離で相手のけん制に合わせて潜り込めるようになっています。
――他に調整した箇所はありますか?
柚口:バレットの得意な接近戦に持ち込む難易度に関しても、3Cの体属性無敵を調整したので、中距離で相手のけん制に合わせて潜り込めるようになっています。よく「遠距離で弾を撃ち続けるニューやミューに近づけない!」と嘆いているユーザーを見かけますが、ここはバレットを使ううえで頑張ってほしいと思っている部分なので、そこまで根本的な解決はしていません。“ミュクレットキャプチャー(41236+C)”の無敵を調整していますが、これもどちらかというと、あと一歩で触れる間合いでの選択肢として有効度が上がったぐらいの認識でいてもらえれば。
――次はアズラエルについてお聞きします。
▲アズラエル(声優:安元洋貴) |
小澤:アズラエルの変更点で大きいのは、オーバードライブの性能です。アズラエルのオーバードライブは連続技が確定している状況でないと使われない印象があったので、立ち回りや起き攻めなど多彩な状況でオーバードライブを駆使した攻めができるようにしています。オーバードライブ中にD系統の攻撃を必殺技でキャンセルできるようになったので、D系統の攻撃をガードさせて“グスタフバスター(236+A)”でキャンセルすれば、弱点を付与しつつ攻めを継続できます。しかも、これによって連続技もかなり伸びるはずなので、楽しく動かせるキャラクターになっていると思います。
――オーバードライブの自由度が増すというのは、すごくアズラエルらしい調整ですね。それでは、次はイザヨイについてお聞かせください。
▲イザヨイ(声優:今井麻美) |
柚口:イザヨイはかなり大きな変更が加わったキャラクターで、ゲインアートモード(以下GA)中のダッシュの仕様が変わっています。今まで空中では普通のキャラクターと同じように真正面か真後ろにしかできなかった空中ダッシュが、今回はGA中に限り地上と同じようにホバータイプになり、ダッシュ中にレバーを上下に入力すると高度を変えられるなど自分で制御して、イザヨイならではの動きができるようになりました。
ワープ技のD版“ミラージュスラスター(214+D)”は、これまで零識ゲージの消費量が2だったものを1に変更したので、相手をかく乱するような動きができるようになっています。GAモード中はもう別キャラになるくらい変更を加えていますね。細かいところでは、どちらのモードでも“クルセイドセラフィムγ”が3Cから連続ヒットするようになったので、連続技の難易度が下がったかと思います。
――ここからは『CP』以前に登場している中から大きく性能が変更されたキャラクターについていくつかお聞きします。今回調整点の多いヴァルケンハインは、前作では多くの大会で活躍していたイメージがありました。
▲ヴァルケンハイン=R=ヘルシング(声優:清川元夢) |
柚口:ヴァルケンハインは狼状態での機動力や崩し能力の高さがウリですが、攻めのループ性の高さや機動力を生かした逃げ能力が気になる点でした。そのため、今回は人間状態に戻った時にヴォルフゲージが回復するまでのインターバルを設けました。また、狼状態中のジャンプAはコンボレートタイムがもっとも短いMOMENTとなったので、ガード崩しなどで使用した場合のダメージが落ちています。崩し能力の高さはそのままで、人間状態でいる時間が長くなるような調整ですね。“ケーニッヒ・ヴォルフ(狼状態中236+AorB)”は発生が早くなり狼状態中の地上Cからつながるようになったので、狼状態中の連続技の難易度は多少落ちたかと思います。
――タオカカも前のバージョンではかなり強いキャラクターだったかと思います。
▲タオカカ(声優:斎藤千和) |
柚口:タオカカに関しても、前作で猛威を振るっていた技を全体的に見直しています。前作では相手キャラクターによっては割り込むことができない連携も存在していたので、6Cの硬直を増やしたり、“ねこっとび!(214+D)”の全体動作を伸ばしたりして、攻めの継続力を少し落としています。
――では画面端に追い込んだ相手を固めるにしても、タオカカ側がいろいろと考えなければいけなくなっているんですね。具体的には“ねこっとび!”の全体硬直が影響してくる感じなのでしょうか?
柚口:他には立ちDのノックバックの増加も大きいかな、と。立ちDからC派生を行って再度固めていくような連携があるのですが、これもキャラクターによっては対策が困難なものでした。Ver1.1ではこれにバリアガードを合わせることによって、タオカカ側としてもある程度連携にアドリブを入れていく必要があります。
――ハクメンは、空中投げオーバードライブからの高火力が前作では印象的でしたが(笑)。
▲ハクメン(声優:???) |
小澤:ハクメンはジャンプ攻撃の判定が強いので、ゲームセンターでもぴょんぴょん跳ねながらジャンプ2Aやジャンプ2Cを振っているハクメンが多かったんです。ハクメンにはコンセプト的にどっしり構えていてほしかったので、今回は空中での勾玉ゲージの増加量を半分にしました。ジャンプ攻撃の性能はそのままなので、これまでの立ち回りももちろんできますが、今作でやりすぎるとゲージ不足を感じるはずなので、個人的には地上で戦ったほうがいいんじゃないかなと思っています。
空中投げの1段目はオーバードライブでキャンセルできなくなっているのですが、2段目をキャンセルすれば威力の高い連続技はできますし、逆に画面端で空中投げをした場合、オーバードライブ抜きの連続技なら前作よりもダメージは上がっています。肘打ちした相手が地面でバウンドして拾いやすくなっているので、連続技も簡単になっています。
――テイガーは連続技を狙いにくくなっていますよね。
▲テイガー(TR-0009)(声優:乃村健次) |
小澤:テイガーに関しては、初心に戻って投げキャラとして“ギガンティックテイガードライバー(レバー1回転+AorB)”を狙いに行くように調整しています。しゃがみDの全体動作が短くなったので、接近手段として使える他、ガードさせた後に展開の早い攻めを仕掛けることができるようになっています。立ちAとしゃがみA以外のコンボレートタイムは変わっていないので、大振りの攻撃をヒットさせればこれまで通りの威力の高い連続技もできます。
――アラクネは烙印状態でのゲージの減少量が変更されていますよね。
▲アラクネ(声優:疋田高志) |
柚口:烙印ゲージですが、烙印中の時間経過によるゲージの減少量と、蟲を出した時のゲージ消費量を抑えてあります。旧バージョンに比べ、アラクネがせっかく烙印を付けたのに相手に逃げられたまま烙印が終了するようなことが起こりにくくなっています。
ただ、アラクネが攻撃を受けている時やガードしている時のゲージ減少量は旧バージョンよりもかなり早くなっています。Ver1.1では烙印中のアラクネに対して、割り込める場面では無敵技などからしっかり割り込んで相手の烙印ゲージを減らすのも対策として有効になりました。これはアラクネ側としては一見デメリットにも感じますが、結果的に相手が逃げない選択肢を取りやすい、ということでもあるのでそこを逆に利用してほしいですね。
――今回、ゲームバランス調整の部分でこだわった点などがあったら教えてください。
小澤:今回の調整内容の中では、個人的にはハクメンのジャンプD派生“咢刀”がお気に入りですね。
柚口:『BBCP』はまだまだやり込めるゲームだと思いますので、ゲームバランスに大きく手を加えるのは早いかと思います。ですので、先ほども言いましたが今回は使いにくかった技や、つながりにくかった連続技のケアなどの範囲で留めておこうといった方向性です。これまでよりも調整できる範囲が限られていましたので、その点は苦労しましたね。何度かバトルプランナーの加藤と「ここまでいじっても大丈夫ですかね」みたいな話はちょくちょくしていたと思います。
小澤:前作で強かったキャラクターも、弱くするだけではなく、何かしらの強化点は必ず持たせるようにしています。後は細かいところなんですが、実は今回アストラルヒートのダメージ表示がこっそり変わっています。前作までは相手の体力分のダメージを与えていたので、アズラエルが地球を割るパンチをしているのにダメージが1,000とか200くらいだったんですよね。
今回は、アズラエルやラグナなら3万くらいダメージを出すようになっています。この数値に関してもキャラクターの設定上の強さに準拠して、それぞれランク分けしてダメージを付けているんですよ。タオカカのアストラルの途中でチビカカが攻撃しているんですが、ここでは10しか減っていなかったりします(笑)。
――それは自分がやる側にしても、やられる側にしても、一度はチェックしておきたいポイントですね(笑)。それでは最後にこの記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。
遠藤:『ブレイブルー』シリーズはPS Vita版が4月24日に発売されますし、PS3版のアップデートも予定しています。また、他のゲームとのコラボを行っていていろいろなところに展開しているので、ファンの方々には幅広く追っていただけたらなと思います。これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
柚口:今回の『CP』Ver1.1では、カグラ、テルミ、ココノエとキャラクターが増え、既存キャラクターにも調整が入っています。今後はアーケード版だけでなく、PS Vita版やPS3版などいろいろなハードで遊べるようになりますので、皆さんに楽しんでいただけるといいなと思います。
小澤:MC担当が私で申し訳ないのですが、アークシステムワークスでは、ニコニコ動画の公式チャンネルで社内大会などを配信している生放送番組を企画してやっています。『ブレイブルー』や『ギルティギア』など、アークシステムワークスのタイトルのおもしろさを伝える番組を心がけているので、皆さんぜひチェックしていただければと思います。よろしくお願いします。
※次回のあーく生“BBCP Vita版発売日スペシャル(仮)”は、4月23日に配信予定。詳細な情報は、後日アークシステムワークス公式Twitterなどで公開されるとのことだ。
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