News

2014年4月14日(月)

ヨーロッパ最大のゲームイベント“gamescom”はE3やTGSとどこが違う? 説明会でわかった4つの柱とは

文:megane

 ケルンメッセは、ドイツ・ケルンで毎年開催されているゲームイベント“gamescom 2014”の開催説明会を、4月14日に開催した。

“gamescom 2014”

 gamescomは、ヨーロッパでは最大級となるゲームイベント。6月にアメリカ・ロサンゼルスで開催される“Electronic Entertainment Expo(E3)、9月に幕張メッセで開催される“東京ゲームショウ”と並ぶ規模のゲームイベントとなっている。E3後に行われることもあって、E3で発表されたハードやゲームなどが、 このgamescomで初プレイアブルとなるケースも多い。

 開催説明会では、gamescom 2013における報告やgamescom 2014に向けた展望などが、ケルンメッセのCOOを務めるカタリーナ・クリスティーネ・ハマ氏より語られた。

“gamescom 2014” “gamescom 2014”
▲ケルンメッセの日本法人にて代表取締役社長を務める宮﨑元一朗氏。▲ケルンメッセのCOOを務めるカタリーナ・クリスティーネ・ハマ氏。

 gamescomのコンセプトは4本の柱によって形成されている。1つ目は業界関係者向けのビジネスエリア、2つ目は一般来場者向けのエンターテイメントエリア、3つ目はケルン市全体でgamescomの会期中に行われるgamescom cityfestival、そして4つ目がgamescom開催前の8月11日から行われる“Game Developers Conference Europe”だ。

“gamescom 2014”
▲4つの柱をコンセプトに持つgamescom。
“gamescom 2014” “gamescom 2014”
▲ケルンメッセのホール割り振りの様子。▲ビジネスエリアは4ホールと5ホールに割り当てられ、エンターテイメントエリアである6ホールと直結している。

 この中で最も特徴的なのが、3つ目のgamescom cityfestivalだ。gamescom会期中は市街地の主要な道路を封鎖され、ケルンメッセを含む3カ所で有名バンドによるライブコンサートなども開催される。2013年ではgamescom会期後の週末で約12万人がケルンを訪れたという。

“gamescom 2014” “gamescom 2014”
▲ケルン市で行われるgamescom cityfestivalの概要。

 4つ目のGDC Europeは、その名の通り毎年3月にアメリカ・サンフランシスコで行われているGame Developers Conferenceのヨーロッパ版となる。ゲーム開発者に向けたカンファレンスであることはGDCと変わらないが、gamescom開催に向けた基調講演の意味合いもあるという。もちろん、各ゲームメーカーごとにカンファレンスも行われるだろうとカタリーナ氏は説明を加えた。

“gamescom 2014”
▲世界中のゲーム開発者が集うGDC。そのヨーロッパ版が8月に開催される。

 現在、すでに世界中のゲームメーカーに向けたgamescom 2014への早期出展割り引きの申し込みが始まっており、現時点で任天堂やマイクロソフト、KONAMI、エレクトロニック・アーツといったメーカーの出展が決定している。

“gamescom 2014”
▲gamescomへの出展をすでに決めているヨーロッパや北米のゲームメーカー各社が紹介された。

 説明会で提示されたスライドにSCEのロゴはなかったが、これはSCEからは出展の意向は受けているものの、まだ契約までに至っていないと説明があった。

“gamescom 2014”
▲その他、ドイツのメディア、著名人、一般人による投票によって決定されるgamescom award 2014も行われる。

■ビジネス向けと一般向けで明確に分かれている会場

 E3、TGSと並ぶゲームイベントとして紹介されているgamescomだが、他の2つのイベントと異なる点はターゲットとなる層を明確に分けていることにある。

 例えばE3の場合は基本的に業界関係者のみで一般ユーザーは会場に入ることができない。E3はビジネス層に向けたイベントながら、エンターテイメントの雰囲気も出さなくてはいけない。この雰囲気をうまく出すのが難しい。

 一方の東京ゲームショウは、ビジネス層にも一般層にも向けたイベントとなっているが、双方が同じ会場内で行われるため、ターゲットがぼやけてしまう。

 gamescomでは、4本の柱として紹介した通り、ビジネス向けのブースと一般向けのブースで展示ホールが分かれており、ビジネス向けのブースでは一般向けのブースと比べて静かで、商談などがしやすい雰囲気になっている。ここが他の2つのゲームイベントとは異なる点となる。

■来場者を制限して、会場内を動きやすく

 2009年より毎年開催されているgamescomは、来場者や出展社数などが年々拡大しており、2013年においては88カ国による来場者が34万人と過去最高となった。また40カ国635社もの企業による出展があり、展示スペースは合計で14,000平米にものぼる。

“gamescom 2014” “gamescom 2014”
▲年々、ドイツ国外からの来場者が拡大し続けていることがわかる。昨年は業界関係者も3万人近くが来場した。

 しかし、この来場者の増加は逆に問題にもなり、人が多すぎてブースまでたどり着けない、ゲームを試遊できるまでの時間が長過ぎるといった意見が来場者を含めた各方面から寄せられているという。

 そこでgamescom 2014では入場チケットの販売を2013年より制限する他、入場制限なども行い、来場者のコントロールを行うという。なお、カタリーナ氏によると開催期間に連日入場できる通しチケットは今年は販売せず、1日券のみとなるとのこと。このため、ドイツに旅行などに行った際にgamescomへの来場を考えている人は、前売りチケットを購入してほしいと語っていた。

■2013年はPS4やXbox Oneなどのハードの年、2014年はソフトウェアの年

 gamescom 2013では、PS4やXbox Oneといった次世代機の発売を年末に控えていたため、必然的にそれらのハードが展示の中心としてあった。

 しかし次世代機が発売されてから9カ月ほどが経過するgamescom 2014では、どういったタイトルがどのハードで出るのかという部分がポイントになるだろうとカタリーナ氏は語る。もちろん、gamescom 2014よりも前に開催されるE3 2014での発表をふまえての展示にはなるとは思われるが……。

 日本におけるgamescomの立ち位置は、主に国内ゲームメーカーに向けたヨーロッパへの足がかりという所にある。日本から見たらヨーロッパというのは北米ともまた違う新たな市場であり、その市場を見極める意味でもgamescomを活用してほしいとのこと。

 このgamescomのために日本からドイツへ行く一般ユーザーというのはさすがに考えにくいが、もし同時期にドイツを訪れるようなことがあれば、前もってチケットを購入してケルンメッセへと足を運ぶもよし、gamescom色に染まった街全体を楽しむというのもプランに入れてみてはいかがだろうか。

関連サイト