News

2014年4月24日(木)

『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』大規模アップデート&無料DLCの詳細が二見鷹介Pへのインタビューで判明 【SAOトゥデイ】

文:イトヤン

 本日4月24日に発売された、PS Vita用RPG『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』。その特集企画“ソードアート・トゥデイ”の第23回では、本作の開発を手がけたバンダイナムコゲームス・二見鷹介プロデューサーのインタビューをお届け。

『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』

 『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』は、原作小説やアニメで人気を博している電撃文庫『ソードアート・オンライン』のRPG。『ソードアート・オンライン ―インフィニティ・モーメント―』に続くゲーム第2弾であり、浮遊城《アインクラッド》の攻略に加えて、未踏地帯《ホロウ・エリア》での冒険が描かれる。主人公は原作でおなじみのキリトで、ヒロインたちと仲を深めながら攻略を楽しめる。

『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』 『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』
▲本作で登場する謎の多い少女・フィリア。本作でキリトは、彼女とともに《ホロウ・エリア》を探索していくことに。

 インタビューでは、開発にまつわるエピソードだけでなく、発売後の展開についても伺った。その中で大規模アップデートや無料配信されるダウンロードコンテンツ(DLC)の詳細も明らかにされたので、注目してほしい。

(※ゲームについてのネタばれが少しありますので、ご注意ください。)


■《ホロウ・エリア》は歯ごたえの“ありすぎる”エリアになっています

――前作はPSPでしたが、『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』はPS Vitaでの発売となりました。まずはPS Vitaで発売することになった経緯から、お聞かせください。

 実は前作のマスターが完成した直後から、すぐ『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』に向けて動いていました。前作ではスケジュールなどの都合で、ゲームに入りきらなかった要素やアイデアがたくさんあったんです。アップデートで機能を追加しましたが、それでも入りきらなかった要素を入れるために、《アインクラッド》を舞台にしたゲームをもう1つ作りたかったんです。

 とは言え、ただ前作のHD版を作るだけではしょうがないので、今回はより『ソードアート・オンライン』らしさを求めて、アクション性を高めることをテーマにしました。前作の“MMORPGをプレイしているような感覚”は引き継ぎつつ、キリトを直接操作して戦うアクションゲームの要素を入れることで、新しいゲームになったと思います。

――二見さんご自身が本作に点数を付けるとしたら、何点くらいでしょう?

 現時点では85点ぐらいですね。誤解のないように言っておきますと、制作終了直後は、その時点でできることは全部やりました。マスターアップから少し時間が経ったので、他にもやりたいことが出てきた感じですね。

――では前作は、何点くらいでしょうか? 

 発売した直後の点数ということであれば、前作も85点ぐらいはありました。それから1年経って、『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』を制作した今からすると、65点くらいですね。今作はPS Vitaということで技術やグラフィックなどが当然進化していますので、前作の点数が低いものになっている感はありますが。そういう意味では、この1年間で85点のラインがずいぶん上がったんだなぁと実感しています(笑)。

 今回のゲーム自体は、非常におもしろくなっていると手ごたえを感じていますし、自信もあるのですが、まだまだやりきれていないところもあるので、満点にはなかなか到達できませんね。

――前作は100時間以上遊び続けることのできるゲームになっていましたが、本作のボリュームはどのくらいなのでしょうか?

 前作のストーリーがそのまま遊べて、さらに《ホロウ・エリア》も入っていますから、150~200時間ぐらいは遊べると思います。

――前作のストーリーである《アインクラッド》76~100層の階層攻略については、何か変わっている部分はあるのでしょうか?

 ラストアタックボーナスが変わっていることをはじめ、細かく見ればいろいろと変わっています。実はエンディングも変化しているんです。中でも大きな変化は、ヒロイン全員が最初から登場している点ですね。

『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』 『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』
『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』 『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』
▲ゲーム開始から30分程度でアスナやリーファ、リズベットなどヒロインたちが登場する。

 前作では階層が進まないと登場しなかったストレアなども、今回は序盤からパートナーとして選択できます。あとは、本作では主観視点のモードが加わったので、主観視点で《アインクラッド》を歩きまわるだけでも、新鮮な気持ちでプレイしてもらえると思います。

 と言っても、階層攻略については、あくまで前作の要素を今作でも楽しめるという位置づけのものです。前作を遊んでいない人であれば、原作やアニメにはない新たなストーリーを新鮮な気持ちで遊んでもらえるでしょうし、前作を遊んだ人であれば、前作から変化している部分を楽しんでもらえると思います。特に各階層のフロアボスモンスターとの戦いは、前作とは大きく変わっています。なにしろ戦闘の仕組み自体が変わっていますから。

――《BURSTゲージ》などの新しい要素が追加されたことでスイッチの意味が増したと感じます。

【動画:スイッチの使い方】

 そうですね。《BURSTゲージ》に関しては、前作でユーザーの皆さんから「自分で操作して攻撃をしたい」という意見を非常に多くいただいたので、それを反映した形です。前作に比べると、よりアクションRPGに近づいたと思います。ただ、特にボタンを押さなくても時間の経過で自動的に攻撃してくれるので、前作と同じようなスタイルのプレイも可能です。ちなみにバフをかけて強化(※スキルやアイテムを使用して、自分やパートナーの能力を一定時間上げること)していけば、オートアタックでもかなり強いです。

 より積極的に戦いたい人は、○ボタンを押すことで自分からアクションを繰り出す《BURSTアタック》を使うことができます。○ボタンを連打するだけでも、ザコ相手なら問題なく戦えますが、強いモンスターや各階層のボスと戦う時には、ちゃんと考えて戦略を立てる必要があります。実は私もこの間、76層のボスに負けてしまって……。かなり落ち込みました(笑)。

――プロデューサーでも76層で負けることがあるんですか! 《ホロウ・エリア》は、序盤からかなり難しいという感じがしましたが……。

 《ホロウ・エリア》は高難易度エリアという位置付けになっています。今にして思うと、歯ごたえが“ありすぎ”たかなぁと思うほどです(笑)。もちろん、前作をプレイしていて腕に自信のある人でしたら、いきなりこちらに挑戦しても問題ないと思います。ソードスキルやスイッチなどを上手に使えば、《ホロウ・エリア》でもザコ程度なら問題なく戦えるのではないかと。

 ですが、たまにレベルが自分より20や30ぐらい高い敵が出てくるので、その時は逃げることをオススメします。実際に戦って敵に倒されることで、戦い方の感覚を身に着けてもいいでしょうが、《デスゲーム》なのに何度も死んで覚えようというのも、いかがなものかとは思うので。慎重に慎重に進めてキリトたちの気分を味わってみるのも、『ソードアート・オンライン』らしさがあっていいかもしれませんね。

――二見さんオススメの遊び方はありますか? 

 初めてプレイする人にオススメしたいのは、まず最初に《アインクラッド》の階層攻略をある程度進めることですね。その後に《ホロウ・エリア》でちょっと大変な思いをしていただいて、また階層攻略に戻って……という具合に、交互に進めていく形がちょうどいいと思います。《ホロウ・エリア》で苦労してエリアを突破した後で階層攻略に戻ると、キャラクターだけでなく自分が強くなっていることを実感できるはずですよ。

 『ソードアート・オンライン ―インフィニティ・モーメント―』をプレイ済みで、データを引き継いでいる人でしたら、いきなり《ホロウ・エリア》に挑戦しても大丈夫だと思います。自分の腕を存分に試してみてください。

■大規模アップデートの実施が判明! 30時間以上楽しめるコンテンツが追加

――発売前の情報で、本作にユウキ(※原作小説の第7巻に登場するキャラクター)が登場すると明らかにされましたが、彼女はどのような形で登場するのでしょうか? 

 ユウキは、実は●●●●です。原作と同じく非常に強いキャラクターになっていますので、彼女とバトルする際は一瞬の油断が命取りになると思って戦ってください。ちなみにユウキを倒すと、その次の周回プレイでユウキをパートナーにできるようになりますので、頑張って彼女を倒してください。

『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』 『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』
▲こちらがユウキ。あどけない容姿とは裏腹に、とてつもない腕前を誇る剣士らしい。とあるところでは《絶剣(ぜっけん)》と呼ばれている。

――発売後の展開について教えていただけますか?

 本作ではかなり豪華なアップデートを予定しています。もっとも大きな要素としては、《グランドクエスト》の追加です。全体で30時間ぐらいのボリュームがあると思います。

――えっ!? そんなに大ボリュームのクエストが、アップデートで追加されるんですか?

 ええ。具体的には《グランドクエスト》の追加に合わせて、《ホロウ・エリア》の火山や雪山などのマップが開放されます。さらに、レベルの上限を250まで引き上げる予定で、当然ながらそのレベルに見合う強さのモンスターも登場します。とんでもない強さのモンスターを追加する予定なので、マルチプレイじゃないとツラいかもしれません。

 レベルを250まで上げるのにどれぐらい時間がかかるのかも含めて、アップデート後はMMORPGをオフラインで遊んでいる感覚に、ますます近づくことになると思います。

――こうして聞くだけでも大変なスケールですね。それはそれとして、ヒロインとのデートやイベントも、アップデートで追加されるのでしょうか?

 やっぱり気になりますよね(笑)。《ホロウ・エリア》には、《アークソフィア》と同じような扱いの《庭園》を追加して、そこでサチとデートできるようにする予定です。現状ではサチと街をぶらつくような形のデートはできないんですが、アップデート後は可能になります。もちろん、サチのイベントCGも追加しますよ。

――それ以外のキャラについてはいかがでしょう?

 アルゴは逆に、現状でデートはできるんですが、一緒に冒険に出ることができないんです。ゲームシステム的に、アルゴの使う《体術》スキルを入れるのが難しかったんです。逆に言うと、理由はそれだけだったので、なんとか一緒に冒険できるようにしようと。アップデート後は、アルゴに短剣を持たせる形で、一緒に冒険できるようになります。他にもイベントの追加などを予定しているキャラもいますので、お楽しみに。

――クエストやイベントの追加だけでなく、ゲームバランスの調整も行われるのでしょうか?

 ゲームの修正点やバランスの調整に関しては、今回、ユーザーの皆さんからいただいた意見をできるだけ反映したいと思っています。ゲームをプレイして気になった点がありましたら、ぜひ公式サイトからご意見を寄せてください。アップデートの際に可能な限り調整したいと思います。ちなみにアイテムを使う際のモーションのスピードは、もっと早くなるように修正しようと思っています。これは僕自身がプレイして、現時点ですでに気になっているポイントなので。

――そうしたゲームについての意見は、公式サイトから送ればいいわけですね?

 それだけでなく、4月26~27日に開催される“ニコニコ超会議3”に、私も本作のディレクターと一緒に参加します。その際に動画へのコメントなどで、ご意見をいただければと思います。

――ダウンロードコンテンツの展開についても聞かせてください。

 DLCは、アイテムなどの支援セットやアバターの衣装、クエストといったものを、発売直後から毎週1つずつ配信していく予定になっています。現時点では、7月にアップデートの配信を予定しているんですが、それまでの期間は毎週、何かしら新しいコンテンツが追加されていく形ですね。PS Vitaをまだネットワークにつないでいない人もいるかもしれませんが、ぜひネットワークにつないでいただければと思います。

――発売のタイミングでアップデートの実施を予告した理由を聞かせていただけますか?

 実際のMMORPGでも、大型アップデートが行われる時って、独特のワクワク感があるじゃないですか。本作はオンラインゲームを擬似的に表現している作品ですが、大型のアップデートやDLCを無料で提供することによって、MMORPGのようなワクワク感も疑似体験してもらいたかったんです。

 アップデートの配信を予定している7月には、ちょうどTVアニメ『ソードアート・オンラインII』が始まりますから、それまでは今のコンテンツでたっぷりゲームを遊んでもらって、7月になったらアップデートの新コンテンツを楽しんでもらいつつ、アニメと一緒に楽しんでいただければと思っています。

――このアップデートによって、最初に聞いた点数は、どのくらいアップしますか?

 うーん、それでも87.5点ぐらいですかねぇ。そこから先のハードルが、実はかなり高いんですよ。本当は、インフラストラクチャーモードに対応したマルチプレイを実現したかったのですが、今回はムリだったんです。もし仮にそれができていたら、95点ぐらいにはなったかもしれません。

――今回は、アドホックモードでマルチプレイを楽しんでほしい、と。

 はい。それは絶対にやろうと思っていたことの1つです。他のプレイヤーとみんなで一緒に《アインクラッド》を冒険したいという欲求は、プロデューサーというよりも、1人のプレイヤーとしてあったんです。今回はアドホックモードだけですが、もし次回作があれば、もっとオンライン要素が強いものをぜひ作ってみたいですね。

――それでは最後に、『ソードアート・オンライン』のファンにメッセージをお願いします。

 私個人の希望としては、今後も『ソードアート・オンライン』のゲームの展開を続けていきたいと思っています。前作が20万本を超えるヒットとなったので、今作がその記録を上回ることができれば、次のゲームにつながるんじゃないかと期待しています。

 将来的に、『ソードアート・オンライン』のMMORPGを作るという夢を持っていますので、そこに向かって一歩ずつステップアップしていくためにも、『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』を応援していただけると、非常にうれしいです。ゲームもアニメも原作小説も含めて、これからも『ソードアート・オンライン』をよろしくお願いします!

(C)川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project (C)BANDAI NAMCO Games Inc.
※『ソードアート・オンライン -ホロウ・フラグメント-』の内容・仕様は予告無く一部変更になる場合がある。
※『ソードアート・オンライン -ホロウ・フラグメント-』の画像は開発中のもの。

データ

関連サイト