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2014年6月2日(月)

なぜ『俺屍』はおもしろいのか? 『俺屍2』発売を記念して、初代『俺屍』の魅力や思い出を語る座談会を掲載

文:そみん

 SCEが7月17日に発売するPS Vita用RPG『俺の屍を越えてゆけ2』。その発売を記念して、前作『俺の屍を越えてゆけ(通称、俺屍)』の思い出を語る座談会を掲載します。

 『俺の屍を越えてゆけ』は、2年しか生きられない“短命(たんめい)の呪い”と人との間に子を残せない“種絶(しゅぜつ)の呪い”をかけられた一族が、呪いを解くために宿敵である朱点童子と戦うRPG。オリジナルとなるPS版は1999年6月17日に発売され、2011年11月10日にはPSPでリメイクされました。多くの傑作RPGを手掛けた桝田省治氏が開発に参加していることや、世代交代を重ねることでどんどん一族が強くなるゲーム性などで話題を呼び、今なお根強い人気を誇っています。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』

 座談会に参加したのは、15年前にPS版をプレイした4人+『俺屍2』に興味を持った『俺屍』初心者が1人。懐かしの思い出やこだわりプレイを語りつつ、『俺屍』ならではの魅力を紐解いていきます。まだ『俺屍』をプレイしたことがない方は、期間限定で無料配信されている『俺の屍を越えてゆけ ご新規体験版』を遊ぶと、今回の記事をよりおもしろく読んでいただけると思いますよ!

【座談会の参加メンバー】

そみん:大学生時代にPS版『俺屍』にはまった電撃オンラインの男性スタッフ。

ミゲル:多感な時期にPS版『俺屍』の洗礼を受けた妙齢のオナゴ。電撃オンラインのスタッフ。

長雨:『電撃PlayStation』で『俺屍2』の記事を担当している女性ライター。

さささ:電撃オンラインの男性スタッフ。『俺屍2』のためにPS Vitaを購入する予定。

あんまさ:普段はあまりRPGを遊ばない男性ライター。なぜか『俺屍2』に天啓的なものを感じて、興味を持ち始めた。

■パッケージのインパクトが圧倒的!? 『俺の屍を越えてゆけ』を知ったきっかけとは?

そみん:まずは皆さんが『俺屍』と出会ったきっかけを聞こうと思いますが、一番気になるのはあんまささんかな。前作を知らずに『俺屍2』から興味を持ったのはなぜ?

あんまさ:つい先日、某家電量販店のゲーム売り場に行った時に『俺屍2』のCMが流れていまして。俳優の岸部一徳さんが迫真の演技で叫ぶシーンのインパクトが強烈で、なんだか気になるなと思ったんです。

●『俺の屍を越えてゆけ2』CM“春の海”篇

ミゲル:「俺の、屍を、越えてゆけぇぇぇぇ!」ってやつですね(笑)。

あんまさ:ええ、とにかく気になっちゃいまして。

そみん:うーむ、やっぱりCMのインパクトってすごいんだなあ……。

長雨:あ、私もある意味で同じですよ。15年前、ちょうどプレイステーションの本体を買ったばっかりの時にお店であのパッケージを見て、すごく気になったんです。

そみん:確かにあのパッケージビジュアルは伝説レベルでしたね。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲ひたすらインパクトがあった『俺屍』のパッケージビジュアル。目力が強いです!

長雨:しかも、タイトルがまたすごくって。『俺の屍を越えてゆけ』って、そんなセリフみたいなタイトル名なんて、ゲームはもちろん、マンガやアニメでも見たことがないものでした。「これなんだろう?」って調べていくうちに「おもしろそう!」と感じて、ついつい買ってしまいました。

ミゲル:あのパッケージの男の子、今ではイケメンになってますよ!

そみん:当時、あの男の子は桝田省治さんのお子さんではないかと噂されていましたが、イベントなどで否定されてましたね。ちなみに、ささささんはどんなきっかけでした?

さささ:僕もやっぱり、パッケージのインパクトですね。当時は高校生ぐらいで、ゲームセンターとゲームショップに入りびたっている毎日だったんですけど、男の子がにらんでくるパッケージを見て、「なんだこのゲームは!?」と(笑)。

長雨:本当にインパクトありましたよね(笑)。

さささ:よく見たらRPGで、そもそもRPGは大好きだったので、どんなゲームかはわからなかったけど「じゃあとりあえず買うか!」というのが出会いでした。

そみん:なるほど……個人的にはけっこう意外な印象。当時の僕は大学生で、ゲーム雑誌でライターの仕事もしている時期だったんですけど、『俺屍』=あの桝田省治さんの最新作=買うしかないでしょ! という感覚だったんですよ。自分の周りもクリエイター名を見るだけで反応する人ばかりで、てっきりそういう流れでみんな『俺屍』を知ったんだと思っていました。

●桝田省治さんとは?

 『天外魔境II 卍MARU』、『リンダキューブ アゲイン』、『我が竜を見よ』など、独創的なゲームを多数手掛けてきたゲームデザイナー。他の作品では味わえない、オンリーワンのゲーム性を持つ作品を作ることで定評がある。古くからのゲーム好きにとっては、PCエンジン時代から神ゲーを連発してきた伝説的な存在。

さささ:自分は『俺屍』を遊んだ後に桝田省治さんの名前を意識しました。マニュアルを読むと、なんだか読み物風のゲーム紹介や攻略になっていて、「普通はありえないでしょ。誰だよ、こんなゲームを作った人」と興味を持ったんです。

長雨:『俺屍』のマニュアルは分厚くて、本当におもしろかったです。確かにゲームの説明書ではなく、読み物だったと思います。

さささ:自分は『天外魔境』が好きでRPGも格闘ゲームもやり込んでたんですけど、桝田省治さんが『天外魔境II 卍MARU』に携わっていたことを知って驚いたくらいです。完全に順番が逆ですね。

ミゲル:実は私もゲームクリエイターをちゃんと意識するようになったのは、比較的最近のことなんですよ。昔『俺屍』好きの友人から『リンダキューブ アゲイン』を勧められてプレイしたことがあるんですけど、今さらながら「あれは桝田さんつながりだったということか!」と、頭の中でリンクしました(笑)。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲15年前の時点ですでに奇才や天才として知られていた桝田省治さん。『俺屍』はそんな桝田さんの作品だっただけに、ゲーム好きから注目されていた。

そみん:ということは、ミゲルさんは友だちから勧められて『俺屍』を知ったと?

ミゲル:当時は中学生だったと思うんですけど、クラスメイト同士で好きなゲームをプレゼンして、そのゲームをどんどん感染させていくのが流行っていたんです。そんな流れの中、「『俺屍』というゲームがおもしろい!」「みんなやるべきだ!」と猛プッシュする子がいまして。お泊り会を開いて、その子が延々とプレイしているのを皆で見ていたのがきっかけでした。

そみん:クラス内でプレゼンをするとは(笑)。おもしろいゲームは人に勧めたくなっちゃいますしね。

ミゲル:周りもみんな女の子で、ゲーム雑誌というものをあまり読んでいませんでした。だから、そういう周りの評判を聞いてゲームを遊んでいましたね。

■主人公がすぐ死ぬ!? 当時のRPGの常識をことごとく打ち破った『俺屍』の衝撃

そみん:そんなわけで『俺屍』と出会ったのち、実際に遊んでみてどうでしたか? この話題も、まずは『俺屍』デビューをしたばかりのフレッシュなあんまささんの感想から聞いてみましょうか。他のRPGと比べてどうでしたか?

あんまさ:ええと……実は自分、普段はあまりRPGを遊ばないんですよ。今回のエンディングまで遊べる『俺屍』無料体験版で、本当に久々にRPGを遊びました。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲エンディングまで丸ごとプレイができる、『俺の屍を越えてゆけ ご新規体験版』が期間限定で配信中。『俺屍』デビューに最適です!

ミゲル:そんな人に興味を持たせちゃうなんて、岸部一徳さんの演技は素敵すぎ!

あんまさ:自分も不思議です(笑)。ただ、遊び始めたところ、子を成す→死ぬ→子が親の奥義などを受け継ぐ→その子が親となり子を成すという流れが斬新で、どんどん『俺屍』の世界にはまってしまいました。“短命の呪い”という設定がうまいですよね。普通の寿命だとゲームがだれちゃうと思うんですけど、2年ぐらいでテンポよく世代が交代していく感覚が楽しいと思います。

●短命の呪いとは?

 朱点童子が一族にかけた呪いの1つ。寿命が短くなり、長くても2年ほどしか生きられなくなる。その反面、成長速度は異常なまでに速く、8カ月で元服を迎えて子を作れるようになる。

さささ:世代交代をしていく中で、着実に一族が強くなっていく感覚は本当に特殊だと思います。

あんまさ:ただ、けっこう難しいんですよね。ザコ敵には楽勝だから大丈夫だろうと奥まで進んだら、ボスにボコボコにされました(苦笑)。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲迷宮の各所には強力なボスが登場。ザコとは一味もふた味も違う強さ!

そみん:うーむ、懐かしい感覚(笑)。ういういしいねえ。

あんまさ:あとは、全滅した時に感じる“死の概念”のシビアさに驚きました。普通のゲームだったら全滅して所持金が半分になって復活とか、わりとヌルいじゃないですか。でも『俺屍』で全滅した時に、まだ子どもを作っていないキャラが死んじゃったことがありまして……。

 これまで育てたものがなくなってしまう恐怖感とか、一族の血筋が途絶える喪失感とか、いろいろな感情がごちゃまぜになった感じがして……。そこでまた一気に『俺屍』に惹きつけられました。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲自宅に帰ると画面が暗転して……。この瞬間に頭を抱えた思い出がある人も多いはず。

さささ:寿命の概念は『俺屍』の特徴ですね。

そみん:かなり頑張っても、2年3~4カ月が限界かな。

長雨:1年10カ月でも、それなりに長生きをしたと感じますね。

あんまさ:大体、1年8カ月ぐらいで亡くなるイメージがあります。

そみん:寿命とあわせて、期間限定のイベントもちょこちょことあるから、スケジューリングが大変なんだよね。

長雨:期間限定の迷宮とか、御前試合とかがあると、育児が止まることは多々ありましたねー。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲大量の経験値や便利な賞品がもらえる御前試合。子育てに追われていても優先したい、重要なイベントだった。

さささ:「今月は子どもを作るぞー」と考えていると、そんな時に限って特別な報酬がもらえる“討伐強化月間”が始まるとかね(苦笑)。

ミゲル:あまり、思い描いてた通りにはいかないですよね。先々を見越したつもりで考えても、だいたいハプニングで止まることばかりで。

そみん:数世代に1度の天才が生まれたと思ったら、周りが全然ダメだったり。先代とこいつがいれば、このボスも倒せるはずだったのに、なんで周りがこんなにダメなんだろうというのもあったり。

ミゲル:そういうこともあるから、世代を引き継ぎ続けるという、ある意味で繰り返し作業、ある意味でワンパターンになりがちなものが淡白じゃなくなり、刺激が生まれるんですよね。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲神様との間に子どもを作っていき、一族の歴史を家系図で見ることができる。

そみん:いいこと言った! さて、続いてはささささんに聞いてみますか。当時からRPGが好きだったということで、どうでしたか?

さささ:RPGには自分の名前を付けて遊ぶのが基本だったんですけど……「最初に名前を付けた当主がすぐ死ぬって! マジかよ!」と。

ミゲル:あるある(笑)。

さささ:自分の名前を付けたキャラを一番大事に育てて最強にするというプレイスタイルだったので、「このゲームは自分とは合わないな」という最悪の第一印象でした。結果的には、何百時間も遊ぶほどドハマリしたんですけど(笑)。

そみん:ほうほう。自分はゲーム雑誌で情報を仕入れていたので、その部分には驚きませんでしたけど、そういう人も多そうですね。長雨さんなんかもそうだったんじゃ?

長雨:私は逆に、ちゃんとしたRPGどころか、ゲームをほとんど遊んだことがない時期のことだったので、すべてをあるがままに受け入れていました。世代交代することも、「ああ、そういうものなんだ」と。ただ、自分の名前をちゃんと付けていたので、一番最初の遺言のところで、「うわ、ごめんね(泣)」みたいになりました。

ミゲル:あるある(笑)。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲遺言はしっかりとボイス演出が入る。これがまた、遊んでいてぐっと感じることに!

長雨:先ほどのあんまささんの感想と少しかぶりますけど、そこでの感情移入がすごかったんですよね。遊び始めて数時間で、いわゆるストーリー展開があるわけでもないのに、ものすごく思い入れがあるキャラクターができちゃったことが衝撃でした。

 生まれて死ぬまでの間に、迷宮でレベルアップして、いろいろな術を覚えて、子どもを作って、子どもを訓練して、子どもと一緒に迷宮に挑んで……と、自分の名前を持ったキャラの人生が自分の中でどんどんと膨らんでいって、とにかく感情移入して遊べました。

あんまさ:遺言がまた、ぐっと来ますよね。こんなゲームが15年前から遊べたなんて、ちょっと人生を損した気持ちになります(笑)。

そみん:まあ、遺言は『俺屍』の代名詞と言っても過言じゃないほど重要な要素ですからね。穏やかだったり、悔やんだりと、人それぞれのところがおもしろい。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲おなじみの遺言は、『俺屍2』でさらにバリエーションが豊富に。前作よりも長めの遺言が多いのもうれしいところ。

あんまさ:初代『俺屍』だと黒い画面であっさり終わる印象でしたけど、『俺屍2』だと背景に四季の絵が入り、さらに重みが出た気がします。

さささ:2年くらいしか生きてないのに、悲しいセリフが多いですからね。

あんまさ:「地獄の釜で赤飯炊いて待ってやるわよ」と、言われたり。

ミゲル:うわぁぁぁぁぁ。

長雨:PS版で一番記憶に残っているのが、“種絶の呪い”で子どもが作れないのに、「俺、好きな人がいたんだ」と言われた時。一族の宿命の重さに、すごく悲しくなりましたね。

●種絶(しゅぜつ)の呪いとは?

 朱点童子が一族にかけた呪いの1つ。人間との間に子どもを作れなくなる。ただし、神を相手に交神(こうしん)の儀を行うことで子孫を残すことができる。

ミゲル:あれは辛いですね。

そみん:さらに短命の呪いのことも考えると切ないですよね。好きな人がいても、自分だけあっという間に年をとって、先にいなくなってしまうという……。

長雨:本当にごめんねと言いたくなりました。

さささ:確か飯系のネタもありましたよね。「腹が減った」みたいな。

ミゲル:「ごめんねー。母ちゃん白米炊く甲斐性がなくて……」みたいな、よくわからない妄想を返したりしていました(笑)。

■イケメンとの間に子どもを作れる喜び!? 女性ならではの『俺屍』プレイのススメ

そみん:ミゲルさんは友人からのプレゼンを受けて遊び始めたとのことでしたが、第一印象はどうでした?

ミゲル:交神エロい!

(一同笑)

そみん:まあ、あらためて言われると神様と“交神(こうしん)の儀”を行って子どもを作るって、なかなかすごい設定ですけどね(笑)。

ミゲル:これはもう、その友人の受け売りなんですが、当時のプレゼンのテーマが「イケメンと交神できるよ!」だったんですよね。今思うと、すごくうまいプレゼンだったと思います(笑)。

長雨:確かにイケメンぞろいです(笑)。

ミゲル:まず最初に、ズラリと並んだイケメン神様を見せられるわけです。で、「あなたはどの神様と子どもを作りたいの?」なんて友人に煽られるわけですよ。「あぁ! この神様とめっちゃ子どもを成したいなぁ……!」ってなるじゃないですか。

長雨:声優さんも豪華ですしね。特にPSPでリメイクされた際は、交神回数によってどんどんセリフも親密になっていくのが素晴らしかったです! ちょっと外見が微妙な神様が、実は性格イケメンだったりすることもあって楽しいですよ。

ミゲル:なんと! やっぱり男は外見よりも内面か! でもやっぱり、顔で選んじゃうかも(笑)。まあ、そんなこんなでテンションを上げたところで迷宮に行くと……時間経過があるじゃないですか?

そみん:火時計の火が全部消えると1カ月が終わるという流れですね。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲限られた時間や寿命の中で一族を強化していくことに。一見すると複雑そうだが、少し遊べばすぐに慣れてくるはず。

ミゲル:迷宮探索は何かに追われているような感覚がして、すごく怖かったですね。自分がRPGを遊ぶ時は、ちょっとずつレベル上げをしては街に戻って、充分強くなったらやっとボスに挑むという、石橋を叩いて渡るプレイだったですけど、『俺屍』だとそれがあまり通用しなくって。どんどん次に行かないと時間が迫ってくるという点に悩まされました。

そみん:珍しいゲームシステムですからね。そのあたりは『俺屍』初心者のあんまささんも戸惑ったのでは?

あんまさ:「こんな短期間で、しかもキャラに寿命があるのに、どうやって強くするんだろ?」と迷いました。ただ、迷宮に行って敵を倒して、レベルを上げつつ奉納点(交神の儀で使うポイント)を稼いで、寿命が来る前に交神の儀を行って子どもを作るという流れに沿って遊んでいたら、一族が着々と強くなっていったので、そんなに複雑には感じませんでした。

そみん:自分が初めて遊んだ時は比較的理詰めで考えちゃって、大変だったんですよね。何歳ぐらいで子どもを作ればいいんだろう? どんな属性の神様を選ぶべきなんだろう? 職業のバランスは? なんて、いろいろと手探りで遊んでいました。

ミゲル:最初は何がベストか判断がつかないですからね。でも、意外と適当にやってもなんとかなるのが不思議なところ。親がなくても子は育つ? 違うか(笑)。

そみん:そうそう、そこのバランスは本当に不思議だし、『俺屍』ってすごいなと感心する部分です。自分はRPGに関しては上級者だと思うのですが、それでもわりと難しいなと思いました。なのに、ゲーム初心者が遊んでもちゃんと先に進めるという。この絶妙なバランスやゲーム性は、奇跡のレベルかも。

長雨:世代交代のたびに着実に強くなっているんですよね。レベルが1に戻るから後退しているように見えて、ちゃんと初期能力や成長時の伸び率がよくなっているという。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲最初は苦戦する強敵でも、1~2年もすれば勝てるようになっていく。

そみん:個人的には、三歩下がって五歩進む、みたいな。着実に前に進んでいるんですよね。時間をかければちゃんと強くなりますし、ボス敵相手に「絶対無理!」と思っても、1年もしくは1世代ぐらい育てれば、かなり健闘できるようになりますし。明らかに生まれてくる子どもの強さがどんどん跳ね上がりますから。

さささ:強力な装備品や術、奥義とかを継承できるのもポイントですね。

ミゲル:そのリズムを自分の中で理解するまではギョッとしましたけどね。あんなに育てたのにレベル1に戻るのかよ、と。逆に、一族を育成するリズムがわかると途端に「なるほど!」と楽しくなっていきます。

そみん:あんまささんは、まだそこまで至ってませんか?

あんまさ:少しずつといったところですね。基本の流れはわかったけど、まだまだ手探りです。

ミゲル:大丈夫! 3世代くらい遊べば、「そろそろ子どもを作っておくかな?」とピンと来るようになります。

そみん:アドバイスとしては、交神の儀は1カ月に一度しか行えない点に注意。複数のキャラについて子作りを後回しにしすぎると、予定が混み合ってしまって、子どもを作る前に寿命でお亡くなりになることも……。

ミゲル:あるある(笑)。一族が増えて来ると、奉納点のやりくりも大事になりますしね。

そみん:うちの場合は当主が所属する本家筋を優遇するので、そこで奉納点を使いすぎることも。仕方ないから、とりあえずリーズナブルな神様で血筋だけは残しておくかとか。

長雨:ひどい(笑)。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲どの神と交神させるか……。必要な奉納点が少なくて、妥協してしまうことも!?

そみん:たくさん子どもを作りすぎて家が狭くなったり。

さささ:ああー。肝心のエース級が子どもを成す最盛期なのに、家の収容人数に余裕がなくて子どもが生めない! なんて経験はありがちですね(苦笑)。

そみん:そういう時に限って、もう引退した補欠級のキャラがギネス級の長生きをしちゃうとか(苦笑)。やることと言えば、生まれた子どもの訓練の面倒を見るぐらいで。

長雨:きっと余生を過ごしていたんですよ。活躍したから。

さささ:気に入ったやつだけ家でぬくぬく育てて、長生きして子どもをいっぱい作ってね! みたいな遊び方をしたことがありますね。

そみん:種馬じゃないですか(笑)。

長雨:あと突然、男系とか女系とか、一族の性別が偏ることってありませんか? 女神様と交神したいのに、男の子が1人もいない状態になったりして。

そみん:寿命的には安心していたのに、ボス敵にやられた時に突然死に近い形で亡くなったり、いきなり家出されたり……。

ミゲル:家出は本当にカンベン! よりにもよって、なんでお前が出て行くんだよ! そのアイテムを持って失踪するのはやめてくれ!

さささ:家出をする際にアイテムやお金を持ち出すことがありますからね。あれは大変だった(苦笑)。

長雨:どこかで神様が一族の運命を決めているような錯覚に陥ることも(笑)。なんにせよ、そういうハプニングも『俺屍』の魅力ですね。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲予期せぬハプニングから生まれるドラマ性も『俺屍』の魅力。まさに自分だけの物語や歴史を体感できる!

そみん:親の気持ちになって、1人1人に話を作っていくのは楽しいですね。

ミゲル:私は完全に過保護なスタンスで、若い子がちょっとでも疲れたら「もう帰りましょうね~」というのを繰り返していたら、どんどん子どもが増えていきましたね。そうしてみんなを大事に大事に育てていった結果、256人目を生んだ時に強制エンディングになって「うわぁぁぁぁ!」ってなりました。

●一族の構成人数と途中エンディングについて

 『俺屍を越えてゆけ』では、一族を構成する人数が256人になると強制的にエンディングになる仕様となっていた。

 なお、もっと一族を増やしたいというご要望にお応えする形で、『俺屍2』ではなんと1,000人もの一族を作れるようになっている。

さささ:噂には聞いていたけど、本当にその流れでゲームが終わった人っていたんだ(笑)。

ミゲル:一番最初のエンディングがそれでした(真顔)。

そみん:『俺屍2』では1,000人に増量されているので安心ですね。

■オープニングの衝撃はトラウマレベル!? ストーリーに関する思い出

長雨:『俺屍』はゲームシステムに注目が集まりがちですけど、実はストーリーも衝撃的ですし、おもしろいですよね。特にオープニングはやばかったと思います……。

さささ:主人公の両親となるお輪と源太が朱点童子のだまし討ちにあって……。女の人の体が膨らむグロ的なところもきついですけど、その後の赤ん坊を人質に取ったやりとりは精神的にも来ました。

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲ネタバレになるので、ぜひ『俺屍』のオープニング(特にアニメ部分)は皆さんの目で確かめてほしい。

あんまさ:朱点童子のあまりの非道さにムカムカしました。そういう意味では、その怒りが主人公一族の気持ちとシンクロして、ゲームを遊ぶモチベーションになりました。

そみん:個人的には『リンダキューブ アゲイン』とかの流れがあったので、「ああ。桝田さんがまたやったな」と(苦笑)。なんにせよ、珠玉のオープニングだと思います。

さささ:『俺屍』はいわゆる物語的なイベントは少ないですけど、その分、オープニングと物語中盤の一大イベントとエンディングが濃密なんですよね。あと、キャラクターもかなり濃いので印象が残ります。イツ花とか黄川人(きつと)とか。

ミゲル:イツ花ちゃん、かわいい! 個人的には『俺屍2』でもイツ花が案内役だと勝手に信じていたので、新キャラのコーちんを知った時にはちょっとがっかりしました。

長雨:イツ花はとにかくキャラが立ってましたからね。一緒にいる時間も長いですし。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲『俺屍2』の案内役となるコーちん。「あっしは~」とか「~っぽい」とか、特徴的な口調はクセになります。

ミゲル:正直、「えー、萌えキャラかよー」なんて思って『俺屍2』体験版を遊んだんですけど、意外と健気で明るくてかわいいなと(笑)。

そみん:迷宮の探索中に後ろをついてきてくれるのもかわいい。主人公がダッシュすると置いていかれて「待って待ってー!」と必至についてくるところもツボ。

長雨:一緒に戦ってくれるのもいいですね。たまにパラメータアップの術をかけてくれたりするし。

ミゲル:すごく愛着が湧きます! けど、この愛着が湧くのが怖いんですけどね。前作の例があるし……。

あんまさ:おっと! ネタバレはご遠慮ください!

長雨:特に今は無料体験版を遊んでいる人が多い時期ですからね。イツ花と並ぶ名キャラクターの黄川人は前作に引き続いて『俺屍2』でも案内役を務めてくれるんですよね。彼は今回、天界側の存在として交神もできるようですけど、どんな風にストーリーにからんでくるのかが楽しみですね。

ミゲル:初代プレイヤーとしてはわくわくします。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲初代『俺屍』の重要キャラクターである黄川人も『俺屍2』に登場。物語にどうかかわるのだろうか。

■名前を考えることはとにかく大事! 一族の名前に込めた思い

そみん:一族のキャラの名前はどうやって決めていましたか?

あんまさ:僕は完全に委任でした。考えるのも面倒だったので(笑)。

ミゲル:早い(笑)。

さささ:自分の場合は当主だけ大事にするタイプでした。当主には名前が引き継がれるから大事にはしてましたけど、他のキャラはめんどくさかったら、“1”とか“2”とか適当に(笑)。男の子だったら一丸(いちまる)、女の子だったら一子(いちこ)とか。

ミゲル:ひどい! 200何人、子どもの名前を考えた私に謝ってほしい。

さささ:なんというか、どうせお前らは強くなるための過程だからいいよねと。

長雨:さらにひどい! 完全に数値だ(笑)。

さささ:『ダービースタリオン』とかでもそうなんですが、ちゃんと育てる馬以外は番号を振っていたので。

そみん:ID管理ってヤツですね。攻略派っぽい(笑)。ミゲルさんは?

ミゲル:私は、本家と分家を分けて考えて、特に本家の血筋を大事にしていました。個人的に7という数字が好きなので、当主には漢字の七を使った名前を受け継ぐようにして、「あなたは特別な子だからね」と。他の子は、親となる神様をイメージしたり、顔を見て直感的に決めたりしてました。

長雨:私は、1周目の当主はちゃんと名前をつけたほうがいいと説明書に書いてあったので、忠実に自分の名前をつけました。それからは一族が4家に分かれていったので、春夏秋冬にちなんだ名前をつけていきましたね。

ミゲル:何それ、かわいい! そのアイデア、もらいだね。

長雨:ネタ出しとしては、すごく楽でしたね。

ミゲル:かわいいし、色もつくし、いいですね。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲自分の名前を付けるか、それとも委任してピンときたものにするか。名前の付け方には個性が出ることが多い。

そみん:テーマを決めて名前を付けていくと、妄想設定をしやすくなって楽しいんですよね。僕の場合は、本家と2~3の分家と裏家に分けて考えていました。

 本家筋は必ず当主となる宿命を持つので、初代当主の漢字を1文字受け継ぐ形で。プレイに応じて、長子が継ぐか、末子が継ぐかを決めて遊んでましたね。

 分家については、それぞれテーマを定めて名付ける形です。動物系とか植物系とかお酒の名前とか鍋の具材の名前とか。

ミゲル:鍋(笑)。白滝とかハンペンとかですか。そして裏家とか。厨二か!

そみん:裏家はいろいろと縛りがあって、裏家は基本一子相伝なので1人しか子どもを生んではいけません。また、本家が受け継ぐ漢字と同じ読み方の別の漢字を名前に潜ませるんですよ。例えば本家筋が“刃王(じんおう)”とか“封刃(ほうじん)”とか“刃(じん)”という漢字を使っていたら、裏家は“碧陣(へきじん)”とか“人桜酒(じんおうしゅ)”みたいに“じん”と読める漢字を使う形です。

さささ:どうしてそんなめんどくさいことを(笑)。

そみん:いやいや、ちゃんと意味があるんですよ。何かのハプニングで本家の血筋が途絶えてしまった時、裏家の人間が本家の漢字を引き継いで表舞台に出るんですよ。裏家の“碧陣(へきじん)”が本家の“碧刃(へきじん)”に変わる。影武者的な意味合いもあるわけですな。

あんまさ:なるほど。そんな風に設定まで考えていくのも楽しそうですね。

そみん:余談ですけど、PSP版や『俺屍2』は漢字の検索がすごく便利になってますけど、PS版の時は漢字を探すのが少し大変で……。音読みで調べていって、「この辺にあるかな?」とか。

 個人的に悲しかったのが、孤独の“孤”と、動物のキツネの“狐”の漢字を見間違っちゃって、動物の名前縛りにしていたはずなのに1人だけ孤独な子がいたりして(苦笑)。“狐丸(きつねまる)”のつもりが“孤丸(こまる)”で出生届けを出してしまいました。

ミゲル:(笑)。自分では絶対に付けないような名前があって、ランダムで出てくる名前もおもしろいですよね。

長雨:女の子顔のかわいい子どもが生まれた時に委任したら“三太夫”っていう名前が出てきて、「逆におもしろいからこれにしよう!」ってなりましたね(笑)。

ミゲル:強い子になりそうですね(笑)。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲人それぞれ、一族のキャラにはさまざまな愛着や妄想設定があった模様。

そみん:外見のインパクトがあると、名前にも反映したくなりますよね。これは『俺屍2』での話ですけど、頭がツルンとした宣教師風の子どもが生まれた時は名前をどうするか悩みました(笑)。

ミゲル:即リセットですよ(笑)。

そみん:いやいや。特徴的な髪型の子どもが生まれるとうれしくなるじゃないですぁ。モヒカンが生まれると優遇しちゃうでしょ?

ミゲル:モヒカンは即リセットですよ(笑)。

さささ:いやいや。僕もモヒカン好きでしたよ。

ミゲル:特に本家でモヒカンが生まれたら即リセットですよ!!

そみん:僕の友人はモヒカンが生まれたら、「大物が生まれた! もうこいつが当主決定!」と大はしゃぎするほどで、髪型で当主を決めていましたね。

長雨:すごい(笑)。

ミゲル:えぇー……。まあ、特に当時は学生でしたし、絵に書いたようなイケメンが好きだったんですよ。

 ある時、なよっとした感じのイケメンが生まれて、「あぁ、本家にいい子が生まれた」と、すべての力を注いで大事に大事に育ててあげたんですけど、最後の遺言で「どうせ人生なんて……」とか言われて(涙)。

(一同笑)

ミゲル:あんなに、あんなに誰よりも愛情込めて育てたのに! あんた、本当にわがままな子に育って! 荒んだ子になって!! ……私が女だからかもしれないですが、「親離れしたなあ」と、私の知らない子どもの一面を見た気がしました。

そみん:『俺屍』って、自分の考えていたキャラクター像と遺言にギャップがあることも多いんですけど、逆にそこがおもしろかったりしますよね。

■一族のしきたりは人それぞれ!? こだわりプレイに関する思い出

さささ:ちなみに皆さんの一族には独自のしきたりとかはありましたか? いわゆる、こだわりプレイ的なものですね。

長雨:年の初めには家族で記念写真を撮影するとか、当主を必ず女性にするとか、なんとなくルールを作って遊ぶことはありましたね。

そみん:PS版の時にやったのが、子どもが生まれた時に花札を使って職業を決めるというプレイですね。基本的には親と同じ職業にしないと奥義が途絶えてしまうので、本家の長男は親と同じでいいとか、親と同じ職業になる確率が高くなるような甘めのルールでしたけど。

さささ:効率重視の自分としては、信じられないプレイスタイルですね(笑)。

そみん:花札って、1~12月が設定されていて、短冊、動物、光札とか、種類も豊富じゃないですか。だから、1枚目の月をモチーフに名前を考えて、2枚目の種類で職業を当てはめていく流れでした。で、その中で雨札が2枚そろった時は“悲しき運命を背負った子”という設定を付けていまして……。

さささ:ちょっと待って! 何それ!?

ミゲル:やっぱり厨二か(笑)。

そみん:まあ、そういうのって、マンガとか歴史物語とか都市伝説とかでもよく出てくる特殊設定じゃないですか。ちなみにその設定となったキャラは基本的に子どもを作らず、その時だけ名前に“魔”とか“邪”とか不穏な漢字が解禁されます。

ミゲル:人の子どもに付けてはいけない単語ですね。

長雨:『俺屍2』では、強力な力を得る代わりに家系図から抹消される“鬼頭”という新職業があるので、そういう特殊な設定にはピッタリかもしれませんね。あらかじめ子作りをしておくことはできますけど、鬼頭になると子作りができなくなるという代償もありますし。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲『俺屍2』の新職業となる鬼頭。非常に強力だが。一族の家系図から抹消されるという大きな代償が……。

そみん:鬼頭は楽しみです! ちなみに本家の次期当主候補がそういう設定になると、いろいろと大変なんですよ。ゲーム的にも妄想設定的にも。討伐に参加させるのか、一生を屋敷の中で過ごすのか、実の親に訓練をさせるのかさせないのか、周囲には真実を隠して裏家の子どもとして扱うかとか……。とにかく、自分的にはドラマ性が高いこだわりプレイでしたね。

ミゲル:『俺屍』はそもそもドラマ性があるゲームですからね。私も1つ思い出しました。PS版ではメモリーカードを使って友だちと養子のやりとりができたんですけど、ある時我が家に超天才が生まれたんですよ。その子を養子に出したら、友だちの一族を乗っ取る事件が起こりました(笑)。

あんまさ:なんと(笑)

ミゲル:あれは衝撃的でした。突然、「私の家が乗っ取られたんだけど!」って言われて(笑)。家系図を見てみると、確かにうちの子の血筋のキャラばかりになっていました。

そみん:『俺屍2』になると、インターネットやQRコードで楽に養子に出せますからね。さらにやばい!

長雨:養子だけじゃなくて、PSPのリメイク版『俺屍』から追加された結魂(けっこん)もありますからね。相手の血筋をそのまま自分のところに持ってこられるという。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲PSPでリメイクされた際には、他家との間に子どもを作る結魂(けっこん)が追加された。

ミゲル:やばい、怖いですね。善意が悪に変わる瞬間があるかもしれません(笑)。

長雨:「私が必死になって育てた、あの子のデータはどこ!?」みたいな。

そみん:これまで同様、『俺屍2』にも一族の能力ランキングがありますからね……。それも全部、他家の天才に占められたら泣きそう(笑)。

長雨:残ったのは苗字だけだった、とか……。ホラーですね。

さささ:よそから来た子が1位だったら、自分は嫌だ(笑)。

ミゲル:「なんでこんなに優秀な子がいるんだろう」と家系図を見たら、「あ、あの時の養子の血筋が……」ってなりそうな。うーん、やっぱりホラーかも(笑)。

■『俺屍2』体験版を遊んだ感想は?

そみん:ちょっと本題から外れるけど、すでに 『俺の屍を越えてゆけ2 体験版(ゲームシステム編)』が遊べるので、その話も軽くしようかなと。

ミゲル:最近はアクション要素が強いRPGばかりを遊んでいたので、コマンド入力式のRPGはちょっと古く感じちゃうんじゃないかと思っていたんですが、いざ体験版を遊んでみたら、15年前と同じく楽しく遊べました。

 時間に追われる感覚は相変わらずでしたけど、あれから自分も成長しましたし、かなり気持ちに余裕を持てるようになりましたね(笑)。

さささ:個人的にはキャラメイクが楽しみなんですよ。

長雨:エディットパーツが増えていますし、特に『俺屍2』はカメラで自分の顔を撮影して作れますからね。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲『俺屍2』では、カメラ機能を使って自分の顔に似せたキャラを作ることができる。

ミゲル:自分では選ばないようなパーツとかを選んでくれそう。『俺屍』って、自分の思いもしなかったイレギュラーなところも魅力だと思うので、カメラで作った一族も思わぬことが起こりそうな気配!

さささ:あとは理不尽なぐらい強いボスがいてほしいですね。

ミゲル:マゾですか!? ま、まあ、やり込みプレイも『俺屍』の魅力ですからね。

そみん:今回は他プレイヤーと対戦できる交流試合があるので、最強レベルの一族と出会って心が折られそうになるかも(笑)。

長雨:インターネットを使った他プレイヤーとの交流を含めて、他国に遠征する要素には期待しています。遊び方の幅が広がりそうですし。

●遠征とは?

 『俺屍2』からの新要素。全国各地に点在する他の一族の国に遠征することで、その国の街の施設を利用できたり、その国の一族と特殊な関係(養子など)を結んだりできる。

 街の施設は投資金額によって発展していく。武器屋や防具屋、娯楽施設など、投資できる分野は多岐にわたるので、国によって商品や施設に特色が出るようなゲームバランスとなっている。

さささ:初代『俺屍』だと、街を発展させるための投資のカンストが比較的簡単だったので、あまりプレイヤーごとの個性が出なかったと思います。『俺屍2』ではさらにやり込めるようになっているらしいので、どんな街を作れるのかが楽しみですし、どんな街と出会えるのかも楽しみです。

そみん:迷宮とかもそうですけど、自分の国だけだと全部の迷宮は出現しないというゲームデザインになっていますね。他国に遠征することが、ある程度は必須になるんじゃないかと。

さささ:う~ん。個人的にはオフラインで遊びたいんだけどなあ……。

長雨:そこは大丈夫です。オフラインでも、ゲーム内に最初から用意されているさまざまな他国に行けますから。

ミゲル:初代『俺屍』とは全然違うことになりますね。養子や慶弔報告を含めて、プレイ記録のシェアがやりやすくなったのも評価できます。

長雨:周りがどんな子どもを育てているのかを見られるのは楽しいですね。

ミゲル:シェア機能で見ることができたんですが、『俺屍2』体験版で友だちが当主に“種馬”って名前を付けていて、なんてひどいことをしているんだと衝撃を受けました(笑)。

そみん:フレンド登録みたいなことをしておけば、友だちが今どんな状況なのか報告が来るのも楽しいですね。子どもが生まれた時や、一族が死んだ時に報告が来て、花を贈ることもできますし。

さささ:お隣さん同士のちょっとしたいざこざとかありそうですね(笑)。

あんまさ:交流という名のいさかいとか起こりそう(笑)。

ミゲル:なんでそんなギスギスした考えをするんですか(苦笑)。

そみん:亡くなった時の献花の量で一喜一憂しそう。ミゲルさんの一族の葬式は壮観だったのに、我が家ときたら……とか(笑)。

長雨:初期職業もちょっと変わったので、序盤から人それぞれの遊び方になりそうなところもポイントです。前作はゲーム開始時に選べる基本3職は剣士、薙刀士、弓使いの固定でしたが、『俺屍2』からは8職から3種類を選ぶ形になりました。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲初代『俺屍』での職業は8つ。いずれも個性が際立つもので、一長一短の部分があった。

さささ:確か前作は、指南書を手に入れないと選べませんでしたね。

ミゲル:大分楽になりますね。

そみん:とはいえ、最初に選んだ3つの職業以外を選ぶためには、やっぱり指南書が必要みたいなんですよね。自分は薙刀士、拳法家、壊し屋を選んだんですけど、やっぱり剣士が欲しくなるという(笑)。最初から基本8職を全部選べると、逆に迷ってしまいますね。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲初代『俺屍』と違い、『俺屍2』では最初に8つの職から好きな3職を選ぶことができる。

さささ:自分は、当主は絶対に剣士にしてます。

ミゲル:あらあら、男の子ね~。

そみん:僕は薙刀士を当主にすることが多かったですね。攻撃範囲が広くて便利ですし。

ミゲル:うちも薙刀士が多かったです。

さささ:PS版では最強クラスの属性付きの薙刀が女性専用だったので、当主は剣士にしていたんですよ。PSP版では男女両用になってましたけど。

そみん:各職業の奥義にはお世話になったけど、中でも槍使いの“無敵陣(敵の物理攻撃を無効にする)”にはお世話になりました。

長雨:初代『俺屍』では、なんだかんだで序盤に選べる職のほうが安定感があった気がするんですよね。そう言いながら、自分は踊り屋が大好きでしたけど(笑)。

そみん:実は、踊り屋はあんまり使ったことがないんですよね。術を使わず、物理攻撃メインで戦うのが好きだったので。

長雨:術系メインで戦うと踊り屋はすごく強いですよ。特に“併せ”はやばいです。

●併せとは?

 同じ術や奥義を複数人で使うことで、その威力を数倍に引き上げること。PS版では術の併せしかできなかったが、PSPでのリメイク版からは奥義の併せも可能となった。

そみん:実は自分、何度も『俺屍』をクリアしたわりに攻略情報はあまり仕入れてこなかったので、併せの有用性を知らなかったんですよ。でも、『俺屍2』の体験版をやると、自動戦闘の時にAIが勝手に併せをガンガン使ってくれるんですよね。その威力を見たら……!

さささ:嘘でしょ!? 併せは『俺屍』の基本ですよ。

ミゲル:そうですね、併せはビックリするぐらい強いです。

そみん:だからこそ衝撃でしたね。この15年、なんで僕は併せを使わずに生きてきたんだろうって(苦笑)。

ミゲル:『俺屍2』は併せをしやすい印象があります。よく、「併せしようよ!」ってAIが提案してくれますし。

長雨:『俺屍2』の仲間の提案や自動戦闘の動きは、頭がすごくよくなってる気がしますね。

ミゲル:提案を却下することがほとんどありません。『俺屍』の時は、提案を却下した結果、家出をしていった子がいましたけど(苦笑)。

あんまさ:属性によっては、忠誠度にかかわらず家出をしやすいんですよね。火はかっかしやすくて、風はふらふらする性格ということで。

そみん:余談ですけど、『俺屍』や『俺屍2』を遊ぶ時は、仲間と敵の属性をきちんと意識するほうがいいですよ。ザコ相手には数百ダメージを与えられるのに、ボス敵には10ダメージくらいしかいかないなんて時は、たいてい属性が噛み合ってないということです。

ミゲル:ただ、自分が弱いだけなんだろうと思いきや、実は属性との相性だったという。

さささ:それから、他のゲームと比べて、パラメータアップ系の術やアイテムが重要というか、必須に近いというのも特徴かな。強力なボスと戦う時は、とにかくパラメータアップ系を重ねがけしないと厳しい。

あんまさ:なるほど。今度から意識してみます!

『俺の屍を越えてゆけ』
▲強力な“併せ”の有効活用や、術によるパラメータアップの重ねがけを行うことが攻略のカギだった。

そみん:長雨さんは『俺屍2』のどこが楽しみですか?

長雨:前作同様、今回もボス敵と戦う時にちょっとした会話が入るんですよ。そこで神様の過去とか、ストーリーが明かされるという話なんですよね。

 前作では最初から主人公サイドだった神様が敵として登場する=彼らのストーリーが楽しめるということで、とても期待しています!

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲『俺屍2』には前作から引き続き登場する神様も多数存在。思い入れのある神様と、再び交神できる!

そみん:確かに前作だとだるま(七転斎八起)とか、4匹の象(歓喜の舞)とか、中ボスみたいなやつは普通に倒して終わりだったけど、今回はそのレベルの敵でもガンガンしゃべりますからね。

長雨:首吊りお紺とかも登場しますし。しかも、桝田さんのインタビューで、人気があった神様はたいてい敵になるという素敵なコメントもあったので。

ミゲル:妄想がはかどりますね。早くイケメンの神様に会いたい!

さささ:ボス敵かあ。前作の稲荷狐次郎はめっちゃ印象に残ってますね。鳥居の上から飛んでくるやつ。

そみん:「コーン、コーン、コーン」ってやつですね。あそこは鳥居のワープパターンを把握するのが苦手で、よく迷子になってました。

『俺の屍を越えてゆけ』
▲『俺屍』の迷宮にはさまざまなギミックが用意されていた。

長雨:あと、だるまを倒せたから、狐も倒せるだろうと行って返り討ちにあるという。

あんまさ:今、まさにそんな状況です(苦笑)。だるまを倒して、けっこう自信がついたんですけどねえ……。

ミゲル:なんにせよ『俺屍2』は、15年たっても同じ気持ちで楽しめるところが素敵です。

そみん:健康度に気をつけてこまめに歩いたり、ダッシュで敵の後ろを取ろうとしてグルグル回っちゃったり、いい意味で“15年前も同じことをやってた気がする!?”というのが楽しい。

さささ:速く歩ける術やアイテムは使いまくってましたね。重ねがけしすぎて操作できなくなってたり(笑)。

長雨:そのまま敵に突っ込んで行ったりしてましたね(笑)。

さささ:『俺屍』を遊び始めた初期はとにかくダッシュをしまくってて、バトルに入ったらみんな瀕死で驚いたことがあります(苦笑)。走ると体力や健康度が減ることを見落としていて……。

そみん:基本的には、術を使ってダッシュして、ザコを無視して進まないと一番奥にいるボスにたどりつけませんからね。

ミゲル:あああ、そんな話をしていると『俺屍2』の前に『俺屍』を遊び直したくなってしまう! 『俺屍2』の発売まであと1カ月と少しだから……頑張ればクリアし直せるかも!?

■『俺屍』&『俺屍2』はどんな人にオススメ?

そみん:では最後に、『俺屍』や『俺屍2』はどんな人なら楽しめると思いますか?

長雨:ガチユーザーさんでも、ライトユーザーさんでも、自分なりの遊び方を見つけて楽しめる作品だと思います。あと、自分の中で自分だけの物語を作っていける。そこも大きな魅力ですので、そういう遊び方を見つけてプレイできればいいと思います。

そみん:ミゲルさんはいかが?

ミゲル:イケメン好きにはまずやっていただきたい! 乙女ゲー好きにはぜひ遊んでみていただきたい! なんと、神様と子を成せるよ!!

長雨:確かに、ある意味でギャルゲーや乙女ゲーよりも深く楽しく恋愛できるかも(笑)。

ミゲル:しかもPSP版や『俺屍2』では何回も交神すると、どんどん親密になって大事にしてもらえる! さらに、愛する人を自分の神社に祀れるし!

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲『俺屍2』では多くの神様が敵として登場。その際にはその神様の歴史や背景が明かされることが多いので、むしろ楽しみ!

そみん:そこだけ聞くと、なんだか究極の愛の形に感じてしまう(笑)。

長雨:『俺屍2』では好きな神様にお供えもできますからね。極まってきている気がします(笑)。

ミゲル:素晴らしい! あ、あと音楽がすべからく神です。全般的に完成度が高いんですけど、中でも樹原涼子さんが歌う『俺屍』のテーマ曲『花』は別格。その息子さんの樹原孝之介さんが作曲した『俺屍2』のテーマ曲『WILL』もよいです。音楽に恵まれたゲームは、それだけでもう神に愛されていると言っても過言ではないかと!

そみん:ですなあ。

さささ:PS版のスタッフロールで流れる『往来、All right!』を初めて聴いた時は熱かったですね。殺して生きて、生まれて死んで……。うーん、深い。

そみん:あんまささんや、ささささんはどうですか?

あんまさ:ゲームの進め方が1本道じゃないという点に魅力を感じます。街で情報を集めて迷宮に挑んでボスに挑んで……みたいなゲーム的な概念がないので、自分の中で手探りで道を見つけるのが新鮮で楽しいです。RPGに限らず、思考型のゲームが好きな人は楽しめる作品だと思います。

さささ:自分みたいに『ダービースタリオン』のような育成ゲームが好きな人は、間違いなく楽しめるでしょうね。理詰めでいろいろと考えて、最強の一族を作るのがすごく楽しかったです。

 あと、名品とか装備品とか、アイテムをコレクションするのも好きでした。レアなアイテムもたくさん存在するので、収集癖がある方にもオススメできると思います。で、そみんさんは?

『俺の屍を越えてゆけ』 『俺の屍を越えてゆけ』
▲育成要素が楽しいRPGとして楽しめるのはもちろん、さまざまな要素が詰まっているのが『俺屍』の特徴。まずは無料体験版を遊んでみては?

そみん:純粋にRPGとして完成度が高いので、RPG好きは絶対に楽しめるでしょうね。普通のRPGだとキャラのレベルがMAXまでいったらそこで成長が止まるけど、『俺屍』は一族を育てていくので、その成長の楽しさをちびちびと長々と楽しめます。

 それから、僕の世代的にはテーブルトークRPGとかに触れてきたから、いろいろと想像力豊かに妄想設定を付けやすい部分も楽しいかと。メインストーリーも楽しいけど、一族の歴史を補完するように妄想を始めると、さらに『俺屍』を楽しめるはず!

 とまあ、長々と話してきたけど、百聞は一見にしかずというやつで、気になった人はぜひ『俺屍』の無料体験版を遊んでほしいところです。2014年7月17日発売の『俺屍2』発売日前日=7月16日までの期間限定の配信なのでお早めに!

ミゲル:一部の制限があるとはいえ、あんな名作を無料で遊べるなんて、よい時代だ……。

そみん:『俺屍2 体験版(ゲームシステム編)』もオススメです。また機会があったら、『俺屍2』を遊んだ後に感想を語り合いましょう。では、これにて!

『俺の屍を越えてゆけ』
▲PSP版『俺屍』では自分だけの武器を作ることもできた。きっと『俺屍2』にも、さまざまなやり込み要素が用意されているはず!

[CHECK]期間限定でPSP版『俺屍』を無料でプレイできる!

 『俺屍2』発売を記念して、7月16日までの期間限定で前作『俺屍』をエンディングまで遊べる『俺の屍を越えてゆけ ご新規体験版 ~俺屍2の前にバーンとォ!遊んでみましょ~』が無料配信中。ぜひこの機会にダウンロードしてみては?

■体験版『 俺の屍を越えてゆけ ご新規体験版~ 俺屍2の前にバーンとォ!遊んでみましょ~ 』の概要

【配信期間】2014年5月8日~7月16日
【対応機種】PS Vita/PS Vita TV/PSP
【内容】
 PSP版『俺の屍を越えてゆけ』の物語をゲームクリア(エンディング)まで遊べる。

※ゲームの難易度設定は“あっさり”で固定。
※ゲームクリア後にプレイ可能となる“裏京都”へは進めない。
※体験版のセーブデータは、PSPの製品版でも使用できる。
※PSPの製品版のセーブデータ(裏京都へ進んでいるもの以外)は体験版でも使用できるが、難易度設定は強制的に“あっさり”に変更される。

 また、『電撃PlayStaiton』の記事担当スタッフ3人が自分たちの一族を立ち上げてゲームをプレイし、その様子をTwitter(@DPS_Oreshika2)でお届けしている他、電撃オンラインでは『俺の屍を越えてゆけ』のこだわりプレイに関するアンケートを実施中。

 アンケートの締切は、6月21日(土)の24時まで。賞品として、『俺屍2』ポスターセットを3名様にプレゼントいたします。B2ポスター1枚に加え、コーちん、黄川人、阿部晴明、夜鳥子がそれぞれ描かれたB2半裁ポスター4枚をセットでご用意しましたので、奮ってご応募ください!

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(C)Sony Computer Entertainment Inc.

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