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2014年6月3日(火)

TCG『アンジュ・ヴィエルジュ』荒井&大和田プロデューサーへのインタビューでわかった『アンジュ』の現状と今後の展開について

文:カワカミ雁々

 皆さん、こんにちは。ライターのカワカミ雁々です。現在3.5章ブースターパック『少女たちの休日』が好評発売中の『アンジュ・ヴィエルジュ』。

 6月には第4章ブースターパック『蒼空の変転世界』の発売をひかえ、さらに夏には公式イベント“サマーカップ”の開催も決定されるなど、ますます盛り上がりを見せています。

 ここでは、そんな『アンジュ』のプロデューサーである富士見書房の荒井健史さんと、メディアファクトリーの大和田隆さんにインタビューを行いました。商品の開発秘話やイベントの舞台裏、さらには『アンジュ』の今後の展開についてなどのお話しをうかがったので、その模様をお伝えしていきます。

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▲大和田プロデューサー(左)と荒井プロデューサー(右)。

■『少女たちの休日』開発経緯やエピソードをうかがう

――初となるエクストラブースター『少女たちの休日』ですが、これはどういった経緯で開発されたのでしょうか。

荒井:第1章の発売から半年がたち、そろそろこういった“遊び心”のあるセットを出してみたいと思ったところから話が始まりましたね。

――“遊び心”とは、具体的にどういったものを指すのでしょうか。

荒井:TCGとしてのゲーム性以外の部分ですね。たとえば、セット全体のフレーバー的なテーマや、イラスト面といったところです。もちろん使って楽しい・強いということも考えていますが『少女たちの休日』は、それと同じくらい“遊び心”を重視したセットになっています。そういった部分も楽しんでもらえるのが『アンジュ』の魅力の1つでもあると思っています。

大和田:もちろん、ゴールデンウィークに合わせて遊んでもらえるアイテムを出したかったというのもあります。でも、どうせ出すならちょっと変わったことをしようという話になって。じゃあどうするかと考えた時に「休日をプログレスの子たちとすごしたいな」って思い、このようになりました。

――『少女たちの休日』の「休日」はゴールデンウィークのことだったんですね。

荒井:はい。『アンジュ』では2章がクリスマス、3章が春とセットに季節感を絡めるようにしているんですが、今回はより具体的に「休日の遊園地デート」というのがテーマになっていますね。

――開発中のエピソードなどがあればお聞かせください。

荒井:「メリーゴーランドかぶりすぎ事件」ですかね(笑)。32枚のセットなのに、そのうち3人くらいがメリーゴーランドのシーンになっています。いつもイラストレーターさんには大まかなテーマを伝えるくらいで、自由に描いてもらっているんですが、結果的にかぶっちゃいました(笑)。

――遊園地といえばメリーゴーランドというイメージは確かにありますね。

大和田:そんななか《竜から降りた クラリッサ》を描いてくれたニリツさんは鋭く「メリーゴーランドかぶり」を察知して、謎のパンダの乗り物になっていましたね(笑)。

『AngeVierge』 『AngeVierge』

大和田:ほかにも《眩しい光 サーシャ》の髪飾りがソフィーナとおそろいになっていたりと、色んなネタを仕込んでいるのでイラストにも注目してもらえればと思います。

荒井:パラレルもそうですね。《魔法の国 アビー》などは、パレードのようなキラキラした背景になっていてとてもきれいですよ。魔法が当たり前に存在する黒の世界出身にもかかわらず“夢と魔法の国”な遊園地にはしゃいじゃってるフレーバーテキストもかわいいです。

■両プロデューサーが語る『少女たちの休日』の注目カードとは?

――『少女たちの休日』で注目のカードを挙げていただけますか。

荒井:《休日の委員長 琴吹文》と《コードΩラウラ お出かけモード》ですね。単体でもじゅうぶん強い能力なのですが、この2枚を組み合わせてラウラのリンク枚数を文で増やすことで、より強力な効果を得られます。両方とも混合フレームなので、色々なカードとの組み合わせが考えられるのも楽しいところです。プレイヤーさんなりのベストパートナーを見つけてもらえればと思います。

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大和田:私は《素顔の月乙女 セレスティア》ですね。リンクに成功すればそのターン中ストライクが+1されるので、青の世界が得意とするプログレスのアウェイクと相性がいいカードです。

荒井:もともと混合の文やラウラはもちろん、今回のSRプログレスはみんなフレームの要求数が少ないので、混合デッキを組みやすくなっています。3章にも同様のカードはありますので、この機会にぜひ単一フレームのデッキだけでなく、ぜひ混合フレームのデッキを作ってみてほしいですね。ちなみに、私は要求フレームが3つまでのプログレスなら、混合フレームデッキに入れられると考えています。デッキの安定感と爆発力、そのギリギリのバランスを攻めてみてほしいですね。

――SR以外にも注目のカードはありますか。

荒井:コモンに収録されているレベル2のプログレスが渋い強さでオススメですね。もとのパワーが6000、リンク成功で+5000とシンプルな能力ですが、リンク成功時は同レベルの“エース”がガード1枚使っても突破できるようになっています。『アンジュ』はパワー1000の差が重要なゲームなので、こういうパワーを重視したプログレスもデッキに少し入れておくと地味に活躍してくれますよ。

大和田:『少女たちの休日』はセットの枚数こそ少ないですが、混合フレームデッキのキーとなるカードやエースに対抗できるレベル2プログレスなど、みどころのあるカードが多いのでぜひ1枚1枚、その強さをチェックしてみてください。

■『少女たちの休日』の選定基準やプロデューサーのお気に入りを聞く!

――『少女たちの休日』に収録されたプログレスの選考基準にはどのようなものがあったのでしょうか。

大和田:SRのプログレスで言うと、《優しき守護者 ヴァレリア》は『青蘭の聖少女』のころに使用頻度が高く人気カードだったため、ここで再登場となりました。《素顔の月乙女 セレスティア》は開発部に強力なファンがいて、そこからの猛プッシュがあったためです。また、アプリでは初期からSRでお馴染みのキャラクターであるというのも追い風でしたね。《コードΩラウラ お出かけ》はユーザーさんのなかで人気が高いカードでした。ストライク2のプログレスとして使ったという方も多いんじゃないでしょうか。《休日の委員長 琴吹文》については……言わずともお分かりですよね(笑)。

荒井:はい、僕がゴリ押ししました(笑)。

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荒井:あとは「このキャラクターを着せ替えしたらおもしろそう」「私服姿を見てみたい」という気持ちもありました。いつも巫女服か制服だった《お休みの巫女 神薙千鳥》などがそれにあたりますね。

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▲私服姿でガラッとイメージが変わり、新たな魅力を見せてくれるプログレスもたくさんいます。神薙千鳥もそうですが、個人的には剣と勝負の女神という勇ましさにもかかわらずオバケ屋敷を怖がるグラディーサさんがビビッときました。

――『少女たちの休日』のテーマは「遊園地デート」ということですが、お2人がデートするとしたらどのプログレスを選びますか?

大和田:私は《不器用な交流 音羽ツバサ》ですね。『ブースター1章 青蘭の聖少女』から登場していますが“一匹狼で、不器用な性格の子”というイメージで何か武器を持たせようと思ったら、なぜか包丁を持たされていてユーザーさんのなかではヤンデレ疑惑が巻き起こったりもしましたが、ツバサ、好きです。友達思いのとてもいい子なので。あと、アプリ版では声がついているんですが、これがものすごくいいものに仕上がっているので、ツバサファンの方はぜひともアプリもやってみてほしいです! 本当にオススメです!

荒井:ツバサは実は懐の深いところがあるというか“ぼっち”にも理解がありそうだよね。そこが僕たちに刺さる(笑)。

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――荒井さんはいかがでしょうか。

荒井:文に関しては、今回SRにまでなったことでゴールした感があります。なので、3.5章で収録されなかったプログレスを挙げてみるなら《物資運搬 コードΩ36ココノ》ですね。あと《窺い知る者 サンドリア》かな。

大和田:それはまた、ちょっと意外なチョイスですね。

荒井:ココノさんは「~っす」っていう口調がかわいいんですよ。「みんな輝いてみえるっすよ」みたいなね。ちょっと頭が悪いけど、一緒にいると楽しくなれる後輩キャラというイメージでお気に入りです。一人称が「自分」っていうのもポイントです。あと《謎のポケット コードΩ36ココノ》の能力が本当に謎なところも好きです。

大和田:文もそうですが、荒井さんは妙な属性がてんこもりなキャラが好きなんですね。

――サンドリアについてはどうでしょうか。

荒井:こういう悟った系のキャラクターも好きなんですよ。同じ系統では《識る者 静宮蘭》もそうですね。全部知っているがゆえに、一歩引いたところから語るキャラクターという感じの子ですね。レベル3のリンク時能力で手札に帰っちゃう能力も「あとは任せた。がんばるんだぞ」感が出ていていいですね。ココノも同じ能力を持っていますが、彼女の場合は「自分、もう無理っす。ダメっす。先輩お願いしまっす!」みたいなイメージです。

大和田:え、あのサイクルってそういう意味だったんですか!?

荒井:今、そう決まりました(笑)。

■“青蘭学園祭”を振り返る

――では続いて、先日終了した春の“青蘭学園祭”について、手ごたえや感想などをお聞かせいただけますか。

荒井:今回、去年の第1回“青蘭学園祭”ではやらなかった、やや競技性を重視したドライバーズトーナメントを開催しました。『アンジュ』ではまだそういった大会をやるのは早いかなとも思っていたのですが“ウィンターカップ”でのチーム戦が好評だったこともあり、ベストな大会形式を模索する意味もあって思い切ってやってみました。また、事前にユーザーさんから「真剣勝負の場が欲しい」「目標を目指すことがモチベーションになる」といった声を多くいただいていたという面もあります。結果、好評をいただいたようでうれしく思います。やってみてよかった、という気持ちですね。

――具体的にはどういう場面を見てそう思いましたか。

荒井:優勝をかけた試合で、たくさんの方がギャラリーとなって観戦していたところですね。そして、勝ったプレイヤーさんに自然とまわりから拍手が出て、いつも一緒に遊んでいる仲間から祝福されているところを見て「ああ、よかったな」と思いました。今後もイベントで必ずこういう形式の大会をやるとは限りませんが、やはり“TCGの魅力は真剣勝負”にあるというのは、カジュアルなプレイができる『アンジュ』でもそうなんだなとは強く感じました。

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荒井:もう1つは『アンジュ』の初期からがんばってくれている相坂さん、石原さんがより『アンジュ』の看板として定着したということですね。ステージで彼女たちがしゃべれば歓声が上がり、多くの人が彼女たちとガンスリンガーの機会を求めて来場してくれるようになりました。同時に、彼女たちがどんどん『アンジュ』が強くなって、ユーザーさんと互角以上に戦えているというのも、2人を鍛えた立場としてはうれしいです。2人ともガンスリンガーでは勝ち越していましたからね。また、2人に挑戦する人が声をあてている美海やソフィーナのデッキで来てくれるのも、2人がユーザーさんのなかに浸透しているようで嬉しく感じました。

大和田:さらに今回は、一部の会場でのみですが、イラストレーターさんのサイン会や鈴木このみさんのライブ、内田彩さんのゲスト出演といったイベントもやったんですが、これも好評なようで嬉しかったですね。TCGとしての『アンジュ』はもちろんですが、それ以外の部分、たとえばイラストレーターさんや声優さんのファンの方、アプリの『アンジュ』を楽しまれている方なども楽しめるようなイベントを今後もやれたらと思っています。

■1周年にむけて、ますます『アンジュ』は進化する!

――6月には『蒼空の変転世界』が発売されますが、新能力“オルタネイト”や予告されているアウロラとソフィーナの登場以外に、何かサプライズはあるのでしょうか。

荒井:サプライズというわけではありませんが、3章のクラリスのように、今回も青の世界の東條遥をはじめとしてアプリ出身のプログレスが今回も出ます。また『アンジュ』1年目のおさらいということで、2章で登場した“奇跡”などの能力も再登場します。

――新能力の“オルタネイト”ですが、これはどういったゲーム性を意識して作られたのでしょうか。

荒井:“オルタネイト”は、それを持つプログレスにシフトした時、そこにいたプログレスが捨て札に行かず、手札に戻るという能力です。これを利用することで《魔法少女 高峰さくら》や《祝福の天使 ベネティアラ》のような登場時あるいは登場したターンに何らかの能力を持つプログレスを再利用することができます。《オペレーター システム=NPゼシカ》なども再利用しておもしろいカードですね。“オルタネイト”持ちの追加により、高い打撃力・展開力を持続させられるようになります。その一方で、守りの面でもオルタネイトは強力です。単純に手札が減りにくくなるのでガード回数が増加し、これまで最速で3ターンほどで決着していたゲームも4ターン、5ターンともつれることが増えるかもしれませんね。

『AngeVierge』 『AngeVierge』 『AngeVierge』

――『蒼空の変転世界』以降の商品展開やイベントなどについて、お話しできる部分があればお願いします。

荒井:商品としては4.5章として新しいスターターデッキを夏に出します。これは“Ω”と“Σ”の2種の“オールスターデッキ”になる予定でスターター限定のカードはもちろん、ユーザーさんから要望の多かったカード…具体名を出すと《魔石を詠む者 オリヴィア》や《整備士エルセア=エコルダ》などを再録 したデッキになる予定です。また、5章からの先行収録もあるのでこれから『アンジュ』を始められる方はもちろん、すでに遊ばれている方でも楽しめるデッキになっています。

大和田:夏に出るアイテムなので、プログレスの水着姿にも注目してほしいですね。レア以上の再録カードとオールスターデッキ限定カードは水着イラストです!

荒井P:さらに、秋には1周年となる第5章が発売されます。まだ詳しいお話しはできませんが、皆さんがアッと驚く仕掛けをほどこしているので、こちらも楽しみにしていただければと思います。

大和田:イベントの面では、まず夏の“サマーカップ”の開催が決定しています。こちらは3人チーム戦のエクシーズバトルとなりますので、お友達やお店で対戦する人などとチームを組んで参加してほしいですね。

荒井:また“サマーカップ”からは、参加賞のスリーブなどプライズを変更しようと思っています。こちらにもご期待ください。

大和田:そしてふたたび『アンジュ』のスタッフによるショップキャラバンも再開されていますので、公式サイトのスケジュールをご確認いただいて、お近くのお店に足を運んでいただければと思っています。スタッフも、ユーザーさんとお話しし、対戦するのを楽しみにしているので。

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――ありがとうございました。では、最後に『アンジュ』ファンの読者に向けて、ひとことメッセージをいただけますか。

大和田:第4章では新能力とともに、もちろん新しいプログレスがたくさん登場します。公式サイトでも「今日のカード」として紹介していくので、毎日チェックして、ぜひお気に入りの子を見つけてくださいね!

荒井:はやいもので『アンジュ』もそろそろ1周年が見えてくる時期になりました。今年の8~10月にはみんなが驚くようなことを仕込んでいって、既存ユーザーさんへのサプライズはもちろん、新たなαドライバーを増やして『アンジュ』を盛り上げていきますので、期待していてください。「L.I.N.K.s」も始動しますが、こっちにもビシバシ『アンジュ』を仕込んでいくので、これからのイベントなどもお楽しみに!

(C)Ange Project

▼『アンジュ・ヴィエルジュ オールスターデッキ オメガ』
■メーカー:KADOKAWA
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▼『アンジュ・ヴィエルジュ オールスターデッキ シグマ』
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■発売日:2014年8月7日
■希望小売価格:1,200円+税
▼『アンジュ・ヴィエルジュ ブースターパック第4章 蒼空の変転世界』
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