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2014年6月5日(木)

『魔都紅色幽撃隊』インタビュー。続編『幽撃隊2』構想やM+M機関のボツキャラなど、今井監督が語る開発秘話が満載

文:長雨

 アークシステムワークスから好評発売中のPS3/PS Vita用ソフト『魔都紅色幽撃隊(まとくれないゆうげきたい)』。ファン参加企画として募集した質問をもとに、今井秋芳監督と金沢十三男プロデューサーにインタビューを行いました。

『魔都紅色幽撃隊』

 キャラクターやゲームシステムに関する開発秘話はもちろん、すでに発表されている不具合や演出スキップに対応する修正パッチの後の展望に関する興味深い情報もたっぷりとお聞きできました。ぜひ最後までお楽しみください!

【『魔都紅色幽撃隊』開発スタッフ】

・今井秋芳:“學園ジュヴナイル伝奇”シリーズの生みの親で、『魔都紅色幽撃隊』でも監督を務めた。古今東西のさまざまな伝奇やオカルトを組み合わせた独創的な世界観と、個性的な仲間キャラクターと過ごす王道の青春ストーリーが多くのファンの心をとらえてはなさない。

・金沢十三男:『魔都紅色幽撃隊』のプロデューサー。『赤川次郎サウンドノベル』シリーズなど、ミステリやホラーを得意としている。今井監督とは『東京魔人學園(以下、魔人)』シリーズのころから交友関係があり、ゲームボーイアドバンス『東京魔人學園符咒封録』でタッグを組んだことも。

■感情入力やバトルの苦労話など、開発秘話に迫る!

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▲写真は金沢プロデューサー。今井監督とともに、いろいろと語っていただきました!

――それでは最初の質問です。“今作を作るにあたって一番苦労した点や苦戦した点があれば教えて欲しいです(アナコンダ大久保さん)”。

今井:限られた時間の中で、とにかく新しいことに挑戦した部分ですね。今回はゲームシステム的にチャレンジ精神がある作品を作ったので、かなり難しかったです。

――金沢さんは、何か苦労されたところはありますか?

金沢:全部大変でしたね(笑)。どれか1つとは言えないです。その中でも印象的なのが、背景を撮影するロケハンです。

今井:それは、慣れてないからでしょ(笑)。過去作品では、私1人で1, 000枚以上の背景を撮影したこともあります。撮影の次の日は、筋肉痛で動けなかったですね(笑)。

金沢:いや、もともと『赤川次郎サウンドノベル』シリーズはロケでしたよ。ただ、その時と比べると、今回は特殊な場所を撮影する必要があったので、撮影の交渉をするのが難しくて大変でした。学校や工場ならいいのですが、牢屋とか廃墟の撮影はどこに許可をもらえばいいのやら(苦笑)。

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▲本作の背景は、ほぼ実写。今井監督や金沢プロデューサーが自らロケハンした背景にも、ぜひ注目してみよう。

――確かに牢屋の撮影は、どこに頼むか悩みますね。警察に話をされたのですか?

金沢:最終的には、牢屋風の施設がある撮影スタジオを使って撮影しました。

今井:実在の焼肉店やコンビニなどとタイアップできたら、撮影もしやすくなりますし、リアリティが出ておもしろかったかもしれませんね。

――実在のコンビニで忍びクジを引けたら楽しそうですね(笑)。続いて、感情入力システムについても質問がきています。“感情入力に五感入力を加えたことによって、制作中に大変だったことなどはありましたか?(もといもさん)”。

今井:頭の中でキャラクター像が完成しているので、私が書く時は迷いはないですね。でも他の人が書くとなると、なかなか難しいようです。

金沢:基本的にシナリオには今井さんの監修が入っているのですが、私も一部お手伝いで書いています。ただ今井さんが創造したキャラたちなので、「このキャラはこんなこと言わないよ」と直されることも多かったです。個性の強いキャラばかりなので、26パターンもの反応を考えるのは大変でした。

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▲5つの感情と感覚に“無視”を加えた、26パターンもの選択をすることができる。

――“今回のバトルパートについて、気を使ったことはなんでしょうか(nostuvさん)”。新たな試みが入っているだけに、開発も大変だったのでは?

今井:バトルシステムとして破綻しないようにするのが大変でしたね。新しい形に挑戦すると、同じようなシステムの作品がないので、調整に前例がなくて大変なんですよ。

 ライトユーザーが難しいと思うのはある意味では仕方がありませんが、コアなゲーマーが投げ出すようなシステムになってしまったら、それはダメだと思うんです。本作の評価は難しいとおもしろいが二極化していて、そういう意味では成功であり、もっと練り込めると思っています。今回作ったシステムはストイックで硬派になりすぎたので、もう少しコアじゃない人たちを手助けするアイデアが必要でしたね。

――コツをつかむと戦術が見えてきて、おもしろくなっていきますよね。

今井:ライトユーザーがそのコツをつかむところまで、作り手としてしっかり導いてあげないといけなかったですね。例えば戦闘前に塩をまくところや、敵を待っている姿を想像できるようにできたら、もっととっつきやすいし、おもしろかったかもしれません。

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▲行動予測バトルという新感覚のバトルシステムを搭載。霊である敵は視認できず、見えない敵の行動を予測して戦うことに。

――ボードゲームなどのアナログゲームに近い雰囲気を感じました。

今井:本作のシステムは、ボードゲームから着想を受けています。チェスや詰将棋、紙で作られたアナログゲームなどイメージして作りました。そういう新しい思想を入れて作ったわりにはバトルシステムとまとまりましたし、チャレンジ精神について好意的な評価もいただきました。これからは本作でいただいた意見を生かして、もう少し遊びやすくなるように調整していきたいです。

金沢:おもしろいゲームシステムなので、今後もっと作りこんでいきたいですね。

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▲ボードゲームというコンセプトは、ミニゲーム“ハイパーナチュラル”でも生かされている。

――“倉花さんが好きで初めてジュヴナイル作品をプレイしました。キャラクターデザインに倉花千夏さんを起用した理由を教えてください(残業する社会人の霊さん、他多数)”。倉花さんのキャラクターデザインに引かれたというユーザーも多かったようです。

今井:『魔人』、『九龍』では、まだ絵に先入観がついていない新人寄りのイラストレーターを起用していました。しかし今回は金沢さんから、名前が通っている人にしてほしいとオーダーを受けたんです。そこでキャラクターデザインの方を探すのはお任せしますとお願いしました。

金沢:お任せとはいいますが、絶対にこだわることは予想できましたからね(笑)。今井さんには、どんな人が合うだろうなといろいろ考えたんです。

 そこで今井さんやアークシステムワークスさんの両方の意見を聞いていく中で、私の目にとまったのが倉花さんでした。倉花さんは、描くイラスト自体に世界観が感じられる方なので、最初は今井作品の世界観とどういった化学反応を起こすのか、不安な部分も多少ありました。しかし一緒にお仕事したらすごくプロフェッショナルな方で、今井さんからアイデアを聞きつつも、色の塗り方のアイデアを出すなど、自分の作風もしっかりだしてくださいました。

今井:倉花さんが『魔人』や『九龍』を知っていてくださったことも大きかったですね。私の作品の雰囲気をいかに出すかを真剣に考えてイラストを描いていただけました。そのため、作品の雰囲気について多くは説明しませんでしたし、キャラクターのデザインも大きな直しはなかったです。

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▲美男美女だけでなく、小太りな小菅、双子のオカマの梅と竹など、さまざまなキャラクターが描かれている。

――倉花さんのイラストが3Dのように動くアニメーション手法“GHOST”もすごかったです。“独特な2Dグラフィックを作成、表現するのにこだわった部分、作成にともない大変だったことは?(ノーフェイスさん、他多数)”という声も多かったです。

今井:これは、“GHOST”を手掛けた映像作家の高橋昴也さんの才能によるところが大きいですね。他の人が作っていたら、もっと時間も予算もかかったはずです。短い開発期間でこれだけのクオリティの物が作れたのは、本当にスタッフに恵まれたなと思います。

金沢:従来のゲーム作りの手法で作っていたら、すごく時間がかかったでしょうね。高橋さんはゲーム畑ではなく、映像作家であるところも大きいと思います。

――制作は、どのような流れでお願いしたんでしょうか?

今井:高橋さんに1枚絵を渡しただけです。支我だったら、車いすに座って腕を組んでいるイラストですね。あとは表情の打ち合わせをして、動きについては文章やラフイラストで渡しました。

 もともと“GHOST”のアイデアは私が考えて、高橋さんに提案したものです。そのため、長所も短所も知っています。それを踏まえた上でお願いしていたので、「これは無理です」と高橋さんに言われたことは少ないですね。

金沢:イベントグラフィックも全部“GHOST”の手法で動かしています。

今井:キャラクターや敵のゴーストもですね。それをほぼ高橋さんが1人で作りました。すごいスピードとクオリティで作っていて、すごいなと思いましたね。

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――ストーリーについての質問もきています。“容量の関係などで、削ったシナリオなどはありますか? そのシナリオを、何かの媒体で補完する予定は?(なちかさん、ナナミさん他多数)”。

今井:シナリオを削ったというよりも、全体的に足りなかったかなと反省している部分がたくさんあります。

金沢:まだ、書きたいエピソードはたくさんあるようですね。

――今井監督の頭の中には、まだまだ物語のストックがあるのでしょうか?

今井:そうですね。今回は夕隙社とゴーストのバトルだけでしたが、自衛隊や夕隙社の偽者と戦うというアイデアもありました。主人公たちがゴーストと戦っている時に、第三勢力が介入してくるというのも考えましたね。

 ゲーム中では未使用ですけど、ゴーストじゃない第三者が侵入してきた時の支我の支援ボイスも収録してありします。

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▲自衛隊など、第三者と勝負する構想も。三つ巴のバトルは、現在とはまた違ったゲーム性を楽しめそうな予感が!

――“考えていたけれど没になったキャラクター、また没になったキャラ設定やアイテム案があったら知りたいです(aiさん)”という質問も。シナリオの関係で、没になったものなどあるのでしょうか?

今井:設定は固まっていながら、結果的に登場させられなかった人物はかなりいます。例えば、『魔人』の壬生がいたM+M(エムツー)機関の異端審問官や、警視庁ゼロ課を仕切っている人間などの設定は完成していますね。

 M+M機関は人に害をなす者を倒すのが役目なので、ゴースト退治にはからんできてもおかしくない組織です。夕隙社と対立させようと思っていたんですが、本作には自衛官、警視庁、公安なども登場するので、さすがに組織が多くなりすぎると思い、カットしました。

 裏設定ですが、山河の銃は実はM+M機関に関係しています。拳銃なのに霊を倒せる、魔を討つ武器になっているのは、そういう理由です。

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――“妖しい美女や神倉といった魅力的な敵キャラが出てきたわりに、本編ではほとんど言及されませんでした。また伏頼や左戸井の過去など、謎に包まれたところも多いです。今後、何かで明かされることがあるのでしょうか?(武藤渡夢さん、makiさん、あやさん、他多数)”。彼らの行方なども気になっている方は多いようです。

今井:先ほどお話したようにゴーストだけでなく、人と戦うような構想もありました。皆さんがアークシステムワークスさんにたくさんのご意見や、続編のご要望を送っていただけたら、これらのお話をお披露目できる機会もあるかもしれませんね。

 伏頼と左戸井については本編よりも過去を描くことになるので、ゲームよりも小説やドラマCDなどで描けたらいいですね。

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――略称についての質問です。“開発スタッフの中では『魔都紅色幽撃隊』をなんと略して読んでいますか? 『魔都』? それとも『幽撃隊』ですか?(たすすけさん)”。

今井:本作の正式な略称は、『幽撃隊』ですね。これは主人公たちが働いている“夕隙社”の“ゆうげき”ともかけています。

金沢:私は『魔都』って呼んでいたのですが、今井さんに「その部分は次回作以降で変わっちゃうかもよ」って言われました

今井:続編を作るなら、最初の部分が変わって『●●幽撃隊』になります。あと『魔都』にすると、私の作品の略称を並べた時に『魔人』、『九龍』、『魔都』で“魔”かぶりになってしまいます。語感を大事にしているので、それは略称としてふさわしくないなと。

金沢:開発スタッフの中では“UGK”とも呼んでいたみたいですね。ある日スタッフから、“UGKの件で”というメールが来たんです。何のことかわからなくて、「それ何?」って聞いたら「すいません、幽撃隊のことです」って連絡がきました(笑)。

■キャラクターや世界観の裏話に加えて、気になる今後の展望もチラリ!?

――続いては、キャラクターや世界観についてお聞きしていきます。“主人公の公式名、東麻龍介君ですが特別な由来はありますか?(夕隙社女子会の内容が気になるさん)”。

今井:私の作品の主人公には、いつも“龍”の字を付けています。『魔人』は“たつ”、『九龍』は“ろう”だったので、今回はスタンダードに“りゅう”と読ませようと思いました。その上で、龍一のように他のキャラクターとかぶる語感は避けて、龍介にしました。東摩というのは、魔を討つ討魔の意味を込めています。

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▲魔を討つという意味を持つ“東摩”という名字は、悪霊と戦う本作の主人公にピッタリ!

――“各キャラの名前の由来が知りたいです(ヒフミッシュさん)”。どのようにキャラに名前を付けていったのでしょう?

今井:名前の由来は、すべて心霊学者と心霊関係者の名前になっています。支我は、志賀潔という心霊関係の方から。深舟は御船千鶴子、福来友吉は名字が伏頼に、名前が小菅のもとになっています。この人じゃないかなと、探してみてもおもしろいと思いますよ。

――“夏服の少女と白いコートの男の本名は設定されていますか?(オーリンさん)”。確かに名前が登場しませんね。

今井:この2人にはあえて名前を設定していません。ゴーストは、基本的に名前がないものが多いです。

――“本作における時間の流れは、どうなっているのでしょうか? 衣替えは行われていないですし、本編は4月~5月までに起きた出来事なのでしょうか?(RONさん)”。時間軸など、設定されているのでしょうか?

今井:だいたい衣替え前の4、5月の話だねと、金沢さんと話をしていました。少なくとも夏休みは学生にとって特別ですし、そこではもっと別のエピソードを描くべきでしょう。だから、今回の物語は夏休み前のエピソードだと思ってください。

――ちなみに左戸井については、おもしろい質問がきています。“左戸井はなぜ白衣を着ているのでしょうか?(小龍の器さん)”。

今井:あれは、ゴーストハントをすると服が汚れるからです。今はやっていませんけど、昔は戦っていました。戦っている左戸井の姿も、どこかでお見せできるといいですね。

――“夕隙社以外に民間でゴースト除霊を生業としている企業はいたりするのでしょうか?(シナモンさん)”。同業者などもいるのでしょうか?

今井:現在は特に設定していません。しかし、今後の物語にからませられたらおもしろいですね。

――今井監督の世界観とのつながりを気にされている人も多いです。“鉄栴と『魔人』の雨紋雷人の師弟関係が気になります(bluespring_amigoさん)”。

今井:雨紋雷人の師匠が、鉄栴の親です。関係性としては、兄弟弟子になりますね。だから、お互いに面識があると思いますよ。それに鉄栴が通う鎧扇寺高校は、『魔人』の紫暮の通っていた高校ですしね。そういう世界観のつながりは大事にしています。

――世界観つながりで、“帝釈天不動産の社長はあの人ですか? あの人だとしたらやっぱり開業資金はギャンブルだったんですか?(じっと見る未亡人の霊さん)”という質問もありました。

今井:ご想像どおりです(笑)。ただ彼には金持ちの友人がたくさんいるので、その人たちに出資してもらったんだと思います。

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▲鉄栴が使う槍術の流派やブリーフィングの時に見取り図を送ってくる不動産屋の名前など、他の今井作品とのリンクがいたるところに散りばめられている。

――ある事件でアイドルの舞園さやかが登場するなど、ファンにはうれしい演出もありましたね。続いては、“『九龍』で伏瀬が依頼人の“Twilight”として登場し、その頃からある程度世界観があったと聞きました。“夕隙社”という社名も既にその頃から決めていたのでしょうか?(少年さん)”という質問です。

今井:『九龍妖魔學園紀 re:Charge』を作っている時には、本作のキャラクターや世界観も決まっていました。“Twilight”は黄昏(たそがれ)=夕暮れ時という意味で、夕隙社の名前からとっています。彼女がくれる報酬も、編集部や除霊で使えそうな日常品ばかり。このころから、一般企業で日常品を使って戦うことを決めていましたね。

――依頼といえば、本作でも今井監督作品のキャラが除霊依頼を出していることがありますね。

今井:懐かしいキャラクターたちのセリフを、久々に書きました。お礼のメッセージもちゃんとそのキャラクターのものになっているので、ぜひ見てほしいですね。

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▲ゴーストハントを依頼してくる人物の中には、懐かしのキャラクターも。依頼クリア後に見られる“お客様の声”とあわせて楽しむのがオススメだ。

――そんなにたくさんいたんですね! ぜひすべて見てみたいです。さて、過去作品に負けず劣らず、本作にも魅力的なキャラクターたちが登場します。“個性豊富な沢山のキャラクターが魅力ですが、 開発スタッフ内で特に人気のあったキャラクターは誰ですか?(ao+さん)”という質問がきていますが、どうでしょうか?

今井:私は全員好きですが、中でも伏頼が好きですね。現場の女性陣からは、萌市と支我が人気でした。「俺氏カワイイ!」っていう意見が多かったですね。

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――萌市は山河との会話を含めて、いろいろおもしろいキャラクターでした。

金沢:あの2人は、見た目も性格も真逆でしたしね。

今井:本編でもからみますし、インターバルも関連しているセリフが多かったです。こういうキャラクター同士の関わりがあるのが、ジュヴナイルシリーズのよさ。そこは、今後ももっと増やしていきたいです。

 ちなみにインターバルでは、あえて本編で見られないような姿を描いています。例えば久伎は海産物の話をしているんですが、それは彼がシーフード好きという設定からきています。チェスの話は本編でも見られるので、そういう意外な一面を見られた方がいいかなと。

 ただ久伎は、ダイオウイカを食べたいとか、途中からシーフードの範疇を超えた話までしてきて、ちょっと不思議ちゃんになってしまいました(笑)。

――女性キャラの人気はどうでしたか?

今井:人それぞれでイチオシが分かれている印象ですが、特に男性陣には楓が人気でしたね。

金沢:私はツンデレが好きなので、深舟が好きですね。

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――電撃オンラインで行った人気投票の結果では、深舟は大人気でした。

今井:深舟はヒロイン、支我は相棒ですからね。この2人の人気がなかったら作品として失敗です。そういう意味では、この2人の人気が高くてよかったですね。

――ちなみに人気投票の結果を見て、ご感想はいかがですか?

今井:残念ながら、小菅は人気がないなと(笑)。みんな、イケメンが好きですね。音江は登場するのが終盤なのに、人気が上位に入っています。彼の場合は、自衛官なのにあの見た目で性格もチャラくて、わかりやすいキャラクターではありますよね。

 彼や八汐の自衛官としての活躍や、白峰の過去なんかも機会があればしっかりと描きたいところです。

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――小菅もいいキャラクターなのですが、二番手三番手という感じになってしまうのだと思います。

今井:確かに、それはあるんでしょうね。

金沢:それに今回の人気投票の中にシークロアも入っているじゃないですか。カワイイし、会話もできますし、小菅よりもシークロアに投票したくなる気持ちはわかります(笑)。

――シークロアの人気も高いですね。そんなシークロアについても質問が。“シークロアの性別は? また、シークロアにも感情入力したかったです(物理ハンターさん)”。

今井:オスです。名前の由来になった子が男の子なので、この子もオスです。

金沢:そうだったんだ。初めて知りました。なんとなくメスだと思っていましたよ。

今井:感情入力をしたいですか。確かに、【愛】+【触】とかでなでられますからね。

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▲夕隙社のマスコット。かわいいだけでなく、主人公たちの戦いをサポートしてくれる心強い仲間でもあった。

――かわいいキャラクターなので、シークロアのエンディングも見てみたかったですね。

今井:もし機会があれば、シークロアだけでなく、夏服の少女のエンディングも作ってみたいですね。

――エンディングと言えば、個人的には相手を選びたかったです。お目当てじゃないキャラがやってきて、ちょっと驚いたので(笑)。

今井:そこは、誰が来るかわからないドキドキ感を楽しんでもらいたかったんです。相手を選べると、そのドキドキがなくなってしまいますからね。

 個人的な思い出なんですが、『ときめきメモリアル』を初めて遊んだ時に、最後にお目当てじゃない女の子が告白してきたことを今でも覚えていまして。「どうしてお前が!?」という戸惑いも含めて、とても心に残っているので、そういう遊ばせ方もあるかなと思ったんです。

――なるほど。確かにお目当てのキャラじゃなかったので逆に印象に残りましたし、少し悔しくてすぐさま2周目を遊び始めてしまったので、今井監督の狙い通りになっているのかもしれません(笑)。

今井:装備によって好感度を調整できるので、2周目以降はぜひそれを利用して、お目当てのキャラとのエピソードを狙ってみてください。主人公にガーターベルトやブラジャーを装備させると、出撃メンバーの好感度が下がりますから。

 ただし支我、伏頼、左戸井は戦闘に出ないので、ブラジャーなどを装備しても好感度が下がりません。そのかわり、それぞれ苦手なアイテムを設定しています。支我は、小さいころに部屋にあったのを見てトラウマになったので般若面が苦手。伏頼は意味深にしたかったので、ゴムの匂いが苦手という設定で、ゴム手袋などで好感度が下がります。左戸井は爬虫類がダメなので、ワニ製のものが苦手ですね。これを利用して、目当てのキャラクターのエンディングを迎えてください。

 ちなみに伏頼と左戸井は、お互いにお互いが苦手なものを知っている間柄なので、弱みを握りあって牽制しあっている部分があるという裏設定があります。

金沢:余談ですけど、ブラジャーの取り扱い方についてCEROに説明したのを思い出しました。扱い方を間違えると、レーティングが上がっちゃうんですよ。

 だから、このブラジャーは装備はできますが、ヘルメット的な役割で……とか、決してグラフィックでは再現しないで想像して楽しむもので……とか、真面目に説明しましたよ(笑)。

――では、最後の質問です。“『魔都紅色幽撃隊』の今後の展開について教えてください!(みやみやさん、なおさん、他多数)”。

今井:すでに発表しているように、皆さんの意見を取り入れた修正パッチを制作中です。より快適にゲームが楽しめるようになると思います。ゲームの難易度そのものは変わりませんが、かなり遊びやすくなります。

金沢:戦闘が、かなりサクサク進みますね。今後の続報をお待ちください。

今井:ここから先は、あくまで私の中にある構想レベルのものになりますが、まずは夏休み編が作りたいですね。授業がある時期と違って夏休みは遠くに出張にも出かけられますし、制服ではなく私服がメインになるはずです。地方に出かけたり、支我たちが私服で戦ったりする場面を描けると、楽しいと思うんですよね。きたいです。

 そして、もし『幽撃隊2』があるなら、9月から11月にかけての長編エピソードになるでしょう。クリスマスはあえて独立した1本の作品にして、メンバーの戦いと恋をより深く描けるとおもしろいんじゃないかと。

金沢:夏休みとクリスマスは、2時間もののスペシャルドラマみたいな感じですよね。ドラマCDとか、アペンド的なファンディスクとかで描くような感覚です。

今井:そうそう。そういうのを描けると、作品の世界観がより深くなると思うんですよ。夏休みにみんなで海に社員旅行に行って、海の家で事件が起こるとかね。

金沢:支我が海パンをはいて、ビーチ用の車いすでサポートしてくれるとかね。

今井:砂がからまないようにね。そしてバーベキューをして、そこでも肉を焼くと(笑)。

 先ほどもお話しましたが、『幽撃隊』の今後の展開は皆さんのご意見やご要望にかかっています。こういった未発表のエピソードに期待をしていただけるようなら、ぜひアークシステムワークスさんにご意見や続編のご要望を送っていただきたいと思います。

『魔都紅色幽撃隊』 『魔都紅色幽撃隊』
▲本作のキャラクターは一部を除いて、みんな制服やスーツ姿をしている。ぜひ、私服姿や夏服姿も見てみたいところ!

(C) ARC SYSTEM WORKS/TOYBOX Inc.

データ

▼『魔都紅色幽撃隊 公式コンプリートガイド』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2014年5月17日
■定価:本体1,800円+税
 
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