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2014年6月12日(木)

『ファイナルファンタジーVII Gバイク』間一朗氏独占インタビュー。クラウド以外のキャラやストーリーなど未発表ポイントに切り込む【E3 2014】

文:電撃オンライン

 アメリカ・ロサンゼルスで開催中の“E3 2014”で初公開となったiOS/Android用アプリ『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』。この記事では、本作のプロデューサーを務める間一朗氏へのインタビューをお届けする。

『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』

 本作は、1997年にプレイステーションで発売された『ファイナルファンタジーVII(FFVII)』でプレイ可能だったミニゲーム“Gバイク”を、現代技術により完全新作としてよみがえらせたレースゲーム。バイクにまたがったクラウドを操作し、手に汗握るチェイスバトルを楽しめる他、育成要素やアイテムコレクション要素などが搭載され、やり込み性が大幅に充実した内容となる。また、サイバーコネクトツーが制作に協力しているとのこと。

『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』 『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』

■タッチパネルの操作でも爽快感を得るためには

――本作のゲーム性そのものは、『FFVII』の中にふくまれていたミニゲームと同じなのでしょうか。

 もとのミニゲームで味わえるチェイスの爽快感は損なわずに、むしろさらにパワーアップさせたものにしたいと思っています。

――ゲーム内のミニゲームそのものをアプリとしてリリースするきっかけとはなんだったのでしょう。

 かかわっている人間は大勢いますので、それぞれの思惑はあると思います。ただ自分は、『FFVII』にかかわるもので何かを絶対に制作したいと考えていました。『シアトリズム』や『ピクトロジカ』など『FF』シリーズの派生作品を預かっていますが、『FFVII』のキャラクターを登場させた時のユーザーからの反響はとても大きいんですよね。そこで橋本真司に相談したところ、このアプリに行き着きました。

――もともとがゲーム内ゲームであるため、単体の作品として制作しやすいといった面はあるのでしょうか。

 初めはその気持ちがあったのですが、いざ取り掛かってみるとまったくそんなことはありませんでした。

 改めて、コントローラの偉大さを感じましたね。コントローラであれば、移動しながら攻撃するといった操作を容易く行えます。スマートフォンというフォーマットを選んだ以上、タッチパネルでの操作がメインとなります。しかし、タッチのみの操作でアクション性と操作性を両立させることはなかなか難しく……。ただ、実際に苦労しているのは開発を担当しているサイバーコネクトツーさんですが(笑)。

 「爽快なチェイスを楽しめるものにしたい」というこちらの提案を、彼らがいろいろな形で実現しようとしてくれています。チェイスの爽快さという要素を分解し、それをまた組み上げる点には、だいぶ苦労していると思います。

――原作中のようなシンプルさだけではなく、それ以外の要素は存在するのでしょうか。

 爽快感というのはあくまで最低限必要なものであって、本作単体で成立するものを目指しています。マテリアや武器、モンスターの種類の他、キャラクターの成長要素など、原作のミニゲームにはなかったシステムを搭載しています。マテリアが登場するということは、もちろん魔法もいろいろな種類が存在するということです。

 また『シアトリズム』でもそうですが、“『FF』シリーズらしさ”を盛り込むことを非常に重視しています。本作でも、テンポ感を損なわない限りは『FFVII』らしい要素を入れられるだけ盛り込むようにしています。

『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』

■野村哲也氏も信頼するサイバーコネクトツーの開発

――E3 2014の会場では大画面で本作の動画が公開されていましたが、あんなに大きな画面でもキレイに表示されていることに驚きました。描画クオリティも重視されているのでしょうか。

 大画面で見るとかっこいいなと、改めて見て自分もちょっとびっくりしました(笑)。描画クオリティについても、サイバーコネクトツーさんがしっかりと制作してくれています。

 大切なのは画の美しさだけではありませんが、今まで彼らが手掛けてきたタイトルを見て、“見せる”ということに対して強いこだわりがあるように感じます。ですから、彼らのそういった一面があの映像には表れているのだと思います。

――演出も凝っていますよね。

 それこそ、彼らの強みの部分ではないでしょうか。字コンテや絵コンテをもらってよし悪しを話し合う相手ではないので、彼らに任せて組みあがったものを見て、カッコイイかどうかを対話させていただいています。

 サイバーコネクトツーさんは、こちらから細々と指示する相手ではないと思っているんです。下請けとクライアントという関係性ではなくて、社内のチームとタイトルを作り上げている感覚です。“お任せ”と言ってしまうとさすがに行き過ぎな感じはありますが、1つのクリエイティブ集団として、安心して一緒に仕事をしています。

 本作は彼らの持ち味を最大限に生かしたうえで、そこに『FFVII』の要素を盛り込んでもらっている感じですね。

――サイバーコネクトツーは、『FFVII』をよく理解していると感じますか?

 そうですね。よく原作を知ってくれていますし、そもそも好きでいてくれています。すごく勉強熱心な方たちなので、いろいろと見て聞いて、さらにそこから理解を深めようとしてくれています。

――そもそも、サイバーコネクトツーに開発を依頼した経緯はどのようなものだったのでしょうか。

 単純に言ってしまうと、もともとすごく仲がいいんです(笑)。それを置いておいても、外の会社に仕事を依頼しようとなった時、実は野村哲也からも一番最初に名前が出てくるのがサイバーコネクトツーさんなんです。いろいろと機会がなかったために今回が初めてとなりますが、彼らと一緒に仕事を組むのは10~15年越しに実現したことなんです。

[動画]『FINAL FANTASY VII G-BIKE』スペシャルトレーラー

■ストーリーは? クラウド以外のキャラクターは?

――ゲーム性としては、コースの走行中に敵が並走してきたり、ボスが出てきたり……。次々と迫る敵を武器や魔法で倒しながら駆け抜けるというのが大まかな流れになるのでしょうか。

 エンドレスランのシステムにはしないつもりでいます。ある程度決められたコースを、どれだけうまく、どれだけ美しく疾走できるかというものになる予定です。実を言うと、まだこの部分ははっきりと決まっているものではないんです。

 1つ1つコースを作って敵を配置したとしても、楽しみ方は1種類だけではないと思っています。単純に言うと、“○体の敵を倒す”や“ボスを倒す”という目的もゲームの楽しみ方の1つですし、“できるだけ早くクリアする”、“できるだけダメージを受けずにクリアする”といった要素もゲーム性の中には必要です。

――ストーリーがあるのか、ステージ進行型なのかなど、気になるところはたくさんあります。

 ストーリーは、こちらからサイバーコネクトツーさんにお願いして用意していません。テンポ感に影響してしまうという理由もありますが、仮に『FFVII』のストーリーを僕がテキストベースで表現しようとしても、そんなもので“あの『FFVII』”の魅力を伝えることはできないと思います。

 ですので、ストーリーをきちんと重視したタイトルを作るとなったら、本作のような作り方にはしません。今回は多くの人が持っているデバイスで、『FFVII』に取っ掛かりだけでも興味を持ってもらいたいという気持ちが大きくあります。

――あくまで本作では、バイクで走る爽快感を楽しんでもらいつつ、その中で『FFVII』の世界に触れてもらいたいということですね。

 そうですね。『FFVII』のプレイヤーには、懐かしさや懐古を絶対に味わってもらえると思います。そして『FFVII』を知らないユーザーには、チェイスのアクションのおもしろさが本編をプレイするきっかけになってもらえればいいと思っています。

――ストーリーがないとしても、クラウド以外のキャラクターが登場する予定はありますか?

 それはもちろん、こちらからオーダーとしてサイバーコネクトツーさんに提出しています。ストーリー以外で、『FFVII』を味わい尽くせる要素は多く取り入れるつもりです。キャラクターはそれの最たるものですからね。

――他のキャラクターは、例えばクラウドの援護などといった形で登場するのでしょうか。

 僕もそういった形でオーダーしていますが、それを受けて彼らがどのようにキャラクターを取り入れていくかはまだわかりません。自分もそれが本当に楽しみなんですよ。

――他に本作へかかわっているスタッフはどなたかいらっしゃいますか?

 最初に橋本に相談した流れで、北瀬佳範にも意見をもらっていますし、デザイン周りは野村に見てもらっています。『FFVII』に携わっていたメンバーにできるだけ参加してもらい、話を聞きながら制作しています。

――『FFVII』ファンとしては、音楽も気になるところだと思います。

 『シアトリズム』をリリースしておいて「今回の曲は別なんです」というのも違うでしょう(笑)。現時点できちんと植松信夫さんにお話はしていませんが、もちろん原作の懐かしい名曲を使わせてもらいたいと思っています。

――もしかしたら新しいアレンジ曲がリリースされることが……?

 ことによっては……。でもそれはそれで、また別のお願いをしないといけませんが(笑)。

『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』

■基本プレイ無料でリリースする理由

――開発の進行度は現時点でどのくらいですか?

 パーセンテージで表すのは難しいですが、開発を始めてからまだ1年も経っていないくらいですね。ただこういった作品は、「鉄は熱いうちに打て」ではないですが、あまり時間を掛けると“おもしろさ”が作り手の中でわからなくなってしまうと思っています。

 まだゲームの仕様をきっちりとお伝えできるところまでは至っていませんが、満足いくところまでできるだけ早く仕上げて、お届けしたいと思っています。

――ある程度、実際にプレイできるところまではできあがっているのでしょうか。

 今はちょうど、刻々と仕様が変わっていく段階でもあるので、遊べるものではありますが、まだそれが固まっている段階ではありませんね。

――価格は売り切りのものになるのでしょうか。

 いえ、Free to Play(基本プレイ無料)にするつもりです。モバイルアプリにおいてのF2Pタイトルは、誰にとっても一番触れやすいものですよね。とにかくいろいろな人にまずは味わっていただきたいと思ったんです。

――課金要素については、まだ未確定でしょうか。

 当然、制作していく中で平行して考えていかなければいけない部分ではありますが、今の時点で決定はしていません。ただ、『ピクトロジカ』が顕著ではあると思いますが、課金しなければ楽しめないという作りには絶対にしません。

――本作は今回のE3で初披露となりましたが、今後どのようなリリース展開をされる予定でしょうか。

 一度世に出したからには、他のF2Pタイトル同様にどんどんバージョンアップをかけていく予定です。この1本で、できるだけ長く遊んでもらえるタイトルにするつもりです。

――ちなみに、海外での展開はありますか?

 本作はE3で初公開となりましたが、現在海外での展開は決定していません。まずは日本国内ですね。できるだけ早く海外でもリリースしたいとは思っていますが、残念ながら今はまだお約束できる段階ではありません。

――『FFVII』のファンに向けて、そして『FFVII』をプレイしたことがないユーザーに向けてコメントをいただけますか?

 『FF』シリーズをいろいろ手掛けてきた中で腹が決まってきた部分もありますが、シリーズの中でも『FFVII』はとても特別なタイトルだということを、我々もわかって制作しています。ですから、絶対に「こんなのは違う」というものにはしません。爽快さや懐かしさなど、プレイすることでいろいろな感情が湧き上がってくるようなものに仕上げますので、ファンの方はぜひ楽しみにしていてください。

 『FFVII』を知らないという方には、とりあえず遊んでみていただきたいです。このタイトルは『FFVII』のカケラをいろいろと詰め込んだものですが、原作という大きなものは別のものとして存在します。ぜひその原作も合わせて楽しんでいただきたいですね。

『FINAL FANTASY VII G-BIKE(ファイナルファンタジーVII Gバイク)』

(C)1997,2014 SQUARE ENIX CO., LTD.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA

データ

▼『ファイナルファンタジーVII Gバイク』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応端末:iOS/Android
■ジャンル:アクション
■配信日:2014年秋
■価格:基本無料/アイテム課金

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