2014年6月14日(土)
現在放送中のTVアニメ『エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~』。本作を手がけるアニメプロデューサーのコラム第9回を掲載する。
【ライタープロフィール】高篠秀一(タカシノ・シュウイチ)
創通所属のプロデューサー。テレビの前でウルトラオレンジをリアルタイムで振ってみて、こういうアニメの楽しみ方もあるよねと感じるアラフォー独身。
こんにちは、タカシノPです。なんと気がついたら世の中がワールドカップ一色になっていて驚きです。毎日バタバタすぎて、まったく世の中の流れについていけていませんが皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は第9話についてのお話です。“エスカの夢”である未踏遺跡への挑戦がいよいよ始まるというのが今回のお話でした。今回のアニメ用のお話を作っていくうえで、一番初期に話し合ったのが、エスカがどんなモチベーション、目的を持ってシリーズを通して動いていくのか、という点でした。
ロジーには自分のトラウマからの回復、というテーマがメインのストーリーとなっているところがある半面、エスカは“人の役に立ちたい”という思いが根底にあるものの、例えば前作の主人公アーシャのように“ニオを助けたい”というような、具体的な目的を最初は持っていません。ストーリーが進むにつれて未踏遺跡の謎をめぐる話がモチベーションになっていきますが、最初は“達成すべき何か”を持たない主人公でした。
そこで、コルセイトの“街”が持っていた夢である未踏遺跡への到達、という部分と、エスカの目的をシンクロさせていくことにしました。“未踏遺跡へ行きたい”という夢は、一体何がそこにあるのかわからない以上、ちょっと漠然とした目的かもしれません。
ただこれにより、エスカのキャラクター自体が、未知なるものへ好奇心を強く持った、「何でもチャレンジしよう!」という気持ち、底抜けな明るさと前向きさが強くなった感じがしています。
アニメ版『エスカ&ロジー』で目指してきたものは、あくまで原作のストーリーを下敷きに、原作とは違った目線からストーリーを追いかけていくつくりを心がけていますが、プレイヤーがモチベーションを持ってストーリーを進めなければならないゲームと、キャラクターが進めなければならないアニメ。なかなかそれをうまく表現するのは難しいですね。
いよいよエスカの夢、ロジーの夢、色んな人の夢を背負って、物語はクライマックスへと進んでいきます。物語も制作現場もクライマックスです。皆様最後までお付き合いいただけますと幸いです。
では今週の制作現場です。
深夜の制作スタジオ。非常にクライマックス感が出ています……。
スタジオの中にはキャストの皆さんのサイン入りのポスターが!
今回はデューク・コルランドの熱い友情話。現役時代のエピソードと、今も変わらぬ体力のエピソードでしたが……。こうやって過去の回想シーンを見ていると、「討伐班って、どんだけ危険な任務をしてるの?」ってくらいの武闘派なんですよね。「あの、ゲーム違いません?」ってくらいに。未踏遺跡に行く理由も、魔物と戦いたいっていう結構物騒なセリフを言い放っておりまして、おっさん2人のハチャメチャさ加減を今回は堪能していただきたいと思います。
さて、今回のベストシーンを紹介します! 謎の少女、フラメウの人を嫌う理由にしんみり。「我慢できない、裏切る、嘘をつく、やると言ってやらない、決められない、手を取り合えない、頑張らない」 ああー。生きてりゃねー。そういうこともあるよねー。そんなことあると、人間嫌になるよなーって妙に思っちゃったりします。うむ、頑張って生きねば!
■TVアニメ『エスカ&ロジーのアトリエ』&ゲーム『シャリーのアトリエ』“りえしょんのアトリエしょん ~5たる目~”
【配信日時】2014年6月26日 21:00~
【番組ページ】http://live.nicovideo.jp/watch/lv181569613
【番組内容】
・アニメ『エスカ&ロジーのアトリエ』紹介コーナー
・ゲーム『シャリーのアトリエ』紹介コーナー
・俺達のロジーさんの出番を増やそう!のコーナー
・りえしょんのアトリエしょんのいんふぉめーしょん
など
【出演】(※敬称略、出演予定)
村川梨衣(エスカ役/『エスカ&ロジーのアトリエ』)
本多真梨子(ルシル役/『エスカ&ロジーのアトリエ』)
山村響(クローネ役/『エスカ&ロジーのアトリエ』)
喜多丘千陽(スレイア役/『エスカ&ロジーのアトリエ』)
岡村佳人(『アトリエ』シリーズディレクター)
(C)ガスト/エスカ&ロジーのアトリエ製作委員会
データ