2014年7月4日(金)
皆さん、こんにちは。ライターのカワカミ雁々です。6月26日に最新ブースターパック第4章『蒼空の変転世界』が発売された『アンジュ・ヴィエルジュ(以下、アンジュ)』。全国のαドライバーの皆さんは、7月には東京で、8月には大阪で開催される公式イベント“サマーカップ”に向けて、チームを組む仲間とともに特訓の日々を送っているのではないでしょうか。
ここでは、現在絶賛発売中の『蒼空の変転世界』について、前回の対戦編に続き、本作の荒井プロデューサーと大和田プロデューサーにインタビューを行ったので、その模様をお届けしていきます。『蒼空の変転世界』の開発経緯やオススメカードについて聞いてきましたので、デッキ構築の参考などにしてもらえれば幸いです。それではさっそくどうぞ!
――『蒼空の変転世界』のコンセプトを教えてください。
荒井さん:『青蘭の聖少女』から『絶対進化の切札たち』にかけてはパワーやストライクといった、いわばカードをパラメータ面で強化するものがゲームの中心になっていました。
しかし『蒼空の変転世界』では単純な攻撃性能だけでなく、盤面の整備や各種のアドバンテージを重視したカードを意識して収録しました。それによって、これまでとは少し対戦の軸が変わるのではないかと思っています。そのなかでも象徴的なのが新能力の“オルタネイト”ですね。
――シフトの際に元いたプログレスを回収できる“オルタネイト”ですが、ゲームではどんな働きをするのでしょうか?
荒井さん:まず単純に、シフトした時に手札が減らないことがメリットですね。例えば、フル展開してアタックしたけど相手に凌がれて、返しのターンにピンチという状況でも“オルタネイト”で手札を維持していればガードで何とか耐えることができるかもしれません。
また、一度出したプログレスを移動させられるのは、これまで《太陽の下 ルーナ・ルナ》だけでした。しかし“オルタネイト”を使えば、戻したプログレスを再展開することで、アタックの通りやすい配置を相手の動きに合わせて作ることができます。プログレスを出す時だけでなく、出した後でも配置を変更できるので、有効なフォーメーションを考えながら戦えるわけです。ガードの強化と配置変更による間接的な盤面の強化、これが“オルタネイト”によってもたらされるものですね。
大和田さん:それと『絶対進化の切札たち』のメインヒロイン達のように、登場ターン限定の能力を持ったカードを再利用できるのも“オルタネイト”のポイントです。ゲームの序盤でも、たとえば《オペレーター システム=NPゼシカ》を戻すことで展開力を上げることもできます。レベル3の“オルタネイト”持ちと《オペレーター システム=NPゼシカ》の組み合わせは強いので一度試してみてほしいです。
荒井さん:《オペレーター システム=NPゼシカ》と“オルタネイト”の組み合わせは、カードゲーム的というか“テクい”動きですね(笑)。
――“オルタネイト”以外では、レベル3プログレスの充実とブーストカードの性能が目を引きました。これらはどういった狙いで収録されたのでしょうか。
荒井さん:これまでは、レベル2プログレスからレベル4プログレスにシフトするというのが一つのセオリーでした。さらにレベル2プログレスには《誓いの女神 ユラ》や《薔薇園の主 リゼリッタ》などのサポートもあってデッキに投入しやすく、それに比べるとレベル3はすこし地味だったかなと認識しています。
なので、今回そのセオリーをいじってみる目的で様々なレベル3のプログレスを投入しました。なかでも《眠れる黙示録 テオドーチェ》などの、登場時にもう1枚レベル3プログレスを出せるサイクルには注目してほしいですね。
荒井さん:これらのカードは後手で強く、1ターン目にレベル3プログレスを2枚並べられるので、攻撃的なデッキに先手を取られてしまった時も十分に巻き返すことができます。もちろん先手の時でも、1ターン目に出したプログレスからシフトすることで効率よくプログレスを配置できます。
また、この能力で出たプログレスはシフトしたわけではないので、そのターン中にさらにシフトできることも覚えておいてください。例えば先手の2ターン目で、前のターンに出したレベル2プログレスからシフトして《眠れる黙示録 テオドーチェ》を出し、能力でもう1枚レベル3のプログレスを出した時に、そのプログレスをすぐにレベル4のプログレスにシフトすることができます。
それだけでもなかなか強力ですが、ここでさらにレベル4で“オルタネイト”を持つプログレスにシフトすれば、手札を維持したまま強固な盤面を作れます。この動きは非常に強力なのでオススメですよ。
大和田さん:『少女たちの休日』でレベル3の“エース”も登場しているので、それらを使ったレベル3デッキのようなものも今後登場するのでは、と期待しています。
――続いてブーストカードについてお話しいただけますか。
荒井さん:ブーストカードについては、これまでと方向性の異なるデザインにしてみました。これまでのブーストカードはゲームを決めるためのカードでしたが、『蒼空の変転世界』のブーストカードは青ならドロー、白ならダメージ回復のように、次のターンを見越した“つなぎ役”の役割を持っています。
荒井さん:『蒼空の変転世界』以降の環境では“オルタネイト”によって全体的に防御面が強化され、これまでのゲームよりも少し決着までのターンが長くなるのではないかと思っています。
そこでブーストカードにトドメ以外の役割を与えてみました。ゲーム中盤に出してダメージを稼ぎつつ、何らかのアドバンテージも得て、さらにゾーンを空けることで相手の主力プログレスのリンクを封じるといった使い方ができるのではないでしょうか。
大和田さん:ちなみに『蒼空の変転世界』には同名キャラクターのブーストカードをサーチできるレベル3プログレスのサイクルも登場しています。このレベル3からレベル5のブーストへつなぐデッキを考えてみてほしいですね。
――両プロデューサーの『蒼空の変転世界』イチオシのカードはどれでしょうか?
荒井さん:先ほどの《眠れる黙示録 テオドーチェ》のような、レベル0を参照するレベル3はまず使ってみてほしいですが、それ以外では“奇跡”を持つレベル2プログレスがオススメですね。
荒井さん:『蒼空の変転世界』は『アンジュ』の1年目を締めくくるセットなので、過去弾の能力が再登場させることが決まっていました。そこで“奇跡”をレベル2プログレスに持たせてみましたが、これが結構強くて(笑)。リンク判定時に7枚めくれるのもいいし、リンク成功時のパワーが12000あるというのも強力ですね。
大和田さん:これでレベル2枠はまた激戦区になりましたね。“奇跡”持ちは入れたいし“エース”も入れたい、高レベルプログレスがいるとレベル3になる子も入れたいし(笑)。Σデッキなら《薔薇園の主 リゼリッタ》などでサーチできるので枚数を散らして投入できるのですが、非常に悩みますね。
荒井さん:こういう風に悩みながらデッキをチューンしていくのもTCGの醍醐味の1つですから、大いに悩んでほしいですね。
――他にもオススメのカードを教えてください?
荒井さん:混合フレームを持つレベル4のプログレスもオススメです。
荒井さん:《闇裂く紫刃 カーリー》はパワー強化・ストライク上昇・手札破壊と3つも効果を持っていますし、《予兆の女神 プルエーコ》は捨て札を回収しつつ、ゾーンにもプログレスを出すという大盤振る舞いぶりです。どれも過去の強力なカード経ちに負けないパワーを持ったカードだと思いますね。なんというか、限界に挑戦してみました(笑)。
――『少女たちの休日』などにもあった、混合フレームデッキ支援のカードということなのでしょうか。
荒井さん:これまでも混合フレームを推すようなカードを作ってきましたが、まだ混合フレームのデッキはユーザーさんにちょっと避けられる傾向があるようです。しかし、混合フレームデッキは投入できるカードの幅が増え、非常に楽しいのでぜひとも遊んでみてほしいです。なので、今回は少しはっちゃけて混合フレームのカードを作ってみました。
――「はっちゃけた」という自覚はあるのですね(笑)。
荒井さん:はい。カードのデザイナーさんも「ギリギリの所を攻めました」と言っていたくらいなので、お墨付きです(笑)。
――SRカードのオススメはありますか?
荒井さん:《コードΩ52テルル マキシマムモード》ですね。
荒井さん:TCGのお約束で「テキストの短いカードは強い」というのがありますが、このカードもそれを体現しているのではないでしょうか。非常に潔いカードだと思います。こういうシンプルなカードが強いというのも、遊びやすさを1つのテーマにしている『アンジュ』らしい部分だなと感じています。また、相手ターンの終わりまでパワー強化が継続するのは白の特徴ですが、ここまで高い水準のものは初めてなのではないでしょうか。
大和田さん:パワー16000は《一騎刀千 御影葵》や《呪われし指先 イレーネス》をシャットアウトできます。ガード1枚使えばブーストカードのアタックすら防げるようになりますから、これは相当頼もしいお姉ちゃんですよね。
――では続いて、大和田さんはオススメのSRなどありますか。
大和田さん:私は《蒼き銃士 那月琉花》や《真理の黒魔女 ソフィーナ》などのリンク時の効果を選べる子がオススメで、特に《蒼き銃士 那月琉花》が好きですね。
大和田さん:手札を増やすか、リンクを増やすかという能力の柔軟性という点も魅力ですが、αドライバーであるプレイヤーや、ほかのプログレスをサポートする効果が『アンジュ』のキーワードの1つである「他者とのつながり・リンク」を感じさせるのがいいです。
あとは《大いなる海 ユーリン=シイク》にも注目していますよ。“オルタネイト”でプログレスを回収しつつ、さらに能力で山札から直接プログレスを出せるので、手札を減らさずに戦力を展開していくことができます。リンク条件はΩが濃いですが、フレーム数は4/7でいいので、リメイク前でもそれなりに成功するのがいいですね。
荒井さん:ちなみに《大いなる海 ユーリン=シイク》はレベル1だけ眼鏡をかけています。これでついに、オール眼鏡デッキが完成します(笑)
――まさか、そのためにレベル1に眼鏡をかけさせたのですか?
荒井さん:いや、彼女は普段は眼鏡かけてないけど、本を読む時だけ眼鏡をかけるという設定です。僕がそういう設定好きなので。
大和田さん:結局、個人的な理由じゃないですか…(笑)
――7月20日には東京で、8月24日には大阪で“サマーカップ2014”が開催されますが、ここではどんなイベントが用意されているのでしょうか。
大和田さん:まずは相坂優歌さん、石原舞さん、高橋李依さんの3人がL.I.N.K.sとして“エクシーズバトル”に参加します。新メンバーの高橋さんはまったくのTCG初心者なのですが、私たちや相坂さんたちによる特訓でどこまで上達しているのか注目していただければと思います。
荒井さん:チームとして“勝ち越し”を目標にチャレンジしてもらう予定ですね。また不慣れな高橋さんを、残る2人がどれだけサポートできるかというところでしょう。
L.I.N.K.sはチャレンジをテーマにしたユニットですが、今回は高橋さんによる「TCGにチャレンジ」ということですね。当日L.I.N.K.sとマッチングされたチームの方は、全力でかかってやってください! ちなみに、目標が達成できなかったら罰ゲームもある……のかな? 提案してみよう(笑)。
大和田さん:さらに“エクシーズバトル”だけでなく、L.I.N.K.sが『アンジュ・ヴィエルジュ』の新しい主題歌を歌うミニライブも開かれるので、こちらもお楽しみいただければと思います。
――L.I.N.K.sの皆さんが『アンジュ』をやっているのはもう皆さん目にされていると思いますが、ライブは初めてということで盛り上がりそうですね。
大和田さん:私も楽しみにしています。また、それ以外にもイラストレーターさんによるサイン会を開催します。東京会場では《蒼き銃士 那月琉花》のイラストを担当されている菊池政治さんが、大阪では《コードΣ52テルル マキシマムモード》のイラストを担当されているNidy-2D-さんが来場されますので、こちらもファンの方にはぜひご参加いただきたいですね。
――東京でのサマーカップ後、大阪での開催前に『オールスターデッキ』が発売されますね。
荒井さん:はい。《魔石を詠む者 オリヴィア》や《オペレーター システム=NPゼシカ》、《整備士 エルセア=エコルダ》といった人気カードが一部新規描き下ろしで収録されるほか、限定PRカードや第5章からの先行収録カードなども入った、初心者の方はもちろん『アンジュ』で長く遊んでいる方も楽しめるものになったと思います。
大和田さん:夏がテーマということで新規描き下ろしカードは全てプログレスの水着姿になっています。イラストレーターさん入魂のイラストも楽しんでもらいたいですね。
――これ、ユーフィリアがかなり刺激的な恰好していますよね。初めて見た時はドキッとしました。
荒井さん:これでも、最初のイラストから水着の面積は増えているのですよ。最初はもっときわどかった(笑)。きっと、アンドロイドだからあんまり羞恥心がないのですよ。
大和田さん:また新たな設定が!?
荒井さん:いや、あるのかな(笑)。イラストの面でも、これから『アンジュ』を始めようという方がスタートをするためのアイテムとしてもしっかり作りこんであるので、ぜひ手に取っていただきたいですね。
また、このスターターが発売される8月7日から“ウェルカムフェア”として、さまざまなイベントを開催する予定です。全国で体験会やミニ大会を開くので、お近くの会場に足を運んでいただければと思います。
大和田さん:こちらも開催店舗さんやスケジュールの詳細については、公式サイトにてチェックいただければと思います。
――この夏もイベント目白押しでとても楽しめそうですね。それでは最後に一言、読者の方へメッセージをいただけますか。
荒井さん:第4章『蒼空の変転世界』も無事発売となりました。これまでの『アンジュ』とは、また一味違った楽しみ方ができるセットになっていると思うので、プレイして『アンジュ』の新しい魅力を感じていただければ幸いです。これまで常識だったプレイングやデッキ構築をもう一度考え直してみるのもいいのではないしょうか。
デッキの組み方や注目のカードなどについては、公式サイトやブログなどで積極的に情報発信していくので、それを見ながら思い思いのデッキを組んで遊んでもらえればうれしいです。
大和田さん:『蒼空の変転世界』では、アプリ『第2風紀委員ガールズバトル』のキャラクターが参戦しています。これまでTCGのみ遊んでいたという方はこの機会にアプリを、逆にアプリを遊んでいた方はぜひTCGの『アンジュ』も楽しんでもらえればと思います!
――ありがとうございました。
というわけで、荒井・大和田両プロデューサーへのインタビューをご覧いただきました。これからの『アンジュ』は1周年に向けてイベント盛りだくさんということになりそうで、とっても楽しみですね。
“サマーカップ”ではメインイベントとなる“エクシーズバトル”に参加しない方も、ライブや1対1でゲームができる“ブルーミングバトルコロシアム”といったたくさんのサイドイベントが用意されているので、ぜひ会場に足を運んでみてください。まだ『アンジュ』で遊んだことがないという方も、初心者講習会である「体験入学」コーナーがあるので安心ですよ。
そして8月7日にはオールスターデッキ2種が発売されます。採用率の高いカードが再録されており、インタビュー中にもありましたが初心者からベテランプレイヤーまで誰にもうれしいセットになっています。こちらもぜひゲットしてくださいね!
電撃オンラインでは、今後も『アンジュ』の最新情報や対戦レポート、今回のようなインタビューといったさまざまな記事を掲載していく予定ですので、そちらも楽しみにしていただければと思います。
(C)Ange Project