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2014年7月21日(月)

『街コロ』を制作者の菅沼正夫さんとプレイ! 手軽に街づくりが楽しめるダイスゲーム【アナログゲームでガチバトル!】

文:梅津爆発

 アナログゲームの制作者と、その人が作ったゲームを一緒に遊んで戦略やテクニックを勉強させていただく企画“アナログゲームでガチバトル!”

 第2回で取り上げるゲームは、Xbox Oneのローンチタイトル『Crimson Dragon(クリムゾンドラゴン)』や、クラブニンテンドーの『任天童子』を開発したグランディングの街づくりダイスゲーム『街コロ』です。海外8カ国での発売が決定し、6月には拡張セット第2弾の『街コロシャープ』も発売され、ますます広がっていく本作を、ゲームデザイン担当の菅沼正夫さんと遊ばせていただきました!!(※リプレイ中は敬称略)

『街コロ』
▲菅沼正夫さん

【リプレイ参加者(敬称略)】

菅沼正夫:グランディングのチーフゲームデザイナー。Xboxの『ファントムダスト』や3DSの『任天童子』など、アナログゲームテイストの強いコンシューマゲームを世に送り出してきた。『街コロ』ではゲームデザインを担当。

松尾一樹:グランディングのゲームデザイナー。『Crimson Dragon(クリムゾンドラゴン)』のレベルデザインなどを担当。

実広貴章:グランディングのシニアプランナー。近日発表のスマホ向けゲームを企画。アナログゲームが大好きで、チャンスがあれば作ってみたいとのこと。

梅津爆発:アナログゲームをこよなく愛するフリーランスの編集者。最近は『アサラ』『名もなき魔王』などをプレイ。このリプレイは梅津爆発の視点で書かれています。

『街コロ』
▲『街コロ』、『街コロプラス』、『街コロシャープ』のパッケージ画像。

■ルール説明

菅沼:『街コロ』は自分の街を発展させていくゲームです。手番プレイヤーはサイコロを振り、出目に対応した施設から収入を獲得。その後、費用を払って1件だけ施設の建設ができます。これを順番に繰り返して収入を増やし、最終的に4つのランドマーク(駅、ショッピングモール、遊園地、電波塔)を最初に完成させたプレイヤーの勝ちになります。

『街コロ』
▲建てられる施設は『街コロ』の15種類+『街コロシャープ』の13種類で合計28種類! コインが足りていてカードが品切れじゃなければ、最初から好きなものを建てることができる。

爆発:カードの色にはどんな意味があるのでしょうか?

菅沼:カードには青、緑、赤、紫の4種類があり、それぞれ次のような意味があります。

『街コロ』
▲青のカードは主に第一次産業を表し、誰のターンでも効果が発生。
『街コロ』
▲緑のカードは主に商店・工場・市場を表し、自分のターンだけで効果が発生。
『街コロ』
▲赤のカードは主に飲食店を表し、出目を出したプレイヤーからコインを奪える。
『街コロ』
▲紫のカードは主に大規模な施設を表し、自分のターンだけで効果が発生。主に他のプレイヤーを妨害することができる。また紫のみ、同じ施設は1件しか建設できない。

菅沼:なお勝利条件にもなっている4つのランドマークにも、それぞれ効果が設定されています。建設後は効果が常に発生します。

『街コロ』
▲ランドマークは最初はすべて裏面で置き、建設したら表に返して効果を発生させます。

菅沼:またカードには施設のタイプを示すアイコンが描かれていて、対応するタイプの施設が多いほど効果が高くなるコンボがいろいろ用意されています。コンボを意識して建設する建物を選ぶことが、勝利のカギですね。

『街コロ』
▲牛のアイコンが付いた“牧場”を集めると、“チーズ工場”の収入がグングン上昇! このようなコンボが多数用意されている。

【街コロのルール要約】

(1)プレイ順を決め、初期施設の“麦畑”と“パン屋”、裏向きのランドマーク4種、3コインを受け取ってゲームスタート

(2)自分のターンがきたらサイコロを振り、出目に対応した施設の効果(主に収入)が発生

(3)続いて左下に書かれた費用を支払い、1件だけ新たな施設かランドマークの建設が可能

(4)左隣のプレイヤーにターンが移動

(5)(2)~(4)を繰り返し、ランドマーク4件を最初に完成させたプレイヤーの勝利

■序盤戦では“コーン畑”が大豊作に!!

爆発:今日は6月に発売されたばかりの拡張セット第2弾『街コロシャープ』を加えて、遊んでみたいと思います。『シャープ』はどんなコンセプトで作られたのでしょうか?

菅沼:『シャープ』は基本セットよりも少し複雑なルールを入れて、アナログゲームに慣れている人でも考える部分が多くなるようにしました。具体的には“建設済みランドマーク数で効果の有無が決まる施設”、”デメリットのある施設“、“対象の施設を休業中にして、1度だけ効果を無効にする施設”の3種類ですね。

爆発:基本セットだけで遊ぶより、他のプレイヤーを妨害しやすそうですね。各カードの具体的な効果はプレイしながら解説していただこうと思います。ではさっそく始めましょう!

全員:よろしくお願いします。

『街コロ』
▲初期状態は全員この形。“麦畑”は誰が1を出しても銀行から1コインもらえて、“パン屋”は自分で2か3を出すと銀行から1コインもらえる施設。

 ジャンケンにより“爆発→松尾→菅沼→実広”というプレイ順に決定。

爆発:では僕からですね。サイコロは……3で自分の“パン屋”から1コイン獲得。まだ強いカードがわからないので、とりあえず誰のターンでも効果がある“牧場”を建てます。

『街コロ』
▲“牧場”は、誰のターンでも2が出たら銀行から1コインもらう。

松尾:行きます。……サイコロは6で収入なしです。最初は“コーン畑”ですかね。

『街コロ』
▲“コーン畑”は建設済みランドマークが1件以下なら、誰のターンでも3か4が出たら銀行から1コインもらう。

菅沼:サイコロは……3ですね。“パン屋”で1コインもらいます。

松尾:“コーン畑”からさっそく1コインゲットです!

爆発:序盤は“コーン畑”が強そうですね。

菅沼:そうですね。圧倒的かもしれません。なので私も“コーン畑”を建てます(笑)。

実広:こちらは……6で、何もなし。“コーン畑”が多いので、出目3での収入を妨害するために“カフェ”を建てます。

『街コロ』
▲“カフェ”は、3を出したプレイヤーから1コイン奪える。

爆発:サイコロは2で2コインの収入。一手遅いですが、強そうなので“コーン畑”にします。

松尾:こちらは3が出ました。

実広:“カフェ”の効果で1コイン奪います!!

菅沼:効果の処理順ですが、最初に赤の施設を解決し、次に緑か青の施設をプレイヤーの自由に解決。最後に紫の施設の効果を解決します。

松尾:1コイン奪われた後、2コイン獲得で、3コイン払って“森林”を建てます。

『街コロ』
▲“森林”は、誰のターンでも5が出たら銀行から1コインもらう。

菅沼:3で1コイン渡して2コイン獲得。う~ん、ランドマークの“駅”を建てます。

実広:もう“駅”ですか?

菅沼:みんなと違うことをしようと思ってね。

『街コロ』
▲“駅”が建っていると、自分のターンでサイコロを2個同時に振ることが可能になる。

実広:4ですね。

爆発:“コーン畑”です!

松尾:同じく!

菅沼:こちらも!

実広:“コーン畑”やっぱり強いな~。僕も建てます。

爆発:4です。

全員:“コーン畑”です!

菅沼:みんな仲よく“コーン畑”ですね(笑)。

爆発:では、バランスよくいきたいので“森林”にします。

松尾:2です。

爆発:“牧場”で1コイン増えました。

菅沼:バランスいいですね。

松尾:迷いますが、“森林”にします。

実広:“家具工場”狙いますか。

『街コロ』
▲“家具工場”は、自分のターンで8が出たら、自分の歯車アイコン施設1件につき銀行から3コインもらう。“森林”と“鉱山”が該当。

菅沼:私は“駅”を建てているので、毎回サイコロを1個振るか2個振るか決めることができます。まだ1個でいいかな。……5です。

松尾:“森林”持ってます。

爆発:僕もいただきます。

菅沼:変わったことがやりたいので、“改装屋”にします。

『街コロ』
▲“改装屋”は、自分のターンで4が出たら、自分のランドマークを1つ建設前に戻して銀行から8コインもらう(可能なら必ず)。

菅沼:“改装屋”の効果が発生するとランドマーク1つが建設前に戻って1手遅れてしまうので、デメリットが大きい施設です。このような施設を他のプレイヤーに押し付ける効果を持つのが“引っ越し屋”ですね。

『街コロ』
▲“引っ越し屋”は、自分のターンで9か10が出たら、紫以外の施設1件を他のプレイヤーに渡して銀行から4コインもらう(必ず行う)。

実広:ランドマークが0なら“改装屋”の効果がないので、しばらく建てないようにしようかな? サイコロは……3で、“コーン畑”祭りですね。

菅沼:今日は“コンビニ”を建てる人がまだいないなぁ。

実広:そうですね。では“コンビニ”にしますか。自分のターンでしか効果はありませんが、1件で3コインは強力なので。

『街コロ』
▲“コンビニ”は、自分のターンで4が出たら、銀行から3コインもらう。

■銀行からの取り立てが厳しさを増す中盤戦!!

爆発:4巡目ですね。サイコロは……1。

松尾:1は今回初めてですね。

爆発:8コインもたまってました。

菅沼:それだけあれば何でも買えますよ。

爆発:う~ん、ランドマークの“駅”にしておきます。

松尾:6です。今回も“森林”で。

菅沼:3枚目か、順調だなぁ。私のサイコロは……5。う~ん、“貸金業”を建てて銀行から5コインもらいます。

『街コロ』
▲“貸金業”は、建設時に銀行から5コインもらう。しかし自分のターンで5か6が出たら、銀行に2コイン支払う。

実広:1です。僕も“駅”にしておきます。

爆発:サイコロは1個で6。何もなし。そろそろ“駅”が増えてきたので、サイコロ2個用の施設を建てますね。“ブドウ園”で。

『街コロ』
▲“ブドウ園”は、誰のターンでも7が出たら銀行から3コインもらう。

松尾:4です。コインが足りているので6コインの“スタジアム”を建てちゃいます。

『街コロ』
▲“スタジアム”は、自分のターンで6が出たら全員から2コインずつ奪える。

菅沼:6の施設は、サイコロ1個でも2個でもそれなりに出やすくて強いですよ。では2個振って……5。“貸金業”がさっそく発動しちゃいましたね……。建てるのは“引っ越し屋”で。

実広:まだ2個振ってもしょうがないので1個振りで……2。パン屋の収入をもらっても2コインしかないので、建てたいものが建てられません。う~ん“コーン畑”で。

爆発:2つ振って10で何も起こらず。“ブドウ園”2件目建てます。

松尾:1個振って5で“森林”から3コインもらいます。建てるのは6コインで“鉱山”。

『街コロ』
▲“鉱山”は、誰のターンでも9が出たら銀行から5コインもらう。

菅沼:2個振って6。また“貸金業”の支払いだ(笑)。残り3コインしかないですが、全部使って“ブドウ園”にします。

実広:1個で6が出て、収入もなければコインも0ですね。

菅沼:こんな時は0コインで建てられる“雑貨屋”ですね。“貸金業”と違ってデメリットは一切ないので。

実広:そうですね。では“雑貨屋”で。

『街コロ』
▲“雑貨屋”は建設済みランドマークが1件以下なら、自分のターンで2が出たときに銀行から2コインもらう。

爆発:2個で8は何もなし。“ブドウ園”とのコンボがある“ワイナリー”にします。

『街コロ』
▲“ワイナリー”は、自分のターンで9が出たら、銀行から自分の“ブドウ園”1件につき6コインもらって休業にする。

菅沼:もうそこまで行ってしまいましたか! これは早いですよ。9が出たらもう12コインもらえますからね。

松尾:5で“森林”から3コインもらい、さらに“森林”を建てます。

菅沼:2個振って6。また“貸金業”の支払い(笑)。ですがコイン0なので免除です。もうここまできたら“貸金業”もう1件建てちゃいます。

松尾:“貸金業”重ねますか!

実広:1個振って1で“麦畑”からの1コインのみ。厳しい……。

菅沼:いいのありますよ、“ITベンチャー”。

実広:“ITベンチャー”って1コインで建てられるんですね! ……あ~、でも1コインだと建てたターンにコインを乗せられないから止めときます。

『街コロ』
▲“ITベンチャー”は、自分のターン終了時に1コイン乗せることができる。自分のターンで10が出たら全員から乗っているコインと同額のコインを奪える。

菅沼:じゃあ“貸金業”かな?

実広:借りません! 地獄を見るような気がするので。

菅沼:私は既に地獄を見てますからね(笑)。

実広:だからイヤなので前回と同じ“雑貨屋”にしておきます。

【7巡目終了時点での途中経過】

『街コロ』
▲1番手の爆発はバランスよく建設しつつ、“ブドウ園”と“ワイナリー”で高収入も狙える。
『街コロ』
▲2番手の松尾は“森林”4枚がコンスタントにヒットし、建設費の高い“スタジアム”や“鉱山”をすでに建設している。
『街コロ』
▲3番手の菅沼は“改装屋”や“貸金業”といったデメリットのある施設を、“引っ越し屋”でほかのプレイヤーに渡すのが狙い。
『街コロ』
▲4番手の実広は“カフェ”と“コンビニ”があまり機能せず厳しい展開が続く。

■高収入施設の建設でゲームは一気に最終局面へ!!

爆発:8巡目に入りました。2個振って……7。“ブドウ園”で6コインゲットです! ありがとうございます!!

菅沼:私も“ブドウ園”で3コインいただきます!

爆発:合計9コインですが、今回も“ブドウ園”で。

松尾:1個振りで3。

実広:久しぶりに“カフェ”にお客さんが来てくれました!

松尾:1コインぐらい安いもんですよ(笑)。これ以上“ブドウ園”を爆発さんに建てられるとヤバそうなので“ブドウ園”を建てます。

菅沼:“家具工場”行かないの?

松尾:まだ行きません。

実広:もっと“森林”と“鉱山”を増やす気だ!!

菅沼:2個振って7。

爆発:ありがとうございます! “ブドウ園”で9コインです!!

菅沼:9コインですか! 爆発さん止めたいなぁ。では“清掃業”にします。

『街コロ』
▲“清掃業”は自分のターンで8が出たら、紫以外の施設を1種類選択して休業中にする。銀行から休業中にした施設数のコインをもらう。休業中の施設は目が出ても効果が起こらず、休業中が解除されるのみ。

爆発:“ブドウ園”を休業中にされたら痛いですね……。

菅沼:私も“ブドウ園”建ててるんですけど仕方ないですね!

実広:1個振りで1。またか(苦笑)。2コイン払って“青果市場”を建てます。

『街コロ』
▲“青果市場”は自分のターンで11か12が出たら、銀行から自分の作物アイコン施設1件につき2コインもらう。

爆発:2個振りで6。収入はないですが、“ブドウ園”でためたコインを使ってランドマークの“遊園地”を建てます。

『街コロ』
▲“遊園地”が建っていると、自分のターンでゾロ目を出したらもう一度自分のターンになる。

実広:もう16コインあるんですか。止められないなぁ。

松尾:1個振りで5。“森林”の収入で合計8コインになりました。う~ん、“鉱山”を建てます。

菅沼:2つ振って7。

爆発:9コインゲット!!

実広:爆発さんがヤバイな~。

菅沼:困ったなぁ。妨害系の施設を建てたいけど、13コインあるから……ランドマークの“ショッピングモール”で。

『街コロ』
▲“ショッピングモール”が建っていると、自分の飲食店アイコン施設と商店アイコン施設で得られるコインが1増える。

実広:2個振って……また7!!

爆発:2連続9コインゲット!!

実広:こっちは収入なしです……。これ以上取らせないためにも“ブドウ園”を建てます。

爆発:現在20コインです。2個振って……6。

菅沼:セーフセーフ。

松尾:ギリギリですね。

爆発:あと2コインあれば一番高いランドマークを建てられたんですが、仕方ないので“ショッピングモール”で。

菅沼:これでランドマーク3件目なのでリーチですね。あとは22コインの“電波塔”を建てたら爆発さんの勝利です。

『街コロ』
▲“電波塔”が建っていると、毎ターン一度だけサイコロを振りなおせる。

松尾:1個振りで3。

実広:“カフェ”です。1コインだけですが……。

松尾:どこにワナを仕掛けますかね。う~ん……“テレビ局”かな。

『街コロ』
▲“テレビ局”は自分のターンで6が出たら、任意のプレイヤー1人から5コインを奪う。

菅沼:そろそろ妨害系施設の出目が欲しいけど、2個振って……7だ。届いちゃいました?

爆発:まだですが、19コインなのでリーチですね。

菅沼:では奇跡を信じて2枚目の“引っ越し屋”を建てます。

実広:怖いですが2個振って……9。

松尾:“鉱山”2つで10コインです。やっと9出ましたよ。長かった……。

実広:建設するのは“リンゴ園”で。

『街コロ』
▲“リンゴ園”は誰のターンでも10が出たら、銀行から3コインもらう。

菅沼:これで終わっちゃうかな?

爆発:2個振って……10。残念ながら終わりません! コインは残しておきたいので、2コインで建設できる“青果市場”で。

菅沼:ここで6を出して妨害してもらいたいなぁ。

松尾:1個振って……3。6出ないかぁ。ここはもう“会員制BAR”しかないですね。

『街コロ』
▲“会員制BAR”は、12~14を出したプレイヤーの建設済みランドマークが3件以上なら、そのプレイヤーの持つすべてのコインを奪う。

菅沼:でたぁ(笑)。

松尾:確率は低くてもワナを張っておかないと逆転できないですからね。

爆発:13以上の出目って、どうやったら出るのでしょう?

菅沼:今回は出ないですね。13以上の出目は『街コロプラス』を入れたときに出る可能性があります。

松尾:だから爆発さんは12を出すと全額奪われます(笑)。

爆発:36分の1ですけど怖いな~(笑)。

菅沼:さあいきます。そろそろ9か10出て!

実広:2ですね。

菅沼:もう笑うしかない(笑)。一応“高級フレンチ”を建てておきます。

『街コロ』
▲“高級フレンチ”は、5を出したプレイヤーの建設済みランドマークが2件以上なら、そのプレイヤーから5コイン奪う。

実広:2個振りますが、7は出ないで……7。ダメだ(苦笑)。とりあえず“リンゴ園”で。

爆発:今ので27コインになりました。

菅沼:ということは、12の“会員制BAR”だけじゃなくて、5の“高級フレンチ”が出ても、まだ終わらないですね。私は“ショッピングモール”を建てているので6コイン奪えますから。

爆発:では振ります……10!! 何も効果は起こらず、22コイン払って“電波塔”を建てて終了です。

菅沼:お疲れ様でした。見事に逃げ切られましたね。

爆発:今回は7がちょっと出過ぎでしたね。

菅沼:いやいや、元々2個振ったら一番出やすい目ですから、順当な結果だと思います。こちらは一度も妨害できなかったなぁ。

実広:菅沼さんは妨害系の施設ばかり建ててあるんですけどね……。

爆発:今の試合、勝因はなんだったと思いますか? 勝った僕が聞くのもヘンな話ですが……。

菅沼:ムダなく必要な建物を次々と建設できたのが大きいと思います。建物のバランスもいいですし。ダイスゲームなのである程度は運に左右されますが、基本的にはムダな建設をせず、状況にあわせて最適な建物を建てていった人が勝ちやすくなっていますから。

『街コロ』
▲爆発の最終結果はこちら。ゲーム時間は20分ほど(説明の時間は除く)。効果がなくなった“コーン畑”は逆さまに置いてある。

爆発:今回は妨害が一度も発生しなかったことも大きかったですね。

菅沼:確率的に一度くらいは出てもよかったと思いますが、一度出たくらいじゃ、今回の爆発さんは止められなかった気もします。

爆発:松尾さんは“家具工場”狙いだったと思いますが。

松尾:後半から“家具工場”を建てていくつもりでしたが、爆発さんが早すぎて後手に回ってしまいました。

爆発:実広さんは何狙いだったのでしょう。

実広:途中から作物アイコンの建物ばかり狙ってました。そして“青果市場”で1件につき2コインもらうつもりでしたが、目が出なかったですね。

■『街コロ』誕生秘話や新作についてインタビュー!

爆発:『街コロ』のプレイ、ありがとうございました。では続いて『街コロ』についてのお話を伺わせてください。

菅沼:はい、よろしくお願いします。

爆発:グランディングさんはコンシューマゲームを作る会社ですが、なぜアナログゲームを作ることになったのでしょうか。

菅沼:他のインタビューでも答えたことがあるのですが、元々『街コロ』はデジタルゲームのための企画でした。それまでもデジタルのボードゲームを何作か開発していたんですよ。任天堂さんの『あそべる絵本 とびだスゴロク!』『あそべる絵本 マインド テン』などですね。

爆発:『任天童子』もカードゲーム系でしたね。

菅沼:そうですね。元々私はテクモにいて、最初はスーパーファミコンの『キャプテン翼』にかかわっていたんですよ。そのあと『モンスターファーム』をやって、次に『モンスターファーム バトルカード』というカードゲームを作りました。マイクロソフトに移ってからは『ファントムダスト』という、カードゲームっぽいリアルタイム対戦格闘みたいなゲームを作りました。だから元々、アナログゲーム風のデジタルゲームを作ることが多かったんです。

 『街コロ』も試作版を作っていろいろな人に遊んでもらって「おもしろいね」と言ってもらえたのですが、デジタルゲームで出すのには敷居があって。何か作る方法はないかと考えていたところ、同人でアナログゲームを出す人たちが増え始めたころで「同人でも出せるんだ」と。それで同人のアナログゲームの印刷で有名な萬印堂さんにお願いして『街コロ』をアナログゲームとして作り、アナログゲームイベントのゲームマーケットで出すことになりました。

爆発:最初に出されたのは『街コロ』と『ひつじがいっぴき』でしたね。

菅沼:はい。メインは『街コロ』だったのですが、せっかくゲームマーケットで出すなら他にも作ろうと。いくつかアナログゲームのアイデアがあったので、その中から『ひつじがいっぴき』にしました。

爆発:それが2年前ですね。では『街コロ』自体は、どのようなアイデアから生まれたゲームなのでしょうか。

菅沼:あまり具体的には覚えていないのですが、『ドミニオン』(デッキ構築型カードゲームというジャンルを作った、近年の大ヒット作)を遊んで衝撃を受けたんですね。「こんな切り口があったか!」みたいな。こんなゲームを作りたいという思いが根底にはありました。もう1つ、ダイスを使ったゲームを作りたいという思いもあったんです。この2つが重なった感じですかね。

爆発:ゲームのテーマが街の発展になった理由はなんでしょうか?

菅沼:『ドミニオン』のテーマは王国を発展させることですが、それがあまり前面には出てこないので、もっと発展させたことがわかりやすいゲームにしたいなと。このような考えが出発点で『街コロ』を作りました。

爆発:ダイスを振って、自分のリソース(資源)を増やすゲームなので、個人的には『カタンの開拓者たち』(1995年に発売され、今なお人気の高いドイツ製ボードゲーム)を思い出すのですが……。

菅沼:『カタン』はかなり遊びましたが、『街コロ』が『カタン』のプレイ感覚に近いという話は、発売されてから遊んだ方たちに言われて「なるほど」と気付いたくらいです。自分では『カタン』はまったく意識していませんでしたね。

爆発:それはおもしろいお話ですね。海外8カ国での発売が決まるなど、かなりヒットされたと思うのですが、御自身ではヒットの要因をどのように分析されていますか?

菅沼:やはり、弊社の堀田が描いたイラストがよかったのだと思います。海外展開する際は、向こうの好みに合わせて絵柄が変えられちゃうことが多いのですが、『街コロ』ではどの出版社さんも「この絵でいきましょう」と言ってくれましたから。

爆発:独特ですけど親しみやすい不思議な絵柄ですよね。

菅沼:あと海外、特にフランスの方が言っていたのですが「家族で遊べるゲームが欲しい」と。そういうゲームが少なかったところに『街コロ』を出せたのも大きかったのではないかと思います。『街コロ』はそれほど難しくないですから、大人が子どもと一緒に遊ぶのには適したゲームですから。

爆発:ここまでヒットするという予感はありましたか?

菅沼:正直な話、ここまで広がるとは思っていなかったので、まだ信じられないです(笑)。もちろん、広がるといいなとは思って作ってはいましたが。

爆発:何がきっかけで海外展開することになったのでしょうか。

菅沼:海外展開が決まったのは2013年のEssen Spiel(ドイツで毎年行われる、世界最大級のアナログゲームイベント)へ、ヤポンブランド(日本製のゲームを世界へ送り出すための活動をしている非営利団体)さんにお願いして持っていってもらったからですね。それまでは海外展開するためのパイプもなかったですし、日本でもアナログゲームが好きな方からの評価は「運ゲー」と言われてあまりよくなかったので。

 元々、アナログゲーム好きな濃い層ではなくて一般的な方にも遊べるようにデザインしたので、濃い方たちは物足りないだろうなとは最初から思っていました。もちろん、だからといって一般的な方にちゃんと受け入れられるのかは、わかりませんでしたが。ただ身内や自分の家族と一緒に遊ぶぶんには楽しく遊べていたので、それが一番自信になったというか、よかった部分ですね。

爆発:『街コロ』のヒットを受けてiOSアプリの『街コロ』を作ることになったのでしょうか?

菅沼:それは微妙なところなのですが、アプリを作りたいという話の中でウチの会社には『街コロ』という資産があるから、これをアプリに落とし込んだらどうなるだろうという流れだったと思います。

爆発:アプリ版の制作に関しては、菅沼さんはあまりかかわっていないのでしょうか?

菅沼:そうですね。私自身は個人的には「『街コロ』をそのままアプリにするのは難しいだろう」とすら思ってましたから(笑)。私自身も別のプロジェクトにかかわっていましたし、アプリ版は弊社の福岡スタジオ担当だったのでお任せしました。横からいろいろ口を出すよりは、私と切り離してアプリはアプリで作ってもらったほうがいいだろうと。

爆発:アナログゲームとコンシューマゲームを作るうえで、菅沼さんの中で考え方に違いはあるのでしょうか。

菅沼:アナログゲームで私が意識しているのは、みんなで遊んだときにワイワイ言える雰囲気になるかどうかですね。例えば、他の人のターンでも、ただ見ているだけというのはできるだけなくしたいと思ってます。コンシューマゲームは1人で遊ぶことも多いので、いくら時間をかけてもいいから、納得いくまで考えて決断をしてもらうようなゲームになることが多いです。その辺の、思考時間の使い方は違うものだと意識して作っていますね。もちろんゲームにもよりますが。

爆発:『街コロ』でも、他の人が出した目で効果が発生する建物がありますね。

菅沼:はい。「他の人を待たせ過ぎないように」「他者のプレイ中は何もせずに待っているだけ」という2点はかなり意識しています。

爆発:『街コロ』は『街コロプラス』『街コロシャープ』ときましたが、今後の拡張版も期待してよいのでしょうか。

菅沼:実は『街コロプラス』で終わらせるつもりだったんですよ。ですが海外の出版社に「新しい拡張版を出してくれ」と言われたので「それなら温めていたアイデアはまだあるし出そうか」ということで『街コロシャープ』を出すことになりました。

 今後の拡張版も要望はあるのですが、サイコロの目が足りないので基本的には難しいかなと。「6は自分で出さないと効果がない建物のみ」みたいな、それぞれの目に対するルールが自分の中にはあって、それを破りすぎたくはないんですよ。なのでこの形としては、現状が限界かなと思います。ただ、システムは同じで内容を変えた別モノであるとか、手で持つカードを加えて『街コロ』を拡張したりだとか、アイデアはいくつかあります。なるべくいろいろな作品を作りたいという思いもあるので、実際にどうなるかはまだ言えないのですが。

爆発:『街コロ』以外の新作の予定はいかがでしょうか?

菅沼:詳しくは言えないのですが、現在作っているものはあります。続報をお待ちください。

爆発:菅沼さんのゲームの中では『すきもの』もおもしろかったです。

菅沼:ありがとうございます。『すきもの』は再販しないとずっと言っていたのですが、再販することになりそうです。

爆発:それは朗報ですね!

菅沼:まだ予定ですので、ダメになったらすみません(笑)。再販に際して、ルールを足そうかと思っています。元々のマニュアルにもちょっとだけ書いていたのですが、リアルタイム性じゃない遊び方もしっかり作っておこうかなと。

爆発:そういえば菅沼さんは、アナログゲームだけを作られている訳ではないですよね?

菅沼:基本はずっとデジタルのゲームを作っています。それで1つのプロジェクトが終わると、次のプロジェクトが始まるまでに数週間から1カ月の時間ができるので、その間にアナログゲームを作る感じですね。今回みたいに『街コロ』の海外展開をするうえでやるべきことがあったり、ゲームマーケット用の新作が必要なときは、別に時間を確保しますが。

爆発:1カ月以内で作っているんですか! それはなかなか大変そうですね。

菅沼:楽しんで作っているので、大変だと思うことはないですね。スケジュールは厳しいので、何カ月も練りこむことはできませんが。ただ、作り終わった後の調整の時間は、結構しっかり用意するようにしています。

爆発:今回みたいに社内でプレイされるんですか?

菅沼:「ちょっと作ったので遊んでみて」という感じですね。1、2時間遊んでもらって、問題点があったらすぐに直して、また翌日遊んでもらって、みたいな。社内のメンバーがたくさんいて、アナログゲームに詳しい人から初心者までいるので、いろいろな層に対して公平なテストプレイができるのは恵まれていますね。

爆発:その結果、初心者から上級者まで楽しめるゲームになることが多いんですね。ちなみに菅沼さんが最近遊んで気になったゲームはありますか?

菅沼:実は、そんなにたくさん遊べていないんですよ。たくさん持ってはいるんですけど、なかなか時間がなくて。ただ昔からアナログゲームは好きで、最初にハマったのは『マジック:ザ・ギャザリング』でした。世界大会に行った直後くらいに辞めてしまったんですが。『カタン』はマイクロソフトに入ったときに上司から誘われて、毎晩遊んでいました。その後に衝撃を受けたのは『ドミニオン』と『髑髏と薔薇』(ブラフゲームの最近のヒット作)です。同人作品だとカナイセイジさんの『ラブレター』と、有限浪漫さんの『ドンブリコ』はスゴイと思いました。

爆発:では最後に『街コロ』プレイヤーにメッセージをお願いします。

菅沼:ゲームマニアな方で「しょせんダイスゲーでしょ?」と思っている人がいるとは思いますが、その通りです。だからこそ逆に、初心者を誘いやすいゲームになっていると思います。初心者に「アナログゲームってこういうものだよ」と教える入口として使っていただけるとうれしいですね。ここから『ドミニオン』なり『カタン』なりに進んでもらえればと。

爆発:まずは最初の『街コロ』からでしょうか。

菅沼:そうですね。無印だけで物足りなかったら『プラス』や『シャープ』もぜひ。ゲームが好きな方の場合は『プラス』や『シャープ』を入れると、考える部分が多くなって歯ごたえが出ると思います。最終的には慣れた方たちで全部入りを試してみてください(笑)。


 インタビュー終了後、せっかくの機会なので『街コロ』全部入りをプレイさせていただきました! 約1時間におよぶ激戦の末、松尾さんがコンボによって一撃36コインを叩きだして勝利!! 『プラス』の追加ランドマークによって勝利に必要なコイン数が増え、『シャープ』の妨害系施設によってコインの保持が難しくなったため、全部入りでは一撃でたくさんコインをもらえる出目を作ることが大切なように感じました。『街コロ』シリーズはグランディングのオンラインショップや、アナログゲームショップで購入できるので、今回の記事で興味を持った方はぜひ!

『街コロ』
▲プロモカードの“国際展示場”を含め、全39種類のカードから好きな建物を建てられる全部入りルール! 選択肢が広くて妨害系施設も豊富なため、慣れた人同士が遊ぶのにピッタリ!!

(C)Grounding Inc.

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