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2014年7月28日(月)

“スクウェアの古き良きRPG”がここに。『ブレイブリーセカンド』に向けて『ブレイブリーデフォルト FtS』を100時間以上プレイ(編集長コラム)

文:野村一真

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』

 総プレイ時間:約115時間、レベル:99、図鑑:アイテム・敵・アビリティの項目をコンプリート。2013年12月5日に発売されたスクウェア・エニックスの王道RPG『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』(3DS)を、このたびようやくクリアしました。いや~、長かった。

 さて、このゲームは2012年10月11日に発売された『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』のリニューアル版という位置づけの作品です。戦闘スピードを4倍速に切り替えられる、敵のエンカウント率を-100%~+100%の範囲で調整できる、新イベントが追加されているなど、前作を遊びやすく進化させた内容となっているのが特徴。では、『ブレイブリーデフォルトフォーザ・シークウェル』の根本部分は、どんなゲーム性なのか? 長時間のプレイ体験をもとに、本作の内容と魅力について、お届けしていきたいと思います。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』 『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』

■キャラ設定を補完するためのシステム“Dの手帳”

 闇に侵されたクリスタルを解放して世界を救うため、各国を旅するティズ、アニエス、リングアベル、イデア。主人公たち一行は、旅の過程で宗教・政治・戦争の表と裏、現実に触れることになります。そんな中、自分たちの世界“ルクセンダルク”が実は多元世界であり、その裏側には2000年の時を経て導き出された、世界の行く末を左右する動きがあることを知ります。災厄の元凶とされるノルエンデ村の大穴を、いつか塞ぐことができると信じ、いくつもの多元世界を訪れる過程で、4つのクリスタルを解放すれば世界が救われるという一面的な目標から物語は大きく展開。クリスタルの解放に秘められた真実が明らかになるにつれ、主人公たちは自身の行為に対して疑問を抱くことに――。

 ある文言の“●”を抜いて読むと……など、いろいろ書くとネタバレになってしまうので、ストーリー解説はこのぐらいにしておくとして、『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』には、物語を補完する“Dの手帳”というシステムが用意されています。

 章仕立で構成される本作のストーリー。章が進むにつれ、ストーリーのメイン部分が明らかになっていく作りでして、多元世界ということで、それぞれの章の世界によって登場人物のエピソードが少しずつ変化します。そうした部分であったり、メインストーリーの細部を補完するためのシステムが、このDの手帳。手帳に記載されるエピソードを読み進めることで、各キャラクターの個性を深く理解でき、さらに世界の裏側の動きを知ることもできます。私自身が特に楽しめたのは、物語のキーマンであるアナゼルが執筆している体裁の“アナゼルの手帳”と、52キャラのエピソードが収録される“雑記”。キャラ設定愛好家として、満足のいくボリューム&内容でした。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』
▲Dの手帳のとある1ページ。合計で4桁ものページ数が存在する。キャラ設定好きを満足させるコンテンツかと。

■ジョブシステムのおもしろさと、ターン制バトルの究極形

 さて、システム面に着目した場合、『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』のおもしろさは、ジョブとアビリティの組み合わせに集約されていると言っても過言ではありません。端的には、『ファイナルファンタジーV(FF5)』のジョブ&アビリティシステムに、『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争(FFT)』のようなアビリティを管理するコストシステムが搭載されている、と表現することができます。

 ジョブは白魔道士や忍者など、全部で24種類。例えば、ジョブを海賊、サポートアビリティを二刀流、ジョブコマンドを魔法剣という組み合わせにした場合、攻撃力の高い斧を効果的に使える海賊で、二刀流(忍者のサポートアビリティ)にて斧を装備し、魔法剣(魔法剣士のジョブコマンド)を駆使して敵の弱点を突く、という物理攻撃に特化した戦術をとることができます。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』
▲サポートアビリティの種類はジョブごとに多種多様。合計コスト5(最大)の範囲内で組み合わせを考えて設定していくことに。

 そして、もう1つ忘れてはいけないのが、タイトルの由来にもなっている“ブレイブ&デフォルト”という戦闘システム。戦闘はターン制でして、ブレイブでは行動ポイント(BP)を消費して行動ターンを増やすことができ、デフォルトでは防御に徹し、BPをためることができます(バトル開始時、BPは0からスタート)。例として、1ターン目にブレイブを3回行うと、そのターンでは4回連続行動が可能となります(たたかう×4、たたかう×2→アイテム×2など)。ただし、BPは-4となり、2~4ターン目は一切行動できません。逆にデフォルトを選択すると、そのターンは防御扱いとなり、BPを1ためることができます。

 主人公たち4人分のジョブ、サポートアビリティ、ジョブコマンドの組み合わせを考え、それを有効に活用すべく、戦闘にてブレイブ&デフォルトを駆使していきます。ブレイブで一気に行動し、大ダメージを狙っていくか、それとも防御効果を持つデフォルトで安全に立ち回るか。このことはボス戦で必須となります。物理攻撃に対してその都度反撃してくる敵や、特定の攻撃しか効かない敵など、ボス戦は歯ごたえ抜群。特にHARDモードでは、下手な立ち回りをしたら即全滅、なんてことがザラにあります。

 『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』のボス戦は、ターン制バトルの究極形とも言えるほど、システムがよくできています。バランス調整面では少し???なところもありますが、おもしろさという点では完成形に近いと思います。

 ちなみに、本作における私個人のお気に入りは、サポートアビリティの“ワールドヘイスト”と、ジョブコマンドの“静寂”。この2つを主軸にしつつ、行動速度アップ関連を調整していき、いろいろと組み合わせていけば、だいたいなんとかなるかと。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』 『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』

■“スクウェアの古き良きRPG”がここにある

 ストーリー面とゲームシステム面から『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』について紹介してきましたが、各所に古くからの『FF』ファンにツボる部分がたくさんあることを感じとっていただけたかと思います。

 光の戦士、クリスタル(風、水、火、土)、飛空艇、フェニックスの尾、エリクサー、ケアル、レイズ、ホーリー、デス、ファイア、サンダガ(サンガーではない)、メテオ、赤魔道士、黒魔道士、暗黒騎士、すっぴん、エクスカリバー、ディフェンダー、アイスブランド、ホーリーランス、与一の弓、正宗、リボン、源氏の小手、エルメスの靴、たまねぎ剣士の服……。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』
▲武器を回数分振るアクション直後に“16HIT 2735”と表示。これだけで、昔からの『FF』ファンにはたまらないはず。

 ゲーム中に出てくる用語を少し並べてみましたが、ファミコン、スーパーファミコン時代のからの『FF』ファンであれば、これだけでワクワクしませんか? こうした『FF』用語のほか、個人的には、こつこつジョブレベルを上げて、ジョブとジョブコマンド、サポートアビリティの強力な組み合わせを模索していくところが、かなり楽しめました。この感覚は『FF5』に近いんじゃないかと。

 ストーリー面の感想としては、次回作の『ブレイブリーセカンド』で完結する構成になっているような印象を受けましたが、物足りないということはまったくありません。4章まで無料で遊べる“たっぷり無料で遊べる版”が7月28日より配信されることから、これを機に『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』をプレイしてみるのはいかがでしょうか? “スクウェアの古き良きRPG”という言葉がぴったりの作品だと思います。

『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』
▲“たっぷり無料で遊べる版”が7月28日より配信。

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MAIN CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida

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