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2014年8月1日(金)

PlayStationは人口約13億人の中国で大きな期待を受けている--ソニー・チャイナ広報担当者にインタビュー【ChinaJoy 2014】

文:電撃オンライン

 7月31日から中国・上海で行われている“ChinaJoy 2014”。PlayStationブースでPlayStation 4とPS Vitaが(PS3は『GT6』のみ)、マイクロソフトブースではXbox Oneのゲームが展示され、大盛況となっている。

『ChinaJoy2014』 『ChinaJoy2014』
▲ステージも用意され、7月上旬に行われた上海CCGへの出展時よりも大きな規模だったソニーブース。PS4が人気で、待機列ができたのはもちろん、ブース内は動けないほどの盛況に。

 家庭用ゲーム機は中国のゲームファンにも待望のもので、今回の出展はかなり注目を集めている。折りしもマイクロソフトは9月にXbox Oneを中国で発売することを発表したばかり。そしてソニーも、7月29日にソフトウェアの関連会社で上海東方明珠索楽文化発展有限公司、31日にハードウェア製造部門である“ソニー・コンピュータエンタテインメント上海”の設立が認められ、人口約13億人の中国に家庭用ゲーム機が進出する準備は上海から始まっている。

 実際のところ、中国のゲームファンにPlayStationがどう映っているのか、その実状と今後の展開について、ソニー・チャイナの広報に話を聞いた。

■テレビゲームは中国のゲーム産業の成長に拍車をかける

――ソニーブースではPS4の人気が高かったですね。

 『FIFA14』や『NBA2K』は中国では人気があります。『真・三国無双7 with 猛将伝』も、中国の伝統文化である三国志を題材にしているので注目されていました。そのほかにも『FFX』、『ソードアート・オンライン ―ホロウ・フラグメント―』、『英雄伝説 閃の軌跡』といったタイトルは中国でも人気が出ると思います。それらに加えて、新しい体験ができる『プレイルーム』もありました。アジアの文化に通じるところがあるのですが、RPGとかマンガのIPとかそういうものが好きな人が多いですね。それと台湾や香港には繁体字のPlayStationのゲームが売られていますので、それらを遊んでいる人にはよく知られています。PlayStationは中国で人気があります。

――Xbox Oneが中国でのハードとソフトの価格を発表しました。PlayStationはどんな価格帯で発売したいと考えていますか? また中国でPlayStationを浸透させるために必要なことはなんでしょうか?

 価格については現在検討中ですので、ファンや市場の反応を見て決めていきます。私たちの製品を最初に買ってくれるのは、ChinaJoyに来てくれるようなゲームが好きな人たちで、一部はPS2やPS3もなんらかの手段で持っている人たちです。PS4がグラフィックなどゲーム機として期待できるかどうかをわかっている人たちなんです。家庭用ゲーム機が販売されなかったこの10年で、テレビゲームを知らない人も増えました。テレビゲームとはこういうものですという基本的なところから知ってもらうには、体験がとても重要だと思っています。店頭でのデモプレイ、ソーシャルメディアでの発信などを中心に、ゲームに興味のある人にコミュニケーションしていきたいです。

――中国のゲームショップとは、主にPCゲームのショップになりますか?

 ゲームショップはショッピングモールなどにありますが、とても小さいものです。PCゲームも店で販売するよりもインターネットでダウンロードすることが多いです。実際にゲームを体験できる場を用意することもやっていく必要があります。ソニーチャイナにはソニーストアという実際の店舗がありますので、いろいろな可能性を模索していきたいです。

――PlayStationで現在提供しているサービス、例えばPS Storeなどは、中国でもすべて提供できますか?

 中国の法律の遵守しなければいけないので、それを前提にした我々のできる範囲のサービスを提供したいと思います。

――PlayStationは中国のゲームメディアにはどのように見られていますか?

 こちらのゲームメディアは日本に比べると若い人、10代、20代ぐらいの人が多いです。中国は今まで家庭用ゲーム機がなかったので、彼らはずっと自分の興味で情報を追ってきました。Webが中心ですが、雑誌もUCGというテレビゲームを中心に扱う古くから存在する本が1つあります。中国には個人でゲーム機を所持しているユーザーがいますので、彼らに情報を提供する役割にもなっています。

――かつてはPSPが人気だったこともあった中国ですが、PS Vitaの期待も高いのでしょうか?

 スマートフォンが流行する前の6、7年前に、PSPは人気がありました。ゲームはたくさん出ていますし、映画も見ることができるし音楽を聞くこともできる。地下鉄でPSPを手にしているファンを多く見ました。PSPを持っていた人には期待が高いと思いますが、スマホのゲームが今の中国では流行っています。市場の状況が変わっていますので、そのあたりもふまえて考えているところです。中国のファンはこの10年はPCとスマホのゲームをやってきましたが、テレビゲームはそれらとは違った魅力があります。例えば家庭でみんなでゲームをしたり、親子で一緒に遊べるものだとか、中国の伝統的な文化として家族のつながりはとても重視していますので、テレビゲームはコミュニケーションツールのひとつとして、とてもポテンシャルが高いと思います。

――PlayStationは中国のゲーム産業にどのような影響を与えますか?

 中国にも国産のMMORPGなどはたくさんありますが、PlayStationのトップレベルのゲームと比べると完成度にまだ差があります。今、中国のゲーム分野の成長率はとても高く、その分野に関わりたいと思っている人はたくさんいます。人材も技術も資金も足りないことはないと思います。ただ企画やソフトの面で成熟していないところはあります。テレビゲームが入ってくることで、さらに急速な成長が期待できるでしょう。

『ChinaJoy2014』 『ChinaJoy2014』
『ChinaJoy2014』 『ChinaJoy2014』
▲会場の上海新国際EXPOセンターは、幕張メッセの3倍近い広さを誇り、イベントの大きさがうかがえる。

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