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2014年8月11日(月)

『ロストディメンション』クリア後の評価を語る! ジャッジやギフトなど斬新なシステムが魅力のオリジナルタイトル

文:オヌゥ

『ロストディメンション』

 フリューから、8月7日に発売されたPS3/PS Vita用RPG『ロストディメンション』。本作をプレイした電撃スタッフ3人による、座談会をお届けする。

 『ロストディメンション』は、次元の狭間から突如出現した巨大建造物“ピラー”を舞台に、予知能力を持つ主人公の青年“ショウ・カスガイ”が、選ばれし特務機関“S.E.A.L.E.D.(シールド)”の一員として、世界を滅亡から救うべく戦っていくオリジナルタイトル。世界を終わらせる者“ジ・エンド”との決戦に向けてピラーを昇る“S.E.A.L.E.D.”メンバーだが、ピラーの階層を進むたび、仲間のうち誰か1人を消去(イレイズ)することを迫られる。仲間の中にいる裏切り者はプレイするたびに異なるため、つねにスリリングな展開が味わえるのが特徴だ。

 座談会に参加しているのは、本作をプレイしている3人のメンバー。すでにクリアまでプレイしているメンバーを交えて、さまざまな内容が絡む本作の魅力や特徴についてアレコレ語っているので、気になっている人は参考にしてほしい。

【座談会参加メンバー】

kbj:電撃オンラインの担当編集。“裏切り者を暴く”というジャッジ要素にひかれて担当になった。

アツゴロウ:『電撃PlayStation』の担当ライター。ゲームはジャンルを問わずやり込む雑食派。本作の独特の雰囲気にひかれて担当に。

オヌゥ:どんなゲームでもガッツリプレイするのが信条のコアゲーマー。SRPGが大好きで、本作はクリアまでぶっ通しでプレイし続けた。

■RPGとADVと推理要素が絡み合って1本で3度おいしい!?

kbj:さっそく『ロストディメンション』について語っていこうと思う。本作は要素がたくさんあるから、ジャンルづけが難しいゲームだと個人的に思ったんだけど、皆はどう感じた?

オヌゥ:3つのジャンルが組み合わさっている感じですよね。

アツゴロウ:基本のバトルはシミュレーションRPGになっているんですが、ゲームの根幹となるジャッジシステムは推理ゲームっぽいし、拠点での各キャラクターとの会話はアドベンチャーライクですね。

『ロストディメンション』 『ロストディメンション』
▲アドベンチャーパート:拠点で積極的に会話したり、SRPGパートでよく出撃させたりしているキャラは信頼度が上がっていく。信頼度が一定以上に達すると、絆が深まり特別な会話が聞けることも。▲推理パート:誰が“裏切り者”かを探るパート。主人公の超能力“ヴィジョン(予知)”を用いて、裏切り者を判別しよう。
『ロストディメンション』
▲SRPGパート:6人のチームを編成し、マップを攻略するパート。『ロストディメンション』ならではのシステムが多く、難易度的にもやり応え十分。

kbj:どのパートにも魅力があるから、シミュレーションRPGが好きな人以外にも受け入れられるタイトルなんじゃないかな。

アツゴロウ:ただ、各パートがもうちょっと融合しているとなおさらよかったですね。やや独立している感じがするところが個人的には少し残念でした。

オヌゥ:ジャッジで誰を消去(イレイズ)するかでその後のストーリー展開が変わったり、アドベンチャーパートで絆を深めたキャラクターとはバトルで特別なアクションが行えたりということですか?

アツゴロウ:そうそう。ただ、絆を深めたいキャラクターはしっかり出撃させたり積極的に会話したりすることになるし、ジャッジのためにバトル後のヴィジョンをちゃんと見る必要がある。そういう意味では絡みはしっかりあるんだけど、慣れてくると裏切り者は判別しやすいし、物語も1本調子に感じてしまうところがちょっと惜しいと感じたね。

オヌゥ:僕はどのパートも結構好きでしたよ。アドベンチャーパートは裏切り者だと警戒している分、最初は皆ぶっきらぼうですけど、絆を深めると悩みとかを聞けるんです。好みのキャラのことがより深くわかるので、好感度を上げるのが楽しかったですね。

 ジャッジシステムも裏切り者だとわかっていても、メインで育てているキャラだからあえて他のヤツに罪を着せて生き残らせたり、好きじゃないヤツを先に消去したりとか、駆け引きがあるところが斬新でした。

kbj:好き嫌いがはっきり分かれるゲームにはなっていると思うな。システム自体はわかりやすいけど、自由度が高いから自分なりの楽しみ方を覚えていくとグッとのめり込んでいける感じなんだろうね。

■2周目もおもしろい! 『ロストディメンション』の設定やキャラとは?

kbj:オヌゥはすでに2周もクリアしたんだよね? このゲームのストーリーについて少し詳しく語っていきたいんだけど……伏線に伏線を重ねているから、それがちょっと難しいよなあ。

オヌゥ:うーん、その伏線の部分を話しちゃうと完全にネタばれになっちゃうんですよ(笑)。

『ロストディメンション』 『ロストディメンション』
▲突如、次元の狭間から出現した塔。その塔から現れたジ・エンドなる人物が、核兵器を操作し、全世界に向けて発射すると脅してくる。それを阻止するために送り込まれた国連特務機関“S.E.A.L.E.D.(シールド)”のメンバーの活躍を描く。

アツゴロウ:まず、このゲームって仲間の中に裏切り者がいて、その者たちを消しながら塔の最上階を目指していくわけだけど、裏切り者って何に対して裏切っているのかが、まずわからないよね。

『ロストディメンション』 『ロストディメンション』
▲ジ・エンドから「お前らの仲間の中に裏切り者がいる」と宣告される主人公たち。多数決によって裏切り者を決め、選出された者を強制的にイレイズ(消し去る)するジャッジシステムで、誰か1人を消さなければ次の階層に進むことができない。

kbj:最初はやや唐突に物語が始まるけど、結構重い話なんだよね。

オヌゥ:ジ・エンドが主人公を憎悪している点だったり、「そもそもジ・エンドって何者?」といった疑問があったりしますが、正直1周目ですべての謎が解けるわけではないので、伏せておきますね。

アツゴロウ:まだクリアしてないから知らなかったけど、そもそも2周目があるんだ。

オヌゥ:そうなんですよ。まあ、レベルは初期に戻りますし、お金も初期スタートになるんですけれど、主人公たちが特技や魔法に類する“ギフト”を習得するのに必要なギフトポイントが最初から一定値入った状態でスタートします。

kbj:あんまり気にしてなかったけど、他に違いはあった?

オヌゥ:1周目の第1階層のみ裏切り者が固定なんですが、第2階層からはランダムとなり、2周目からは完全ランダムで選出されます。なので、ストーリー上1周目で確実に裏切り者となるジョージを生かすことができるんです。あと、特定の条件を満たすとすべての謎が解ける“真エンド”が見られるみたいですね。

アツゴロウ:ジョージ、結構好きだったんだけどね。メンバーの中で唯一明るいキャラだし。

『ロストディメンション』
▲ジョージ・ジャックマン:物体に触れることで残留思念を読み取れるサイコメトリ能力の持ち主。アメコミヒーローのような性格で、他のメンバーからは少し鬱陶しがられている。

kbj:ああ、アイツはおもしろいキャラだったね。場をぶち壊してくれるっていう意味では貴重な存在だよ。

オヌゥ:ただ、「アメリカーン」とか「ジャスティス!」と叫んでいて、他のメンバーからは異質物扱いされてましたけどね(笑)。

■各々の能力を生かして戦うバトルパートの魅力とは?

kbj:オヌゥが好きなキャラは誰?

オヌゥ:そうですね……キャラとして好きだったのはヒメノですね。

『ロストディメンション』
▲ヒメノ・アカツキ:生体発火能力を持つ女子高生。クールな性格で周囲と故意に壁を作っている節がある。

アツゴロウ:どこらへんが好きなの?

オヌゥ:普段は「私に近づかないで」という発言で壁を作っているヒメノですが、実際は彼女が興味を持ったモノ、集中して見てしまうモノは意図せずに能力が発動し、燃えてしまう可能性があるので、わざとクールな性格に見せているんです。絆を深めた彼女はそれはそれは萌えーな……性格かどうかを知る前にキャライベントが終わってしまうので、もうちょっと後日談がほしかったですね。

kbj:なるほどね。確かにイベントはややあっさりしているから、もうちょっとボリュームというか、内面的な部分が知れるとよかったよなあ。能力的に好きなキャラは?

オヌゥ:能力的にはサガラが好きです。メンバーで唯一の回復役でお世話になりましたよ。彼がいなかったら、回復はぜんぶアイテムを使ってやらなきゃいけなかったわけですし。

『ロストディメンション』
▲ソウジロウ・サガラ:治癒の特殊能力の持ち主。大学の医学部を飛び級で卒業し、17歳の若さで医師免許を取得した天才児。

アツゴロウ:サガラは回復に役立つだけでなく、攻撃も意外と強いよね。

オヌゥ:そうなんですよ。とくにギフトツリーの一番右側に表示された劇薬のギフトを習得すると、攻撃するたびに敵にいろいろな状態異常を付加できるので、前衛としても十分戦えます。

『ロストディメンション』
▲主人公たちは特定のクエストクリア時や、レベルアップ時に得られるギフトポイントを、ギフトツリー上で割り振ることで自由に能力を伸ばすことができる。

kbj:一番右側にあるギフトは、確かに一際強力だよね。でも、あの取得条件がよくわからなかったんだけど……。

オヌゥ:ギフトは、赤のギフト、青のギフト、緑のギフト、黄色のギフトに分かれているじゃないですか。一番右側の赤のギフトは、そのキャラが習得できる通常の赤のギフトをすべて習得すると自動で習得できますよ。

kbj:え? そんなことどこかに書いてあったっけ?

アツゴロウ:このゲームって、結構隠された要素が多いんですよ。強力な必殺技扱いの黄のギフトは、特定のマテリアを装備しないと使えないのは基本情報ですが、実は特定のキャラからリファーしてもらうことでも使えるようになります。まあ、リファーの場合、使えるのはそのターンの1回のみですけど(笑)。

kbj:マジか! 知らなかった。

オヌゥ:キャラが使えるかどうかは、習得したギフト次第のようなところがありますし、どのギフトを覚えるかじっくり考えてからポイントを割り振っていきたいですね。

kbj:個人的には、アギトがすごく使いやすくて活用したね。

『ロストディメンション』
▲アギト・ユウキ:テレポート能力を持つ青年。裏切り者の存在に皆が疑心暗鬼に陥るなか、初対面から非常に馴れ馴れしい態度を取る。

オヌゥ:確かに彼は便利ですね。

kbj:壁をすり抜けて移動できるし、仲間を自分の近くに転送したり、逆に任意の場所に移動させたりできて、トータル的にいろいろとお世話になったよ。

アツゴロウ:アギトは回避率が高いところも強みですよ。他のキャラの被弾率が90%とかなのに、アギトだと50%とかのこともよくありますから。

オヌゥ:キャラの特性とギフトの生かし方を覚えると戦闘がかなり楽になります。

アツゴロウ:1層、2層辺りで、いろんなキャラを使ってみて、こういうキャラなんだっていうのをしっかり把握しておくと、中盤以降は楽に戦えるね。

kbj:キャラの特性を覚えることと、ギフトポイントの割り振りを考えることの2つが重要ってことか。でも、育てたキャラが裏切り者の場合もあるんだよね。そこが悩みどころで、難しいよね。

(一同笑)

■陰謀渦巻くジャッジシステム! 裏切り者を特定するコツとは?

kbj:そういえばさっきアツゴロウが、「コツを覚えると裏切り者を見極めやすい」と言っていたけど、どのようにして特定していくの? 実は裏切り者ではないメンバーを消去してしまい後悔したことがあったんだけど……。

『ロストディメンション』
▲各層のクリア時には、ジャッジルームで誰か1人を消去(イレイズ)する。消去されるメンバーは多数決で選ばれる仕組みだ。

オヌゥ:ジャッジをする際や、裏切り者を断定する最終判断材料であるディープヴィジョンがオートセーブされるじゃないですか。もちろん、ロードを繰り返したらバランスが崩壊するからなんですが、そこがもどかしいですよね。僕は裏切り者を断定できたのに、ジャッジの時に生かしたいメンバーに他のキャラが票を集中させちゃって、結局裏切り者が生き残っちゃったっていうパターンだったんですけど……。

kbj:裏切り者を断定するだけじゃなくて、票操作も行う必要があるところは、最初はちょっと戸惑うかもね。

アツゴロウ:裏切り者をジャッジするまでには手順があって、そこをしっかり押さえておけば大丈夫ですよ。各マップクリア後に表示される主人公の予知で裏切り者の候補を選別することがまずは重要です。

『ロストディメンション』
▲主人公は、予知能力で他のキャラが考えている思考を読み取れる。危険な思考を持つ裏切り者候補は各層に3人いて、これらの3人の思考は赤文字で表示される。

kbj:バトルクリア後に出る“不審な声”をチェックするのは基本だよね。

アツゴロウ:主人公が思考を読み取れるのはマップの攻略にあたった6人だけなので、あえて怪しいと思うキャラクターがマップの攻略メンバーに入るように編成を入れ替えていけば、裏切り者候補の3人を特定できます。

オヌゥ:クリア済みのマップをクリアした後にもこの予知は表示されるので、納得いくまで繰り返せばいいですね。

アツゴロウ:そうやって3人の候補を見つけたら、ディープヴィジョンを2回使って犯人を特定すればいいんです。

『ロストディメンション』
▲対象となったキャラの深層心理を探る主人公の特殊能力ディープヴィジョン。裏切り者かどうかが必ずわかる仕組みになっているが、この能力を使うには、特定のマップクリア時に入手できるヴィジョンポイントを1消費する。ポイントには限りがあるので、関係ないキャラに使うと後半はジリ貧になってしまう。

kbj:こうやって書くとすごく簡単なんだけど、失敗しているんだよな(苦笑)。

アツゴロウ:3人までしぼったらあとは簡単。ディープヴィジョンを2回試して、裏切り者候補のどちらもが白だった場合は、残り1人が裏切り者だと確定します。もし1回目のディープヴィジョンで裏切り者に当たれば、ポイント消費を抑えられるのでラッキー! いずれにしても2回以内で見抜けます。

kbj:2回目のディープヴィジョンで裏切り者が見つからなくても消去法で判断できるわけか。これで裏切り者を特定すれば、あとはジャッジをするだけだな。

アツゴロウ:いえ、それだとさっきオヌゥが言ったみたいに、他のキャラクターが裏切り者以外のキャラに票を入れちゃうことがあります。だから、票操作をしましょう。票操作は、各マップクリア後にランダムで2人のキャラから「こいつが裏切り者じゃね?」と陰口を言われたり、「どの人が裏切り者でしょう?」と質問されたりするので、裏切り者を言ってあげましょう。主人公が選択したキャラに票が集中するようになります。逆に裏切り者が誰かわからない時は、ウカツに答えずに「わからない」と素直に言うことが重要です。

『ロストディメンション』
▲マップクリア後に誰が裏切り者かを問いかけられる。ここで答えた内容でジャッジの際に票が入るキャラクターが決まってくるようだ。

オヌゥ:裏切り者だとわかっていても、メインで育てたキャラだから残したいと思ったら、票操作で裏切り者以外のキャラを選択すれば、ジャッジで裏切り者を残すことができますよ。イケニエになっちゃった人はちょっとかわいそうですけど(笑)。

kbj:そういえば、「裏切り者は誰?」って聞かれた時に「お前だろ」って答えたら、好感度がすごく下がって、主人公に票を入れられたことがあったな……。

アツゴロウ:それ、多数のキャラに同じことをすると、ジャッジの時に主人公が消されてゲームオーバーになりますよ。

(一同爆笑)

kbj:それは見たかったなあ。後で試してみよう。

■斬新なシステムを盛り込んだ『ロストディメンション』! はたして買いか否か!?

kbj:ここまで話してきたけど、実際に『ロストディメンション』をプレイしてみて、どうだった?

オヌゥ:個人的にはアリだと思います。今までにないシステムや工夫が結構ありますし、戦闘も結構難しめだと感じました。SRPGが好きな人以外にも、他のタイトルとは違うゲームをやりたいと思っている人にはいいタイトルだと思います。

アツゴロウ:僕もおおむねアリだと思いますが、大作というにはちょっと惜しい一面もありましたね。ただ、この手のゲームはハマる人にはすごくハマる可能性があるので、期待値を込めてプレイしてみるのがいいんじゃないでしょうか?

kbj:確かに普通に遊ぶ分には十分満足できる仕上がりだと思う。だいたい15時間程度で1周できるから、途中で飽きることも少なそうだしね。PS3とPS Vitaの両方で発売されるけど、個人的にはPS Vita向けのソフトだと思ったね。

オヌゥ:部屋でガッツリ遊ぶというよりは電車の中で1マップずつクリアするとか、そういう遊び方のほうがしっくりくるタイプかもしれないですね。マップがすごく広いわけじゃないですし、1周にかかる時間もそこまで長いわけではないですから。

アツゴロウ:といいつつ、オヌゥは編集部にこもって一気にクリアしていたみたいだし、そこは好みでしょう。家庭用と携帯機の両方で出してくれるから、自分のプレイスタイルに合ったほうを選ぶとよさそうだね。

kbj:ジャッジ、バトル、キャラという3本の柱がある『ロストディメンション』。夏休みで、素敵なジャッジライフをぜひ満喫してください!

オヌゥ:ジャッジライフってすごい響きですね(笑)。

(一同笑)

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