2014年8月28日(木)

「アイルトン・セナなら知ってる!」レベルの初心者でも『F1 2014』は楽しめるのか? 大きく間口が広がった、その秀逸なデキをレビュー

文:ゴロー

 コードマスターズから10月2日に発売されるPS3/Xbox 360用ソフト『F1 2014』のメディア向け試遊会が開催。そのレビューをお届けする。

『F1 2014』

 初の『F1』シリーズという以前に、F1そのものをほとんど理解できていない自分が、はたして『F1 2014』を楽しめるのか? さらに言うと、記憶に残っているのが約20年前にゲームセンターで遊んだ『デイトナUSA』と『リッジレーサー』になるくらい、久しくレースゲームをまともにプレイしていない。そんな不安を抱えつつも、今作から追加された難易度“ベリーイージー(※)”で早速プレイしてみた。

※難易度は難しい順に、ベリーハード、ハード、ミディアム、イージー、ベリーイージーの5段階。

 レースに最低限必要な操作は、ハンドル操作、アクセル、ブレーキのみ。言うまでもなくとっつきやすいのだが、F1ならではのルールや特徴が違和感として自分を襲った。かつての“コーナーはドリフト走行”“クラッシュして当たり前”“ショートカットでゴボウ抜き”なRCGとは違い、F1の世界はとてもデリケート。マシン1台がいくらするのか見当もつかないが、コースアウトやクラッシュをした時の自チームからの罵りで、上品な走りを求められていることがすぐにわかった。

『F1 2014』 『F1 2014』
▲土や砂利が敷かれた場所にコースアウトすると、タイヤが砂まみれになってグリップが効かなくなる。そうとは知らず、コースに復帰したとたん酔っぱらい運転に。 ▲豪快にクラッシュしてフロントウイングが大破すると、無線でお叱りの言葉が。まるで職員室に呼び出された時のような心境で渋々ピットイン。

 自分にとって未知のレースゲーム体験だったにもかかわらず、各種アシスト機能のおかげで感覚はすぐにつかめた。アシスト機能をすべてオンにすると、オススメの走行ラインや加速・減速をするポイントを教えてくれる他、ライン取りやブレーキを踏むタイミングもわずかな自動操作でプレイヤーをそっと導いてくれる。

『F1 2014』 『F1 2014』
▲アシスト機能はレベルが数段階に分かれているものもあり、ベリーイージーだとアシストが一番強くかかるように設定されていた。もちろん自分でも調整できるので、慣れてきたらアシストを弱める・解除するなどして好きなスタイルで遊べる。 ▲“レーシング・ラインタイプ”を設定することで、コース上に走行ラインが表示される。ラインの色が緑の時は加速、赤の時はブレーキというように、マシンの走行速度に応じてその都度色が変わるのもポイントだ。

 話が前後してしまうが、最初にプレイしたレースは新要素の“評価テスト”だった。これはテスト走行を通じてプレイヤーのドライビング能力を計測し、自分の腕にあったゲーム難易度を示唆してくれるというもの。前作の“ヤングドライバーテスト”に代わるチュートリアル的な位置づけだが、ボイスやテキストによる長々とした説明が一切ないのは好印象。しかも、初っ端からレースのクライマックスを体験できる。

『F1 2014』 『F1 2014』
▲“評価テスト”はファイナルラップかつ、3位の状態から始まる。評価結果は、初回は“ベリーイージー”だったが2回目で“イージー”に昇格し、自分の上達ぶりを実感。 ▲調子に乗ってアシストをすべてオフにしたところ、もはやコースにいる時間のほうが短いと感じる暴走ぶり……。アシスト機能の偉大さと自分の愚かさを痛感した。
『F1 2014』
▲ハンズオンに同行したヒビキタケルも評価テストに挑戦。さすがに全シリーズをプレイしているだけあって、評価結果はミディアム(5段階中で3段階目)だった。
『F1 2014』 『F1 2014』
▲評価テストの後にキャリアモードも少しだけ遊んでみた。今作から期間の設定が可能で、ショート(7レース)、ミディアム(12レース)、フル(19レース)から自由に選べる。

 また、これほど便利なものはないと感心したのが“フラッシュバック機能”。コードマスターズのレースゲームにおいては定番の機能だが、実際に使ったのは今回が初めて。早い話が“時間を巻き戻せる”機能だ。

 レースゲームに夢中だった当時、「あのミスがなければ!」という後悔を数えきれないほどしてきた。その後悔という名の怒りやストレスを、フラッシュバック機能はまっさらにしてくれる。時間を操っている時は、まるで神にでもなったかのような気分に。

『F1 2014』 『F1 2014』
▲フラッシュバック機能を発動すると、ある程度まで時間をさかのぼることができ、好きな地点からやり直せる。ラップタイムを伸ばす、苦手なコーナーを練習するなど用途はさまざま。
『F1 2014』 『F1 2014』
▲最後の記念にグランプリレースへチャレンジしたところ、予想外の1位に思わずガッツポーズ。 ▲1時間前のダメぷりからここまでの成長を振り返り、感傷に浸っているところ。

 『F1』シリーズは、その再現性・クオリティの高さから、実際のF1レーサーがシミュレートしている事例もある。根底となるリアルさは『F1 2014』になっても変わらないが、レースゲームとしての間口は格段に広くなったと思う。ソフト発売まで約1カ月あるが、F1に少しでも興味のある人はぜひ手にとって体験してほしい。

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