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2014年9月21日(日)

『Destiny』の拡張パックはいくつか用意されている。リードデザイナーのジェームズ氏に聞く今後の展開【TGS2014】

文:電撃オンライン

 販売初日で5億ドルの収益を記録し、新規IPの記録を塗り替えたPS4/PS3用ソフト『Destiny』。本作は、人類の守り手である存在・ガーディアンとなり、人類を滅亡寸前まで追い込んだ天敵“暗黒”との戦いに身を投じていくアクションシューターだ。

 そんな『Destiny』のリードデザイナー・James Tsai(ジェームズ・サイ)氏が東京ゲームショウ2014に合わせて来日。本作の発売後の印象や今後の展開についてインタビューを行なった。

『Destiny』
▲James Tsai(ジェームズ・サイ)氏

――発売後、世界中のユーザーの反応を見てどう感じましたか?

 まず、Bungie一同このゲームを何年にも渡って作り続けてきたので、それをついに発売できたことが非常にうれしかったです。発売直後からユーザーの方々の反応を見ていますが、プレイヤーごとにさまざまな遊び方で楽しんでもらえているようなので、ありがたいですね。“ストライク”などの協力プレイを通して、ゲームの中で友好関係を築いてもらえるのがうれしいです。

――Bungieとしては、日本のゲーム市場をどう捉えているのでしょうか?

 日本特有のマーケットに対して、『Destiny』がどのように受け入れられるかなど、まだ細かくチェックできてはいません。ただ、日本を含めた世界中のユーザーの方々に向けて、月や火星、金星といったさまざまなステージを用意しました。自分の好みに合わせて、ゲームの中で訪れることができるさまざまな場所を探検してもらいたいですね。

――『Destiny』を開発するうえで、もっとも大切にしたものは何でしょうか?

 Bungieはとても大きな会社で、さまざまなチームがいます。各チームがそれぞれ力を入れているので、特に1つの要素を重視したというよりは、すべての要素において各チームが自分の得意分野を徹底的に深く堀り下げているといった感じです。

 例えば、デザインチームであれば、銃を撃つ際にどういう気持ちで撃つかという部分や動きの研究など、シューティングとしてのメカニック部分に非常にこだわっています。アートディレクションであれば、特定の場所のドアが開いている、または閉まっている理由など、画面から伝わる環境を通して、ユーザーにバックボーンにある“何か”を感じ取ってもらえるということを考えて開発しました。

――導入の段階からチュートリアルがしっかりしていたり、敵が段階的に強くなったりとか、かなり遊びやすい印象を受けました。こういったゲームデザイン的に苦労した点などはありましたか?

 冒頭の部分をそのように感じてくれるのはうれしいですね。じつは、始めの1時間くらいの部分は最低でも10回以上スクラップ&ビルドを繰り返しています。内部の人間はもちろん、外部からユーザーテスターを招いて試してもらい、いろんなパターンを触ってもらいました。ユーザーに対する操作の“うながし”がどの程度の頻度で入るべきか、どういうガイドが置かれるべきかというのを非常に細かく研究を重ねています。

 また、1つの要素だけを見るのではなく、全体的な流れを非常に重視して作ってきました。そのため、ユーザーにやりやすいと感じてもらえたなら非常に嬉しいですね。

――世界はもちろん、日本でも好調なセールスを記録していますが、今のところプレイヤーに人気のクラスはどれでしょうか?

 αテスト、βテスト、製品版とデータを集め続けてきましたが、おもしろいのがどの段階においても3つのクラスの配分がだいたい三分の一ずつなんです。ユーザーがまずメインキャラを決めて、ひと通り遊んでから別のキャラに移るタイミングも非常に似ていて、興味深いですね。皆さん似たようなパターンでキャラクターを変えて遊んでいるようで、ほぼいつ見ても三分の一ずつの配分になっています。

――かなり細かくデータを収集されているようですが、今後そういったデータをゲームへフィードバックさせていくのは、早い段階で行なう予定なのでしょうか?

 フィードバック自体はもうすでに始めています。ミッションにおいてユーザーが与えるダメージや食らうダメージの比率などまで細かく見ていまして、開発側が想定していたよりも時間がかかってる部分や、そこが場合によってはゲーム全体の流れをせき止めていると感じた場所などは、周囲の敵の配分などを調整したりしていますね。今後も、ユーザーの行動と敵などの関係性は見ていく予定です。

 よく、ゲームが世に出てしまったら開発の仕事としてはもう終わりと勘違いされがちですが、とくに『Destiny』においてはずっと細かい調整を入れていき、ユーザーにとっていいプレイ環境を作り続けたいと思っています。

――MMOタイプでありながらライトな交流で楽しめるのは魅力である反面、ゲームシステムとしてのクランやギルドなどの要素を求める声もあると思うのですが、そういったものの導入予定や考え方はありますか?

 Bungieには“ユーザーの声に耳を傾ける”という、ルールというか決めごとがあります。現状では、やってユーザー同士がゲーム内でどのようにお互いに交流するか、ファイアチームとしてミッションにどう参加しているかなどをチェックし、Bungie.netのフォーラムの議論にも注目して情報を集めています。

 今後、ユーザー同士の関わりをサポートしていくのはゲーム側としてもやっていきますが、現状での決定事項などはありません。今後、ユーザーの要望などを見ていったうえで決めていくことになるでしょう。

――ユーザーが一番気になるであろう武器やビークルについてですが、今後武器のカテゴリを増やしていく予定などはあるのでしょうか?

 武器カテゴリの追加に関してはまだ未定ですが、今後ゲーム全体の拡張パックを何個か予定していますので、ユーザーが新しく追いかけていく対象――武器や装備などはその導入タイミングでたくさん用意しようと思っています。

 ちなみに、ゲームの中には多くの謎や秘密を隠していまして、非常に限定的な条件を満たすことによって得られるレアな武器や装備など、まだまだ明らかになっていないものがたくさんあります。先日、高難易度ミッションの“レイド”がオープンしましたが、それをなんとかクリアしたグループだけがはじめて得られるチャンスがあるレアアイテムもあります。

 そういったものについて、「あのアイテム、レイドでしか手に入らないみたいだぜ」とか「オレ持ってるぜ」というようにユーザー同士の情報交換が盛んになるとうれしいですね。ほかにもレアアイテムが欲しいというユーザーの欲求をくすぐるような仕掛けをいっぱい入れてあるので楽しんでください。

 今後、非常に難しいストライクミッションの追加なども考えています。レイドと同じように、そのミッションでしか手に入らないようなアイテムも一杯追加していきたいですね。また、隠しキャラ的な要素も考えていて、そういったキャラとかかわることで得られるものなど考えています。

――現状では見た目をアピールする以外には特に意味はないスターシップですが、今後何かしらゲーム内で使用するコンテンツなどは考えているのでしょうか?

 おっしゃるとおり、現状ではユーザー同士がアピールして楽しむための要素となっています。今後については、例えば船の希少性によって何かしらのボーナスを与えようか、などと考え始めてはいますが、それが本当にゲームにとってプラスになるのかを含め、細かくディスカッションを重ねている状況ですね。

――『Destiny』の将来像や、目指しているものは何でしょうか

 Bungieには“世界征服を果たすまでは止まらない”という言葉があるんです。もちろん、実際に征服するわけではなく、“世界中の多くの人たちがBungieのゲームに参加する”ことを目指して尽力することを指しています。

 現在『Destiny』では、日または週ペースでいろんなイベントを実施しています。例えば、敵のヘルスゲージが非常に長い敵が出現したり、特定の部分が強化された敵がいっぱい配置されていあたりとか、いろんな部分をいじったミッションなどを足し始めていますが、そういったことは継続的に行なっていこうと思っています。

 対戦モードである“クルーシブ”においても、今は全員フラットな状態で対戦が始まるようなシステムにしていますが、特定の装備を持っていると特定の能力がブーストされるような、変化をつけたルールも導入しよう考えています。こういったことをずっと繰り返して、ユーザーに常に新しいことを提供していきたいですね。

 その結果……最後がどこになるかはちょっとわかりませんが、ユーザーがいろんな思い出を積み上げてくれて、振り返ったときに「いろんな思い出があったよね」って言ってもらえるのが、僕らにとってのゴールかなと思っています。

(C)2014 Bungie, Inc. All rights reserved. Destiny, the Destiny Logo, Bungie and the Bungie Logo are among the trademarks of Bungie, Inc. Published and distributed by Sony Computer Entertainment Inc. in association with Activision.

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