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2014年10月23日(木)

GB『時空の覇者 Sa・Ga3』座談会。DS版を踏襲した新作を熱望!【サガ25周年記念連載】

文:MAC佐藤

 2014年12月で25周年を迎えるスクウェア(※現スクウェア・エニックス)の名作RPG『サガ』シリーズ。電撃オンラインでは、この記念すべき年を盛り上げるべく、シリーズ全作品を振り返っていく“サガ25周年記念連載”を展開中だ。

 連載第8回となる今回は、1991年12月13日に発売されたゲームボーイ用RPG『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』および、リメイク作となるDS用ソフト『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』の編集部座談会をお届けする。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』

【座談会参加者】

きっしー:『サガ』シリーズはGB3作とSFC3作をプレイ。地元・種子島で『魔界塔士 サ・ガ』を広めたのはオレだ! と勝手に思い込んでいる。『サガ』のおかげで友だちが増えた。最大の敵は玩具屋の孫。

そみん:初代『魔界塔士 サ・ガ』以来、シリーズを遊び続けてきた電撃オンラインのスタッフ。5年前の『サガ』20周年記念の際は、雑誌『電撃ゲームス』で連載コーナーを担当していた。

Mac佐藤:『電撃Nintendo』で活躍している『サガ』好きライター。初代『サガ』から『ロマンシング サ・ガ3』、そして『サガフロ2』の知識が豊富で、シリーズの中では『ロマサガ1』がもっとも好き。

【『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』が発売された1991年はどんな年?】
<主な出来事>

・多国籍軍のイラク空爆開始により湾岸戦争勃発
・東京都庁が新宿に移転
・ジュリアナ東京オープン
・東北新幹線上野駅-東京駅間開業
・世界初のWorld Wide Webサイトが開設
・ソビエト連邦崩壊

<主なゲームソフト>
・『ストリートファイターII』
・『スーパーロボット大戦』
・『プリンセスメーカー』
・『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』
・『ファイナルファンタジーIV』
・『がんばれゴエモン~ゆき姫救出絵巻~』
・『メタルスレイダーグローリー』
・『超魔界村』
・『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』
・『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産』

<主なTVアニメ>
・『ドラゴンクエスト』(※勇者アベル伝説)
・『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』
・『絶対無敵ライジンオー』
・『少年アシベ』
・『21エモン』
・『キン肉マン キン肉星王位争奪編』
・『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』

■『Sa・Ga』の完結編にしてスクウェア最後のGBソフト! 発売当時の思い出を語る

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』

そみん:というわけで、『サガ2』に続いてそのまま『サガ3』座談会のスタートです!

きっしー:詳しくは前回の『サガ2 秘宝伝説』座談会を見てくださいということで、さて『サガ3』ですが、前作からさらに1年後の1991年12月13日に発売されました。

Mac佐藤:当時は意識していなかったけど、3作品ともほぼぴったり1年サイクルで発売されていたんですね。

そみん:『サガ3』発売の約1カ月後の1992年1月28日には『ロマンシング サガ』が出るという状況で、みんなそっちに注目していましたけど(笑)。うちは3兄弟なんですけど、話し合って2本とも買うことになりました。

Mac佐藤:僕も同じような感じですね。GB版の“完結編”と銘打たれている以上、やらないわけにはいくまいと、弟と協力してお金を出し合ってソフトを購入しました。

きっしー:僕も迷わず買いましたけど、「『ロマサガ』が出るまでの1カ月の間に絶対クリアしないと!」、なんて思いながら遊んでいた覚えがあります。ちなみに、このあたりからスクウェアのソフトは学校をさぼって買いに行っていました。

そみん:僕はセガサターンだけは高校をさぼって買いに行きましたよ。親には「今日は学校が早く終わったわー」みたいなことを言って(笑)。佐藤さんはどうですか?

Mac佐藤:さすがに学校をさぼってまでというのはないです。『ドラゴンクエストII』~『IV』は、休日に始発電車で都内のお店に行って、行列に並んで買いましたけど。あと、スーパーファミコンもかなり品薄で、発売から3、4カ月後でも入荷日にはまだ行列ができる状況で、かなり苦労して買った覚えがあります。始発電車で店に行ったのに、もう品切れみたいな感じで。

 そういえば、僕は『サガ2』のころが高校受験の時期だったんですけど、そみんさんは『サガ3』や『ロマサガ』のころが高校受験ですよね。

そみん:そうですね。特に『ロマサガ』は完全にかぶっていて、一応勉強はしつつどうしても気になってコソコソと遊んでいました。

きっしー:それで高校には受かったんですか?

そみん:まあなんとか。ちなみに合格発表の時、ボードに自分の番号がなかったんですよ。遊んでいたし、仕方ないなと思ったんですけど、一緒に行った母親が「うちの息子は絶対に受かっています! もう一度見てください!!」と食い下がって、確認してもらっていたら「ああ、ありますね」と。

Mac佐藤:結果オーライですけど、一歩間違えれば完全にモンスターペアレンツとかクレーマーですね(笑)。

そみん:そのおかげで3年間男子校に通うことになったわけで、もし別の学校に通っていたら、未来が変わっていたのかなとか思ったりして。

きっしー:『サガ3』のように、歴史を変えるみたいな? もしかしたら、今の奥さんとは別の人と結婚していたかもしれませんね!

そみん:そうですねぇ……(しみじみと)。

きっしー:認めちゃうんだ(笑)。

Mac佐藤:そこは一応否定しておきましょうよ。ところで、『サガ3』の周囲の評判はどうでした?

そみん:やっぱり、まわりは発売が近い『ロマサガ』に心を奪われていましたね。『サガ3』をプレイしている友だちはあまりいませんでした。受験シーズンだったこともありますけど。

きっしー:時代はスーパーファミコンという感じで、注目は『ロマサガ』に集まっていましたよね。

Mac佐藤:みんなそうですよねぇ。そう考えると、ゲームボーイの『サガ3』はちょっと不遇な状況にあったのかもしれません。僕たちは、なんだかんだ言いつつ結局遊んでいたわけですけど。

■異色の異色で正統派!? 賛否両論が渦巻いたGB版『サガ3』のシステム

そみん:そんな『サガ3』をプレイしてみて、どう思いました?

Mac佐藤:正直に言ってしまえば、『サガ』シリーズらしくはないなと。特にバトルシステム関連ですね。GBのRPGとして見れば、かなり完成度が高いと思うんですけど。

そみん:やっぱりそこですよね。とがったシステムが特徴だった『サガ』シリーズが、『FF』寄りになった印象でした。

Mac佐藤:オーソドックスで遊びやすいシステムになったとも言えますけど。RPGとしては異色だった『サガ』シリーズの中で、『3』は異色作と言われているんですよね。なんか、ひと回りして正統派RPGになった、という感じです(笑)。

そみん:GBのRPGとしてはよくできているけど、『サガ』ファンが求めていたものとはちょっと違っていたのかもしれませんね。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』

きっしー:僕は『1』と『2』は何度もクリアしたんですけど、『3』は結局1回だけクリアして満足しちゃいました。まあ、直後に『ロマサガ』が控えていたのが大きいですが。

そみん:『ロマサガ』の影響をいろんな部分で受けていたと思います。発売日が近いのもそうですし、そもそも河津さんをはじめとする『サガ1』と『2』の開発チームは『ロマサガ』の制作に専念していて、『サガ3』にはほとんどかかわっていないですから。

Mac佐藤:『サガ』シリーズの中でも、このGB版『サガ3』だけは藤岡千尋さんをはじめとする大阪の開発チームが制作しているんですよね。

きっしー:当時は、そんな事情はまったく知らずに遊んでいましたからねぇ。個人的には、『サガ』シリーズなのに経験値を獲得してレベルアップするところが衝撃的でした。

そみん:それは『1』や『2』をプレイした人みんなが感じると思います(笑)。一般的なRPGのシステムなので、万人向けでとっつきやすいんですけど。

Mac佐藤:後にも先にも、経験値によるレベルアップ制の『サガ』シリーズは『サガ3』だけですよね。

きっしー:あと、武器の使用回数制限がなくなって、装備できる数が1つになっているんですよね。残りの使用回数を考えつつ、いろんな武器を使い回すのが好きだったんですけど。

Mac佐藤:一応、“かえんビン”や“ダイナマイト”、“ロケットほう”といった、1回しか使えない武器もありますよ。あと、おなじみの“かくばくだん”も。まあ消費アイテムみたいな感覚ですが。

そみん:魔法のシステムも、使用回数制からMP制に変わっていますよね。魔法のレベルがあったり、装備できる数が決まっていたり……。

 あと、一部の魔法は炎、水、風、大地の4種類の魔法石を2つ合成することで作れるんですけど、魔法石はそれぞれ5つくらいしか入手できないので、適当に合成していると高レベルの強力な魔法が作れなくなるという。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲魔法には1~8のレベルがあって、各レベルに6つの魔法がある。それぞれの魔法は店で購入したり、イベントなどで入手することができ、装備することでその魔法を使えるようになる。装備できるのは1レベルにつき1人3つまでだが、装備変更は何度でも可能。

きっしー:レベルが低くてもそれなりに強力な合成魔法もあるんですけど、それらは結局店で買える高レベルの魔法より威力が低くて……。「これ強いじゃん!」とか調子に乗って合成していたら、あとで泣きを見ました。「俺の魔法石を返せ!」って。

そみん:とはいっても、ないとクリアできないほどのものではないですけど。

Mac佐藤:僕はそういう貴重なアイテムをなかなか使えない性格なので、バッチリ最高レベルの魔法を作れましたよ!

そみん:エリクサーを最後まで使えないタイプですね、わかります(笑)。

■独特な雰囲気が漂う世界での冒険の思い出

Mac佐藤:『サガ3』って、独特の要素が多いですよね。タイムワープ可能な戦闘機“ステスロス”とか、主人公たちの種族変化とか……。

そみん:やっぱりトイレですよ! “じょうかマシン”というステスロスの設備の1つで、主人公たちの種族を人間やエスパーに戻す効果があるんですけど、見た目は完全にトイレという(笑)。

きっしー:使うと「ジャー」という水を流すような音までするんですよね。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲これがじょうかマシン。今ではあまり見かけない、和式トイレのような形となっている。具体的にどうやって使用するのかは永遠の謎。

Mac佐藤:種族のシステムとしては、主人公たちが、ロボットにもなれるしモンスターにもなれるところが特徴的でしたね。種族自体は『1』と『2』にもあったんですけど、キャラクターの種族は固定で、最初に選んだ後は変更できませんでした。『3』だとゲーム中に種族をある程度好きなように変えられるので、種族構成の自由度が高くなっています。

きっしー:主人公や女の子をロボットやモンスターにはしたくないので、モンスターやロボットはポルナレフの担当でした。

そみん:ポルナレフはイロモノ担当で(笑)。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲種族は『2』の人間、エスパー、モンスター、ロボット(『2』のメカに相当)に加え、サイボーグ、獣人が追加。戦闘後に敵が落とす肉やパーツによって変身できる。ロボット、サイボーグ、人間(エスパー)、獣人、モンスターの5段階となっており、肉を食べるとモンスター寄り、パーツを付けるとロボット寄りに変身する。

きっしー:僕はステスロス関連のシステムが好きでしたね。ステスロスは最初は神殿に封印されていて移動することもできないんですけど、パーツを集めていくと徐々に機能を取り戻していって、タイムワープしたり、空を飛んだりできるようになるんですよ。

そみん:ステスロスで飛行中は、敵とエンカウントした時に“はどうほう”や“メーザーほう”といった武器で先制攻撃できるんですよね。弱い敵なら一気に全滅できるので、とても快適でした。

きっしー:個人的には、ステスロスをいろいろカスタマイズできればもっと楽しかったかなと。

Mac佐藤:GBだと容量の制限もあるし、難しいとは思いますけど。

そみん:容量といえば、藤岡さんのインタビューによると、グラフィックのデータ量の計算が間違っていることがデバッグの時期に発覚して、数日でデータ量を半分に減らさないといけないという事件もあったみたいですよ。敵キャラクターの種類を減らして、色違いの敵を増やして対応したらしいです。

Mac佐藤:そのせいかどうかはわかりませんけど、変な敵キャラクターが多いことも印象的ですね。“カブキモノ”とか“スケバン”とか“たーまやー”とか……。

きっしー:“やぶいしゃ”や“マッドナース”はともかく、“かんごふ”や“はくいのてんし”が襲いか掛かってくるんですよね。お前ら治療する側じゃないのかよ!

Mac佐藤:他にもいろいろな意味でヤバイ敵がいましたよね。今あんなのを出したら何を言われるか……。

そみん:そろそろ危ないのでこの話題はストップ!

きっしー:まあ、あのころは自由な時代だったということで(笑)。

そみん:あとはジャンプですかね。普通のRPGなのにジャンプできるのがとてもめずらしくて、印象に残っています。

Mac佐藤:1マス分の穴や町の人、宝箱などを飛び越えて進めるんですよね。町の人の頭上を飛び越えていくのはおもしろかったです。

きっしー:必要ないところでも、ムダにピョンピョン飛び跳ねていました(笑)。

そみん:藤岡さんが担当したゲームは、主人公がジャンプできるみたいです。『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト』なんかがそうですね。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲ダンジョン内では、床の穴を飛び越えながら進むというパズル的な要素も取り入れられている。逆に、穴に落ちないと先へ進めない場所も。

■ややダークなストーリーとギャップが激しい(?)キャラクター

そみん:ストーリーや世界観も独特でしたよね。“世界の上空に突然現れた水がめから大量の魔物が流れ出してきた”、なんて最初に聞いた時は「一体どういうことなんだ!?」と疑問に思った覚えがあります。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲水がめから流れ出す水と魔物のせいで、海の底に沈もうとしている“サガ世界”。未来の世界ではほとんどの大陸が水没し、滅亡の危機が迫っていた。

きっしー:水がめは異次元と繋がっている設定のようです。四次元ポケットみたいな感じですかね(笑)。

そみん:過去、現在、未来を行き来して冒険するところも異色でした。

きっしー:現在で子どもだったキャラクターが、未来に行ったら大人になって登場して、「ずいぶんと立派になったなぁ」と感心したり。

Mac佐藤:個人的にはタイムパラドックスに関する話が好きなので、自分の行動が他の時代にどんな影響を与えるんだろうと、先の展開にワクワクしながら遊んでいました。

『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
▲主人公のデューン、ポルナレフ、ミルフィーは、幼いころにボラージュの手により“滅びの未来”からタイムマシンで過去へと送り込まれる。やがて成長した彼らは、歴史を変えて世界を救うため、時を超える壮大な冒険へと旅立つ。

そみん:滅びゆく世界を舞台にしているせいか、暗めのエピソードも多いんですよね。人間がサハギンという半魚人になってしまう奇病が流行っている町があるんですけど、そこにいる子どもたちが「ぼくも あのこみたいに なっちゃうのかなあ?」とか「ぼく どうなっちゃうの? モンスターになって しにたくないよ」とか言っていて、ちょっと怖くなった思い出が……。

きっしー:しかも、未来の世界でその町に行くと住人がみんなサハギンになっていて、話しかけると襲いかかってくるんですよ!

Mac佐藤:魔物に変身できる魔法を使えば話を聞けるんですけど、「おれは びょうきではないんだ つぎのせかいに あったからだへと しんかしただけだ」とか「いまは くるしくはないが ときどきじぶんじしんを コントロールできなくなる」とか言っているんですよ。

そみん:光の神(ソール)が異次元の神ラグナに取り込まれる展開も衝撃的でした。

きっしー:最終ボス戦直前で、ソール神がラグナの意識を食い止めていて、意識を乗っ取られる前に自分を倒せと、主人公たちに攻撃させるんですよね。その時のソール神のセリフはおもしろいんですけど。

そみん:「もっと! もっとだー! グヘッ……」。

Mac佐藤:おそらく『サガ3』で一番有名なセリフですね。自分の身を犠牲にしてラグナを封じ込めようとする名シーンなのに、このセリフのせいでドM神とか言われて(笑)。

そみん:キャラクターに関してはどうですか? このソール神も含めて、個性的な人物が多いと思うんですけど。

Mac佐藤:ディオールは結構好きですね。現在世界では、デューンを兄のように慕っている少年なんですけど、未来世界では革命軍のリーダーとなって異次元の神々に立ち向かっているんです。あるイベントで、結界発生装置を破壊するために自爆してしまうんですけど、細胞のかけらからバイオ技術で復活するんですよ。『サガ2』の父親を思い起こさせるしぶとさで(笑)。

きっしー:ドグラ神に誘拐されたフレイヤという女の子がいるんですけど、イラストではチャイナ服を着た拳法家のような感じなんです。格闘系のキャラクターだと思い込んでいたのに、実際に仲間になったらエスパーでビックリしました。

そみん:まさかりシスターことネメシスも忘れちゃいけないでしょ。ディオールの幼なじみで、未来世界では革命軍の一員として登場するんですけど、イラストだと修道服を着たシスターなんですよね。でも、装備している武器は“まさかり”という。

Mac佐藤:一応魔法も使えるけど、武器で攻撃したほうが強いんですよね。そのギャップがたまらない人も多いみたいですけど(笑)。

そみん:そういえば、ポルナレフとミルフィーってセリフがまったくないんですよね。ひと言もしゃべらないので、逆に印象に残っています。

Mac佐藤:シリューも最初に少しセリフがあるだけで、ほとんどしゃべりませんね。パーティメンバーの中で、イベント中にしゃべるのはデューンだけなのはちょっとさびしかった記憶があります。

きっしー:シリューといえば、オープニングのデューンとのキスシーンがドキドキでした。お前らそういう関係かと(笑)。

■気分は完全新作!? より『サガ』らしく生まれ変わったDS版

そみん:2011年にリメイクされたDSの『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』ですが、プレイしてみてどうでしたか? 発売当時に電撃オンラインの企画で、僕と佐藤さんの2人で話しましたけど、改めてということで。

Mac佐藤:『2』はいかに原作を変えずにリメイクするかに対して、『3』ではいかに『サガ』らしく変えるかをテーマにしているんですよね。

きっしー:リメイクというよりはほぼ新作という印象です。ストーリーの大筋は変わっていないんですけど、システムが大幅に変わっているので。

Mac佐藤:DS版は、やっぱりバトルや成長システムの変更が大きいと思います。

そみん:そのおかげで、とても『サガ』らしくなりましたよね。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲DS版『サガ3』の大きな魅力となっているのが、リアルタイム成長システム。これまでのシリーズと違って、キャラの行動直後にパラメータがアップする。1回のバトルで、同じ能力を2以上アップさせることも可能だ。
『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲武器や特殊能力は使用回数制となった。なお、武器は使用回数が0になっても壊れず、修理すれば再び使えるようになる。

Mac佐藤:特にリアルタイム成長システムがとてもいい感じで、バトルがすごく楽しくなってるんですよ! 個人的には『サガ』シリーズのスタンダードにするべきだと思っているくらいなんですけど……DS版『サガ3』以来、コンシューマでリメイクも新作も出ていなくて、なんかもったいないなと。

そみん:自分も、あのシステムをベースにして、もう1~2本くらい作ってもいいんじゃないかと思っています。

きっしー:いつパラメータが上がるのかと、ワクワクしながら戦っていました。新しい技を覚える時も、メッセージウィンド内ですけど電球が出るんですよね。久々に見て感動しました。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲使用している武器に秘められた技を新たに習得することも!
『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲味方が次々と連続で攻撃していく連携システムも搭載。DS版『サガ2』ではアイテムが必要だったが、アイテムなしで連携できるようになった。

そみん:キャラクターの頭上に出れば完璧だったんですけど(笑)。

Mac佐藤:敵とのエンカウントは、DS版『サガ2』と同じくシンボルエンカウントになりました。フィールドに敵が見えていて、戦うか戦わないかを自分である程度選べるのは、やっぱり快適ですよね。

そみん:ちなみに、近くに別の敵がいるとチェーンエンカウントとなって敵の出現数が増えるのはDS版『2』と同じですが、『3』ではスタックバトルというシステムになっていて、最前列の敵を倒すことで奥にいる待機中の敵が出現します。『2』だと敵が一度に全部出現して、50体以上の敵を同時に相手にしないといけないこともあったんですけど。

きっしー:『3』では敵にそれぞれサイズがあって、一度に出現できる数が決まっているんですよね。GB版の敵にもサイズがあったので、それを意識しつつ進化させたシステムなのかもしれません。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲敵のサイズはS(1マス)、M(2マス)、L(3マス)の3種類。画面右下に縦に積み重なっているように表示されているのが敵の配置で、まずは最前列(一番下)にいる敵と戦うことになる。
『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲最前列には6マス分のスペースがあり、敵を倒して空きスペースができると、2列目に待機している敵が順次出現する。

Mac佐藤:チェーンさせたほうがパラメータが上がりやすいので、なるべくスタックバトルを発生させるのが基本ですね。バトルにかかる時間は長くなってしまうんですけど、リアルタイム成長のおかげで苦にならないんですよ。逆に、時間がかかればそのぶん成長するチャンスも増えますし。

きっしー:“タイムズ・ギア”という時間にかかわるシステムもありましたよね。TGP(タイムズギアポイント)を使ってバトル中に過去の自分や未来の自分を呼び出して攻撃できるというシステムなんですが、ストーリーにもかかわっていて楽しい要素でした。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲タイムズ・ギアは時間を操ることができる装置。ギアゲージは現在のTGPを表すもので、-5から+5の範囲で増減する。
『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲TGPはバトルで味方が行動した時や、敵から攻撃を受けた時などにたまり、“ドライブ”を使うことで消費される。ドライブは“過去”、“現在”、“未来”の3種類が存在する。

そみん:ただ、TGPを使うのがちょっともったいないという印象はありました。ポイントがマイナスになるとしばらく使えなくなるし、“フリーシナリオ”中に、ポイントがある程度たまっていないと出てこない選択肢があったりしますから。

Mac佐藤:逆に、ポイントがマイナスじゃないと出ない選択肢もありますけど。

きっしー:ポイントはすぐにためられるものではないので、確かに使いどころに悩む場面はあるかもしれませんね。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲“フリーシナリオ”は、ストーリーの本筋とは少し外れるサブイベント的なもので、クリアするかどうかはプレイヤーの自由。
『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲ストーリー中では語られない登場人物のエピソードを知ることができたり、アイテムを入手できたりするので、なるべくクリアしておきたいところだ。

そみん:ストーリー的には、“フリーシナリオ”という形でイベントがいろいろと追加されて、より深く物語を楽しめるようになったのがうれしいですね。タイムズ・ギアを使うことで過去や未来に干渉できて、主人公たちの行動が世界にさまざまな影響を与えるので、より時間移動を意識できるようになりました。

Mac佐藤:フリーシナリオは全部で150以上あるんですよね。しかも、物語系のシナリオは選択肢によって異なる結末が用意されているので、かなりのボリュームとなっています。全部見るのは大変ですけど(笑)。

きっしー:キャラクター関連では、“ワンダラー”という謎の男の追加が大きいですね。これにともなって、ボラージュも……。

そみん:そのへんは真エンディングのネタバレになるので、あまり詳しく語らないほうがいいかも(笑)。GB版をプレイした人なら、衝撃を受けること間違いなしです。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲ステスロスでタイムワープする時に出会う謎の人物・ワンダラー。彼の目的や正体は……?

Mac佐藤:ワンダラーはステスロスをモチーフにした仮面が印象的ですよね。ステスロスと一体なんの関係があるのか、あれこれ考えながらプレイしていました。

そみん:あの仮面のせいで、ステスロスマンなんてあだ名がついていたりしますけど(笑)。

きっしー:かなりマッチョな体型で、あの人とは似ても似つかないので、正体を知った時は「えー!?」と思いました(笑)。

そみん:外見はともかく、ワンダラーのおかげでストーリーに深みが増していて、彼の行動の理由が明らかになる真エンディングの展開はかなり熱かったです!

Mac佐藤:GB版ではデューン以外のパーティの仲間はしゃべらなかったのですが、DS版ではちゃんとしゃべるようになって、仲間と一緒に冒険している感じが出ているところもよかったですよね。キャラクターに対する愛着もわきますし。

そみん:GB版ではどんなキャラクターかよくわからなかったのですが、DS版ではしっかりと個性が付けられていて、仲間たちのやりとりがおもしろかったです。

きっしー:細かい部分なんですが、浄化マシンのトイレがちゃんと再現されていたことに驚きました(笑)。

そみん:実はあれ、開発段階ではトイレではなかったらしいですよ。あとになって「やっぱりトイレにしよう」ということになって、あの形に変わったようです。

Mac佐藤:開発スタッフのこだわりが感じられますよね。

『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』
▲ハードが変わって表現能力が進化しても、浄化マシンはトイレのままだった。使用中はシャッターが閉じる演出もアリ。GB版のファンも納得!?

そみん:そしてDS版『サガ3』の目玉の1つが、GB版の作曲を手がけた笹井隆司さんと、『サガ』シリーズでおなじみの伊藤賢治さんの2人による音楽のアレンジです。GB版の曲は、同時発音数や容量の制限もあって、表現したかったことがあまり実現できなかったそうですが、DS版では完全版にすることを意識して作曲されたそうで、すごくゴージャスになっているんですよ。GB版の曲と聞き比べてみると、「こういう曲にしたかったんだ!」とわかって楽しかったですね。

きっしー:笹井さんのアレンジ曲はロック魂全開という感じですよね。

Mac佐藤:バンド出身ですからね。個人的にはドラムの使い方がとてもカッコいいと思っています。アップテンポで激しく叩くような感じで、テンションが上がるんですよ! お気に入りの曲は“聖なる遺跡”ですね。

そみん:自分はフィールドの曲“未来への旅立ち”や、通常バトル“戦!”が好きです。あと、ボス戦の曲の“異次元の神々”は、原曲とは全然違うアレンジで驚きました。この曲はイトケンさんが担当されたのですが、意図して徹底的に変えたそうです。

■夢の新作!? もしも『サガ4』が出るとしたら

そみん:今回はGB版『サガ』シリーズ座談会の最後のまとめとして、もし新作の『サガ4』が出るとしたらどうなるのか、勝手に予想したいと思います!

Mac佐藤:システム的には、やっぱりリアルタイム成長を取り入れてほしいですね。DS版『3』だけで終わらせてしまうのは本当にもったいないので。

そみん:DS版のシステムをベースにした新作を熱望!

きっしー:塔をひたすら上に登っていくゲームをやってみたいかも。何階まで到達できるか、みたいな。

Mac佐藤:『不思議のダンジョン』的な感じですか? 最後は宇宙まで行っちゃうとか(笑)。

そみん:どうせなら、『サガ』オールスター的な『1』『2』『3』の世界をごちゃ混ぜにしたさらにカオスな世界を見てみたいです。

きっしー:全部の世界を冒険しつつ、宇宙を目指すという感じで。夢はでっかく!

そみん:そんなゲームになるかどうかはともかく、『サガ』の新作はぜひよろしくお願いします!

(C)1991,2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. キャラクターデザイン:小林 元

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