セガネットワークスのマーケティング支援“Noah Pass”でスマホ業界はどう変わる？ 新作も多数発表されたメディアカンファレンスをレポ

文：マスクド・イマイチ

　本日9月25日、セガネットワークスは都内の恵比寿ガーデンルームにおいて、“セガネットワークス メディアカンファレンス 2014 Autumn Noah Pass事業戦略発表会・新作発表会”を開催。第1部では、セガネットワークスの展開しているマーケティング支援ツール“Noah Pass”の新規事業に関する説明が行われ、第2部では多数の新規タイトルが発表された。

▲発表会第2部で新規に報じられたタイトルも合わせると、数十タイトルを運営することになるセガネットワークス。売上高も順調に伸びているという。

■第1部：Noah Pass事業戦略発表会

　最初に登壇したセガネットワークス代表取締役社長CEOの里見治紀氏は、これまでのセガネットワークスの歩み、展開を簡潔に紹介。2012年7月に設立されたセガネットワークスだが、累計ダウンロード数が1,000万件を超えた『ぷよぷよ!!クエスト』やセールスランキング上位に位置する『チェインクロニクル』といった人気タイトルを有し、月日を追うごとに売り上げ高を更新、提供タイトルも続々と増やしている。

　「多彩なポートフォリオが我々の強み」と語る里見氏は、欧米での『ソニック』シリーズやアジア圏内での各タイトルのヒットを例に挙げ、業界最大級の開発力とセールス力を有していることを強くアピール。折しも、8月の月間総ダウンロード数で『クレイジータクシー』が1位を獲得したことも発表し、その勢いを裏付けていた。

▲セガネットワークスの現在から、“Noah Pass”の成り立ちまで詳しく解説してくれたCEOの里見氏。

　そのセガネットワークスが昨年夏から展開しているマーケティング支援ツールが“Noah Pass”だ。シンプルに言うと、相互のゲームアプリにバナーを置き、ユーザーの相互集客をうながすなどのマーケティング支援をしている。これからは相互バナーにとどまらず、新たに4つの事業展開をスタート。これについては、セガネットワークス上席執行役員事業本部長岩城農氏から具体的に解説が行われた。

▲力強い言葉で“Noah Pass”のメリットやこれからを解説したセガネットワークス岩城氏。スマホゲーム業界外との連携も強くアピールしていた。

　岩城氏は、まず“Noah Pass”の強みを“無料・効果的・OPEN”と3つに分けて解説。各タイトルをサービスしているメーカー同士が、極力制約を受けることなく協力し合える関係にあると語った。これからはゲームメーカーのみならず、もっと幅広い業界との連携“異業種協業”が要になるとし、下記の4つの新規事業を挙げた。

1：“amazonコイン”との連携（10月初旬から）
2：フジテレビ、GOOPAと共同したクラウドファンディング“Crowdrive”（10月末から）
3：離れてしまったユーザーを引き戻す“リターゲティング広告”（今冬から）
4：ユーザー層に具体的に迫る“白書”の発行。“リサーチソリューション”提供（10月末）

　以上の4つを簡潔に説明していこう。1つ目の“amazonコイン”は、今夏から販売されている仮想通貨。Amazon Androidアプリストアでの課金アイテム購入に使用することができる。“Noah Pass”参加アプリでは、新たな決済方法として“amazonコイン”を使用できるようにしていくほか、アイテム購入金額に応じた“amazonコイン”のプレゼント、新規タイトルダウンロードの報酬やログインボーナスに“amazonコイン”を用いることも視野に入れていくという。

　続くクラウドファンディング“Crowdrive”は、ユーザーがアプリを応援する機会を増やすために考えられているという。公式サイトがオープンしており、“ゲームクリエイターとゲームファンをつなげる新しいクラウドファンディングサービス”と銘打たれている。一般的なクラウドファンディングは、企画段階での参加のみとなっているものが多いが、“Crowdrive”ではリリース直前、リリース済みのタイミングでも参画可能にしていきたいという。具体的な発表には至らなかったが、フジテレビのメディアとしての宣伝力・発信力、GOOPAによるサイト運営でサービスが展開される。

▲アマゾンジャパン株式会社アプリストア事業部事業開発部長の岡崎淳一氏（写真左）と、株式会社フジテレビジョン総合開発局統括担当局長川口達也氏。それぞれ“amazonコイン”と“Crowdrive”において、“Noah Pass”と協力していく意気込みを語った。

　3つ目の“リターゲティング広告”については、具体的な数字とともに解説が進められた。一般的に、ゲームアプリの平均的な翌日継続率は50%だという。この数字を多く見るか少なく見るかはさて置き、これが30日後の平均的な継続率になると“10～20%”。つまりは多くのユーザーがダウンロードした後に、継続してゲームをプレイしている率はかなり低いとされている。ここで、プレイを一度離れてしまったユーザーに“リターゲティング”広告を打ち、復帰したユーザーの7日間後の継続率を見ると“30%”とかなりの数字を見せている。“Noah Pass”では、よりこの数字を高めるべく、迅速かつ広範囲なユーザーのリターゲティングを狙い、外部アドネットワークを活用。facebookやgoogleアドセンスを利用し、効果的に復帰ユーザー数の増加、定着を目指すとのことだ。

　最後に紹介されたのは、セガネットワークスが常に考えてきた“誰に、何を、どうやって”届けるのかということの応用。老若男女、幅広いユーザー層を抱えるスマホゲームだが、この膨大なデータをタイトルごとに分析。ユーザータイプを分類し、共通言語化することで各社内でのコンテンツ作り、運営に役立てていくという。また、スマホゲームの利用意識に加えて、一般的な生活価値観についても分析し、それらを元とした“スマホゲームユーザー解体新書2014”を発行することが明かされた。

　岩城氏は「今でもいろんな会社様と大小問わず異業種協業ができていると思っています。“Noah Pass”に参加をいただいて、そのメリットを享受いただけるタイトルというのも飛躍的に増加。今の製品管理を改良することはもちろん、まったく違う価値をゲーム業界に特化して生み出すということで、より成功確率の高い、よりお客様に喜ばれるBtoBのビジネスというものが生み出されると信じています。また、これらは“Noah Pass”についてのほんの一部なので、改めてこちらの成果や、新たなの取り組みについても皆様に紹介できる日を楽しみにしています」と、発表を締めくくった。

▲自信を持って“Noah Pass”参加へのメリットを語った岩城氏。“Noah Pass”を通じて、スマホゲーム業界に一石を投じることができるか、注目が集まる。

　今回紹介した取り組みは、設立から多くのユーザーに支持されてきたセガネットワークスならではのものとなっている。また、“Noah Pass”に参加しているメーカーやアプリが増えることで、これらのサービスはより正確さを増し、有用なものとなる。ユーザーとしては、数多のタイトルの中から自分の趣味、志向に合ったアプリとめぐりあうチャンスが増えるのは願ってもいないこと。セガネットワークスの“Noah Pass”が、スマホゲーム業界の柱となり得るのか、今後に期待していきたいところだ。

■第2部：新作発表会

　新作発表会では、『スカッズ ～最凶の絆～』、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』、『大乱闘！ドラゴンパレード』、『オシャレコーデ GIRLS HOLIC』の新作4タイトルの情報が公開。この他、『サカつくシュート！』の今後の展開や『チェインクロニクル ～絆の新大陸～』の最新アップデートの内容など、既存タイトルに関する最新情報も公開された。

●iOS/Android用パチンコRPG『スカッズ ～最凶の絆～』（今秋配信予定）

　本格的な不良マンガのテイストを取り入れたパチンコRPG。総勢200人以上の不良たちが火花を散らす王道のストーリーとともに、パチンコ風の演出によるド派手なケンカバトルが体感できる。

●iOS/Android用ファンタジーRPG『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』（今冬配信予定）

　中世の時代背景をベースに、奥深いストーリーと多人数対戦が楽しめる正統派RPG。架空の国である“オルタンシア王国”と“カメリア公国”の対立を中心に、章立てのストーリーが展開する。斜め視点で敵と対峙するバトルは、剣士や弓兵といった兵種ごとの特性により高い戦略性を実現。リアルタイムギルドバトルでは敵味方合わせて40人が同時対戦でき、大量のちびキャラが戦場を駆け回る大迫力の戦闘が楽しめる。

●iOS/Android用ラインバトルゲーム『大乱闘！ドラゴンパレード』

　敵軍のタワー破壊を目的とした爽快ラインバトルゲーム。ユーザーはモンスターを召喚し、画面の横から出現する敵軍のモンスターを討伐していく。召喚から必殺技“ソウルブレイク”まで、あらゆる操作を指1本で行えることが特徴だ。本作にはカヤックが提供するスマートフォンゲーム実況録画ツールLobiの“REC SDK”が搭載されており、プレイしながら画面録画やゲーム実況を行える。撮影した実況プレイ動画は、ゲーム終了後にYouTubeやTwitter、Facebookに投稿可能だ。

●iOS/Android用ファッションコーディネートゲーム『オシャレコーデ GIRLS HOLIC』

　スマートフォンで楽しめる女の子向けのファッションコーディネートゲーム。2,000以上の最新ファッションアイテムと、従来にないハイクオリティの3Dアバターパーツを組み合わせて、ゲーム内でさまざまなコーディネートが楽しめる。ゲームに登場する人気ブランドのアイテムは、ゲーム中から実際に購入することが可能。SNS投稿などのソーシャル要素も用意されている。

●iOS/Android用SLG『サカつくシュート！』

　12月10日で配信1周年を迎えることを記念して、過去最大規模のプロジェクトが展開することが明らかに。発表会では、新要素のヒントとなるキーワード“監督”や“留学”が発表された。

●iOS/Android用RPG『チェインクロニクル ～絆の新大陸～』

　9月29日ごろに実装予定のアップデートver 2.1の情報が公開。今回のバージョンアップでは、“タイムアタックルーレットシステム”、“絆アビリティシステム”、“武器持ち替えシステム”など新たなシステムが追加される。

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