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2014年9月29日(月)

“サージュ・コンチェルトファンイベント”で加隈亜衣さんと内田真礼さんによる、もうひとつの皇女対談が実現

文:ゲゲン

 9月28日、東京コンベンションホールで“発売直前だよ!サージュ・コンチェルトファンイベント”が開催された。

 本イベントは、ガストより10月2日に発売されるPS Vita『シェルノサージュ OFFLINE ~失われた星へ捧ぐ詩~』と、『アルノサージュ PLUS ~生まれいずる星へ祈る詩~』の発売を記念したもので、ファンを招いての濃密なトークショーなどが展開された。

サージュ・コンチェルトファンイベント

 出演者は、ヒロインであるイオン役の声優・加隈亜衣さん、ネイ役の声優・内田真礼さん、司会を本シリーズの音響監督・納谷僚介さんがつとめた。なお、ニコニコ生放送の配信まで含めると第3部まであったが、第2部は取材不可のネタが満載の完全シークレットなトークショーとなっており、ここでは第1部についてのみレポートする。

※以下、『シェルノサージュ』と『アルノサージュ』のネタバレを含みます。

 『シェルノサージュ』は、ストーリーをセカイパックとして継続的に配信する独特の作りをしており、すべての配信が終わるまで年単位の時間がかかっている。オーディションから考えると3年半が経過しているとのことで、本作でデビューを果たした加隈さんからすると、イオンより長く付き合っているキャラは存在しないことになる。「終わってしまう」と思い続けてはや3年半という気持ちらしく、このまま続けて欲しいとも語った。

 また、内田さんもオーディションにはすごく気合いを入れて向かい、当初から気合いが入っていた作品だったと当時を振り返る。さらに、継続的にコンテンツがリリースされる作品でもあるので、ずっと付き合ってきて、終わった感じがしないとも述べた。

 トークコーナーはまず、今だから振り返れるイオンとネイの出会いをテーマに開始。出会いのシーンがスクリーンに映されると、全員から「懐かしい」との声があがり、本作が積み重ねてきた時間の長さを証明していた。

サージュ・コンチェルトファンイベント

 互いが演じたキャラの第一印象を問われ、加隈さんはネイを「よくしゃべる子」だと話す。しかし、イオンとネイの本当の関係を最初から知っていた内田さんは、ネイがイオンに感じていたのと同じく「憎かった」と語った。なお、ゲームの音声収録は基本的に個別に行われるため、2人がはじめて顔を合わせたのは、2012年に『シェルノサージュ』発売前に行われた“アニメコンテンツエキスポ2012”のトークイベントだったようだ。

 続いてのテーマは、演じる際に気をつけたこと。ネイはイオンに対して憎しみなど複雑な感情を持っているので、それらを全て押し隠し、イオンを引っ張るお姉さんの気持ちで向き合ったと語る。それに対して加隈さんは、収録自体が別々に行われるので、文字だけだと相手の出方(演技)が分からず、ネイに巻き込まれていく感じだったとのこと。また、ネイのテンポに一生懸命ついていこうとするも、ついていけない様子とも話していた。

 次第に関係を深める両者だが、ネイはイオンを裏切ることになる。この辺りの流れについて加隈さんとしては、イオンは人を無条件に信じるところがあり、裏切られた際のショックは大きいだろうとは思いつつも、どこかで信じてしまうところがあるので、ネイへの信頼は1回も失ったことはない気がすると話す。

 逆に、ネイを演じていた内田さんは「早く(体を)返せ」とは思いつつも、深まっていく関係を見てもやもやしたものを覚え、葛藤を抱えていたようだ。辛い記憶のフラッシュバックとイオンへの思い入れの落差が激しく、演じる側としてよく分からなくなっていた時期だと明かした。

サージュ・コンチェルトファンイベント

 このように複雑な内面を持つネイについて、内田さんは「強い」と評価。外的要因で人からジェノムになっても、まだ人のことを好きになれる部分で特にそう感じたようだ。さらに「イオンちゃんはむかつく」と、かなりハッキリとネイらしい発言も飛び出した。会場には、多くの端末さん兼旦那様(『シェルノサージュ』内ではイオンと結婚が可能)がいると思われ、ネイの味方がどれだけいるのかという不安もあったようだが、なかなかイベントなどで話す機会もなく、ため込んだ想いを吐露する形になったが、ネイに対しての想いの深さが見て取れたシーンでもあった。

 また、イオンではなく加隈さんとして見たネイは、もっとも皇帝の資質を備えているから、最終的に人のために動くところが誰よりも優しく、自己犠牲が強い子に思えたとのこと。

 なお、土屋ディレクターを除く開発陣の間ではネイの人気が高いようで、記憶の修復が進むにつれて評価があがっていったようだ。逆にイオンは、人の話を聞かずに突き進むところがあるので、人気が上がりにくかったとも。シナリオ制作から参加している納谷さんも、シナリオを作成する際にはネイの行動が先にあり、結果としてイオンがこう動くと考えていた部分があったようだ。

 物語終盤はネイの出番も多く、その行動原理や考えも見えてくるが、イオンに対しては好き、嫌い、好き、嫌いと繰り返しており、まるで恋みたいだとその関係を評した内田さん。複雑な感情をどうやって出すのか、とても表現の難易度が高かったようだ。加えて、初期はネイとしての想いが強くイオンに対する好意はなかったとも明かす。しかし、ストーリーがここまで進んでいた段階ではイオンのことも好きになっていたようで、愛情を持って演じていたとも発言し、これには加隈さんも安心した様子だった。

 このように長い時間をかけて認めあえたと思えた2人だが、『シェルノサージュ』のラストでは、イオンがネイに対して「自分を殺して」と頼み衝撃的な結末を迎えることになる。演じる2人は、残された側のことを考えるとこんなことは言えないとしつつも、加隈さんはネイだから頼めたので、他の人であれば世界よりも自分を助ける方を選んでしまっていたかもと、申し訳ない気持ちではあるが、2人の絆の集大成だからこその結末ではないかと分析する。

 当初はイオンを殺すつもりであったネイ側からしても、この段階になるとイオンへの想いもありそんな願いは聞けないと感じたようだが、ネイが皇帝の血筋であり責任から動き、イオンとネイの2人だからこそ迎えることができた破滅の回避なのではと語った。

サージュ・コンチェルトファンイベント

 とても真剣なトークが続き、セミナーのように堅くなっていた会場の空気だが、これを払拭するべく、せっかく声優さんが2人揃っていることもあり、ここでラストシーンを生で演じてもらうことに。皇帝の声帯を継承するためのキスシーンは、土屋ディレクターの初期構想から存在していたこだわりのシーンのようで、会場でもここまでを含めて演じることとなった。

 演技に耳を傾ける会場だが、しかし最後は照れてしまった加隈さんが「ぶちゅ」と笑いに逃げ、会場からも笑いと大きな拍手が起こっていた。生で演じた感想を問われた2人は、声を揃えて「ドS」「超ドS」発言をしていたことからも、相当恥ずかしかったことが伺えた。

 このシーンを経て最終的にネイが皇帝になるが、開発段階では、当初のシナリオが二転三転どころではなく変更され、内田さんもまさかネイが皇帝になるとは思っていなかったようだ。

 そんな2人は『アルノサージュ』で再会するが、イオンの頑固さは変わらないものの、状況に流されがちだった『シェルノサージュ』と違い、『アルノサージュ』では自分で考えて動くようになる。ぼやーっとしたイライラする部分はなくなったのではとは加隈さんの弁。

 内田さんはネイについて、渇望した皇帝の立場を不本意な形で手に入れるという複雑な経緯を辿ったが、欲しかったものを手に入れてみると、責任などから煩わしく感じていたのではと見ていた様子。ネイはネイなりに悩んで、その結果として裏で“疾風のおネイ”として活動したり、“禊ぎ”などもしていたのではとも語る。しかしここで、加隈さんと内田さん両名から、パートナー以外と禊ぎをするデルタとアーシェス、ねり子さんともデートをする端末の向こうの存在に対して、苦言を呈す一幕もあった。

 最後のコーナーとなったサイン入りポスターがもらえる抽選会を挟み、イベントは終幕へ。最後の質問は、2人にとってイオン/ネイはどういうキャラクターになったかというもの。

サージュ・コンチェルトファンイベント

 内田さんは、ネイは自分と一緒に戦ってくれて、始めた頃はネイが演じたくて仕方なかったと話す。泣きながら、戦いながらイオンのことを想った2年はとても濃いもので、『アルノサージュ』で幸せになってくれたことを喜んでいた。最後は「これからもまだまだ愛してくれたら嬉しい」として、挨拶を締めくくった。

 加隈さんは、イオン、カノン、キャス、ネイの4人についてオーディションを受け、一番自然に演じたのがイオンであったと振り返る。3年半演じるなかで様々なことをしてきて、作品を多くの人が愛し続けてくれたこと、そのような作品に出会えたことがすごく嬉しいと語った。さらに、内田さんがずっとイベントに出たかったと言ってくれたこと、イオンと出会えたことも嬉しく、イオンを愛してくれたユーザーにも感謝を述べてイベントは幕を閉じた。

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