2014年10月10日(金)
『Tokyo 7th シスターズ』のアニメ化もあり得る? 開発者が描くゲーム以外の展開とは
10月中旬に大型リニューアルを控えるスマートフォン用アプリ『Tokyo 7th シスターズ』について、“Project 7th”茂木伸太郎総監督らにインタビューを行った。
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『Tokyo 7th シスターズ』は今年2月からiOS版が配信されているフルボイス仕様のアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。プレイヤーはアイドル文化が衰退した近未来で、新たな時代を切り拓く新世代アイドルをプロデュースしていく。
大型リニューアルの他に、ライバルユニットやAndroid版の配信(11月中旬)も予定し、大きな盛り上がりを予感させる『ナナシス』。そんな本作のこれまでの軌跡や今後の展望を、“Project 7th”の茂木伸太郎総監督と中川尚人プロデューサーに伺った。
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▲茂木伸太郎さん(写真左)と中川尚人さん(写真右)。 |
■『ナナシス』は“Project 7th”という大きな木の幹
――まずは『ナナシス』の成り立ちから伺いたいのですが、そもそもなぜ美少女ゲームアプリを制作しようと思ったのでしょうか?
茂木:そもそも“Project 7th”の始動が2年前なのですが、そのころはアプリとして出そうとは思っておらず、今の世の中にある美少女コンテンツに真っ向勝負をできるものを作ろうしていたんです。
というのもシナリオ、キャラクター、音楽はゲームを構成する要素ではありますが、僕の中ではすべてゲームと同列なんです。「どんな物語にするか」「どんなキャラクターにするか」と同じように「どんなメディアで展開するか」というのも選択肢にあるわけですから。
――そうしたゲーム以外での展開がありえたからこその“Project 7th”なのですね。
茂木:ゲーム1本でいくのであればゲームタイトルを全面に推し出すべきで、僕自身もそのほうがいいと思っています。でも、“Project 7th”は企画の成り立ちからして、そこを目指しているわけではありませんから。
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▲“Project 7th”のロゴ。 |
――ということは、今もゲーム以外の展開に目を向けられるのでしょうか?
茂木:コンテンツを発表する場所としてゲームを中心に置きつつも、考え方としては総合エンターテイメントになります。最初から多方面でのメディアミックス展開を考えずに、2年の歳月をかけてコンテンツの“入れ物”を作ってきましたので、いよいよ勝負できる下準備は整ったかなと思っています。
――確かに配信してからもゲームシステムのリファインに注力されていたように感じます。
茂木:これまで『ナナシス』には課金要素がなかったので、言ってしまえば資金源がなかったわけです。そういう状況の中、コンテンツを発表する場となるゲームをダメにしないという目標がまずありました。
中川:リニューアルを決断したのも、そういった考えがあってのことです。これで下地はできたということで、今後の動きはゲーム外のコンテンツ側が引っ張っていくべきかなと。
――『ナナシス』は“Project 7th”という大きな木の幹というイメージでしょうか?
茂木:そうです。だからこそ僕はずっと“Project 7th”という言葉を使い続けています。プラットフォームの話で思い出したんですけど、なぜ当初はアプリとして考えていなかったものをアプリにしたかをお話します。
単純にスマホというのはプラットフォームの1つとして見ていて、いくらでも移動していいと思っていました。そんな中でアプリを選んだのは、「TVを観る」「本を読む」「音楽を聴く」などに匹敵する、もしくはそれ以上に身近なものだと思ったんです。人とコンテンツが出会う手段としては、もっとも窓口が広いと。
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――2年前だとゲームアプリのリッチ化が進み始めたころでしょうか。よく当時にこれだけ本格的な作品を作ろうと考えましたね。
茂木:そこが不思議と、僕と西村(Donuts代表取締役・西村啓成氏)の気があったところです。目先の売り上げではなく、最終的に誰もが知っているくらいの知名度になることが第一なんですよ。ひとまず『ナナシス』をおもしろいと言ってくださる人は増えてきたと感じるので、皆さんが次の段階に興味を持ってくださるとうれしいですね。
■キャラクター制作秘話&ついに動き出すメインシナリオ
――本日こうして初めてインタビューさせていただいていますが、今まで皆さんが表舞台に出なかったのは何か理由があったんでしょうか?
茂木:これは僕らの力不足なので、非常に情けないことなんですが……今までの『ナナシス』はオープンβテストに近いものだったのかもしれません。ゲームとしてのクオリティ的に、ですね。なので、少しでもきちんとしたものを提供しようと開発に掛かりっきりでした。今回のリニューアルでやっと正式サービスと言える段階にきたので、そのことをお伝えするために僕らが出てきました。
中川:ゲーム内で実験的な試みをする代わりに、完全無料で遊んでいただくことを徹底していたんです。そういう意味でオープンβという言葉がわかりやすいのかなと。
茂木:ゲームのクレジットには出ていますが、他の開発スタッフについて言及しなかったのもそのためです。マチ★アソビで販売する“公式同人誌”で初めて、キャラクターデザインのMKSさんやシナリオ監修の月光田沢さん、イラストレーターの赤井てらさんのコメントをお届けします。
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▲公式同人誌カバーデザイン。 |
――そうそう。公式同人誌で初期設定やキャラクターの過去の姿がついに出てきましたね。
茂木:そうですね。でも、収録されている設定資料は全体の4分の1にも満たないくらいです。
――しかし、こうして見ると初期デザインからかなり変わっているキャラクターも結構いますね。
茂木:そこはキャラクターによりますね。“春日部ハル”や“晴海3姉妹”はサクッといきましたが、レジェンドの“セブンスシスターズ”は、他の子たちが憧れるようなカリスマ性が必要なので難産でした。最終的にはやりすぎなくらい振り切ったデザインになりました。
――資料を拝見していると“ハミィ閣下(羽生田ミト)”のものが多いですね。
茂木:ミトは特に難産でしたよ。この子はターニングポイントがあって、イラストレーターさんとの打ち合わせで「普段着は地味で少しダサイ」いう話になったんです。でも、それってカリスマ性と真逆なイメージじゃないですか。その苦心の名残として、“ROCK”と書かれた帽子がトレードマークになっていたりします。
――シナリオの中でも平気でお豆腐を買いにきたりしますもんね。
茂木:ミトは生まれてからずっと祖母と二人暮らしなんです。だからすごくお婆ちゃん子で、10代に入ってからも歌や音楽以外に興味がなく、あまりオシャレに気をつかわない。でも、そこが彼女の魅力だと思うんです。イラストレーターさんからは「ださっ!」と声があがったんですが、いざ絵に起こしてみるとしっくりきました。
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▲元“セブンスシスターズ”羽生田ミト。 |
――確か公式同人誌のタイトルも過去を連想させるものでしたよね。
茂木:『ハジマリノヒノスコシマエ』ですね。“始まりの日”というのはチュートリアル(エピソード.000)のタイトルで、今回の公式同人誌には描き下ろしイラストとして、時系列的に“セブンスシスターズ”結成前後の彼女たちの姿なども描かれています。
中川:ちなみに今回の公式同人誌は“696(ロクロ)STUDIO”という同人サークルを作り、その名義を使っています。あまり“ビジネスとしての発表”にしたくなかったこともあり、現状ではまだ書店に出す予定はありません。
――ぜひゲーム内のシナリオでも“ハジマリノヒノスコシマエ”を見てみたいですね。
茂木:エピソードは現状、キャラクター重視のものになっていますが、ここから先は“4U”をはじめとするライバルグループが登場し、メインシナリオが動き出します。
中川:その部分を求めているユーザーさんもいらっしゃいますし、ゲームで表現できることはゲームでやりたいと思っています。“セブンスシスターズ”が活動していた時の物語など、外伝的な部分はユーザーさんへ届きやすい場所で発表できればと思っています。
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■ライバルユニット“4U”登場で“ナナスタシスターズ”はどうなる!?
――そういえば『ナナシス』の世界ではアイドルが他にいないと思っていたのですが、“4U”はどんな立ち位置にいるのでしょうか?
茂木:作中の世界でアイドルが古いと言われているのは“セブンスシスターズ”の影響が非常に大きく、彼女たちが解散してしまってから魅力的なアイドルが出てきていないことが一番の原因なんです。なので他の音楽ジャンルは普通に存在していますし、もともと“4U”はインディーズで名を馳せたロックバンドなので、アイドル氷河期とはあまり関係がありません。
中川:シナリオ的には、とある事情で“4U”が“ナナスタシスターズ”に挑戦状が送るのですが、そこはシナリオを進めて明らかにしてください。
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▲ライバルユニット“4U”。 |
――そうなると、“4U”と対決する“ナナスタシスターズ”も世間的には有名になってきているのでしょうか?
茂木:いや、全然ですよ(笑)。知名度は“4U”のほうが断然高いです。“ナナスタシスターズ”は配信ライブなどを精力的に行っていますけど、大きく目立った仕事はまだあまりやっていません。
中川:少し前まで、ゲーム内イベントで“7丁目合同学園祭”を開催していましたが、文字通り“ナナスタシスターズ”はまだ町内ライブくらいなんです。メンバーの中だと“角森ロナ”は少し顔が売れていますが、当人たちは自覚があまりないですね。
――TGS2014の生放送で“4U”の楽曲があると発表されましたが、“ナナスタシスターズ”の新曲はいかがでしょうか?
茂木:それについてはリニューアルが終わってから、改めてお話をさせてください(汗)。
――楽しみにしています(笑)。では最後に読者へのメッセージをお願いします。
茂木:運営はまだまだ至らない部分が多いと思います。ですが、これから多方面を巻き込んで大きくしていきたいと思っているので、皆さんも“Project 7th”の展開にご期待ください。
中川:まずは10月中旬のリニューアルで新しくなる“ライブステージ”を楽しんでいただければと思います。また、大変お待たせいたしましたが、Android版も11月中旬の配信を目指して鋭意制作中です。これを新たなスタートとして“Project 7th”の展開をより広げていきますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
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