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2014年10月9日(木)

LINEで“割り勘”できる日が来る!? より生活に密着した新サービスが次々と展開

文:キャナ☆メン

 LINEは、同社が運営するスマートフォン用の無料通話・無料メールアプリ“LINE(ライン)”について、本日10月9日、事業戦略発表イベント“LINE CONFERENCE TOKYO 2014”を千葉・舞浜アンフィシアターで開催した。

 本日のカンファレンスでは、登録ユーザー数が世界5億6千万人を突破したことや、新たに月間アクティブユーザー数(MAU)がグローバルで約1億7千万人にのぼることなど、LINEの最新利用状況・実績の発表が行われた。また、今後の戦略として、“LIFE”をテーマに、LINEがオンライン・オフラインの垣根を越え、より生活に密着した存在となることを目指すという。その戦略に基づく新サービスやパートナーシップ、および今後の事業構想が明らかにされたので紹介する。

■LIFEプラットフォーム領域における発表

●LINE Pay
公開予定:2014年冬ごろ 対象国:日本/グローバル(クレジットカード連携のみ)

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 “LINE Pay”は、LINEおよびLINE関連サービスや、提携している店舗、Webサービス・アプリ内における支払いをLINEアプリ(iPhone/Android用)から行える決済システム。同システムは、クレジットカードとの連携の他、コンビニエンスストアおよび提携銀行(みずほ銀行および三井住友銀行)の口座を通じて、事前にチャージ(入金)することにより利用可能となる。なお、チャージ機能は日本国内のみのサービスとなる。

 LINEならではの特徴として、LINEでつながっている友人間で決済した商品・サービスの購入費用を按分する“割り勘”機能の搭載や、相手の銀行口座を知らなくても友人のLINE Pay口座宛に送金する機能などが挙げられる。送金が行われると、銀行口座から引き出すことができる。なお、セキュリティ対策として、主に以下のシステムを採用するという。

(1)LINEとは別の2次認証パスワード
(2)Apple Touch IDによる指紋認証でのパスワード照会(iPhoneのみ)
(3)PCサイト利用時のスマートフォン認証

 機能公開は2014年冬を目指しており、まずはLINEおよび提携Webサービス・アプリでの決済利用に対応する。その後、オフライン店舗などでの利用にも順次対応していく予定だ。

●LINE TAXI
公開予定:2014年冬ごろ 東京限定版より順次公開 対象国:日本

 “LINE TAXI”は、日本交通株式会社との提携により、LINEアプリ内および“LINE TAXI”専用公式アカウントから、タクシーを呼ぶことができるというサービス。GPSおよび建物情報の入力により、指定した場所に配車し、支払いは“LINE Pay”で済ませる形になる。

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 2014年冬ごろに予定された東京限定版の先行公開時は、日本交通が保有する約3,300台の車両がサービスの対象になるという。その後の全国展開時には、日本交通が全国タクシー配車アプリを通じて提携するタクシー事業者123グループの保有車両を合わせた約22,000台が順次対象になるとのこと。国内展開の後は、世界中のタクシー会社と連携することで、このビジネスモデルを世界中へ広げていく構想だ。

●LINE WOW
公開予定:2014年秋ソフトローンチ(渋谷区内) 対象国:日本

 “LINE WOW”は、韓国最大のフードデリバリーアプリ『Baedal Minjok』を展開するWoowa Brothersとの共同出資により設立した新会社LINE Bros.が行う、LINE初のオンデマンドECサービス。第1弾は、“おざき”(和食・麻布十番)や“ア・ニュ”(フレンチ・広尾)など、世界的に高い評価を得ている名店の限定プレミアムランチを提供するフードデリバリーサービスとして展開する。

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 まずは、配達エリアを東京都渋谷区内に限定したソフトローンチとして展開した後、対象のメニュー・店舗・エリア・配達時間などを順次拡大していくという。さらに、将来的にはフードデリバリーで構築された配達網をインフラとし、フード領域に留まらず、さまざまな分野のデリバリーを行っていくことを目指すとのこと。

●LINE@ ID/LINE@アプリ
公開予定:2014年内 対象国:日本より順次グローバル展開を予定

 “LINE@ ID”は、すべてのLINEユーザーが持てる、もう1つのLINEアカウント。家族や親しい友人・同僚とのプライベートなコミュニケーションにおける利用を前提とした従来のLINEアカウントに対し、“LINE@ ID”はさまざまなユーザーや顧客と広くコミュニケーションを取るためのアカウントになる。同アカウントは、法人・個人を問わず誰でも取得でき、複数のアカウントを所有することも可能だ。

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 ユーザーは、専用のLINE@アプリ(iPhone・Android対応予定)から、LINE@ アカウントを取得後、当該アプリを通じてフォロワーへの一括送信、1:1のトーク、ホーム/タイムラインへの情報発信などを行なえるようになる。

 現在同名のサービスとして展開しているビジネスアカウント“LINE@”では、飲食・アパレル・美容・宿泊施設などの実店舗を持つ法人およびメディアや行政のみが利用対象となっていたが、今回のリニューアルを通じ、実店舗を持たない法人や個人も利用が可能になる。サービス公開は年内の予定で、提供内容の詳細などについては、サービス開始時に改めて発表される。

●LINE Maps for Indoor
公開予定:2014年秋ごろ(Android限定) 対象国:日本

 “LINE Maps for Indoor”は、百貨店やショッピングセンターなど商業施設内でのナビゲーションに特化した地図アプリだ。施設内の行きたいショップやレストランを指定すると、現在地から目的地までの最適なルートを地図で案内してくれる。なお、営業時間や電話番号などの店舗情報も掲載し、施設内の店舗を調べたり、探したりする際にも利用できる。

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 サービス公開は、Android限定で2014年秋ごろが予定されている。初めは、渋谷ヒカリエや東京ミッドタウンなど東京近郊の約40施設が対象で、その屋内地図を参照できる。対応言語は、日本語・英語・簡体字・繁体字・韓国語の5言語となり、海外から日本に来る観光者などへのニーズにも対応する方針だ。

●LINE ビジネスコネクト パートナープログラム

 “LINE ビジネスコネクト”は、LINEのメッセージ送受信機能を企業向けにAPI経由で提供し、各企業が自社のCRM基盤としてLINEを活用することを目的にしたサービス。ユーザーの同意のもと、企業の持つ既存のデータベースや自社システムとユーザーのLINEアカウントを連携させ、個別のユーザーごとに最適化されたメッセージを配信できる。

 “LINE ビジネスコネクト パートナープログラム”は、“LINE ビジネスコネクト”に対応したソリューションを提供する企業を公式パートナーとして、利用企業の開発負担の軽減や実施のスピード化を図り、“LINE ビジネスコネクト”導入を促進する取り組みとなる。第1弾として9社を認定し、LINEからも積極的に開発・営業の支援を行う方針だ。


■エンターテインメントプラットフォーム領域における発表

●LINE GAME

(1)提供タイトルのラインナップ拡充

 LINEのゲーム配信プラットフォーム“LINE GAME”では、これまで『LINE:ディズニーツムツム』や『LINE レンジャー』など、カジュアルゲーム中心のラインナップだったが、今後はよりコアなゲームを提供することで、ラインナップの多様性を図っていくという。これにより、グローバルでの展開をより推し進めていく方針だ。直近のタイトルとしては、2014年秋以降、以下のタイトルを順次公開だという。

・『LINE アルビオン戦記』(シュミレーションRPG)
・『LINE 英雄の軍団』(シュミレーションRPG)
・『LINE トリオ』(パズルゲーム)
・『LINE POP2』(パズルゲーム)
 など

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(2)グリーおよびサイバーエージェントとの新会社設立

 グローバルで通用するコンテンツ開発のため、グリーおよびサイバーエージェントそれぞれの企業との共同出資による新会社設立に基本合意した。LINEは、新会社設立を通じ、両パートナー企業とともに事業展開を一層加速させ、日本発の良質なゲームを世界中のユーザーに提供していくことを目指す方針だ。

(3)ゲームファンドを通じたトランスリミットへの出資

 日本国内のゲーム開発会社およびゲームへの投資を目的として設立したLINE Game Global Gateway 投資事業有限責任組合を通じて、トランスリミットへの出資実行について合意したとのこと。トランスリミットは、第1弾タイトルとして開発したiOS/Android用アプリ『BrainWars』が世界累計300万ダウンロードを突破し、早くもグローバルでの実績を示したメーカーだ。LINEは、同社がグローバルで保有するユーザー基盤と、トランスリミットの開発力を生かし、新たなゲームの制作に着手していくという。

 LINEは、これらの取り組みを通じて外部メーカーとのパートナーシップを強化することで、日本発の世界で通用するコンテンツを創出し、LINE GAMEが世界NO.1のモバイルゲームプラットフォームになることを目指すとしている。

●LINE MUSIC
公開予定:2014年内 対象国:日本

 “LINE MUSIC”は、エイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメント、LINEが基本合意書を締結した、3社共同出資による新会社“LINE MUSIC(仮)”にて展開予定のサブスクリプション型音楽ストリーミングサービス。年内のリリースを目指し、3社を中心に具体的な協議を進めていくという。提供するサービスの詳細については、今後発表が行われる。

●LINE公式ブログ
公開予定:11月4日 対象国:日本

 “LINE公式ブログ”は、アーティストやタレントなどの著名人が参加するブログサービス。アーティストやタレントは、“LINE公式ブログ”を開設することにより、一般的なブログサービスと同様に広く情報発信ができるだけでなく、LINE公式アカウント、LINE MALL、LINE PLAYなど、LINEの周辺サービスと連携することで、LINEのプラットフォーム上で広くプロモーションや物品販売を行う機会を得る。LINEは、今後、参加者の枠を拡大していく予定だ。

●LINE有料公式アカウント
公開予定:2014年内 対象国:日本

 “LINE有料公式アカウント”は、アーティストやタレントなどの著名人が、当該公式アカウントの購読者を対象に、限定した情報の配信を行うサービス。LINE内の幅広いユーザーを対象に情報発信できる通常の公式アカウントに比べ、よりコアなファンに向けて深い情報を提供し、ファンクラブ組織として活用する形が想定されている。課金方法は、“LINE Pay”との連携になる予定。

(C)LINE Corporation

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