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2014年10月27日(月)

PS4の新機能“シェアプレイ”を解説。システムソフトウェアVer.2.00で提供される新たなプレイ体験とは?

文:皐月誠

 SCEは、PS4用システムソフトウェア“Ver.2.00(コードネーム:Masamune)”を明日10月28日より配信する。

 メジャーバージョンとしてのナンバリング(小数点以上の整数部)が更新されたことからもわかるように、今回のアップデートは比較的大規模なものであり、今までになかった新機能が幾つか追加される。特に強化されるのが、シェア配信に関する各種機能だ。

 アップデートデータの配信に先駆けて、SSJ品川ビルのSCE社内にてメディア向けの体験会が実施された。この記事では、その模様をお届けする。

■シェアプレイ

 “Ver.2.00”における最大の追加要素は、他のPS4ユーザーとゲームプレイを共有する“シェアプレイ”機能だ。遊び方は、“プレイ権を貸し出す”“協力プレイを行う”の2つに大別される。

 シェアプレイを行うには、まずホストとなるプレイヤーがルームを立ち上げる必要がある。ルームは、SHAREボタンを押すと表示されるメニューの“シェアプレイのパーティへ”から作成できる。ルームは招待されたプレイヤーだけが参加できるクローズドな仕様で、外部から検索して参加することはできない。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲ルームの立ち上げ。特に難しい操作は必要ない。実演していただいているのは、SCEマーケティングコミュニケーション部の古谷遼さん。

 ホストはルームを立てた後、シェアプレイにビジターとして参加するユーザーへ招待を送る。ビジターに対し、ホストは“コントローラーをビジターに渡す”コマンドから“ビジターがあなたに代わってプレイする”“一緒にゲームをプレイする”を選択できる。ホストおよび“一緒にゲームをプレイする”の指定ビジターはPlayStation Plus加入者に限られるが、“ビジターがあなたに代わってプレイする”の指定ビジターは全ユーザーが対象となる。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲他のユーザーをルームに招待しているところ。ビジターとして迎えるユーザーについて、特にフレンドである必要などはない。
“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲招待を受けた側には、その旨のメッセージが表示される。

 1ルームにつき入室できるユーザーは最大8人まで。ただしシェアを受けていないとルームに参加したユーザーでも待機画面しか見られないため、8人フルでエントリーすることはそうそうないだろう。ルーム内では常時(シェア不可のシーンやホストがホーム画面に移動した場合でも)ボイスチャットが有効となっており、ゲームサウンドとボイスチャットの音量バランスについては各ユーザーのローカル環境にて設定できる。

 ホストとビジターの接続はシェア機能依存でありゲームとは無関係のため、“シェアプレイ中に遊ぶゲームを切り替える”ことも可能だ。なお、シェアプレイの終了はホストが任意に行える他、1時間の制限時間が終了した場合でも強制的に終了される。その後は待機時間などを必要とせず、すぐに次のシェアプレイを始められる。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲多少の時間を要して、接続が確立される。ネットワーク負荷を考慮してだろう、1つのルームには1時間の制限が設けられている。

 “ビジターがあなたに代わってプレイする”の例としてプレイできたのは『Destiny』。オンラインゲームでも問題なくシェアプレイが可能というわけだ。ただしオンラインゲームとなると、消費アイテムやインゲームマネーをビジターに浪費されないよう少し注意が必要だろう。なお、ホストはコントロール権を任意のタイミングで取り戻せる。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲大きなラグは存在しないので、快適なプレイが可能だ。なお、PS4のホーム画面などを表示させるとビジター側には待機画面が映し出される。

 メディア向けの体験会とは言え、プレイ環境は実際にネットワークを経由したもの。しかし『Destiny』のようなグラフィック情報量が多いゲームでも、ラグらしいラグや画質の劣化を感じることなくプレイできた。

 SCE社内ではラグを感じなかったが、もちろんユーザーの回線環境やPSNのアクセス状況によってラグが生じる可能性はある。PSNに障害が起こった時は致し方ないが、家庭内回線は可能な限り配慮しよう。あまり高速でない回線環境や、無線LANルーターに対して遠い部屋からの無線接続などではプレイが難しいだろう。

 “一緒にゲームをプレイする”の例としてプレイできたのは、『デッドネーション:黙示録エディション』。“2人プレイ”という点以外は“ビジターがあなたに代わってプレイする”と大差ないので、快適なプレイ環境は同様だ。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲離れたPS4同士で協力プレイが可能。ダウンロードソフトは“友だちの家に持っていって遊ぶ”ことができないため、嬉しいフィーチャーだ。

 シェアプレイに参加したビジターは、遊んだゲームのタイルが(未購入の場合でも)ホーム画面に追加される。未購入の場合はロックされているので、タイルを選択するとプレイ権がない旨と、PlayStation Storeへの誘導が表示される。なお、Webマニュアルはロック状態でも閲覧可能だ。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲シェアプレイでゲームを遊ぶと、そのゲームのタイルがホーム画面に追加される。ここからPlayStation Storeにアクセスできるので、シェアプレイには“購入前の試遊”としての要素もある。

 シェアプレイにおける画面の共有はシェア機能を用いているため、同様にシェア機能を用いるブロードキャスト(ニコニコ生放送やTwitchでの生配信)とはバッティングが生じる。そのため、ホストは“シェアプレイの模様をブロードキャストする”ことはできない。また、ビジターもブロードキャストは行えない。

 トロフィーについては、例えビジターがアンロックしてもホストのアチーブとして記録される。トロフィーのアンロック通知ウィンドウはビジター側には黒く塗り潰されて見え、“何がアンロックされたか”は確認できない。

 基本的には“他のPS4ユーザーにコントローラ1or2のアクセス権を与える”シェアプレイだが、そのキャパシティはまだ未知数だ。“難しい局面を巧い人に突破してもらう”、“オンラインゲームなどで1体のPCを複数人が協力して育てる”、“無限ダンジョンをリレーでプレイする”、“気の知れた仲間とローカル対戦を楽しむ”、“ステージクリエイトのあるゲームで随時テストプレイをしてもらいながらステージを作っていく”など、ユーザーの創意工夫が新たな魅力を創出するだろう。個人的には『ロックスミス2014』のように、プレイ環境が少し特殊でプレイヤーが集まりにくいゲームについて、ネットワーク越しの同時プレイができたらおもしろそうだと感じられた。

●テーマ

 今回は“フロー”について、各種カラーを確認できた。フロー自体は標準搭載なので見慣れたものだが、カラーが変わっただけでも相応に雰囲気が違ってくる。

“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
“PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)” “PS4 システムソフトウェアVer.2.00(Masamune)”
▲標準テーマ“フロー”は、色調を8種類から選択可能。

 この他、PlayStation Storeではアップデートデータの配信と同日より『どこでもいっしょ』オリジナルデザインのテーマ『トロのお部屋編』が配信される。価格は300円+税。なお、PlayStation Plus加入者は11月5日~11月18日の期間に限り、無料でダウンロードできる。

■その他の機能

●シェア機能/ブロードキャスト

 ホストが画面に簡易メッセージを入力できるようになる。視聴者とのコミュニケーションに利用しよう。

●YouTube

 今までFacebookにのみ対応していたビデオクリップのアップロードだが、新たにYouTubeにも対応した。

●Live from PlayStation

 シェア配信を視聴する際の機能として、特定の配信者をフォローするシステムが追加された。

●USBミュージックプレイヤー

 USBストレージに格納した音楽ファイルをPS4にて再生できる(ゲームプレイ中も可、Music Unlimitedとの併用は不可)。対応フォーマットはMP3とACC。なお、音楽ファイルはストレージ内に“Music”というフォルダを作成し、その中に格納しておく必要がある。

 「ストレージ直下に格納するだけじゃ聴けないの?」と思うかも知れないが、これは単純な“USBストレージを利用した音楽再生”以上に、“スマートフォンやデジタルオーディオプレイヤーとの連動”が想定されているためではないだろうか。“いつも聴いている音楽をゲームプレイ時にも聴く”というスタイルは、なかなかおもしろそうだ。

 SCEのグループ企業であるソニーモバイルコミュニケーションズからは、PS4のリモートプレイに対応した『Xperia Z3』が先日発売されており、さらにソニーからは11月8日にハイレゾ音源へ対応した低価格帯『ウォークマン』の新モデル『NW-A10』シリーズも発売される。もしかすると、これらを意識した機能実装なのかも知れない。

●コンテンツエリアとライブラリー

 ホーム画面のコンテンツエリアに並んでいる“What’s New”以外の16個目以降のコンテンツが、“ライブラリー”の中に移動される。


 イリーガルながら流行した“プレイの配信によってゲーム体験を共有する遊び”を、標準システムとして取り込んだPS4。今回のアップデートによるシェアプレイの追加は、それがさらに推し進められた印象だ。PS4ユーザーが友だちにいる人は、新しい共有体験を試してみよう。

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