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2014年11月7日(金)

『グリザイアの果実』をアニメで知った人向けまとめ。作品の感想や『迷宮』と『楽園』の魅力も紹介

文:ごえモン

 アニメが放送されるやいなや「あの主人公は何者なの?」「あの学園はなんなんだ!」「というか、通っている全員が普通じゃないんだけど!?」と一部で話題となった『グリザイアの果実』。

TVアニメ『グリザイアの果実』キービジュアル
▲TVアニメ『グリザイアの果実』キービジュアル

 趣味でシリーズ3部作『果実』『迷宮』『楽園』をプレイしていた私は、そんな皆さんの反応を含めて毎週ニヤニヤしながら放送を楽しみにしています。

 しかし最近、せっかく全作品をプレイしてるのに、ファンとして楽しんでいるだけなのはどうなの? という編集としての強迫観念にじわじわと蝕まれてきたので、『グリザイアの果実』がどのような作品なのか、この記事で簡単にご紹介したいと思います。

■『グリザイアの果実』とは?

PC版『グリザイアの果実』キービジュアル

 『グリザイアの果実』は、2011年に美少女ゲームメーカー・フロントウイングが設立10周年記念作品として発売したアドベンチャーゲームです。過去作の『カナリア ~この想いを歌に乗せて~』や『フーリガン』、『タイムリープ』などがコンシューマゲームとして移植されていますので、名前を知っている人も多いかもしれませんね。

 個人的には、フロントウイングといえば『魔界天使ジブリール』シリーズの印象が強かったので、10周年記念作品として『グリザイアの果実』が発表された時は、「シリアスっぽくて大作感がただよっているけど、この路線で本当に大丈夫?」という印象を受けたことを覚えています。

榊由美子シナリオのイベントCG
▲プロモーションの仕方や公開される画像などから「これは買わないといかん!」と思わせてくれるほど、リッチ感がただよっていました。

 そんなフロントウイングの気合に対して半信半疑だった私ですが、実際にプレイをしてみると、少し物足りなさはあるものの、確かに“大作感”を感じられるよくまとまった良作でした。そう感じられたのも、“圧倒的におもしろいとあるルート”があったからかもしれません……。そのルートの存在と平均水準が高いこともあって、本作は2011年に発売された新作美少女ゲームの中で、間違いなく3本の指に入る作品と言えます。

『グリザイアの果実』ストーリー

 ──その学園は、少女たちの果樹園だった。

 外敵から隔離された学園にやってきたのは、生きる目的をなくした1人の少年。守るべき物を見失い、後悔と贖罪のみに費やされる人生の中で、その少年に残されたのは首に繋がれた太い鎖と、野良犬にも劣る安い命。

 そして少年は、その学園で少女たちと出会い、新たな希望を見つけ出す。

 ──その少女は、生まれてきたことがすでに間違いだった
 逆らった罪──
 ──生きながらの死
 誰も守ってなんかくれない──
 ──そして生き残った罰。

 そこは、少女たちの果樹園。

 彼女たちは、後悔の樹に実った懺悔の果実。そんな少女たちに、俺に一体何ができる……?  それは、1人の少年が夢見た永遠の希望──

■序盤はコメディ中心のショートストーリー集

周防天音イベントCG

 下ネタやギャグを含むコメディ描写が非常に多いところが、本作の特徴の1つ。何事にも動じないクールで知的な主人公かと思えば、時に壊れた言動をとったり、ギャグを言ったり、ヒロインのボケに斜め上のツッコミをしたり……そんな主人公へのギャップと、まろやかに表現すれば(笑)個性的すぎるヒロイン5人とのにぎやかな日常が魅力です。

「睡眠の重要性!」
▲アニメ版で主人公を演じている櫻井孝宏さんの演技が秀逸です。(※ゲーム版には主人公のボイスはありません)
入巣蒔菜SDイラスト
榊由美子SDイラスト
▲アニメはSDキャラが活躍するコメディシーンを再現していて感心しました。

 ここまでで紹介したのは、本作の共通ルートのお話。TVアニメを見ている人は「なんだか場面転換が多いな?」と思ったかもしれません。それもそのはず、原作の共通ルートは、コメディをメインにしつつ伏線を散りばめるショートストーリー集になっていて、次の場面に入るとガラッと話題が変わります。アニメでは省略されてしまいましたが、原作には同じようなコメディストーリーが大量に収録されています。あのノリが楽しめた人は、ゲームの共通ルートも楽しめるはずです。

■個別ルートはヒロイン5人が重い過去と向き合うストーリー

 この特集記事を書くにあたって、TVアニメを見て『グリザイアの果実』を気に入った同僚に「どんなことを知りたい?」と聞いてみたんです。すると彼女はこう答えました。

・主人公は何者なの? なんで女の子の裸を見てもあんなに冷静なの?
・あの学園はなんなの?
・主人公の師匠って誰? なんの師匠?
・カッターの人はなんで主人公を敵視しているの?
・金髪の娘はなんでツンデレを目指しているの?

 ……うん……う……ん、全部ネタバレに関係していて書けない!(笑) ネタバレに触れない範囲で説明すると、主人公についてはアニメにも出てきた“市ヶ谷”や“ゴミを掃除する仕事”というキーワードが手がかり。学園は、ヒロインの1人・榊由美子の過去に大きくかかわっている、とだけ言えます。

 師匠は『迷宮』での登場がメインなので置いておいて、他の2つもヒロインのバックボーンにかかわります。というのも、本作の個別ルートは各ヒロインが重い過去と向き合うストーリーとなるから。それぞれの過去が“普通(異質)”の学園に通うことになった原因であり、なんだか“人間的にズレている”ように感じる理由です。

松嶋みちる新規イベントCG
入巣蒔菜イベントCG

 そのあたりの伏線は、アニメでもそこかしこに散りばめられていました。ある程度物語が進んだ後に1~3話を見直すと、新たな発見があるかもしれません。あらすじやアニメ放送前のPVにもヒントがありますので、気になる人はもう一度ご覧ください。

■おすすめは周防天音ルート。バッドエンドを含めて一見の価値あり

主人公の前で着替える天音

 『グリザイアの果実』が評価されている理由として、周防天音の個別ルートの存在が大きいと思っています。冒頭で“圧倒的におもしろいとあるルート”と表現しましたが、たぶん多くの人が天音ルートについて同じように感じているはず。

 ネタバレになるので書けませんが、雄二に対して“ちょろく見える”理由がこの辺りに隠されています。内容はかなりヘビーで、しかも状況が二転三転するので読んでいて退屈しません。そろそろエンディングかな? と思った時に登場する“最後の敵”は、“世界を滅ぼそうとする”とか“学園にあだなす存在”とかそんなものではなく、等身大。『寄生獣』のラストが大好きな私としては、物語の締め方にグットきました。

雄二と天音が一緒にお風呂

 個人的に印象に残ったのは、ルートの最終盤に入れるバッドエンド。悲惨なラストではあるのですが、天音の思いや強さがスっと胸の中に入ってきて、感動して泣いてしまったことを覚えています。『グリザイアの果実』をプレイして泣いたのは、後にも先にもここだけでした。

■シリーズを通して主題歌がとんでもなく素晴らしい

 『グリザイアの果実』『迷宮』『楽園』は主題歌とオープニングムービーの出来が非常に素晴らしいところも特徴です。アニメのオープニングもゲームを踏襲した形になっていて、「あのシーンは『楽園』のあそこにつながるのか!?」とか「由美子が走るシーンは鉄板だね!」とか原作をプレイした私も納得。

 そんなOPムービーですが、特別にプロトタイプさんから『果実』『迷宮』『楽園』の動画をご提供いただいたので、ここで紹介したいと思います。『迷宮』と『楽園』のムービーはネタバレになる可能性もあるので、原作を未プレイでTVアニメを楽しんでいる人は自己責任でご覧ください。

●『グリザイアの果実』OP主題歌:『終末のフラクタル』/歌:飛蘭

●『グリザイアの迷宮』OP主題歌:『ワールドエンド』/歌:佐咲紗花

●『グリザイアの楽園』OP主題歌:『FISSION』/歌:奥井雅美

■『グリザイアの迷宮』は続編という名目の濃密な風見雄二物語

『迷宮』PC版キービジュアル

 2012年に発売された続編『グリザイアの迷宮』には、ヒロイン5人のアフターストーリーが収録されています。……しかし、目玉は主人公・風見雄二の過去を濃密に描く中編“カプリスの繭”です。

 これが読めるだけでも、『迷宮』は買う価値があります。これ1本でかなりのボリュームですし、シナリオも非常におもしろい。もし、前作に“カプリスの繭”が収録されていたとしたら、私は『果実』を2011年最高の美少女ゲームと評価していたでしょう。この辺りが、冒頭で書いた“若干の物足りなさ”の理由だったり。

草むらでスコープをのぞく雄二
雄二過去編“カプリスの繭”のワンシーン
師匠・麻子の教え
▲アニメにも出てきたセリフですね。

 “カプリスの繭”では、雄二の幼少期から美浜学園に入るまでの波乱万丈の人生が描かれます。雄二に多大な影響を与えた“師匠”との生活、かわいらしいJBの姿、学園編とはまったく毛色が違う物語は非常に刺激的で、『果実』とは別種のおもしろさを味わえます。シリーズ中、天音ルートと双璧を成すのが“カプリスの繭”だと個人的には考えます。

 雄二がどんな人生を送ってきたか気になる人は、アニメ終了後に『果実』を飛ばして『迷宮』を買ってしまうのも、全然アリだと思いますよ。

風見一姫イベントCG
▲雄二の姉・一姫。アニメでどのように登場するかは今後のお楽しみ。

『グリザイアの迷宮』ストーリー

 ──これでよかったのだろうか?

 それは1分1秒とてゆるがせにできない日々に生きてきた少年の中で、何度も繰り返された疑問。あたかも罪悪であるかのように感じる穏やかな日々の中で出会った少女たちは、かつての自分を見るようで少年の心を苛んだ。

 ──その少女が見つけた、生まれてきたことの意味
 偽る必要のない本当の自分──
 ──必死に生きるとはどういうことか
 守られる側から守る側へ──
 ──生きていてよかった、本当によかった。

 少年の干渉を切っ掛けに、少女たちの灰色の果樹園は再び色づき始めた。永遠を手に入れてやることはできない。だが、つかんだその手を放さずに居ることぐらいはできるだろう。

 それは、1人の少年が胸に秘めた1つの決意──

■『グリザイアの楽園』はいわばシリーズを通したグランドルート

『楽園』PC版キービジュアル

 シリーズの完結編となるのが『グリザイアの楽園』です。これまで、雄二が超絶ハイスペックなステータスでヒロインたちを助けてきましたが、本作では雄二の影響で成長した5人が、力を合わせて雄二をピンチから救い出すという展開が描かれます。もちろん、後半は雄二の活躍が見られるので、雄二ファンも安心。

『楽園』冒頭イベント
『楽園』みちるのイベントCG
『楽園』蒔菜のイベントCG
天音のドライビングテクニック

 正直に申し上げると、良作ではあるものの『果実』&『迷宮』と同じレベルでおもしろかったかと問われると、言葉を濁してしまうかもしれません。成長したヒロインたちが各々の得意分野で雄二を助ける展開はアツくて楽しめましたが、後半は、ちょっと好みが分かれるかも。

 PC版のみに収録されているエンディングを終えた後のアフターストーリーは、存分にヒロインたちとのイチャイチャを楽しめますし、シリーズ前半の軽いノリが戻ってきたので、大いに笑えます。本作のヒロインが好きな人は、プレイして損はありません。まあ、『迷宮』までプレイして、ラストをプレイしないという選択肢はないと思いますが(笑)。

『グリザイアの楽園』ストーリー

 ──ずっと変わらないと思っていた学園生活。

 皆と同じ方角を向き、同じ足並みで歩んでいると、いつしか感じ始める錯覚。このまま皆と同じ道を行けば、同じ場所にたどり着けると信じてしまう。そしてふと気付いてしまう。人の数だけ歩んできた道があるように、人生に同じ道などないのだということに。

 ──麻子、俺、もう5人救ったぜ?

 だから、もういいよな……? 俺、もう死んでも……いいんだよな……?

 わかってる、たとえ誰かを救っても、俺の過去はなかったことにはならない。それでも、笑って死ぬって、こういうことなんだろう? もう会えないかも知れない。それでもずっと、思い出は胸にある。だがこの世の中、そんな言葉だけで満足するほど可愛らしい女ばかりではない。

 それは、1人の少年が実感した、たった1つの真実──

■アニメの今後の展開は?

 もしかして2クールなんじゃないか? 『迷宮』と『楽園』まで放送しちゃうんじゃないか? と個人的に気になったので、その辺りを制作スタッフに聞いてみたところ「ネタバレなので言えません」とのこと。現在第5話まで放送され、共通とみちるルートを終えてしまったスピード感を考えると、ヒロイン5人の個別ルートは描いてくれそうな気がします。

 これは私個人の推測なので、実際にどうなるかはわかりません(笑)。2話のエンディングで『楽園』に収録された“プロローグ”を描いてくれたので、ところどころで『果実』以外も描写してくれることを期待しています。あと、天音ルートがどうなるのか、本当に楽しみです!

【11月10日追記】4~5話のみちるルートはかなりコンパクトにまとめられ、由美子の名シーンやラストの感動のオチなどが削除されていましたが、概ね原作通りした。一方、1話で終了となった由美子ルートは、中盤以降が完全オリジナルシナリオとなっておりました。本来のシナリオが気になる人は、原作をチェックしてみましょう。ちなみにゲームの由美子ルートは、本作きっての王道ストーリーです。

『楽園』に収録のプロローグ画像
▲アニメでさらっと雄二が学園に入る前のエピソードが放送されましたが、これって『楽園』に収録されたシナリオなんです。

■アニメを見た後に

 最後に補足です。『果実』と『迷宮』はPS Vita/PSPでプレイ可能です。PS Vita/PSP版『楽園』は12月11日発売なので、アニメが終わった直後に『迷宮』→『楽園』と続けてプレイするのがオススメですね。移植版は描き下ろしのイベントCGなどの追加要素もありますので、「PC版じゃなくてもいいよ!」という人は迷わず購入することをオススメします。

『アイドル魔法少女ちるちる☆みちる』
▲PS Vita/PSP『楽園』には『アイドル魔法少女ちるちる☆みちる』の第1話も収録!
PS Vita/PSP『楽園』の新規イベントCG
▲PS Vita/PSP『楽園』の新規イベントCG。

(C)2014 Frontwing/PROTOTYPE

データ

イメージ
▼『グリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ADV
■発売日:2013年8月8日
■希望小売価格:5,800円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

イメージ
▼『グリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PSP
■ジャンル:ADV
■発売日:2013年2月21日
■希望小売価格:5,800円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

イメージ
▼『グリザイアの迷宮 -LE LABYRINTHE DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ADV
■発売日:2014年10月30日
■希望小売価格:5,200円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

イメージ
▼『グリザイアの迷宮 -LE LABYRINTHE DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PSP
■ジャンル:ADV
■発売日:2014年10月30日
■希望小売価格:4,800円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

イメージ
▼『グリザイアの楽園 -LE EDEN DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:ADV
■発売日:2014年12月11日
■希望小売価格:5,200円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

イメージ
▼『グリザイアの楽園 -LE EDEN DE LA GRISAIA-』
■メーカー:プロトタイプ
■対応機種:PSP
■ジャンル:ADV
■発売日:2014年12月11日
■希望小売価格:4,800円+税

Amazon.co.jp で詳細を見る

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