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2014年11月26日(水)

『大江戸BlackSmith』のプレイ後評価。公共の場での“嬢郭あそび”は控えたほうがいいかも

文:Z佐藤

 日本一ソフトウェアが11月27日に発売するPS Vita用シミュレーションゲーム『大江戸BlackSmith』のレビューをお届けします。

『大江戸BlackSmith』

 『大江戸BlackSmith』は、日本一ソフトウェアが“新たな切り口、新たなゲーム性”をテーマとして立ち上げた“NEWBRAND”シリーズの最新作で、PS3用ADV『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。』、PS Vita用ACT『htoL#NiQ ‐ホタルノニッキ‐』に続く第3弾となるSLGです。

 本作も“NEWBRAND”シリーズの前2タイトルと同様、日本一ソフトウェアが意欲的に立ち上げた企画であり、随所に開発スタッフのこだわりと愛情が感じられる内容に仕上げられています。

 レビューでは、実際にプレイしてわかった手ごたえを交えつつ、世界観&ストーリー、基本システム、嬢郭(じょうかく)あそび、ダンジョン探索といった、本作の柱となっている要素について掘り下げていきましょう。

■きらびやかで、妖艶で、華やかな表層。その裏でジワジワと描かれる悲恋の物語

 物語は人々から恐れられ、疎まれ、見放された禁忌の地“丹屡夜(ニルヤ)”にある嬢郭を舞台に展開します。嬢郭とは、きれいに着飾ったカワイイ女の子が、お金を支払って訪れたお客さんにイロイロなおもてなしをしてくれるお店。

 主人公の創司は街で出会った世話好きな仲介屋、弥太郎の紹介で嬢郭へと足を運ぶようになります。……と、ここまではわりと一般的といえそうな設定ですが、主人公の余命はなんと1年。しかも登場する女の子は、病魔に体を冒されていたり、お金にとり憑かれていたり、過去に主人公と深い因縁を持っていたりと、ひとひねり加えられた設定が用意されています。

『大江戸BlackSmith』
▲選択できる媛嬢(ひめじょう)は、可憐な笑顔とサイドポニーでまとめた髪型が特徴の清花、幼く見える容姿で人気の朝香、容姿端麗で器量のいい夕霧の3人。

 このように、女の子とイチャイチャ・ラブラブするだけではなく、バッドエンドに向かって突き進むような重めの話も見どころの1つ。ただ、ご安心あれ! 媛嬢ごとに異なる条件を満たしてゲームを進めると、待ち受ける運命にあらがい、好意を寄せた媛嬢と一緒に幸せをつかむことも……? はたして、どんな結末が待っているのか。このレビューを読んでしまったアナタ、もうラストが気にならずにはいられませんよね!

『大江戸BlackSmith』
▲ゲーム序盤でお披露目された後で1人を選ぶと、その媛嬢の物語が続いていきます。

■1日が経過するごとに余命のカウントダウンが入るシリアスなゲーム進行

 ゲームの目的は、余命が尽きるまでの1年の間に嬢郭へ通い、媛嬢の1人と親密な関係になること。当然、嬢郭を利用するには料金を支払う必要がありますので、本業である刀鍛冶の技能を生かして商品を製作・販売したり、ダンジョンを探索したり、賭博だったりでお金を稼ぐことになります。

『大江戸BlackSmith』
▲丹屡夜には嬢郭の他、鍛冶を行う工房や鍛冶の素材を採掘するダンジョンなどがあり、メイン画面から移動できます。

 稼いだお金を女性にみつぐ! なんだかリアルですね。ただ、基本的に何かを実行すると余命が1日ずつ減少します。そのため1日1日をムダなく過ごすことが大きなポイントなんですが、これがけっこうスリリングです。ときには、街で犬に吠えられたら余命が1日減少……なんてこともあったりして、最後まで気が抜けない展開が楽しめます。

 鍛冶の仕事はとっても簡単で、リストから作りたいアイテムを選んで決定ボタンを押すだけ! 手持ちの素材を消費して、一瞬で作業は終了します。なお、製作した商品はミニゲーム形式で展開する“強化”を行うと価値や性能がアップしますので、テクニックを磨きながら楽しむこともできます。

『大江戸BlackSmith』
▲製作できる商品のリストは技巧のパラメータを上げると追加されるので、積極的に鍛冶仕事をこなしましょう。

■公共の場での嬢郭あそびは控えたほうが……

 嬢郭で媛嬢と逢瀬を重ねると“嬢郭あそび”が発生することがあり、タッチ操作で、肌と肌、心と心を重ねていく艶やかなイベントが楽しめます。このイベントは、前ノ戯(まえのたわむれ)と後ノ戯(あとのたわむれ)の2つのパートで構成されており、前ノ戯は画面に表示された女の子の体に、ときには優しく、ときには猛烈に激しくタッチしていきます。

 みごと敏感な部分にクリティカルヒットすると、女の子の熱い吐息や色っぽい声が聞けちゃいますので、ギュンギュンにイロイロと盛り上がるはずです。ですがお客さま、お触りできるのは10回のみ! その間に画面左に表示されたハートゲージを最大にできないと後ノ戯には進めませんので、くれぐれもご注意を。

『大江戸BlackSmith』
▲画面に表示されている女の子に触っていたり、猛烈に画面をこすっていたりする姿を見られると、周りから不審に思われるかも(笑)。

 後ノ戯は、画面に表示された女の子の体を指先で……まあ基本的に指先でこすっていくと、女性の服がどんどん透けていくというイベント。制限時間は30秒ですが、こちらは失敗することはないと思います。ビジュアルシーンの露出度は抑え気味ですが、実は着物を着る時の下着となる肌襦袢は丸見えになりますので、江戸時代なら超絶ギリギリの状態! 直球勝負のビジュアルでは感じることができない、ほのかな色気の素晴らしさを学べた気がしました。

『大江戸BlackSmith』
▲露出度は抑え気味ですが、それでも公共の場でプレイするのは遠慮したほうがよさそうです。

■ダンジョンで行う素材探索がメインにならないように注意!?

 嬢郭に行くにはお金が必要、お金を稼ぐには鍛冶が最適、鍛冶をするには素材が不可欠! ということで、素材を求めてダンジョンを探索するのも大事な目的になっています。

 しかしダンジョンには物怪(もっけ)と呼ばれる敵が出現しますが、主人公は戦うことができません。そのため6人の用心棒(すべて女性キャラ)から3人を雇い、一緒に探索していきます。

『大江戸BlackSmith』
『大江戸BlackSmith』
▲ダンジョン探索時に雇える用心棒はそれぞれ長所・短所があり、目的に合わせたパーティ編成がポイントに!

 システム部分の特徴としては、HPの概念がなく、パーティメンバー全員の“士気”というパラメータが生命力であり、行動力にもなっているところ。ダンジョンで移動や採掘を行ったり、敵から攻撃を受けたりすると士気が減少し、数値が0になると行動不能になって地上に強制送還され、入手した素材を半分しか持ち帰れないというペナルティを受けます。

 また、ダンジョンで行動すると時間が経過し、0時になると日付けが切り替わります。日をまたいで探索することも可能ですが、当然ながら余命が減少することに……。士気と時間、2つの要素をチェックしながら“士気の残量:1、現在の時間:23時50分”になるまで探索するのがとってもスリリングで楽しめました。

『大江戸BlackSmith』
『大江戸BlackSmith』
▲ダンジョンの最深部にはボスも待ち構えており、倒すと新たなダンジョンが選択可能になります。

■PS Vitaを持っているなら、ぜひプレイしていただきたい一本!

 主人公の余命が1年というのは印象的ですが、これまでにない画期的な要素はありませんし、システム的にもシンプルな作りですが、全体的に丁寧な作りでとっつきやすい良作です。それにPS Vitaでプレイすることを考慮して設計されているため、ゲームのテンポがよく、プレイの区切りもつけやすいくて遊びやすかったです。

 いわゆる一般的な“エ●ゲー”ではありませんが“日本一ソフトウェアのゲーム、PS Vitaを所持、純和風の世界観、着物姿の女性、大人の恋愛、悲恋”などのキーワードにピクッ! と反応した方に、ぜひとも遊んでいただきたいタイトルです。

(C)2014 Nippon Ichi Software, Inc.

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