2014年12月16日(火)
ハンダイナムコゲームスから、12月18日に発売されるPS3/PS Vita用アクションゲーム『ガンダムブレイカー2』。本作の最新情報に迫る開発スタッフインタビューをお届けします。
ガンプラファンを熱狂させた破壊と創造のバトルから早1年。登場ガンプラ、アクション、カスタマイズのすべてをパワーアップさせて『ガンダムブレイカー』が帰ってきます。
そんな最新作『ガンダムブレイカー2』の発売が目前ということで、開発の中核を成したスタッフ2名にインタビュー! ゲームの魅力や見どころ、本邦初公開となる情報について伺いました。(※インタビュー中は敬称略)
【プロフィール】
●薄井宏太郎氏(バンダイナムコゲームス):本作のプロデューサー。購入者の意見を取り入れ、新しいガンダムゲームのシリーズ化を目指す。
●福川大輔氏(クラフト&マイスター):ゲーム製作のディレクションを担当。ガンプラならではの遊びで、ガンダムゲームの可能性を模索中。
▲薄井氏(画像左)と福川氏(画像右)。 |
――『ガンダムブレイカー2』がいよいよ発売されますが、前作の発売時期を考えると結構早かった印象があります。
薄井:前作PS Vita版の発売日が2013年10月31日ですから、約1年ですね。
福川:最初は『ガンダムブレイカー1.5』程度のものになるかと思いましたが、最終的にちゃんと『2』と呼べるものになりました。
――前作が発売された時は“ガンプラ”ではあっても“ガンダム”としてはハチャメチャだったような記憶があります。
薄井:もともと本作の目的として、“新しいガンダムゲームのシリーズ化”がありました。実際『ガンダム無双』以降、弊社にはシリーズ化したガンダムゲームはありませんでした。相当久しぶりのシリーズものだと感じています。実は前作『ガンダムブレイカー』の発表当時は“ガンダムにザクの頭を乗せる”ゲームがお客様に受け入れてもらえるのかと、結構ビクビクしていました。
――『2』になるとボリュームなど、お客様の期待がより高まると思います。
薄井:前作はまず、遊び方をお客様に受け入れてもらうために試行錯誤しました。今回はそこが受け入れられていることを前提にしていますから、やり込みやボリュームには注力していますよ。
――ガンプラの数は100種類以上とのことですが、前作はどのくらいのガンプラが登場していたのでしょう?
薄井:前作は数を公表していなかったんです。正直、われわれからしても“何をもって1カウントとするか”が定まっていませんでしたから。そこで、今回はパーツの大部分が違うものだけを1種類としました。PVを見ていただけるとわかりますが、実際は100種類を超えています。
――思った以上の数が登場していますね。
薄井:約3倍に増えていますからね。1年で機体が3倍近く増えたガンダムアクションゲームは他にはないと思いますよ(笑)。
――しかも、それがパーツごとに組み替えられると。なかなか大変だったのではないですか?
薄井:そうですね、パーツが違えばパーツにひもづく武器の演出やエフェクトがすべて変わってきますし。ただ、私は言うだけの立場なので(笑)。
福川:現場のほうは機体を増やすとなると、これだけ数が増えるのに、ただ同じようなものを増やしてもしょうがないという認識でした。ですから見た目だけでなく、できることを変えるとか、パーツに付随するスキルを増やすとか、遊びにつながるところを増やさないと意味がないと話していました。そういった経緯で、ガンプラを作るだけでなく大量のアクションを作り変えたんです。
――アクションは前作から引き継げる部分だと思いますが、あえて作り直されたんですね。
薄井:お客様からの要望が原動力となりました。アンケートをとった時に多かったのが“機体を増やしてほしい”という意見だったのですが、機体が増えればアクションも増えるし、見た目のかっこよさの追求もできます。そういった事情から最優先で手を付けました。
――新ガンプラの中でも印象的なのが、ジオンの水陸両用モビルスーツ(MS)だと思うのですが、苦労した点はありますか?
福川:前作から水陸両用MSの登場を考えてはいたのですが、前作のプレイヤーさんの反応を見て、「ここまで機体をいじっていいんだ」という確証を持って用意しました。苦労というよりも、自信を持ってお客様に触ってもらえる出来になったと思います。
薄井:ガンプラをいじるという点に関しては、他にも考えを変えたことがあります。例えば、前作ではキュベレイの肩にダブルオーライザーのバックパックを付けると干渉してしまうので、装備不可としていました。しかし今回は、干渉をお構いなしに付けられるようにしています。
――それが、ズゴックなど形状が特殊なガンプラの登場にもつながるのですね。
薄井:やはりジオンの水陸両用MSはお客様からの人気も高いようで。『ガンダムブレイカー2』には彼らが活躍するステージも入っています。
――水中ステージということですか?
薄井:そうです。きちんと彼らの性能が上がります。
福川:移動スピードなどが能力で変わるのですが、水中だと彼らが速いという仕様になっています。
――なるほど。そういえば水陸両用とは少し異なりますが、ベアッガイIIIは表情が変わるのですか?
福川:そうですね。ベアッガイIIIは顔の部分が液晶になっていて表情が変わるという設定があるので、覚醒した時などに別の表情へ変化します。
――この機能はベアッガイIIIだけのものですか?
福川:そうですね。実はこの機体はあとから薄井さんに参戦させてほしい、と言われた機体でして。
薄井:言うのはタダですから(笑)。なんで入っていないんですか? って。
福川:登場させるなら表情も変えようと思ったしだいです。一応ベアッガイIII専用の処理になりますね。
薄井:ただ、そもそもプレイ中って基本的に自分のガンプラの背中しか見ないんですよね。だから、普通は気にしないポイントなんですよ。
福川:そこがこだわりです。
▲覚醒時やダメージを受けた時に表情が変化。他の表情もあるのだろうか? |
――他にも1つの機体専用の処理などはありますか?
福川:パーツごとに紐づいているオプションを可能な限り盛り込んでいます。中には特定のパーツ専用のものもありますので、これを含めると1つの機体専用のものはかなりの数になるかと思います。ちなみに、オプションを同時に装備できる数も12個まで増やしました。即座に切り替えられるのは4種なのですが、ボタンを長押しすることでリングメニューを表示できて、そこから自由にオプションを切り替えられる仕組みです。
薄井:カスタマイズしだいでは歩く弾薬庫みたいな遊び方もできますよ。オプション使用後すぐにリングメニューを開いて切り替え、別のオプションで攻撃といった具合ですね。あと、ジオングの有線制御式5連装メガ粒子砲もおもしろいです。本来は敵のほうへ腕を伸ばして攻撃するのですが、敵がいないところで使うとピョンって一瞬だけ出てもとに戻ります(笑)。
――そういえば、前作はジオングがいませんでしたね。
福川:前作は、基本的に部分的にパーツがない機体は盛り込みませんでした。ジオングの場合は足がネックになった形ですね。ですが、今回はバックパックがない機体とか、複数の部位が1つのパーツにまとまった機体とかも用意できるようになりましたので、機体のバリエーションを増やすことができました。
――前日公開されたPVを見たところ、すごい乗り物が“いた”のですが、あれはなんですか?
薄井:あれは『Gガンダム』に登場したマンモスガンダムですよ(笑)。
■『ガンダムブレイカー2』プロモーション動画・第2弾
――マンモスガンダムは、カスタマイズなどができるガンプラなのでしょうか?
福川:マンモスガンダムは、ステージに登場するギミックですね。ですからカスタマイズなどは残念ながらできません。
薄井:今回、ステージが広くなったので乗り物的なものを用意しています。しかも、PVのとおり敵ガンプラをなぎたおすこともできます。ちなみにあの攻撃は味方にも当たります(笑)。マルチプレイではそういったアクシデントも含めて楽しんでほしいですね。
――他にあのようなギミックはあるのでしょうか?
薄井:PVにはあまり盛り込みませんでしたが、砲台のようなものもあります。
福川:スキウレのバリエーションですね。あとはメガライダーやツインラッドなどを用意しています。あとは先ほどのマンモスです(笑)。
▲メガライダーと砲台がこちら。そのサイズから圧倒的な火力が期待できそうだ。 |
――細かいところまで挙げていくと、本当にガンプラって多いですよね。
薄井:多いですよ。ガンプラの歴史は35年ですからね。対して『ガンダムブレイカー』シリーズはまだ1年です。そんな簡単には追いつけませんよ(笑)。
――さて、続いて新武器のクローについて教えてください。
薄井:クローは、アームパーツによって使えるようになる拳法と同様の武器です。ターンX、ズゴック、アッガイ、ローゼン・ズールなどが該当します。特徴となるのは、つかみ攻撃ができること。羽交い絞めした後で相手を投げるズゴックとかおもしろいですよ。
▲クローを使った攻撃は、格闘や拳法とはひと味違う様子。 |
――同じくツインブレードについても情報をください。
薄井:こちらはゲルググのビーム・ナギナタのようなビジュアルの武器です。広範囲の攻撃と、敵単体に向けた攻撃を使い分けられるのですが、アクションによっては蹴ったりツインブレードを2つに分解したりといったことが行えます。
▲攻撃範囲が広く、使いやすそうなツインブレード。武器を分離させた時の性能はいかに? |
――新武器はその2つですか?
福川:そうですね。ただ、これまでの武器も新しいアクションを盛り込んでいます。例えばバズーカ、ロングライフル、ガトリングなら、相手を自動でロックしない射撃モードになります。FPS的な狙い方ができる人なら、敵の足元などに着弾させてバズーカの爆風を利用するなど、このモードを使いこなせると思います。
▲新たな視点からの射撃は、戦況を打開するカギになる!? |
――もっともこだわったモーションはなんですか?
福川:近接武器全般にこだわりすぎちゃいました。ボタンの長押しによる派生も前作より豊富です。
薄井:もちろんボタンを連打するだけでも、ひととおりのアクションは行えます。ですが例えばクローであれば、攻撃の2発目、3発目、4発目のすべてに派生技が用意してあり、さらに派生技のボタンを長押しすると異なる技が出る、といった具合です。
――結構な攻撃パターンがありますね。
福川:さすがに言葉では説明しきれない部分がありますので、難しく聞こえるかもしれませんが、あまり意識しなくても全然気持ちよく遊べますよ。
――そういえば、ガンプラの数やアクションだけではなくモデリングやビジュアルが変わっているような……。
福川:最初は調整のつもりだったのですが、結構作り直しています。本当はここまで変えるつもりはなかったんですけどね。
――具体的にどのあたりが変わったのでしょう?
福川:まず各パーツの変えられる色の箇所が増えて、エンブレムも付けられるようになりました。いろいろチェックしていくと「あれもおかしい、これもおかしい」と、次々に直したい場所が出てくるんです。
薄井:モーションも作り直しましたしね。
福川:そうですね。あとは武器のカラーリングも変えられるようにしました。
薄井:塗装にメッキもできるようになりました。百式も、ピッカピカにできます。
福川:今回はカラーリングに関しては、お客様が求めていたことが極力できるようになっているかと思います。ガンプラのクロムメッキっぽい質感とかもできますし。
薄井:さらに、かっこよくポーズを決めて専用サイトにアップできるようになっていますので、ぜひコンテストなどにも参加してみてください。
――パーツの強化システムが前作と大きく変化したようですが、詳細を教えてください。
薄井:前作は、ランナーを入手した後にプレイヤーのレベルに応じて性能が決まる仕組みでした。しかし今回はプレイすればするほど素材が集まって、それを使用してパーツを強化する形です。なのでプレイした時間が必ず強化に反映されます。
また、前作ではオンライン上で一部の強力なパーツばかりの機体を見ることが多かったと思いますが、今回は自分の育てたものが最強になります。ガンプラのバリエーションに富んだオンラインプレイが楽しめるのではないか? と考えています。
――強化の手順を詳しく教えていただけますか?
福川:基本的にどんなパーツでも、まずはレベル1のものが手に入ります。これは各機体につき1つしか手に入らず、これをどう育てていくかという形になりますね。ミッションで入手できる素材を使ってレベルを上げていくのですが、パーツについている能力なども同様に強化できます。
さらにパーツのレベルを上げていくと、“ガンダムの腕をガンダムMk-IIの腕にする”といった形で別のパーツへ派生させることも可能になります。あとは、前作では機体ごとに得意な武器が固定でしたが、ゲームの後半ではその適正をコンバートできるような素材も手に入ります。ザクなのにビーム・ライフルが得意といったカスタマイズも可能ですので、本当に好きなようにパーツを育てられます。
▲1つのパーツに複数の派生先が用意されている場合もあるようだ。 |
薄井:本作ではパーツのレベル上限を変更していて、HGは20、MGは10としました。また、すべてのパーツを上限のレベルまで育てた時に、それぞれの個性は別として、だいたい同じくらいの強さになるようにしましたので、最後までHGだけやHGとMGを混ぜた機体で遊べるようになっています。
――最強のパーツ、最強の機体という概念がなくなると、オンラインのルームも千差万別になりそうですね。
薄井:特定のミッションでしか出ないパーツもありますので、状況によっては人気のミッションが出るかもしれません。ただ、これは発売してからでないとわからない部分でもありますね。
福川:今回はストーリーと並行して遊べるチャレンジミッションがありますから、これも利用してガンプラを育てながら進んでいただければと思います。そしてクリア後からが『ガンダムブレイカー2』の本番です!
――レアな素材はありますか?
薄井:基本的にパーツを育てていくうえで必要になる汎用的な素材があり、レベルを上げる時に特定のレア素材が必要になる、といった形ですね。それを要所要所でどれに使うか悩んでもらうことになります。
――では、パーツは同じものが出ても1つしか手に入らないということなのでしょうか?
福川:そうですね。ですが、新しく手に入れたものはレベル1なので、基本的に同じものが新しく欲しくなるのは、別のパーツに派生させた時ぐらいになります。
薄井:ちなみに同じパーツが複数出た場合や、すでに持っているパーツを入手した場合は素材に変換されますので、ムダになりませんよ。
――派生させて手に入るパーツ自体をドロップで入手するといったことは可能ですか?
福川:パーツには派生でのみ作れるもの、ドロップでのみ入手できるもの、その両方の3種類があります。ですから入手方法は、そのパーツしだいです。
薄井:あと、ショップに陳列されるものもありますね。
――今、前作の店員さんを思い浮かべてしまったのですが……(笑)。
薄井:あの店員さんは変わりました(笑)。
――PVでユーザーからの要望に挙がっていましたね。
薄井:前作の店員さんのインパクトが強すぎたというわけではありませんが(笑)、ストーリーが入ったことでキャラクターも一新されています。
――ちょうど話題にも出てきましたので、ストーリーについても教えていただけますか。
薄井:設定は前作と同じです。“ガンプラバトルシミュレーター”にストーリーモードが追加されたと言えば想像はつくかと思います。シリアスな戦争を描いていますが、あれはあくまでゲーム内ゲームになります。
――なるほど。世界観とガンプラのイメージにズレがあった原因がようやくわかりました。
薄井:前作でアンケートをとったところ、半数近いお客様が1人で遊んでいたんです。そういった人にもモチベーションを保ってもらいたかったので、今回はストーリーを楽しんでもらえるようにしました。
――自分のプレイ内容がストーリーに影響することはありますか?
薄井:ムービーシーンに自分のカスタマイズしたガンプラが登場するようになっています。シリアスなシーンに強烈な見た目のガンプラが出てくる、といった遊び方もできますよ。
――NPCの機体も変化するのですか?
薄井:はい、プレイヤーがカスタマイズする機体ではありませんが、変化していきます。
――PS3版とPS Vita版の違いはありますか?
薄井:タッチなど一部操作を除いてまったく同じもので、当然クロスセーブにも対応しています。ただ今回は前作と比べて圧倒的にボリュームが増してしまったので、クロスプレイは未対応です。
――今回はできることが大きく増えていますね。
薄井:そうですね。パーツだけでなく素材も集めることになりますので、ボリュームは相当なものになるかと思います。ちなみに、前作にもあったラックブースターが本作にも用意されているのですが、あれはガンプラを倒した時に「素材が落ちるか?」という抽選を2回行う仕組みになっています。
本作では1人がラックブースターを使うとパーティ全員に効果があり、さらに2人、3人と同時に使うことでラックブースターの抽選回数も3回、4回と増えていきます。もしよろしければ、初回生産版にはお試し用として1個付いていますので、使ってみてください。
――手に入りにくいパーツはあるのでしょうか?
福川:あるにはありますが、今回はガンプラのショップに並ぶ条件がゆるくなっています。なのでガンプラを集めるという意味ではそこまで苦労はしないかと思います。また、前作では強い機体というものがありましたが、今回は人によって最強機体が違うので、お気に入りのガンプラでどこまでも遊べます。
――前作では最後のほうで手ごわいミッションがありましたが、今回もそういったものはありますか?
薄井:シナリオクリアまではそこまで厳しいものは用意していません。
――最後に発売後の展望について聞かせてください。
薄井:現在鋭意製作中ですが、発売後も無料でミッションを配信して、そこで手に入る新たなガンプラを用意しようと考えています。
――どのぐらいの数になるのでしょう?
薄井:PV第2弾に現在予定されている追加機体が載っていますが、ミッションもそれと同じくらいを予定しています。あとはわれわれの頑張りしだいですね。
――前作はアップデートがあったと思いますが、今回はそういう予定はありますか?
福川:お客様の反応しだいですが、まずは追加ミッションを配信するのが先かと考えています。
――ありがとうございました。発売後の展開も含めて、楽しみにしています。
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