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2014年12月18日(木)

『Z/X(ゼクス)』久保田プロデューサーに新商品の狙いとイチオシのカードについてインタビュー

文:カワカミ雁々

 皆さん、こんにちは。ライターのカワカミ雁々です。本日12月18日にブロッコリーが展開しているTCG『Z/X -Zillions of enemy X-』最新ブースターのEXパック『日本一ソフトウェア2』と、スターターデッキ『孤高の反逆者』が同時発売されました。

『Z/X -Zillions of enemy X-』

 『日本一ソフトウェア2』は、タイトル通りゲームメーカー“日本一ソフトウェア”とのコラボレーション商品で、『魔界戦記ディスガイア』シリーズをはじめとする同社の作品のキャラクターが多数収録されています。

 全70種のカードのうち、約20種は昨年発売された『日本一ソフトウェア』の人気カードの再録となっており、最近『ゼクス』を始めたプレイヤーは新旧の人気カードを同時にゲットできるうれしいアイテムです。

 一方のスターターデッキ『孤高の反逆者』は、白の世界の主人公弓・弦羽ミサキと、公式サイトの企画などで人気を博したソリトゥスをフィーチャーしたものとなっていて、デッキにはミサキのパートナーゼクスであるサー・ガルマータやソリトゥスが限定カードとなって収録されています。

 また、現在カードショップ店頭で無料配布されているフリーカード冊子『暁天の閃撃&宵闇の道化』と組み合わせることでカスタマイズも可能になっており、発展性のあるデッキとなっています。もちろん、ベテラン、初心者を問わずオススメできる製品です。

 この2つの製品について、『ゼクス』のイグニッション久保田プロデューサーにインタビューをおこなった模様をお届けします。開発時のエピソードや久保田さんがオススメするカードなども紹介するので、デッキ構築や対戦環境の研究に役立てていただければ幸いです。

『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲プロデューサーのイグニッション久保田さん。今回も、よろしくお願いします!

■入手困難になっているカードを手に入れてもらいたい

――再びのコラボレーションとなった『日本一ソフトウェア2』ですが、この製品の開発経緯についてお話しいただけますか。

久保田さん:去年発売したEXパック『日本一ソフトウェア』がご好評をいただけたことが一番大きいポイントです。もう1つの理由として、ユーザーさんから「『日本一ソフトウェア』の収録カードを手に入れる機会がほしい」という要望が多く寄せられた点もあります。『ゼクス』ではよくあることなのですが、発売直後はそこまで注目されなかったカードが、ユーザーさんの研究によって時間をおいて評価され、需要が高まってきたわけです。

――『日本一ソフトウェア2』の発売は、完売している『日本一ソフトウェア』のカードを再供給するためでしょうか。

久保田さん:そうですね。一番は、日本一ソフトウェアさんのファンの方を含めた『ゼクス』のユーザーに新しいカードを届けることなのですが、古いカードのフォローをする目的もあります。

――収録カードが再録も含めて合計で70種と、通常のブースターや『日本一ソフトウェア』に比べると少なくなっています。EXパック『回転むてん丸』も小型セットでしたが、最近のEXパックが小型のセットになっているのはどういう理由があるのでしょうか。

久保田さん:『ゼクス』では3カ月ごとにブースターとスターターが発売されるスケジュールとなっていますが、そこに新たにカード種の多いEXパックを出してしまうと、ユーザーさんの金銭的な負担が大きいと感じたからですね。『回転むてん丸』も、スターターやブースターの発売にはさまれていたためカード枚数をおさえましたが、それと同じと思っていただければいいかと思います。

■収録カードが決まった経緯について聞く

――『日本一ソフトウェア2』の収録カードはどのように決定されたのでしょうか。

久保田さん:看板キャラクターを入れるのはもちろんですが、『日本一ソフトウェア』の発売以降、ユーザーさんから要望の多かったものも収録してあります。それでも『流行り神』のキャラクターを入れることには、世界観的に大丈夫かとかなり悩みましたね(笑)。『ゼクス』のイラストのテイストとは違いますし、日本一ソフトウェアさんの作品の中でも少し変わった雰囲気のものだったので。

『Z/X -Zillions of enemy X-』 『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲『流行り神』より収録の2枚。特に《小暮巡査部長》はスタートカードなので、ゲーム開始時にめくった時、対戦相手にインパクトを与えられるのでは、と久保田さんは話していました。

――セットとしての方向性はどのような狙いでデザインされているのでしょうか。

久保田さん:種類の少ないセットではあるのですが、それでもやはり『日本一ソフトウェア2』だけでデッキが組めるように調整してあります。もちろん、同時に『日本一ソフトウェア』との相性も考えています。

 前回は、キャラクター名を参照するカードの種類が足りず、少し使いにくいギミックがあったと思いますが、今回は“イグニッション”持ちのゼクスなどでキャラクターの枚数が増え、使いやすくなったと思います。たとえばラズベリルとマオ、アデルとロザリーなどですね。

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『Z/X -Zillions of enemy X-』 『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲参照できるカードが追加されたことで、能力の発動機会が増えるカードも多そうです。古いカードも、またひと通り能力をチェックしないといけませんね!

 また、アサギやプリニーなどのキャラクターを中心にしたデッキも、カードが増えてパワーアップしたと思います。アサギ、プリニーともに同名のキャラクターを参照する“アルターフォース”を持つゼクスが登場しています。特定のキャラクター、作品を中心にしたデッキもぜひ作ってみてほしいですね。

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▲同名キャラクターを参照する“アルターフォース”持ちのゼクス。単体のキャラクターをテーマにしたデッキは、主力となるゼクスがハッキリしているのでプレイングの指針も立てやすいのが利点です。

■イグニッション久保田プロデューサーのイチオシカードはこれだ!

――続いて各色のイチオシのカードを教えていただけますか。SRのカードに関してはユーザーさんも注目していると思うので、レア以下の“いぶし銀”カードを紹介いただければと思います。

久保田さん:では、赤からいきましょう。赤では《宇宙最強魔王の娘ペタ》、《生屠会長ステラ》、《愛アレルギーのラハール》の3枚に注目したいですね。まず《宇宙最強魔王の娘ペタ》と《生屠会長ステラ》は、コストと比較して高いダメージを与えられる点に注目です。

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▲《宇宙最強魔王の娘ペタ》▲《生屠会長ステラ》

 《宇宙最強魔王の娘ペタ》のダメージを与える能力はめずらしいものではないのですが、5000と数値が高いのがポイントですね。単体であれば5コスト9500相当の打撃力となりますし、“イグニッション”で出されたゼクスを能力で倒しつつ、別のスクエアを攻撃することも可能です。

 また、コスト3なので《途惑いの少女アリス》などで回収しやすいのも長所で、重いゼクスを増やさずにデッキの攻撃力を上げられます。ただ、基本のパワーは4500しかないため、4枚投入すると序盤は少しパワーの不足を感じるかもしれません。2枚くらい入れるのがいいかなと思います。

 《生屠会長ステラ》は、手札が減ってしまうデメリットはありますが自身の攻撃と合わせて12000、あるいはパワー6000までのゼクス2体を倒せるのは強力ですね。相手が序盤に“イグニッション”に成功しても、それを手札1枚で落とせるので、後攻の時などは守りにも役立つと思います。

 プレイヤースクエアの脇に置かれるゼクスに強いのもポイントです。たとえば《斬魔真紅剣シンクロトロン》はパワー11000で手札に戻る能力もありますが、これに対して“イグニッション”などでパワー5000のゼクスを出して攻撃、相手がその時点でそれを戻せばそれでよし、戻さなければこれを出して6000ダメージで倒せます。

――パワー10500に対して強いことが利点であるパワー11000のゼクスにも対応しやすいことですね。手札が減ってしまうのも“ギガンティック”デッキなどならメリットに転換できそうです。

久保田さん:はい、そういう使い方もあると思います。次は《愛アレルギーのラハール》ですが、これはもうシンプルにパワー7500で攻撃してもいいし、5000ダメージをばらまいてもいい使いやすいカードだと思います。

 《生屠会長ステラ》と同じように、序盤に相手が“イグニッション”に成功しても押し切られにくく、また相手プレイヤースクエア脇の大型ゼクスを倒すサポートをしつつ、自陣のプレイヤースクエア脇を埋められるのが長所です。5コストなので《七大罪 怠惰の魔人アセディア》や《調和の後継者ケィツゥー》などで出すのも有効でしょう。

――では続いて、青の注目カードをお願いします。

久保田さん:青は《復讐を誓うキリア》、《箱入りお嬢様ロザリー》、《風海警部補》がオススメです。

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▲《復讐を誓うキリア》▲《箱入りお嬢様ロザリー》

 《復讐を誓うキリア》は《スラッシュクロー ドゥーベ》に近い能力を持っています。バウンス効果で1コスト重いゼクスにも対応でき、チャージに送らないので“イグニッション”や“フォース”として再利用しにくくできるのが便利です。中盤以降は自軍エリアの守りをかためつつ、相手の戦線に干渉できるのも優秀です。ほかの“ヴォイドブリンガー”を入れていて《スラッシュクロー ドゥーベ》を採用できないデッキなどで光る1枚でしょう。

 《箱入りお嬢様ロザリー》は、ゼクスを破壊した時に指定されたスクエアの味方ゼクスと入れ替えられます。コストに対してはパワーが低いですが、リソース6枚になる先手の4ターン目に出せば、相手は5コストまでのゼクスしかいないはずです。

 攻撃後に自軍プレイヤースクエアのゼクスなどと入れ替われば、プレイヤースクエアの守りを厚くしつつ1ダメージを稼げます。能力を使いたい場合は、スクエア移動効果を持つゼクスを増やしてあげるとより活躍できるでしょう。青の入ったアグレッシブなデッキなら投入して損のないゼクスだと思います。

――1つのスクエアから何回も攻撃できるのは、スクエアが埋まってくる終盤だとありがたいですよね。色の合っている“マーメイド”などとの組み合わせも強そうです。

久保田さん:《風海警部補》はシンプルに2枚引いて2枚捨てるので《要塞女王テルル》と同じように、トラッシュを利用するデッキや“アルターフォース”持ちのカードなどとは相性がいいですね。

――青のヴォイドブリンガーでは、カードを引ける《撃滅機械デストロイ》も人気が高いですが、これからはどちらを入れるか悩むことになりそうですね。

久保田さん:そのあたりは“アルターフォース”への依存度によって変わってくるでしょうね。“アルターフォース”が多めなら《撃滅機械デストロイ》を、そうでないなら《風見警部補》と使いわけてもらえればいいと思います。

――《風海警部補》を入れたら《スラッシュクロー ドゥーベ》が抜けたので、序盤をしのぐために《復讐を誓うキリア》を投入する、なんて運用だとバランスが取れそうですね。では続いて白の注目カードをお願いします。

久保田さん:白は《絢爛世界の魔王セラフィーヌ》と《兎兎魔界の魔王ウサリア》に注目ですね。

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▲《絢爛世界の魔王セラフィーヌ》▲《兎兎魔界の魔王ウサリア》

 登場させるスクエアが限定されるとはいえ、たった2コストでチャージから5コストまでのゼクスを戻せます。《魅惑の七支刀 月下香》などのパワー型で守りをかためてもいいですし、登場時能力を持つものとの組み合わせも悪くないですね。スリープで戻ってくるので先ほどの《愛アレルギーのラハール》などとはやや併用しにくい面もありますが。

――《容赦のない悪魔エトナ》など、追加コストが必要なゼクスなどもいい相方になりそうですね。

久保田さん:そうですね。《容赦のない悪魔エトナ》なら、相手ターンにリソースが5枚あれば相手ゼクス1体を破壊しつつプレイヤースクエアにゼクスを登場させられるので守りの面でも優秀です。色を問わずさまざまなゼクスとコンボするので、いい使い方を見つけていただければと思います。

 《兎兎魔界の魔王ウサリア》の効果は、手札とチャージのカードを1枚入れ替えられるシンプルな能力ですが、他のカードとのシナジーを考えなくても直前のターンに破壊されたゼクスを回収することができるので、それだけでも悪くない効果です。また、“チャージに任意のカードを置ける”ので、それを利用することもできるでしょう。

――破壊された《近衛隊長ソマリ》を手札に戻しつつ、チャージに低コストの“ケット・シー”を置くなどすると楽しそうですね。

久保田さん:確かに、これはウサギですが“ケット・シー”との相性はいいかもしれません(笑)。

――《祝福のベネディー》と似た効果にも見えますね。

久保田さん:《祝福のベネディー》は手札が増える代わりに、破壊されないと能力が誘発しないため、能動的に使いにくい面があります。あちらはカード枚数によるアドバンテージを得たい時、《兎兎魔界の魔王ウサリア》は特定のカードをどんどん回収したい時と使い分けるのがいいでしょう。

――デッキタイプに合わせた運用を、ということですね。白の注目カードは他にはありますか。

久保田さん:やや地味なカードですが《天使長マリエル》も悪くないゼクスです。

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▲《天使長マリエル》

 プレイヤースクエアか、中央エリアの脇にいるとパワーが5500になるだけですが、3コストで常時パワー5500は頼もしいです。プレイヤースクエアを守らせるのもいいですし、プレイヤースクエアの脇に置いたカードを守る壁としてもなかなか有用です。派手な効果ではありませんが、この500のパワー差が役に立つゲームも必ずあると思いますよ。

――《イヴィルベイン パスサール》も出されると結構「ぐぬぬ」となるので、これも同じように活躍してくれそうですね。では続いて、黒の注目カードをお願いします。

久保田さん:黒はまず《夢見る乙女?フーカ》と《地獄の教育係ヴァルバトーゼ》ですね。

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▲《夢見る乙女?フーカ》▲《地獄の教育係ヴァルバトーゼ》

 チャージを使うとは言え、まさかの3コストでパワー7500です。どうしようもない状況では運頼みの“イグニッション”をするより、これに使ったほうがいい場面もありそうです。パワー7500は5コストの能力持ちゼクスをピッタリ倒せるサイズなので、ゲームに与える影響はそれなりにあると思います。そして、それを使い回すカードが、黒の2枚の注目カードである《地獄の教育係ヴァルバトーゼ》です。

 これもチャージを使ってしまうカードではありますが、かわりにトラッシュから3コストまでのゼクスを回収できます。《夢見る乙女?フーカカ》や先ほどオススメした《宇宙最強魔王の娘ペタ》のような低コストで高パフォーマンスなカードを再利用すると非常に強力ですね。

 そのほかにも《日出づる国の女王 卑弥呼》や《聖獣オーラヘケト》など、低コストの優秀なゼクス全般と相性がいいゼクスです。どんどん“イグニッション”していくデッキでなければ、息切れを防止する役目を果たせるのではないでしょうか。

――確かに《滅獄竜デスティニーベイン》や《貫通機械ペネトレイト》などで減った手札を補えるのは“イグニッション”1回以上の価値がありそうですね。

久保田さん:そして、黒にはチャージを使うだけでなく、チャージを補給するカードもあります。《神の創造主アルル》がそれですね。

『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲《神の創造主アルル》

 カード名に“アルル”と付くフォースを外すことでトラッシュからチャージにカードを置けます。単純にチャージを増やせるだけでなく、先ほどの《兎兎魔界の魔王ウサリア》を絡めれば任意のカードを手札に戻すこともできます。

――フォースとなる“アルル”は、これ自身と、今回収録された《運命覚醒結晶の研究者 アルル》と9弾の《運命革命の片翼 東江アルル》と……。

久保田さん:実は《パンダ娘ウェアルルス》も“アルル”を含むカードですね。ちょっと例外的ですが、まぁ1種類くらいならいいかなと思っています(笑)。

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▲《パンダ娘ウェアルルス》

 ちなみに《パンダ娘ウェアルルス》も“アルターフォース”持ちなので、黒緑デッキなら併用することもできます。これまでのチャージを増やすゼクスは、大体パワーが低かったり、追加でリソースを求められたりすることが多かったのですが、これはパワー7500と戦闘もこなせるサイズで、手札などの追加コストもかかりません。デッキを少し“アルル”に寄せる必要はありますが、非常に使いやすいカードだと思います。チャージを利用するデッキではぜひ試してほしいですね。

――最低でもパワー7500がとても頼もしく見えます。では、最後に緑のオススメカードをお願いします。

久保田さん:緑はまず《華の大公爵ヴァレンティーヌ》ですね。リソースにデッキからカードを1枚置いて、リソースからカードを1枚回収できます。リソースの枚数を減らさず、リソースから任意のカードを手札に加えられるので、ゲーム開始時に主力がリソースに行ってしまった場合や、序盤やむなく使いたいカードをリソースに置いてしまった時のフォローができます。

 リソースにカードを置きつつ1枚戻すので、リソースで効果を発揮する能力との相性もとてもいいですね。欠点としては2コストかかるのに、単体では手札が増えるだけで盤面に影響がないことが挙げられます。それをリソースで効果を発揮する能力などで補ってあげればなかなか強力なのではないでしょうか。

 そして、次もリソース絡みのカードになりますが《焔の魔女ラビリ・ラルラ・ラー》も注目の1枚です。こちらは破壊された時にトラッシュとリソースのカードを入れかえられます。

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▲《焔の魔女ラビリ・ラルラ・ラー》

 “イグニッション”でトラッシュに行ってしまったリソースで効果を発揮する能力をそろえたり、序盤でリソースに置いた“フォース”にしたいカードをトラッシュに送り込んだりできる、これも器用なカードです。青緑で《決闘機械デュエル》と《実直な野太刀 花蘇芳》、《オリジナルXIII Type.V“Vb11De”》などが入っているデッキなどでは本当に良い働きをしてくれると思います。

 リソースで効果を発揮する能力と“アルターフォース”を両方投入したデッキに入れてみてほしいですね。選択肢の少ない先手の時、序盤にフォース用のカードをリソースに置かざるを得ない状況がたまにありますが、そういう時にも役立ってくれます。

――デッキをうまく回してくれる潤滑油のようなカードたちですね。ほかにオススメのカードはありますか。

久保田さん:最後は《沼の魔女メタリカ》ですね。

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▲《沼の魔女メタリカ》

 まず、カード名に“メタリカ”を含むので《自由悪逆のメタリカ》でチャージからリソースに送れます。さらに、登場時に追加コストを支払うことで、一時的にパワー6000になれるのもポイントで、ヴォイドブリンガーですが手札に引いてしまってもちゃんと戦力になってくれます。

 また、これを投入することで《自由悪逆のメタリカ》を使いつつ、3コスト帯の《伝説の魔神 百騎兵》の投入枚数をおさえることが可能になるのもデッキの構築幅を広げてくれるでしょう。ヴォイドブリンガーはもちろん入れたい、《セージさんのお料理》も入れたい、でも“百騎兵”の数も確保したい場合などにヴォイドブリンガーをこれにすることで、すべての要素を無理なく整えられます。

――ありがとうございました。新規カード50枚と少ない中で、すごく使いでがあるカードが多く感じます。

久保田さん:そうですね、もちろんSRなどには新デッキの軸になるようなカードも収録されてはいますが、レアなどのカードは他のカード、デッキをサポートするカードが多いと思います。逆に言えば、いろいろなデッキに投入できるカードが多いので、ぜひご自分のデッキに合うカードを探してもらえればと思います。

■スターター『孤高の反逆者』は第2のステップとしての商品

――続いてスターターデッキ『孤高の反逆者』について、お話をうかがいたいと思います。前回のスターターは速攻とコントロールのシンプルなテーマでしたが、今回はテーマが“コンボ”とややテクニカルなデッキになっているようにも思えます。これにはどういった狙いがあるのでしょうか。

久保田さん:確かに、スターターデッキで“コンボ”となると難しい印象を持たれるかもしれませんが『ゼクス』にはフリーカード冊子があるので、初めてTCGを遊ぶ方は、まずそちらで基本を覚えていただければと思っています。

 そして気に入ったら、スターターやブースターに手をのばしてもらえればと考えています。ですので『ゼクス』のスターターデッキは、スターターという名前こそついていますが、実際にはややTCG経験者向けのアイテムになっています。

 これはスターターがフリーカード冊子からのステップアップだけでなく、ほかのTCGを遊んでいた方が『ゼクス』を始める時に、まず手に取ってもらいたいアイテムの側面もあるからです。今回は基本的な戦い方をわかったうえで、カード間のつながり、ギミックを生かして戦うコンボデッキになっています。

――デッキとしてはどういうギミックで戦うのでしょうか。

久保田さん:限定収録カードのSR2枚を見ていただくとわかりやすいと思います。

『Z/X -Zillions of enemy X-』 『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲《孤影の幽囚ソリトゥス》▲《救済の騎士サー・ガルマータ》

 これらはどちらもトラッシュ、あるいはチャージからゼクスをスクエアに出せる能力を持っています。これを活用して、登場時能力や攻撃時能力を持つものを再利用することでアドバンテージを取っていくのがこのデッキの戦法となります。

 また、残る2つの限定カード《12月のデサンブル》と《グルグルするハンギング》に代表される“エヴォルシード”と“アルターフォース”の組み合わせも採用されています。これは、来年発売される第11弾ブースター『神子達の戦場』のテーマでもあるので新環境の雰囲気をつかむのにも役立つアイテムとなっていると思います。

『Z/X -Zillions of enemy X-』 『Z/X -Zillions of enemy X-』
▲《12月のデサンブル》▲《グルグルするハンギング》

――これら2枚についても、簡単に解説いただけますか。

久保田さん:《12月のデサンブル》は、4コストで最大パワー10000のゼクスにも対応できるので、序盤から終盤まで役に立つでしょう。《グルグルするハンギング》は“エヴォルシード”発動時に手札破壊ができます。ゲーム序盤から手札を攻められるのが特徴で、スタートカードを《絶望の扉ボーンゲート》にすれば、先攻1ターン目に発動して相手の手札を1枚まで減らし、その後の展開を不安定なものにすることもあるでしょう。

――エヴォルシードに寄せたデッキのアクセントとしてかなり強力そうですね。

久保田さん:フリーカードとの組み合わせでカスタマイズしたり、デッキを白・黒のどちらかに寄せたりする使い方もおもしろいでしょうね。《孤影の幽囚ソリトゥス》が5コストまで、《救済の騎士サー・ガルマータ》が6コストまでを対象としているので、対象とされるコスト帯のカードを多めにする調整も考えられると思います。

 たとえば5コストをフィーチャーした形にするなら《七大罪 怠惰の魔人アセディア》や《調和の後継者ケィツゥー》などを使う、6コストをフィーチャーするなら《八大龍王 阿那婆達多》や《世紀の大怪盗ワイヤー》を使うといったデッキ構築がありそうですね。もちろん、両方を狙うのも有効で、その場合は《G1GPXクイーン ケィツゥー》などを使うといいでしょう。

■スターターに込められた思いや狙いを聞く

――今回、ミサキとソリトゥスがフィーチャーされていますが、もともと3コストのバニラゼクスだったソリトゥスはすごく出世しましたね(笑)。

久保田さん:そうですね。公式企画で登場したり、それらをさらにユーザーさんが後押ししてくださったりと恵まれたカードだと思います。今回、全色にソリトゥスのカードを作ったために、全キャラクターの中でもっとも種類が多いカードになってしまいました。人公たちよりも圧倒的に多いですね(笑)。

――来年発売されるドラマCDにも登場しますが、担当される声優さんなどはすでに決まっているのでしょうか。

久保田さん:それはまだちょっと発表できないです。ただ、ドラマCDの内容は決まっていて、ソリトゥスと蝶ヶ崎ほのめ、そしてほのめのパートナーゼクスである《妙声鳥 迦陵頻伽》、そしてミサキとサー・ガルマータが出演するものになります。

――今回のミサキは、アイドル風ではなくシスターのような衣装をしていますね。

久保田さん:これは発売時期的に、教会やクリスマスを少し意識したデザインになっています。カードではやや小さくてわかりにくいのですが《救済の騎士サー・ガルマータ》もちょっとステンドグラスのようなものがついたイラストになっているのですよ。

――季節感を出す演出なのですね。ちなみに『ゼクス』は11弾以降、フリーカード、スターター、ブースターをローテーションで展開することが発表されていますが、これにはどういった意図があるのでしょうか。

久保田さん:このローテーションを実装することにより、TCG経験の有無にかかわらず、どのタイミングでも『ゼクス』を始めやすい環境を作りたいのが一番の目的ですね。個人的に、現在プレイしてくれているユーザーさんを大切にするのはもちろんなのですが、それと同じくらい新しいユーザーさんを獲得することは重要だと考えています。

 そして、「やってみようかな」と思ってくださった方が、いつでもスムーズに始められるような体勢をこれで整えられたかなと考えています。今後も、TCGをまったく知らない人はまず無料のフリーカードを、おもしろいと思ってもらえたならより複雑でカスタマイズもできて長く遊べるスターターを、さらにいろいろやってみたくなったら色も増えるブースターをと、つねにユーザーさんに合ったステップを用意していくつもりです。

■『ゼクス』は遊びやすさを一番に考える

――今回、EXパック『日本一ソフトウェア2』とスターターデッキ『孤高の反逆者』についてお話をうかがいました。では、最後に電撃オンラインの読者の方にメッセージをいただけますか。

久保田さん:フリーカード、スターター、ブースターのローテーションを軸に、各種サプライやドラマCD、フィギュアといったその他の製品、イベントなどをどんどん展開していきます。その中で「これはおもしろいじゃないか」と思ったものをユーザーさん自身が自由に選んで、遊んでいただければと思います。

 逆に「選択肢が多すぎる!」と言われることもありますが(笑)。いろんなユーザーさんのライフスタイルを想定して、楽しく遊びやすいものをこれからも充実させていきますので、来年以降もどうかよろしくお願いします。

――ありがとうございました。

 今回のインタビューの際、『日本一ソフトウェア2』と『孤高の反逆者』のカードを使ったデッキで対戦も行っています。こちらの模様も、後日お届けしますのでご期待ください!

(C)BROCCOLI / Nippon Ichi Software, Inc.

データ

▼『Z/X -Zillions of enemy X- EXパック第4弾 日本一ソフトウェア2』
■メーカー:ブロッコリー
■発売日:2014年12月18日
■希望小売価格:1パック(カード7枚入り) 280円+税(1ボックス20パック入り)
 
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▼『Z/X -Zillions of enemy X- 第10弾 真紅の戦乙女』
■メーカー:ブロッコリー
■発売日:2014年10月23日
■希望小売価格:1パック(カード7枚入り) 280円+税(1ボックス20パック入り)
 
■『Z/X -Zillions of enemy X- 第10弾 真紅の戦乙女』の購入はこちら
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