2015年1月7日(水)

『シャドウ・オブ・モルドール』を遊んだ感想をお届け! 爽快なアクション以外にも“オークの社会”を操る楽しみが?

文:hororo

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『シャドウ・オブ・モルドール』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
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 こんにちは。洋ゲー大好きライター・hororoです。今回は、この冬イチオシのタイトルを紹介させていただこうと思います! そのタイトルはズバリ、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントから12月25日に発売された大作ファンタジーアクション『シャドウ・オブ・モルドール』です!

■動画:『シャドウ・オブ・モルドール』第1弾PV

 これは知らなくてもまったく問題ない情報ですが、本作は現在劇場で3部作の最終章が公開されている『ホビット』や、『ロード・オブ・ザ・リング』、原作の『指輪物語』と世界を共にしています。タイトルにもある“モルドール”というのは、敵の本拠地でもある地域の名前です。本作はそのモルドールがフィールドになっているわけですね。

 それほど映画とリンクする要素は多くないため、映画や原作を未視聴、未読でも問題はありませんが、知っていればニヤリとする要素もいろいろと仕込まれています。本作をプレイする前に、映画だけでも見ておくと、より楽しめるでしょう。なお、モルドールが強く描かれているのは『ホビット』よりも『ロード・オブ・ザ・リング』なので、見る場合はそちらをオススメします。とは言え、どちらもいい作品なので、個人的には全部見てほしいですけどね。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲映画にも登場したゴラムが本作にも! ゲーム中に登場するアイテムや人物などは、データベースで詳細な設定を閲覧できるので、知らなくても安心です。

 長い余談が入ってしまいましたが、改めて本作の紹介を。先に書いた通り、本作の舞台は邪悪な敵が巣食うモルドール。主人公・タリオンは、自身にかけられた呪いを解く鍵を探すため、そして愛する家族の復讐のため、このモルドールで暗躍する――。これが本作の大まかなストーリーラインです。

 “呪い”と“復讐”というワードが示すとおり、本作の物語はやや重め。“黒の手”と呼ばれる敵によって、愛する妻と息子、そして自分自身も殺されてしまったのですが、タリオンのみ呪いによって魂を現世へ繋ぎ止められてしまっています。同じく呪いによって囚われていた謎のエルフの助言に従い、この世の者ならざる“幽鬼”の力を使うことで“黒の手”を追っていくのです。

 作品全体から悲壮感が漂う本作ですが、アクションシーンはファンタジー世界の殺陣が好きな人は熱くなること間違いなし! 簡単操作で見栄えのいいアクションになっているので、アクションを楽しみたい人にも超オススメです。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲序盤は、息子に剣さばきを教える体で戦闘シーンのチュートリアル。また、妻にサプライズで花を渡す形でステルスのチュートリアルと、タリオンの幸せ全開のシーンをプレイできます。それだけに、この先の展開が胸に刺さるんですが……。
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲タリオンたちの命を奪った“黒の手”。多数のウルク(簡単に説明すると、通常のオークよりも強力な上位種)を従えています。
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲タリオンが目覚めた先にいたエルフの幽鬼。彼も同じく魂を囚われてしまっていますが、どうやら自分のこともほとんど覚えていない様子。

■簡単に爽快なアクションが楽しめる! 本作の戦闘システムを簡単に紹介!

 先に述べたようにファンタジー好きのツボをビンビンに刺激するような大立ち回りも演じられるのですが、本作の基本はステルス。それはもう敵の本拠地での行動なので当然ですね。どこへ行ってもオークやウルクなどの敵が徘徊しており、たまに姿を確認できる人間は奴隷ばかり。

 もちろん、出会う敵を片っ端から斬り倒しても構わないのですが、周囲の敵がどんどん集まってくるため、数で押されてしまいます。なので、基本的なプレイとしては、ステルス移動で抜けられるところは抜け、時にはステルスキルで障害を排除し、見つかったら戦闘、という流れになるでしょう。

 ステルスというと移動が遅くなるイメージがありますが、本作ではステルス中も小走りできるため、全然ストレスは感じません。気を使うのは敵の配置で、初回のプレイではどんどん援軍を呼ばれて派手に殺されてしまいました。幽鬼の力を得たタリオンと言えども、神のような存在になったわけではなく、普通に多数の敵と戦うとアッサリ負けてしまいます。画面左下に表示されるレーダーの他、“幽鬼界に入る”ことで周囲の生命を探知できるため、これらを活用することが重要です。

『シャドウ・オブ・モルドール』
▲茂みなどは絶好のステルスポイント。近くの敵を引き寄せることもできるため、少しずつ敵の戦力を削ぐのにうってつけです。
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲幽鬼界に入ると、画面が青白くなり敵が白くハイライトされます。障害物越しでも敵の位置を確認できるため、積極的に使いたい能力です。また、幽鬼界に入った状態だと、付近のアイテムを発見できるという利点もあります。
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲ステルスキルは敵の背後から近づくことで可能。また、特定のアビリティを習得すれば頭上や足元から狙うこともできます。ただし、倒した敵の死体が他の敵に発見されると警戒状態になるので要注意。特に高い場所の弓兵を倒すと、そのまま物理演算パワーで地面に落下して警戒状態になることも……。

 また、遠くから弓で仕留めることもできます。弓といっても普通の弓ではなく、幽鬼の力を用いた特別製。弓を構えるとフォーカスモードになり、一定時間周囲の時間の流れが遅くなります。通常のオークならば、頭部に当たれば一撃で倒せるので、フォーカスモード中に照準を合わせて撃つのが基本。一応フォーカスモードを使わずに撃つこともできますが、早撃ちはなかなか難しいです。

 遠くに1体だけ見える敵を倒す時はもちろん、片方を倒すともう一方の敵に気づかれてしまう時などは、フォーカスモード中に2体仕留めることで、隠密状態を維持することが可能です。ちなみに矢は消耗品ですが、フィールドで回収できる場所がある他、敵からドレインすることで回復することができます。幽鬼の力って便利!

『シャドウ・オブ・モルドール』
▲弓に限りませんが、幽鬼の力を使う際はエルフの幽鬼がタリオンに重なるように表示されます。
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲弓は破壊可能オブジェクトを壊すこともできるので、もろい壁を撃って道を作り出したり、猛獣の檻を撃って中の獣を解き放ったりという使い方も。また、アビリティを習得することで、矢を撃ち込んだ焚き火を爆発させることなどもできます。

 そして、敵に発見されたら接近戦の始まりです。本作のバトル形式ですが、最近の洋ゲーアクションではスタンダードになりつつある、通常攻撃とカウンターを組み合わせたタイプ。□ボタンで通常攻撃、敵の攻撃に合わせて△ボタンでカウンター、というやつですね。

 それに加えて、本作では幽鬼の力が使用可能です。幽鬼の力を込めた一撃をお見舞いする“幽鬼の気絶”では、敵を行動不能にさせることができます。この状態の敵には“フラーリ攻撃”という素早い連続攻撃が可能になり、手早くコンボを稼ぐことが可能です。コンボを稼ぐことで取得経験値が増加したり、一撃で敵を倒せる処刑技が出せるようになるため、ぜひ積極的に使っていきましょう。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲カウンターのタイミングは、敵の頭上にマークが出るためわかりやすく、アクションゲームが苦手な人でも安心。倒れた敵を一撃死させる攻撃もあり、テンポのいい戦闘が味わえます。
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲“幽鬼の気絶”から“フラーリ攻撃”を使用して敵を攻撃。単体の敵相手には強力ですが、攻撃を受けるとフラーリ攻撃が止まってしまうため、複数の敵に囲まれている場合は注意が必要です。
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲カラゴルを従える時はミニゲームが発生。時間内に指定された場所にカーソルを動かし、表示されたボタンを押せば支配完了です。敵をにかみついてカラゴルの体力を回復するなど、独特のアクションが楽しめます。

 コントローラーのボタンを全部使うものの、全体的に行動とボタンとの連動がわかりやすくまとめられており、操作は快適です。何より、戦い方がまさに『ロード・オブ・ザ・リング』をそのままゲームにしたような感じの泥臭さがあって、非常に好きです。アクションゲームが苦手でなければ、ぜひ多くの人にこの気持ちよさを味わってほしいですね! 現在配信中のPVでもアクション部分をチェックできますので、ぜひご覧ください。

■動画:『シャドウ・オブ・モルドール』第5弾PV

■本作ならではの楽しみ! 幽鬼の力を使って、敵の勢力図をコントロールせよ!

 アクション部分も爽快で楽しいのですが、本作にはちょっと意外な、そしておそらく本作でしか味わえないであろう楽しみがあります。それが“オーク社会”(※勝手に命名)です! と言われたところで、皆さんも「オーク社会とはなんぞや?」と思うことでしょう。簡単に言うと、本作ではオークたちが実力に応じた社会を構築していて、プレイヤーはそれに介入し、オークたちの権力争いをコントロールできるのです!

『シャドウ・オブ・モルドール』
▲これが敵の組織図。モルドールにいる隊長クラスが表示されており、上にいる敵ほど偉く、実力があります。まだ判明していない敵は暗転しており、名前や外見すらもわかりません。

 まず、タリオンの幽鬼の力ですが、これは戦闘に役立つだけではなく、敵の思考を読み取るという能力を持っています。捕縛した敵に使うことで、強制的に相手の知る情報を得ることが可能です。

 得られるのは、モルドールを支配する隊長たちの特徴。姿名前はもちろん、“虫”と呼ばれる敵、隊長クラスからはどんな性格で何に弱かまですべて知ることができます。特に敵の弱点と耐性を知っておくことは攻略時に非常に大きなアドバンテージとなります。中でも軍団長クラスはまともに戦うとかなり強いため、情報を前もって入手しておきたいですね。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲敵から隊長の情報を入手。隊長によって大きく特性が違います。弱点の項目にある方法で攻撃すると、隊長クラスでも一撃で仕留めることが可能なことからも、情報の偉大さがわかります。戦いの勝敗を決めるのは情報なのですよ。

 ちなみに、敵の隊長にはパワーが設定されており、この数値によって手ごわさを判断できます。組織図で上にいる隊長ほどパワーが大きく、正面から挑むと厳しい戦いになるので、優先して情報を得るのがいいでしょう。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲最上位クラスの隊長。弱点が少なく、強力な特質を多く持っていますが、弱点にあるようにステルスキルならばゲームを始めたてでも倒すことができます。

 オーク社会でおもしろいのが、ゲーム中でもどんどん敵の立ち位置が入れ替わること。もちろんタリオンに倒された隊長は脱落するのですが、時間が経つと別の敵が隊長となり、その穴を埋めます。

 また、隊長同士の権力争いが起こることもあり、その際はプレイヤーが介入できるミッションとしてフィールドに現れます。片方の隊長をプレイヤーが倒すことで、権力争いの相手の隊長が下克上を果たし、さらに上の階級に上り詰めることも珍しくなく、組織図がコロコロ変わっていくさまを見るのが意外なほど楽しいのです。

 ちなみに、自分が特定の隊長に負けた場合、組織図が変化するきっかけになることがあります。なんとプレイヤーを倒したという自信から、隊長のパワーが上昇するのです。

 タリオンはすでに死んでいる身なので、最終セーブポイントに巻き戻るのではなく、そのまま再度生き返るという形でゲームは進むのですが、生き返ったあとで自分を倒した隊長に再び会うと、「もう一度地獄に送ってやろうか」的なセリフを言うようになります。タリオンと戦った記憶が敵に残っているのはおもしろいですね。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲遭遇時の隊長たちの名乗りもさまざま。タリオンとの遭遇経験や状態に応じてセリフが変化します。

 ストーリーが進むと、タリオンは隊長クラスの敵を支配して、自分の軍団としてオーク社会に影響を与えられるようになります。ここからが“オーク社会”を楽しむ本番です。

『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲序盤で登場するラットバッグに手を貸し、彼の出世を助けるというミッションも。
『シャドウ・オブ・モルドール』
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲最底辺の扱いをされているラットバッグが徐々に調子に乗っていくのを見ていると、ちょっと微笑ましい気持ちが芽生えるのは自分だけでしょうか?(笑) 組織図での下克上描写も一見の価値ありです。

 この“敵を操って、組織を内部から崩壊させていく”楽しみというのはなかなか新鮮で、かつオークたちの社会のイメージと合っていることもあって、プレイしていて非常に楽しめました。まだエンディングまではプレイできていませんが、自分だけのオーク軍団を作り“黒の手”を追い詰めてやるのが楽しみで仕方ありません。

■成長要素もあり! ルーンの収集要素など、やりこみプレイも楽しめる!

 最後に、タリオンの成長についてご紹介。ちょくちょく出てきましたが、本作ではアビリティを習得することで、タリオンが使えるアクションが増えていきます。また、この世界の通過であるミリアンを使うことで属性(いわゆるステータス)の強化、敵の隊長を倒すと得られるルーンで武器の強化が行えます。植物の採集や動物を狩ることで達成できるチャレンジや、一連のミッションをクリアすることで手に入る強力なルーンなど、やりこみ要素も豊富。プレイヤーが自分のスタイルに合わせて遊び方を選べるのも、本作の魅力のひとつです。

『シャドウ・オブ・モルドール』
▲アビリティと属性取得画面。アビリティはアクションの幅が広がるものを、属性は体力アップを優先して取るとプレイしやすい印象を受けました。
『シャドウ・オブ・モルドール』
▲敵の隊長クラスを倒すとルーンが出現。これを武器にはめることで、武器の強化が行えます。ルーンのスロットは属性の強化で増やすことが可能です。敵の倒し方やレベルによって対応する武器、効果、レベルなどに影響を与えることとなります。

 ちょっと長くなりましたが、『シャドウ・オブ・モルドール』の魅力、おわかりいただけたでしょうか?『ロード・オブ・ザ・リング』好きにはもちろん、ファンタジーアクションが好きな人にも自信を持ってオススメできる良作です。自分もプライベートで遊び倒すつもりですので、皆さんもぜひ年末年始の休暇に、モルドールへと潜入してみてはいかがでしょうか。

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