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2015年1月25日(日)

“背水の逆転劇”を本音で語るヌキ、ふ~ど、キャベツの後日談。ウメヌキ結成秘話も

文:喜一

 2014年12月27日に行われた“背水の逆転劇”の検証企画終了後、都内某所にて座談会を実施しました。

“背水の逆転劇”座談会
▲“背水の逆転劇”検証企画では、ヌキさんのスーパープレイも飛び出しました。

 “背水の逆転劇”はなぜ伝説として語り継がれているのか、他の人には真似できないものなのか……。当日の配信で話せなかったことも含め、検証企画に参加したヌキさん、ふ~どさん、キャベツさんに本音で語ってもらいました。

“背水の逆転劇”座談会

【座談会参加メンバー】

ヌキ:言わずと知れた格闘ゲーム界の有名プレイヤー。『ストリートファイター』シリーズをはじめ、『ヴァンパイアセイヴァー』など、全国制覇を果たしたタイトルは数知れず。

ふ~ど:Razer所属のプロゲーマー。その反応速度と鋭い勝負勘で、ゲームジャンルを問わず活躍する。

キャベツ:『KOF』シリーズをはじめとした格闘ゲームの大会で数々の実績を残すベテランプレイヤー。大会での大胆な動きに魅せられるプレイヤーも少なくない。

■“背水の逆転劇”は1人のギャラリーが作り出した奇跡?

ふ~ど:そもそも、背水の逆転劇ってなんであそこまで話題になったと思う? 配信中に何度も失敗した自分が言うのもアレだけど、技術レベルだけで考えたらそこまで高難易度というわけではないような……。

ヌキ:やっぱり、あの危機的状況からの大逆転をウメハラがやったことがデカイよ。ウメハラは海外でも知名度が高いし、「きっと何かをやってくれる」と期待するギャラリーは多いだろうね。それに“背水の逆転劇”は見た目も派手なんで、誰にでもスゴさが伝わるパフォーマンスという点でメチャクチャ盛り上がったんだと思う。

キャベツ:自分も、当時の盛り上がりは海外だったからっていうのが大きいと思う。

ヌキ:国内の大会で、実際に俺が出した気功拳からの鳳翼扇をMOV(『ストIII3rd』のトッププレイヤー)がブロッキングして逆転勝利したんだけど、そこまで大きな話題にならなかったし。

ふ~ど:ぶっちゃけ、残り体力がわずかな相手に鳳翼扇の削りっていう選択肢はアリ?

キャベツ:どちらかというとナシかな。鳳翼扇単体での削りは、当時の『3rd』勢(『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』を主にプレイする人たち)からしたら自殺行為とも言えたんで。

ヌキ:あの行動は“甘え”に思えたね。慣れている人なら、1発目をガードしてから赤ブロ(ガード硬直中に可能なブロッキング)で割り込んで全部とれちゃうんだよ。

ふ~ど:それだけ大きいリスクがありながらも出したのは、大会ならではのプレッシャーですかね?

ヌキ:どうだろ。ウメハラは当時『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』をそこまでプレイしていなかったから、ジャスティンが「ウメハラはブロッキングできない」と判断して出した線も考えられる。

キャベツ:個人的には「レッツゴー! ジャスティン」って叫んだ身内(?)の1人が背中を押したような……(笑)。

ヌキ:え? あれって鳳翼扇の発動演出中じゃなかった?

キャベツ:自分の記憶だと発動前だった気がする。

ふ~ど:そうだとしたら、その人が戦犯じゃないっすか(笑)。これは動画を再確認する価値がありますよ。

ヌキ:逆に、その人のかけ声が作り出した奇跡ともとれるね。

■当時のウメハラは鳳翼扇をブロッキングできなかった

ヌキ:今回の企画でわかったと思うけど、鳳翼扇の1発目をブロッキングするのはかなり難しいよ。

ふ~ど:鳳翼扇の発動演出を見てからブロッキングでは間に合わないんだっけ?

キャベツ発動演出直後にレバーを入れれば理論上は可能みたい。

ふ~ど:なるほど、体力が1ミリの時でも一応チャンスは2回あるってことね。じゃあ、演出直前での入力に失敗したと思ったら、演出中にレバーを前に何度も倒しまくればいいってこと?

ヌキ:いや、ブロッキングコマンドの入力受付が相当シビアだから厳しいと思う。というか、そのやり方だと絶対事故るよ(笑)。

キャベツ:一番手堅いのは、1発目をガードした後に赤ブロ(※)だね。1発目の削りに耐えられる体力があればの話だけど。

※:ガード硬直中にブロッキングで割り込む高等テクニック。正式名称はガードブロッキング。

ヌキ:ちなみに言うと、俺、当時にウメハラが鳳翼扇をブロッキングするところなんて見たことがなかったから、最初に動画を見た時は超ビックリした。

ふ~ど:ウメハラさんは、ああいうの密かに練習してたんじゃないですか?

ヌキ:いや~、たまたまじゃないかな(笑)。ウメハラとはかなり対戦したんだけど、鳳翼扇を全弾ブロッキングされたことは1回もなかったし。

キャベツ:確かにウメハラさんなら、ああいった場面でなんとなくでも成功しちゃいそう。あの頃は家庭版も発売されていなかったから、そんなに集中的に練習できなかったと思うんだよね。

ヌキ:やっぱり、ウメハラは他の人にはない何かを持っているんだよ。

ふ~ど:動画の影響もデカいし、そこもポイントだなー。ちなみに、ジャスティンが鳳翼扇を撃つまでにウメハラさんが挑発アクションをちょくちょく挟んでいたけど、アレってどんな効果があるんでしたっけ?

キャベツ:初弾の攻撃力が上がるよ。

ヌキ:画面端でケンが疾風迅雷脚をヒットさせた後は、挑発までのワンセットがセオリーになるんだ。知らない人からしたら、相手を煽っているようにしか見えないから、その過程も盛り上がった要因の1つになるだろうね。指を動かしながら「かかってきな」っていう見た目も、海外でウケそうだし。

ふ~ど:そう言えば、“背水の逆転劇”が起きた“Evo2004”の『ストIII3rd』で優勝した人って誰でしたっけ?

ヌキ:K.O(『ストIII3rd』で有名なユン使い)っていう日本人のプレイヤー。ちなみに彼はEvoで2連覇してるんだよね。

■“背水の逆転劇”に匹敵する国内『ストIII3rd』の名勝負

ふ~ど:日本でいうところの“背水の逆転劇”並みにスゴイ『ストIII3rd』の名勝負ってある?

ヌキ:個人的にはウメハラvsK.Oかな。俺がウメハラと初めて組んで出場した“闘劇2005”の決勝戦だね。

キャベツ:ウメヌキのやつは本当にすごかった!

ふ~ど:ああ、あの時は自分も会場にいたわ! 確かに言われてみると、会場の盛り上がりはスゴかった。

ヌキ:相手チームがこくじんとK.Oっていう、当時『ストIII3rd』で現役最強の2人だった。その時、俺とウメハラはほぼ引退状態で、久々にやり始めたっていう状況。なんとか決勝までいって俺はこくじんを倒したけど、そのあとK.Oに負けた。ちなみに、決勝戦までは俺が負けずに10人抜きして勝ち進んだのもあって、ウメハラの出番は1回しかなかったんだ。

ふ~ど:久々のプレイでそこまで連勝できるもんなの?

キャベツ:ヌキは、ウメハラさんと組むことが決まってからかなり頑張ってリハビリしてたから。

ヌキ:本当にリハビリ程度なんだけどね(笑)。結局、決勝の大舞台でほとんどプレイしていないウメハラがK.Oにサクッと1ラウンドとられちゃったんだよ。試合をしていないしキツいよなって内心思ったし、ラウンドをとられた瞬間に「終わった」とも感じた。もちろん、気合を入れてめちゃくちゃ応援したけど。

 でもここからがスゴくて、2ラウンド目は相手の心を折りにいく“しゃがみ中Pからの昇竜拳”を埋め込みにいって、下段ブロッキングをしづらくしたんだ。コンボが決まれば体力を大きく減らせるからね。こうして相手にブロッキングの読み合いを意識させた後に裏をかいて投げを決めまくり、最後は投げ抜けもブロッキングもしにくい状況に置かれたK.Oに、温めておいた下段打撃からの攻め。もうね、シナリオが完璧すぎて本当にウメハラはスゴイやつだと改めて思ったよ。

ふ~ど:そこまでの仕込みがあったことは、『ストIII3rd』勢にしかわからないよね。そういう意味では玄人向けのベストバウトになるのかな。

ヌキ:そうだね。しかも、ウメハラはK.O相手に“Evo”で2連敗していたってのもある。

キャベツ:ウメハラさんとヌキが初めて組んだっていう背景も、ウチらにとってはスゴかったんだって!

ヌキ:まず、俺とウメハラが組むことがなかったからね。

キャベツ:そういえば、なんでウメハラさんとはその闘劇までチームを組まなかったの?

ヌキ:自分で言うのもアレだけど、昔はカプコンの格闘ゲームは俺とウメハラの2強だったから。ほとんどの全国大会でワンツーフィニッシュばかりだったし、ウメハラのことをライバルとして見ていたんだ。

 んで、お互いに別の格闘ゲームにハマり出し、2強時代も終わったわけ(笑)。そこからしばらくして、ウメハラから闘劇2004の“とある格ゲー”でチームに誘われたんだけど……流石に今から新しいゲームを始めて練習する時間はないし、俺は他に5種目出場する予定だったから断ったんだ。その時に誘ってくれた理由を聞いたら「お互いに別の世界に行ったんだし、そろそろ組んでもいいんじゃないか」って。それがうれしくて「翌年の闘劇に『ストIII3rd』でいっしょに出よう」って俺から誘ったんだよ。

キャベツ:へぇ~、2人にそんなやり取りがあったんだ。

ヌキ:ちなみに、俺の頑張っていた格闘ゲームの1つが『バーチャファイター4』。そこで初めてふ~どと知り合って、2D業界に「ふ~どって言うスゴイ強いやつがいる」って広めたんだ。昔から同じゲームをやってウメハラは無理だと思ったことはないけど、ふ~どには絶対に勝ち越せないって思わされたね。最初はみんな信じてくれなかったけど、ふ~どが『ストリートファイターIV』をやり始めて、頭角を現してきて、Evoでも優勝して……まるで自分の手柄のように超喜んだよ(笑)。


 いかがでしたでしょうか。本題から少々話しが反れた部分もありましたが、“背水の逆転劇”やウメハラさんにまつわるいろいろなエピソードが聞けたかと思います。ちなみに、この後も座談会はヌキさんを中心に大いに盛り上がり、『バーチャファイター』シリーズや『ストリートファイター』シリーズの昔話に。そのほとんどが、とても掲載できるような内容ではなくなったため、今回はここまでということでご了承ください。

(C)CAPCOM U.S.A., INC. 1999, 2014 ALL RIGHTS RESERVED.

データ

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■ジャンル:対戦格闘
■発売日:2006年12月14日
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■メーカー:カプコン
■対応機種:PS2
■ジャンル:対戦格闘
■発売日:2004年7月22日
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