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2015年1月19日(月)

中国でのAndroidとiOSのシェア比率は? 1兆円規模が見込まれる中国マーケットの最前線をレクチャー

文:そみん

 1月15日に東京・ベルサール新宿グランドで“Native Gaming Summit 2015 January ~TOPデベロッパーが語る2015年のネイティブ市場~”が行われました。

“中国本土最前線”

 本イベントはメタップスの主催で行われたアプリディベロッパー向けのセミナーで、さまざまなアプリ開発者や経営者が登壇し、非常に興味深い講演が行われました。この記事では“中国本土最前線”のプログラムをクローズアップしてレポートしていきます。

“中国本土最前線”

 登壇したのはメタップスの執行役員で中華圏戦略を担当しているFei Lou氏。さまざまなデータを交えて、中国におけるアプリマーケットの最新情報や分析が語られました。

■スピード感や規模感が違う中国の特殊性

 まずFei氏が口にしたのは、中国という市場のスケール感の大きさと特殊性でした。中国市場を考える際には台湾も重要となりますが、台湾については日本に近いマーケティングでも対応できる部分があるとのこと。

“中国本土最前線”
▲Fei氏のプロフィール。これまで多くのスマートフォンやWebでの展開に携わってきた方です。

 それに比べて中国本土は、例えば言語1つをとっても簡体字と繁体字が存在するなど、非常に複雑な文化となっています。また、スピード感もものすごいものがあり、参入も撤退もとにかく早いそうです。そのため、中国本土に関する情報を集める際は注意が必要とのこと。現時点で正確な情報でも、3カ月もすると状況がガラリと変わってしまうことが多いので注意してほしいとのことでした。

“中国本土最前線”
▲中国の事情規模、複雑性、情報についてまとめたパネル。
“中国本土最前線”
▲中国のインターネット利用状況。2017年には7億5,000万ユーザーになると見込まれています。

 急速にスマホ市場が広がる中国ですが、45%という普及率はまだまだ低いとのこと。東南アジアを例にすると、例えばシンガポールは75%ぐらいとのことで、まだまだ中国での普及は進んでいきそうです。

 シェア比率については、Androidが70%でiOSが19%。iOS6以降、iOSが少しシェアを伸ばしたそうです。

“中国本土最前線”
▲モバイルOSシェア率。12億台の携帯のうち、スマホの普及率は45%弱で5億台。Androidが70%、iOSが19%のシェアとなっています。

 端末の解像度=スクリーンサイズに関するデータも提示されました。大きいサイズが好まれている背景として、片手ではなく8~9割が端末を横に持って遊ぶ文化が強いとのこと。

“中国本土最前線”
▲モバイル端末の解像度。6割以上が640×960以上の大きめのスクリーンを好み、両手持ちが一般的とのこと。

 ちなみに男女比は男性7割の女性3割くらいとのこと。ただ、これからは女性ユーザーがいっそう増えていく見込みで、それも中国市場の広がりに影響をしてくるはずとの分析でした。

“中国本土最前線”
▲モバイルゲーム市場の規模。日本の規模が6,000億円なのに対して、2014年の中国は3,900億円、3年後の2017年には3倍の1兆1,500億円規模に成長する見込みです。
“中国本土最前線”
▲モバイルゲームへのアクセス手段と4Gの普及に関するデータ。ワイファイの普及も目覚しい状況です。

 普及台数的にはAndroidですが、iOSはハードコアな本格的なゲームがよく遊ばれる傾向があるとのこと。もはやトップ5の売上規模は、日本の市場とほぼ変わらない規模になっているそうです。少し前までは5億円ぐらいのセールスでトップを取れることもありましたが、今は10億規模でも厳しいほど市場が大きくなっていると語っていました。

“中国本土最前線”
▲中国本土の売上規模。月間売上の規模感として、トップ5位は20~50億円とのこと。
“中国本土最前線”
▲オフィシャルなApp Storeがあるため、かつてはやったジェールブレークはゲームリリース前のテストマーケットとして使われているとのこと。
“中国本土最前線”
▲中国本土のiOSランキングの変動。30位以上に入るための条件はかなり厳しくなってきたそうです。ただ、『Sim City』のような例外もあるとのこと。

 中国の大手会社であるテンセントの存在感は非常に大きく、一大勢力となっています。ただ、海外メーカーのアプリが受け入れられてないわけではなく、Supercell、EA、Com2us、Gameloftなど、日本でもなじみがあるゲームメーカーもランキング上位に入っていました。

“中国本土最前線”
▲テンセントがリリースしたiOSタイトルに関するグラフ。
“中国本土最前線”
▲同じく、テンセントがリリースしたiOSタイトルに関するグラフ。
“中国本土最前線”
▲海外タイトルでもランキング上位に入っているものはあります。
“中国本土最前線”
▲海外メーカーではSupercell、EA、Com2us、Gameloftなどの名前があがっていました。

 iOSについてはAppStoreのおすすめ枠を取れるかどうかが重要となり、ここに抜擢された『Sim City』は特別なプロモーションをせずとも、ここからの自然流入でユーザー数を一気に増やして人気アプリとなったそうです。

“中国本土最前線”
▲ストアのおすすめ枠からの流入数に関する分析も。トップのスクロールバナーに表示されると、1日10万インストールの効果につながると予測されていました。

 中国本土におけるCPA施策はかなり機能するようになってきたとのこと。インセンティブの付け方によっては1カ月で100万インストールも目指せるそうです。

“中国本土最前線”
▲トラッキング(CPA)対応のiOSプロモーションに関する分析も語られました。なお、USDはUSドルのことです。

 また、市場の特殊性として、アプリストアの種類が非常に多いため、それぞれに適したアプリ側のチューニングも必要になるそうです。

“中国本土最前線”
▲中国のAndroidアプリストアは数百以上が林立しているとのこと。

 効果的なプロモーションとして、最大キャリアの端末にアプリをパッケージングしてもらうことも有効とのことでした。

“中国本土最前線”
▲中国のモバイルゲーム業界におけるバリューチェーンについて。Fei氏によって、わかりやすく図式化されています。

 最後の総括としてFei氏が強調していたのは、現地で長期的に動けるチーム・人材を確保することの重要性でした。とりわけAndroidはフルローカライズが前提といえるので、単なる言語翻訳だけでなく、配信後の運営も加味して、半年以上の展開が必要になります。下に掲載したパネルにも記載されているように、8~10人体制で半年の予算として2,000~2,500万円が必要になるとのことでした。

 また、不正なチーティングへの対応も日本とは違うレベルが求められるので、注意してほしいと語っていました。

“中国本土最前線”
▲総括として提示された、中国展開を考える際に決めるべきポイント。

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