2015年2月28日(土)
2月15日に東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開催されたアニメ『Hi☆sCoool! セハガール』のファンイベント“セハガガ学園 ~脳天直撃!夢の音速ポポポン祭り~”をレポートする。
イベントには、ドリームキャスト役のM・A・Oさん、セガサターン役の高橋未奈美さん、メガドライブ役の井澤詩織さんに加え、トークゲストとして監督の菅原そうた氏、脚本の岐部昌幸氏、プロデューサーのセガ中山雅弘氏も登場。今だから話せるお蔵出しのネタを披露したり、ミニライブで曲を披露したりした。
イベントの開始前後に行われた会場物販では、ラバーストラップ『きゃらいど on コントローラ』や『セハガガ学園コンテナ』(トムス・エンタテインメント)が先行で販売された。また、“ワンダーフェスティバル2015[冬]”で売られていた『セガ・ハード・ガールズ フィギュア“ドリームキャスト”』や『セガ・ハード・ガールズ クリアファイル 3枚セット マークIII』(セガ)なども並んでいた。
▲キャラクターがゲーム機のコントローラに乗ったラバーストラップや、各キャラのシルエットやコントローラが印刷された『セハガガ学園コンテナ』。 |
▲他にもさまざまなグッズが販売されていた。イベントのみで販売されるものは、ここで初めて目にする人も多かったのでは? |
登壇したセガ・ハード・ガールズのM・A・Oさん、高橋さん、井澤さんは、オープニング曲の『セハガガガンバッちゃう!!』を大熱唱。ノリのいい曲調であるうえに、合いの手を挟む場所がわかりやすいということで、3人だけでなく観客も歌詞同様に“めっちゃくっちゃ興奮”していた。
以下で、イベントの一部をレポートしていく。アニメを手掛けたクリエイターへのインタビューもあわせてチェックしてほしい。
最初のコーナーは、セハガールからセハおじさんへ質問する“何だったんですか、アレ?”。M・A・Oさんは、CGキャラクターを作る時に二頭身と八頭身のどちらが苦労したのかを質問。菅原監督いわく、頭身が高いほうがナチュラルに動かすのは数倍大変だという。しかし、二頭身は二頭身でパンツが見えやすいという問題もあるとのこと。
パンチラについてはいろいろと議論があったようで、中山氏は「必然性があれば……」と考えているようだ。しかし、上がってくるチェック用の映像はずっとパンツが出ていたため、「あれは監督の趣味が出ていた」と当時を振り返った。すべてのシナリオの中でもっとも苦労したのは、10bitの“壊れかけのジェットセットラジオ”。インラインスケートで走っているので常時見えていたため、CGスタッフ一同さまざまな修正処理をしたという。
次の質問を挙げたのは、ライブ歌唱でのダンスに苦労した井澤さん。「ダンス練習を見ているスタッフさんは『なんで踊れないんだよ! 俺ならちょろいよ!』と思っていますか?」と読みあげると、会場からは笑い声が。「ダンスレッスン場に来て、練習を見ていた人のほうがダンスを覚えていたのでは?」と考えたようだ。実際に練習を見ていたという中山氏は「言葉には出していないけど、顔はそう言っていたかもしれませんね。……まあ思いました!」と本音で回答した。
中山氏によると、ダンスレッスンではセハガールの3人と演じたキャラがシンクロしていたという。M・A・Oさんは「振付が今までよりも大変ですね」と言っているけどすんなり踊れていて、高橋さんは頑張って覚えるタイプで、井澤さんは「最初はひどかったけど、最後はやれていましたよ」とのこと。フォローが入っているものの、「ひどかった」という発言に井澤さんはスタスタと無言で壇上から去ろうとしていた。
高橋さんの質問は「削るかどうか、迷ったシナリオはなんですか?」というもの。菅原監督は迷ってはいないが削ったエピソードとして、ギリウスとセガサターンが10年後に結ばれるシナリオを披露。岐部氏は当初12bitで卒業する形にしたかったことを告白した。その後、13bitで大人になった3人が再会……するとセガサターンが押してきたベビーカーの中に、ギリウスそっくりの子どもがいるオチを想定していたが……こちらはもちろんボツになった。このネタに高橋さんは「せめて助っ人外国人にして!」とセガサターンになりきってコメント。またしても会場は爆笑に包まれた。
続いてのコーナーは、そんな岐部氏に迫る“ボツ原稿に見る 鬼才脚本家・岐部昌幸の闇”。ボツになっているネタがとにかくダークすぎて岐部氏の闇が深いということで、ステージでは4つの闇が紹介された。
まず紹介された闇は“サターンの相談への返し”。3bitの冒頭部分で、セガサターンが相談を持ちかける。背中を押してほしいだけの女子の恋愛話に対して、メガドライブは「ゴメンだ」と一刀両断。セハガールメンバーからは「本当にひどいよ!」と悲鳴のような声があがったが、岐部氏は「もちろん女性同士で思っていても口には出さないが、メガドライブは素直にさらっと言う性格なので……」と自分のシナリオを弁護していた。ちなみに、ドリームキャストは相談内容を聞く前に「あ、お金の相談ならムリですからね」と返していたという。
その後も、本編ではカットされた岐部氏の闇が紹介される中、最後は“ついに自分の気持ちまでぶっこみ始めた”という闇を紹介。オープニングの「東京都・羽田のシンボル、大鳥居にある“セハガガ学園”」というお決まりのフレーズに続いて、「脚本家がいつも脚本が長いとお偉いさんに怒られたので、今日は早速授業から始めるみたいです」というセリフが入っていたというもの。これはオンエアを見た岐部氏が「あそこのネタ、切られたのか!」というショックにも似た自身の気持ちを込めたという。M・A・Oさんは「私に何を言わせるんですか!」と突っ込んでいたが、気持ちを込めたセリフ自体も切られてしまった。
岐部氏の闇の深さが公開し尽くされたわけではないが、時間の都合もあり、このコーナーは終了となった。また次回のイベントがあった場合は、さらなる闇が公開されるかもしれない……。
このコーナーは、菅原監督が作っていた、本編とは関係ない映像を公開するというもの。まず最初に公開されたのは、ドリームキャストがニコニコ動画の“踊ってみた”などでも有名な人気曲でダンスを踊る映像だ。こちらは、フリーの3DCGムービー制作ツールであるMikuMikuDance(MMD)を使用したアニメ制作をイメージしてもらうために、まだ監修中のドリキャスCGモデルで作成したものだという。
中山氏がセガの開発陣にこの映像を見せたところ、アニメのノリ、方向性をすぐに理解してもらうことができたので、オフィシャルCGモデルの提供を依頼するためのいいプレゼン資料になったという。昔からのセガファンであった制作スタッフは、ゲームの生データを見て感動したことを菅原監督は明かした。
続いてスクリーンに上映されたのは、監督直筆のコンテイラスト。顔に書かれた名前の略称と髪型からキャラクターであることがギリギリわかるイラストに、会場は笑いに包まれた。菅原監督はあくまでアニメ―ションのイメージを伝えるために作ったことを説明した後に、「これを参考に映像を作っているMMDアニメーションの方々がすごいんですよ!」と力説した。
また、詳細までできあがっていると、ネタによっては開発NGになる可能性があるが、これくらいのコンテであれば「よくわからないからOKが出やすいのでは?」という狙いもあったという。ただ、開発陣はしっかり把握して確認していたようで、「このシーンにはこの素材が必要ですよね?」と開発側から提案されることもあったようだ。
最後に公開されたのは、ヘッドマウントディスプレイ・Oculus(オキュラス)に対応したセハガガ学園。学園の中には、セハガールに加えて、アニメ中でも見られたソニックやナイツなどのインテリアも見てとれるこだわりようであった。なお、会場ではOculusが展示され、イベント開始前や終了後に多くの人がセハガガ学園入学気分を味わっていた。
トークコーナーに続いて、3人によるライブコーナーがスタート。まず最初にライブで歌うのは初めてとなるそれぞれのキャラクターソングを披露。ドリームキャストの『きっと、大丈夫です!』、セガサターンの『NoNoNo No way!』、メガドライブの『ちょびっと16bit』を熱唱した。
続いて、エンディングテーマ『若い力-SEGA HARD GIRLS MIX-』を3人で歌いあげた。一番の見せ場は、テレビバージョンでは短く省略されている歴代ハード名をフルバージョンで読みあげたところ。家庭用パソコンのSC-3000から始まりドリームキャストまでを、参加者と一緒にコールした。
もともとはここでミニライブコーナーは終わりの予定だったが、あまりの盛り上がりに急きょ『セハガガガンバッちゃう!!』を再び披露することに。3人は「セガ“ハード”ガールズですからね」とこれを快諾して、本日2度目となる『セハガガガンバッちゃう!!』を歌いあげた。
ライブが終わると、登壇者からメッセージが贈られたので以下に掲載する。
M・A・Oさん:トークコーナーでいろいろなものを見せてもらい、今日1日本当に楽しかったです! 『セハガールのハードなSEGA情報RADIO「セハラジ」』を聞いていただきつつ、これからもセガ・ハード・ガールズの応援をよろしくお願いします!
高橋さん:初の単独イベントということで、朝のリハーサル時は不安もあったのですが、会場がぎっしり埋まるくらいお客さんに来ていただけてうれしかったです、本当にありがとうございました!! セハガは他にもたくさんいますし、グッズやBlu-rayの売れ行き次第ではまたこのような楽しいことができるのではないかと……(笑)。これからもセガ・ハード・ガールズを愛してください~!
井澤さん:楽屋で待っている時からスタッフの人が何回も「ファンの方々がすごくたくさん入っています」と伝えてくれました。本当にうれしい時間でした。『セハラジ』も続いていますし、ドラマCDが3月12日にリリースされます。応援次第で、会場で見ている大人たちが動いてくれると思うので、よろしくお願いします(笑)。3人以外の魅力的なキャラをぜひ監督に動かしていただきたいです。今日はありがとうございました!
菅原監督:僕はこのアニメが大好きで、超おもしろいと思っています。ただ、本当にいいアニメなのにまだまだ知られていないのも事実です。ぜひ、皆さんに応援していただき、広めていただき、2期をやれればと思っています。これからもよろしくお願いします。
岐部氏:セガユーザーの方って、使命感に近い気持ちでセガを応援してきた感じがあって、このアニメも「二期やりたい、二期やりたいってスタッフがうるさいから、Blu-rayを買ったよ!」という方も多かったんじゃないかと。本当にありがたいです! まだスタッフの皆さんには話していませんが、僕の中では2期の1話、2話、6話はできています。6話では他社のゲームとのコラボを予定しています……僕の中で、ですが(笑)。あと、セハガが全員登場する回も作りたいですね。ただし、どれだけキャラが増えてもセガサターンのふびんさは変わりません(笑)。
中山氏:セガ・ハード・ガールズは、セガの社是“創造は生命”の結晶のひとつである過去ハードを、形を変えてでも魂を残したいという擬人化プロジェクトです。当時から愛着をもっていただいた方、新しくキャラクターとしてかわいい、おもしろいと思っていただいた皆さんでぜひより多くの方に「セハガおもしろいよと」広めていただければと思います。今回は盛り上がっていただき、本当にありがとうございました。
最後にセハガガ学園の校歌である「セーガー!」を全員で歌って、イベントは終了となった。当日券も販売され、多くのファンの笑顔をつないだイベント“セハガガ学園 ~脳天直撃!夢の音速ポポポン祭り~”。「3人揃って“コンティニュー”」ではないが、この後の展開もまたあるのであろうか。ドリームな展開をポポポンと期待しつつ、グッズを購入したり、知らない人に広めたりしつつ待っておこう。
▲『Hi☆sCoool! セハガール』Blu-ray Vol.1の購入者限定特典として、メインキャストハイタッチ会が行われ、ファンとキャストが最後までイベントを楽しんでいる様子を確認できた。 |
▲イベント終了後に、関係者を招いて行われた打ち上げでは『セハガール』のハニートーストがふるまわれ、好評を博していた。 |
また、2月27日には『電撃マオウ』で連載されていた『ちきう☆防衛隊! セハガール』の単行本が発売された。田中圭一先生、サムシング吉松先生、榎本俊二先生など、豪華作家陣による本コミックには、封入特典としてスマートフォン用ゲーム『チェインクロニクル ~絆の新大陸~』とPS Vita『チェインクロニクルV』で使用可能な“SRマスターシステム”のシリアルコードが付いている。
▲カバーイラストを担当するのは、セガファンおなじみのサムシング吉松先生。田中圭一先生や和田ラヂヲ先生、押切蓮介先生など豪華ラインナップだ。脚本はアニメと同じく岐部氏が手掛けている。 |
(C)SEGA/セハガガ学園理事会
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