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2015年3月10日(火)

第21回電撃小説大賞《銀賞》受賞作『いでおろーぐ!』の著者・椎田十三先生にインタビュー!

文:電撃オンライン

 第21回電撃小説大賞の《銀賞》を受賞した『いでおろーぐ!』。電撃文庫から3月10日に発売された本作の著者である椎田十三先生のインタビューをお届けする。

『いでおろーぐ!』

 『いでおろーぐ!』では、「リア充、爆発しろ!!」……この想いを胸に“反恋愛主義青年同盟部”に集まった部員たちによる青春ストーリーが展開される。主人公・高砂は雪の降るクリスマス・イブで「恋愛を放棄せよ」と演説する少女に出会う。演説少女が同じクラスにいる領家薫であることを知った高砂は彼女に同調し、“反恋愛主義青年同盟部”に入部する。そこに謎の女児が現れ、領家を恋におぼれさせてリア充にさせろという依頼を高砂にする。はたしてこの女児の目的とは?

――まずは第21回電撃小説大賞≪銀賞≫を受賞して、ご自身の生活にどのような変化がありましたか? そして、ついに3月10日に受賞作が電撃文庫より発売されましたが、現在の心境も教えてください。

 特に生活の変化はありません。強いて言えば、確定申告のために領収書をちゃんと保管するようになったくらいです。現在の心境ですが、仕事や生活に忙殺される日々のなかで、既にやり終えた仕事に対して費やすことのできる心の余裕がなく、正直なにも考えられません。発売日になり店頭に並ぶのを見かけると、感動できるのかもしれません。

――本作は、恋愛そのものを否定する“反恋愛主義青年同盟部”に所属する高校性たちの活動を描いた青春ラブコメです。選考委員の評価が真っ二つに割れ、“応募作の中で一番尖った作品”と評された本作ですが、それは椎田さんが狙ったところだったのでしょうか?

 応募作が多数送られてくるなか、また多くの作品が世の中にあるなかで、まっとうなやり口で書いていっても埋没するだろうと思い、記憶に強く残るであろうヘンなものを書きました。そんな小説なので評価が分かれるのは当然で、選考委員の中に一人でも理解してくれる人がいれば上出来、くらいに考えていました。

――主人公の高砂はヒロインの薫に誘われ、学園内で“バレンタイン粉砕闘争”などの活動を行います。生徒会=大性欲賛会との対立も見どころの1つかと思うのですが、なぜこのような物語を描こうと思ったのでしょうか。

 ひとつのジョークとして“恋愛陰謀論”を閃いたのがきっかけで、そこにキャラクターを足していきシーンをつけていったら、このような物語になりました。いろいろと要請を考えるうちに“大性欲賛会”という駄洒落を思いつき、それを敵として配置することでバカバカしさを倍加する結果になったとおもいます。

――本作のヒロインは、恋愛を謳歌するリア充を憎む“反恋愛主義青年同盟部”の部長・領家薫です。彼女には愛らしいだけではなく、性格に二面性があってどこか危険な魅力があります。キャラクターメイクで心がけたことや彼女の誕生秘話を教えてください。

 最初に書こうと思ったときには、男の主人公がふと「恋愛陰謀論」に思い至るという筋だったのですが、それだとあまりにも華がなかったので、じゃあ最初に女の子を出せばよかろうと思って領家が生まれました。性格は、ストーリーを考えるうちにだんだんと固まっていったのだと思います。

――ヒロインの薫は「恋愛信奉者たちを改心させ、世界を正しい方向へと導く」というスローガンのもと、活動に励んでいます。彼女のセリフの言い回しがアジ演説(扇動的な演説)さながらで楽しく、作者のこだわりを感じるのですが、実際はどうでしょうか?

 学生運動全盛期のころのアジビラの文面が載った書籍、闘争を描いたノンフィクション、あとはじっさいに大学構内で散見したラクガキなどが参考になっています。こだわりがある、というよりは、普段聞き慣れない言い回しをしたら面白かろうという工夫です。

――本作の執筆は難産でしたか? 執筆中に印象に残っているエピソードがあれは教えてください。また、ご家族や友人の方は、執筆活動を応援してくれた派ですか? それとも1人でがんばれ派でしたか?

 旅が好きで考えなしにふらっと出かけてしまう癖があるんですが、締め切りも間近に迫っているというのに青春18きっぷを買って北陸に旅行にでてしまい、移動中の列車内で原稿を書きました。信越本線の長野以北を走る“妙高”の車内でクライマックス付近のシーンを書いていたのですが、本書が世にでる数日後には第三セクターに移管されてしまうということで、すこし寂しさを感じます。

 家族や友人には、私が執筆していることすら伝えていません。もちろん受賞も知らないはずです。

――ご自身が考える、本作のみどころを教えてください。

 宣伝などからご想像なさる以上に、変な小説になっていると思います。物語の筋にしてもキャラクターにしても、逸脱がある一方でお約束通りのところもあり、その二重性の面白さが見どころです。

――ズバリ!! 椎田さんは俗にいう“リア充”ですか? それとも“非リア充”ですか?また、ご自身の“リア充爆発しろ体験”がありましたら教えてください。

 それ以前の段階として、まず社会にうまく適合できていません。そんな私がなんとか生活できているのも、社会に隷属しつつ新たな奴隷を生み出してくれる“リア充”の方々のおかげなので、爆発しろなどとは全く思えず、その献身には心からの感謝しかありません。本当にありがとう。

――お話は変わりますが、アニメ、ゲーム、小説、映画など、今、注目している作品や過去に影響を受けた作品などがありましたら教えてください。

 自分の出来ない様々な仕事を見るのが好きで、そういうものを描いた作品が好きです。いま放映されているアニメでは『SHIROBAKO』を毎週楽しく観ています。

――これから電撃大賞を目指す作家希望のみなさんに、ご自身の体験をふまえてのアドバイスをお願いいたします。

 これは自戒でもありますが、締め切りギリギリに出そうと思ってスケジュールを立てるのは避けた方が良いです。旅行に出るなどもってのほかです。

――これからどんな作品を描いていきたいかなど今後の抱負を含め、読者のみなさんへメッセージをお願いいたします。

 自分にどんなものが描けるのかは全く分からず手探りの状態にあります。できるかぎり色々なものを書いていきたいというのが希望です。まだ誰も足を踏み入れたことのない未知の領域を、読者のみなさんと一緒に開拓していきたいです。

(C)椎田十三/KADOKAWA CORPORATION 2014 イラスト:憂姫はぐれ

データ

▼電撃文庫『いでおろーぐ!』
■著者:椎田十三
■イラスト:憂姫はぐれ
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:KADOKAWA
■発売日:2015年3月10日
■定価:本体570円+税
 
■電撃文庫『いでおろーぐ!』の購入はこちら
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