2015年3月16日(月)

『FFEX』開発者がユーザーの質問に回答! ジョブ投票の結果や召喚獣開発秘話、オススメ仲間モンスターは!?

文:長雨

 スクウェア・エニックスから発売中の3DS用ARPG『FINAL FANTASY EXPLORERS(ファイナルファンタジーエクスプローラーズ)』を手掛けた、開発者へのインタビューを掲載します。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

 『FF』シリーズおなじみのジョブシステムを採用したアクションRPG『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』。アタッカーやヒーラー、タンクといった各ジョブの特徴を生かした役割分担や、マルチプレイでの協力プレイが本作の醍醐味となっています。

 発売後に電撃オンライン上で募集したアンケートには、ユーザーからたくさんの意見が寄せられました。それらの質問をまとめ、ディレクターの橋本厚志さんとスクウェア・エニックスの宣伝担当の村上洋平さんに聞いてきたのでお届けします。なお、インタビュー中は敬称略。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』
▲さまざまな意見に目を通す、橋本さん(左)と村上さん(右)。

■人気ジョブランキングの結果を開発陣が分析

――電撃オンラインで行われた人気ジョブ投票の結果をお持ちしました。ご覧になった感想はいかがでしょうか?

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

村上:錬金術士の人気がひどいですね……。

橋本:これはひどいですね。次回作があるなら、ぜひ強化したいジョブです。

――人気に選ばれていないだけで、嫌われているわけではないと思うのですが……錬金術士のおすすめの使い方などあるのでしょうか?

橋本:開発内では“錬金術最強説”があります。錬金を使って“英雄の薬”を飲んで、火力をすごく跳ね上げたり、“聖戦の薬”を飲んでクリティカルを上げたりなど、いくらでも強くする方法があります。そのため、錬金のCT(クールタイム)は、4分と長めに取りました。でも、そこが使いこなしにくいジョブという印象になってしまったのかもしれません。アイテムの値段も、ちょっと高いですしね……。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

村上:錬金術士に加えて、いろいろと宣伝した時魔道士もあまり順位が高くないですね……結構強いんですけどね。

――編集部では、時魔道士使いがいます。魔法でガンガン攻撃していました。

橋本:ウィークを絡めると、すごく強いですよ。あとオンライン上に時魔道士はあまりいないですが、時魔法はすごく使われています。ヘイストやリフレク、バニッシュあたりもすごく便利ですよ。

村上:追加ジョブである侍が、上位に来ているのも気になりますね。

――侍は攻撃力が魅力という意見が多いですね。また他のジョブも同様の意見が目立ちますが、「『FF11』で使っているから」や「カインが好きだから」など作品への思い入れでジョブを選んでいる人が多い印象です。

橋本:侍は、伝統的に好きなユーザーが多いですね。

――日本人の魂という意見があって、おもしろかったです。

村上:深い(笑)。

橋本:忍者も日本人の魂ですね。これも人気が高いのもわかります。ただ竜騎士はシリーズ的には“裏切りの魂”かもしれません(笑)。竜騎士が人気が高い理由には、槍が強いというのもあるかもしれませんね。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

村上:思いの外、すっぴんの人気が高いのにも驚きました。かなりツウなユーザーさんがいらっしゃいますね。

橋本:『FF5』を好きな方が、使ってくれているのかもしれません。開発内でも“すっぴんを極めたら最強になれるんじゃないの?”って意見ありましたからね。個人的に、黒魔道士が予想より下ですね。黒魔道士はテクニカルに遊びにくいので、飽きられてしまったのかもしれません。そこは、いろいろ考えないといけないですね。

――今回のアンケートでは、絶対的に近接ジョブの人気が高いですね。そこについてはどうとらえられていますか?

村上:発表当初から近接ジョブを押していたので、そういう意味ではうれしい反響です。

橋本:確かにアクション的には、近接ジョブが映える作品ですしね。

――プレイしていてアクションそのものが楽しかったというのも大きい気がします。特に近接系は派手なアクションも多いので、魔法よりそちらに惹かれた人は多そうです。

橋本:アクションをどのようにつなげていくか考え始めると、かなりおもしろくなります。特に侍の刀は、つなげることを前提にしてアビリティを作っています。アビリティがつながっていくと楽しいですが、つなげすぎると反撃受けてしまいます。そんなバランスを考えながら戦うのも醍醐味です。魔法でも、もう少しそういうことができるように調整していけたらよかったのかもしれませんね。

――ランキングを見ていて機工士が上位なのに、同じ遠距離攻撃の狩人の順位がそれほど高くないのに意外な印象を受けました。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:狩人は楽しいと思うのですが、あまり火力が出ないですからね。開発段階でも、状態異常をかけることを前提にした調整をしていました。ただ状態異常にかかりすぎるのも問題なので、そのバランスは難しいところです。

――ランキングを見ていて、意外だなと思ったジョブはありますか?

橋本:白魔道士が思ったよりも上位にいると思いました。マルチプレイしているとあまり見ないので、ちょっと意外でしたね。もちろんマルチプレイで、ケアルで7,000回復してくれるようなすごい白魔道士がたまにいますけど(笑)。

村上:ケアルにすべてを捧げたんでしょうね。

橋本:ケアルをそこまで高められたそのプレイヤーは、本当にすごいなと思いましたね。そういうプレイヤーも一部でいますが、マルチプレイで会うことは少ないのでもっと順位が下だと思っていました。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

――自分で回復もできますし、ソロでプレイするには便利なのでしょう。ソロでの使い勝手も順位にかかわってくるのかもしれませんね。他には気になるジョブはありますか?

橋本:赤魔道士も思ったより低かったです。

――赤魔道士については、もう少しコストが多ければという意見をよく目にしました。

橋本:気持ちはわかりますが、コストを高くしてしまうと赤魔道士じゃなくなってしまうんですよね。本当は魔法を使える戦士のようなジョブにしてあげたかったのですが、ちょっと魔道士よりに寄せすぎてしまいました。そこは、もう少し調整してあげたかったです。あとランキングを見てて思ったのが、シーフが思ったよりも上位にいますね。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』 『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

村上:シーフは何でこんなに高いんですかね?

橋本:マルチプレイではあまり活躍する場はありませんが、シングルプレイでは素材集めが楽になりますからそこが好評なんだと思います。

村上:そう考えるとこのアンケートの順位は、シングルをプレイしているユーザーの意見が多いのかもしれませんね。それであれば、ナイトが上位なのも納得できます。コメントに“シングルでプレイする時に、ディフレクトがあるかないかで難易度が変わる”とあるんですが、これは本当にその通りですから。特にアクションに慣れていない人は、そう強く感じたのではないでしょうか。

橋本:私はディフレクトを使えないジョブで戦っていたので、火力に特化してやられる前にやれという戦法で戦っていました。でも確かに、ディフレクトがあると相当楽ですね。そういう意味ではパラディンとナイトは強いですし、評価してもらったのも当然かと思います。

――先ほど錬金術士のアドバイスをいただきましたが、今回のアンケート下位のジョブでも、こう使えばもっと強くなるというものがあれば、教えてください。

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橋本:吟遊詩人は歌が強いです。

村上:強いんですが、ソロで歌うのは少し寂しいですよね。

橋本:そうなんですよね。ランキングを見ていて全体的にサポート役であるバッファーの人気が低いので、そこは考えていきたいところです。

橋本:バッファーに徹しようとするとソロ向けではなくなってしまいますが、どのジョブでもサポートしかできないわけではないんですよね。吟遊詩人であれば歌だけではなく、いろんなアビリティを使えます。シングルプレイならではの戦い方を、わかりやすく提案できればよかったのかもしれません。

■開発の裏側やオススメする仲間モンスターなどについて回答

――ここからは、ユーザーから寄せられた質問についてお聞きしていこうと思います。まずは、制作の現場について。「制作していて、大変だったことは何ですか?」

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:システムの大枠はぶれることなく決まっていたのですが、細かいマイナーチェンジに時間をかけました。これは、新規タイトルならではの苦労ですね。また他の作品と差別化するために『FF』シリーズならではのジョブシステムを採用し、各ロールを利用した共闘感を生み出すことになりました。それをユーザーに楽しんでもらうために、システムを整えたり、バランスを調整したりするのが大変でしたね。とにかく、いろいろなことがあった開発でした。

――ユーザーの反応が、開発の想定とは違っていた部分はありますか?

橋本:ほぼ想定していた通りでした。オリジナルアビリティはおもしろいと評価してもらえるだろうと想像していましたし、クリスタルドライブが賛否両論になるだろうということも考えていました。賛否両論だと思ったんですが、新しい遊びを創れるのではないかという好奇心のほうが勝ってしまいました。他にも開発内で悩んでいた部分についてもユーザーはしっかり見ていて、いろいろ意見が出ていました。

 例えばダンジョンでボスまで行くのは作業であるという意見がありました。本当はそこまでの道のりでレゾナンスを上げてもらうためのものですが、正直言うと調整しきれていないと感じているところです。作業感が強くなりすぎるので無視してボスまで進んでいく人もいるだろうと思っていましたが、案の定そうなってしまいましたね。決してムダではないのですが、もう少しいい方法があったかなと考えています。

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――ダンジョンの移動については、「チョコボに乗って移動したい」という声が多いですね。

橋本:これは専用のBGMまで作ったのに、実装できなかった要素です。

村上:BGMは発売中のサウンドトラックに収録されていますよ。

橋本:最初はチョコボスーツを着たら、チョコボと同じスピードで移動できるようになるのを考えていました。ただ、実装するうえで調整が難しそうだったために、泣く泣くカットしました。

――フィールドについては、「何かしらのギミックを用意する予定はなかったのですか?」という質問も見られましたね。

橋本:高低差があってツタを登るなど、ギミックはまったく入れていませんからね。そこは作りこめていない部分で、「何かできればよかったんだけど……」とは思っています。フィールドがムダに広かったということもあるので、もう少しチューニングしたかったです。

――「もっとこうしておけばよかったという点は?」

橋本:いろいろありますよ。チューニング不足だった点がたくさんあり、反省しています。システムにかんしてはご好評いただいたのですが、各種ソート機能やチュートリアルなど不便なところが多いですからね。

――「ギルが余るのに対して、CPが足りなすぎるような気がします」という意見もありました。

橋本:このバランスは難しいですね。ギルも一時期は足りないと言われていましたし。CPにかんしては使用用途に比べて、入手量がちょっと少なかったと思っています。その結果、マジックポットが乱獲されることになったんですが(笑)。もう少し使用料を少なくするか、入手量を多くするべきだったと思っています。見極めが甘かったです、すみませんでした。

――「フリーチャット機能を実装しなかったのはなぜですか?」ということを気にしているユーザーは多いですね。

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橋本:システム的に実装が大変という理由がまず1つあります。それに加えてフリーチャットがあるとどうしても荒れてしまう傾向があるので、定型文のみの今の形でもよかったのかなと思っています。

村上:深くつながらなくても、さくっと遊べるのも本作の魅力の1つです。そのためフリーチャットがなくても、楽しんでほしいという思いがありました。

――続いて、バトルシステムについてお聞きします。オススメの仲間モンスターはなんですか?

橋本:マジックポットです。黒騎士も強いのでオススメしたいのですが、ちょっとコストが高いんですよ。マジックポットにすれば、残りのコストでもう1体連れていけるので戦略が広がります。またマジックポットは、フレアなどが使えて与えるダメージも多いので、ヘイトを集めることが可能です。さらに自分で回復もしてくれますし、状態異常耐性も高いというバランス調整をミスったんじゃないかというほど優秀な仲間モンスターです(笑)。

村上:私がずっと連れているのは、ウルフラマイターですね。物語の終盤では竜騎士を使っていたので、誰かにタンク役をやってもらわないと厳しい場面が多くなりました。そこでタンクとして活躍したのが、このモンスターです。ただ……とにかく体が大きいので、画面の半分くらい埋まってしますんですけどね(苦笑)。でも、いてくれるだけでだいぶ楽です。

橋本:確かに、タンクとしてウルフラマイターは優秀ですね。あとは便利なのは、チョコボなどの回復してくれるモンスターかな。生放送でも言いましたが、チョコボはチョコケアル、チョコメテオなどを使えて強いです。

――モンスターを育てていくと、上位タイプに切り替えるタイミングが難しいと感じました。

橋本:育てたものを糧にできるように合成を入れたのですが……なかなか難しいです。実は私も育てたモンスターを生贄にするのは抵抗があって、合成を使っていませんでした。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

村上:一緒に戦っている間に、愛着がわいてくるんですよね。私も初期からいるチョコボとプリンが、ずっといましたね。プリンは終盤きつくなってくるので早く引退させたいと思うのですが、合成に使うのだけは嫌だと(笑)。

橋本:私の初期はマンドラゴラとプリンでしたね。意外にプリンが強いんですよ。

村上:プリンみたいに予想外の活躍を見せるのもいれば、逆に期待しているほどの成果を出せない奴もいますね。

橋本:そのあたりはもう少しちゃんと調整してもよかったのかもと思うのですが、その荒さも個性になっているのでいいのではと思っています。

村上:モンスターはちゃんと育てれば強いんですが、その実力を発揮するまでがちょっと長いですよね。クエストによっては、自分が必要ないのではと思う場面もありましたからね(笑)。

橋本:強いモンスターは強いですし、弱いモンスターもそれぞれ役割をちゃんとはたしてくれるので使ってあげてください。

――仲間モンスターは頼もしいですが、「フレンドのキャラのゴーストやNPCと一緒に戦える仕組みを取り入れる予定はなかったのですか?」という質問も来ています。

橋本:AIの制作はかなり時間がかかるため断念しましたが、本当は実装したかった要素です。

――拠点のキャラも個性的なキャラクターが多いですし、クエストを受けるだけではなく一緒に冒険できたらおもしろかったですね。

橋本:護衛クエストも入れたかったです。あと1人パーティメンバーが増えれば、バッファーを増やしたりバラエティに飛んだメンバーにしたり、ジョブ選びにも幅が出たかもしれませんね。

■変異体をイフリーコちゃんに!? 召喚獣の開発秘話を明かす

――続いては召喚獣についてです。「召喚獣のデザインやバトルで、特にこだわったところはどこでしょうか?」

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』 『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:仕様を決める時に、“召喚獣ごとに遊びを提案する”というテーマを決めていました。例えばリヴァイアサンなら、「大海嘯をやる! それ以外はおまけ」くらいの気持ちで作っていました。ディアボロスなら闇の中で戦う、ドリュアスは状態異常をかけてくる敵というように、それぞれコンセプトが決まっています。そこから、それをいかに表現するかを考えて作っていきました。

――召喚獣について、おもしろい質問が来ています。「ラムウさんは、なぜおじいちゃんじゃなくなったんですか?」というものです。デザインの変化に戸惑ったのかもしれませんね。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:おじいさんを見てもうれしくないと思ったからです(笑)。ラムウは作品ごとにデザインに違いがある召喚獣ですし、今回できあがってきたデザインがとてもカッコよかったので、このまま進めようという方針になりました。個人的に心残りだったのは、ドリュアスはおばさんじゃなくてもよかったのかもなと思っています(笑)。

――シヴァのように、綺麗どころの召喚獣とも戦ってみたかったですね。

村上:召喚獣であれば昔ながらの姿ではなく、例えば“イフリーコちゃん”みたいに性別変えてもいいわけですからね(笑)。

橋本:さすがに本編であまりやりすぎるのはどうかと思いますが、変異体でイフリーコちゃんを出したりするのはいいかもしれませんね(笑)。

――「召喚獣のトランス技や補助魔法の使いどころを教えてください」という意見へ、アドバイスをお願いします。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:召喚獣トランス技はかなり強くて、FFキャラのトランスよりも強いと思います。1番使いやすいのは、リレイズが発動するフェニックスの“転生の炎”ですね。あとアレクサンダーの“聖なる審判”はクリティカル率が上がるので火力を上げたい時にオススメです。シヴァのダメージカットは、回避できない攻撃の時に使うとすごく有効です。召喚獣トランス技をいろいろ試してみると、これまでと違った攻略方法が見つかるかもしれません。

――補助魔法はどうでしょうか?

橋本:リフレクや、分身を生み出すブリンクが相当強いのでご活用ください。あといろいろな場所で言われていますが、敵の魔法属性耐性を低下させるウィークは火力が跳ね上がるので便利です。私が見た中では赤魔道士にウィークを持たせて、連続魔法でガンガン攻撃しているのがうまい使い方だと思いました。状態異常の魔法については、あまり活躍の機会がないかもしれませんが、部位によっては状態異常の耐性が違うので、そこを狙って攻撃すると有効ですね。

 またレビテトが便利ですので、変異体リヴァイアサンと戦う時などにご利用ください。他にもいろいろ有用な魔法がたくさんあるので、まずは弱いと思わずに使ってみてほしいですね。

――「オリジナルアビリティには、つきやすい効果、つきにくい効果などあるのでしょうか?」。オリジナルアビリティ作りにハマっている人は、やはり気になっているようです。

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橋本:レアなものとしては“使用間隔リセット”ですね。まったく出ないことはないですが、少しつきにくい効果になっています。アビリティによってつく効果が決まっているので、出にくいものがあるように感じられるのかもしれません。各クリスタルドライブでつく効果は1つか2つなので、狙えばそれなりにつけられると思いますよ。あとオプションで“アビリティーブーストアップ”があるので、それを使えばよりつけやすくなると思います。

■ジョブやクリスタルドライブなどバトルについて迫る

――「コスト上限が厳しいです。個人的に機工士が優遇されているように感じるのですがいかがでしょうか?」。コスト上限には、苦しんでいる人も多いようです。

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橋本:機工士はそのぶん能力が平坦なので、それほど優遇されていないと思っています。コストの高い強力な魔法もつけられますが、それほど能力は発揮できないんですよ。そういう器用貧乏なジョブがあってもいいかなと思っています。コストが厳しいと言われていた赤魔道士はAPを減らしておけばファイアでも威力が上がるので、火力を出す方法はありますしね。

 あと赤魔道士は長剣を持てるので、ディフレクトを使えるんですよ。それを考えると、実は相当強くなる可能性を持ったジョブなんですよね。そういうこともあってあまり強い魔法をガンガンつけられないように、コストは絞っています。あと器用貧乏なジョブであってほしいという個人的な願いもあるんですけどね。

――クリスタルドライブについては、「なぜランダムにしたんですか?」という質問が来ています。

橋本:プレイしていると、「このクリスタルドライブが出てほしい」と思うことがありますよね。そして実際にそれが出るとテンションがグッと上がるので、その喜びを体験できるようにしたかったのです。もう1つはクリスタルドライブを固定にしてしまうと、それが攻略に組み込まれて作業になってしまいます。同じ作業を続けていると飽きてしまうので、それを防止するためにもクリスタルドライブをランダムにして、それに応じた戦法で戦ってもらう方向にしました。そんなちょっとした運要素も、ゲームの楽しみではないかと思っています。

――クリスタルドライブは、敵にも効果があるのは意外でした。

橋本:実は、そこはすごくやりたかったことなんですよ。クリスタルドライブは戦闘ルールを変える効果を持っているので、相手に使われたくない効果を考えながら遊んでもらいたいと思っています。例えばラムウに魔法限界突破を使われたら困るじゃないですか(笑)。そのため、「今回は魔法限界突破は使わずに、他の効果を使おう」というように相手に合わせて使いこなしてください。ただ初見だとわかりにくいので、段階を踏む必要があったと反省しています。

――「ジョブのユニークアビリティの調整で、苦労されたところはどこですか?」

村上:ユニークアビリティは、ギリギリまで違うものがついていたりしましたね。資料と違うものがついている場合もありました(笑)。

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橋本:最後まで細かく調整しましたからね。広報を担当している村上さんの立場からすると、相当困ったと思います。調整で一番苦労したのは、青魔道士です。青魔道士のユニークアビリティがなかなか思い浮かばなくて、最終的に相手の攻撃を無効化して自分を強化する“反撃の狼煙”に落ち着きました。あと、ナイトもかなり変わりましたね。

村上:ナイトが変わったのは、私も覚えてます。

橋本:実はナイトのユニークアビリティは最初から“挑発”だったんですが、「ナイトが挑発するのってどうなの?」という意見があって“受け流し”に変更していたんです。でもヘイトを集めにくいということで、もとに戻すことにしました。

――武器アビリティについでですが、「刀を二刀流にできないのはなぜですか」という質問はかなり多かったですね。

橋本:忍刀があったからなんですが、少し種類が少なすぎたかもしれませんね。忍刀には最初“両手持ち”というアビリティを用意していたのですが、うまく実装できなくて諦めた経緯もあって少な目になっています。

――“ジョブの追加で、悩んだものはあるんでしょうか?”という意見も来ています。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:ジョブで最後まで悩んだのは、賢者です。もともとは、召喚士だったんですね。

村上:召喚士を検討していたんですが、本作は召喚獣を倒していく作品じゃないですか。このままだと、召喚士の生きていく道がないという話が出ました。

橋本:最初は『FF3』の白召喚、黒召喚のようにしようかという意見もあったのですが、仕様的に厳しいうえにわかりにくいだろうということで賢者に変わりました。

――他にも、候補に入っていたけど外したジョブはありますか? ちなみにアンケートでは踊り子や魔法剣士など、入れてほしいというユーザーのたくさん寄せられました。

橋本:個人的には、魔法剣士が大好きなので入れたかったです。でもナイトやパラディンは必須なうえに、忍者や竜騎士も外せない。狩人も入れたいという感じでジョブをリストアップしていったところ、近接武器枠もアタッカー枠も埋まってしまったんですよ。また、さまざまな魔法剣を付け替えて戦う表現が、本作のシステム的に難しかったので採用しませんでした。

 踊り子については入れたいという意見が開発内でも出たのですが、今回は仕様やバランスなどを加味した結果、実装が大変ということで断念しました。もしも次回作があるなら、もう一度アイデアを練り直してみたいです。

――装備について聞いていきます。「装備の自由度が高すぎて、各ジョブの個性が生かされていないように思えるのですがどうですか?」

橋本:そういう意見は出るだろうと思っていました。ただ、ジョブの個性を出しすぎると、今度は自由度がなくなってしまうのです。防具の種類が多くないこともあり、結果として今の形でよかったと思っています。とはいえ、もう少し個性を出してもよかったのかなという気持ちは、確かに存在しています。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

――「鎌に専用アビリティが用意されていなかったのは、どうしてですか?」という質問も来ています。

橋本:鎌は斧のバリエーションの一種で数も少ないし、専用のアビリティを用意しませんでした。ベルが少ないのも同じ理由で、あれは棍棒の一種という扱いです。

――「お2人の好きな防具はなんでしょうか?」という質問があったので、お気に入りの防具を教えていただけますか?

橋本:防具はデザイン重視で決めています。組み合わせによって印象もだいぶ変わるので、いろいろ試してみてほしいですねし、私自身も組み合わせた装備を使っています。シリーズで言えば、風水士の専用装備は魔法少女っぽくて好きです(笑)。

村上:武器は竜騎士で一時代を作った蜻蛉切、防具はガイアシリーズが気に入っています。私は『FF12』のジャッジ好きなので、あれはいいですね(笑)。

――最後に今遊んでいる方、そしてこれから遊ぶであろう皆さんにメッセージをお願いします。

『ファイナルファンタジーエクスプローラーズ』

橋本:すでに遊んでくださっている皆さんには、ありがとうございますという言葉につきます。こちらが想像している以上に遊びつくし、やりこんでくださっていて素直にうれしいです。オリジナルアビリティなど絶対におもしろいと思っていたので、それが評価されて本当によかったです。次が作れるように、頑張っていきます。

 これから遊ぶ人は共闘ゲームは世にいっぱいありますが、本作はオンラインゲームのように各ロールにちなんだ遊び方ができるという独自の魅力を持っています。まずは先行無料版もありますので、少しずつでもいいので遊んでもらえるとうれしいです。できればすぐに辞めず、オリジナルアビリティを作るところまで遊んでいただけると本作のおもしろさがより伝わる気がします。

村上:すごくプレイされている方は200~300時間遊んでいるようですし、逆に肌に合わずにすぐ辞めってしまった人もいると思います。せっかく公式のTwitterを開設していますので、忌憚(きたん)なき意見をお送りしてくださるとうれしいです。そのすべてに応えることはできませんが、これを糧によりいい作品を作っていくことができると思いますのでご協力お願いします。

 これから遊ぶ方は、まずは先行無料版をちょっとかじってみようかなと遊んでもらえたらいいと思います。もし気に入っていただけたら、手に取っていただけたら幸いです。そこから自分のスタイルや楽しみ方を見つけていただけたら、それが1番うれしいです。

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