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2015年4月20日(月)

“システム共有化”という選択。少人数開発にこだわった『キングダム -英雄の系譜-』の例

文:あべくん

 4月17日に渋谷ヒカリエにて開催されたクリエイター向けセミナー“Game Graphics Groove #2”。この記事では、iOS/Android用アプリ『キングダム -英雄の系譜-』のプログラム内容をレポートします。

“Game Graphics Groove #2”

 本イベントはDeNA、スクウェア・エニックス、gumiの主催で行われたゲームグラフィッククリエイター向けのセミナーで、さまざまなアプリ開発者やグラフィッカーが登壇し、講演を行いました。

 この記事では、『キングダム -英雄の系譜-』の事例をもとに“三国志ロワイヤルベースの低コストゲーム開発”というテーマで進められたプログラムをクローズアップしてレポートしていきます。

●“Game Graphics Groove”のオフィシャル紹介文

 Unity、Unreal Engine、Cocos2d-xなど、多くのツールが活況を呈し、コンソールだけではなく、スマホゲームの画質も大幅に上がってきています。

 このイベントは、クリエイティブによるゲームの進化をさらに加速させるためのものです。

 ゲームグラフィックのクリエイターが、最新のヒットタイトル開発のノウハウを余すことなく共有します。

 クリエイティブの視点から、ゲーム開発の効率化や、表現力の向上、そして、新しい体験の具現化について、突き詰めていけるような情報をご紹介いたします。

■確実なおもしろさを提供するための“システム共有化”

 本プログラムに登壇したのは、株式会社DeNAのゲーム事業本部・デザイン部に所属するクリエイティブディレクターの増成宏介氏。

 『キングダム -英雄の系譜-』での事例をもとに、本作の開発コンセプトとアニメーションディレクションに関する内容のプレゼンを行いました。

“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
▲『三国志ロワイヤル』ではアニメーションディレクターではなく、アニメーターを担当。

 まず前提としてあったのは、『キングダム -英雄の系譜-』は“システム共有化”のタイトルだということ。いわゆる社内の別タイトルのゲームシステムを引き継ぎ、グラフィックやアニメーションを変えて制作されたものです。

 本作は『三国志ロワイヤル』の“システム共有化”タイトルであり、基本は同様のシステムが用いられているとのことでした。

“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
▲『キングダム -英雄の系譜-』は、原泰久氏の人気コミックをもとにしたテレビアニメをゲーム化したものです。
“Game Graphics Groove #2”
▲本作ではアニメーション部分はネイティブで動いているものの、文字はWebで表示しているとのこと。今回のプログラムでは、ネイティブアニメーションの部分を中心に語られました。

 『キングダム -英雄の系譜-』で“システム共有化”を行った理由は、戦略性やゲームとしてのおもしろさに確実性を持てる他、全体的に低予算での開発が行えることが一因だったそうです。

“Game Graphics Groove #2”
▲『三国志ロワイヤル』をベースにしたのは、『キングダム』と親和性が高い古代中国の軍事ものだったからとのこと。

 “システム共有化”をしたメリットとしては、本家である『三国志ロワイヤル』でおもしろさが担保されていること。その反面、「そのおもしろさは二番煎じではないか」ということについては、遊び方をチューニングし、よりアクティブなゲームにすることで解決したそうです。

“Game Graphics Groove #2”

 予算についても、システム面やアセット開発の型がすでに構築されていたので、低予算での開発が可能だったそうです。

 版元があるタイトルは制約も大きいですが、システム面での開発費を抑えた分、ボイスや開発のリテイクなどに工数と予算をさくことができたとのこと。

“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
▲アニメーションに関しては、『三国ロワイヤル』から1byteもコードを変更しない気概で臨んだとのこと。新システムを増やすと、新規開発として取り扱ったほうがいいとなるケースもあるようです。

 “システム共有化”タイトルとはいえ、『キングダム -英雄の系譜-』では、原作の世界観を再現することがマストの案件でした。よって、テレビアニメ的な表現やボイスなど、原作ファンにとってうれしい要素は豊富に盛り込んでいったようです。

 細かい部分では、キャラクターの利き手を反映させるために、グラフィックの左右反転は行わずに別途で制作したとのこと。バトル中のアニメカットインの挿入なども行っていますが、こちらは工数的にはあまりかからなかったとのことでした。

“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”

 本作では、“I love キングダム”といったような『キングダム』ファンが喜ぶ世界観の再現や担保といったユーザーデライトを最優先にしているとのこと。何を優先させるべきかという点は、タイトルごとに考え方が異なるようです。

“Game Graphics Groove #2”

 また、開発時のディレクションについても解説されました。アニメーション分野のディレクターは1名のみで、少人数体制の開発が行われたようです。

 キャラクターのレア度による工数の変化(レア度が高いキャラのほうが手がかかる)、量産系データの効率のよい制作など、これらは非常に重要ではあるものの、後手に回りがちな案件であるとのことです。

 しかし、“システム共有化”だということで、開発初期から効率化を意識した開発を行うことができたとのことでした。

“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
“Game Graphics Groove #2”
▲キャラクターのレアリティごとにコマ数を固定させるというのは、絵を描く際の考え方としてもメリハリをつけやすいため非常によいとのこと。
“Game Graphics Groove #2”
▲エフェクトの面積などもレギュレーションをテンプレ化することで、同じレベルのスキル同士で差が開かないようにできるなど、効率的な開発が可能に。
“Game Graphics Groove #2”

 最後にまとめとして、「工数、予算をかけるかの選択はビジネス的な観点から見ても必要であり、効率のよい制作が重要です」と述べた増成氏。

 プレイヤーが喜べるように、ユーザー目線でIPのよさを出せるように制作していくことが重要であると、プログラムを締めくくりました。

(C) 原泰久・集英社/NHK・NEP・ぴえろ
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