2015年4月28日(火)
セガゲームスは、3DS向けで展開中の“セガ3D復刻プロジェクト”において、新たに3タイトルの配信を決定。それらを手掛けた奥成洋輔プロデューサーへのインタビューをお届けする。
“セガ3D復刻プロジェクト”は、往年の名作を3DSの裸眼立体視機能に対応させて、よみがえらせたタイトル。これまでに13タイトルがニンテンドーeショップで配信され、2014年の12月には配信タイトルを集めた3DS用ソフト『セガ3D復刻アーカイブス』が発売となった。
▲『3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌(レクイエム)』 | ▲『3D ガンスターヒーローズ』 | ▲『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』 |
新たなタイトルとして、4月28日に『3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌(レクイエム)』が配信され、その後は『3D ガンスターヒーローズ』、『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』が順次配信されるという。インタビューでは、新たに配信されることとなった経緯や追加された要素、見どころなどにお答えいただいている。『セガ3D復刻アーカイブス』時のインタビューとあわせてぜひご覧いただきたい。
――昨年12月にダウンロードソフトをまとめたパッケージが発売され、反響はいかがですか?
▲奥成洋輔プロデューサー。写真は『セガ3D復刻アーカイブス』インタビュー時のもの。 |
全国の商談会で「1本でいいので店頭に並べて見守って下さい」とお店の方にお願いして回ったのですが、今でもお店の店頭でそこそこ目立つところに定番アイテム的に置いていただいてうれしい限りです。おかげさまでパッケージを見てこのシリーズを知ったという方の声が増えてきました。
またダウンロード版から購入いただいているお客さんにも、オマケ2本だけでなく、パッケージ用に再移植した『スペースハリアー』の進化をかなり喜んでいただけたようで、アンケートではパッケージ版の満足度はかなり高くなっています。
――いったんはプロジェクトが終了したということでしたが、今回再び動くことになった経緯は?
ずばり海外からのリクエストです。『セガ3D復刻プロジェクト』の第1期8作品である『3D スペースハリアー』~『3D ベア・ナックル』までの結果を見ると、日本は『スペースハリアー』などのアーケードタイトルが、海外では『ソニック』などのメガドライブタイトルの人気が高かったんです。
ただし日本と海外では発売時期が1年違っていて、日本が先行していたため、第2期の最初の5タイトルである『3D アフターバーナーII』~『3D サンダーブレード』の開発着手は海外で第1期の結果が出る前にスタートしたので、日本単体の実績を前提としてラインナップを決めました。
ここで一旦シリーズとしては完結したのですが、その後海外の第1期の成功から、海外でも第2期をリリースすることになり、日本中心の5タイトルだけではなく、海外のお客さんに喜んでもらえるラインナップを追加することにしました。アメリカやイギリスのスタッフの意見を反映したのが今回のメガドライブ3タイトルです。
――今お話にありましたが、『3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌(レクイエム)』、『3D ガンスターヒーローズ』、『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』という3タイトルを選ばれた経緯について、もう少しお話いただけますか?
日本と海外のファンの好みはかなり異なっていて、日本では非常に人気のある『スペースハリアー』は海外ではさっぱりで、逆に海外では『ソニック』や『ベア・ナックル』といったタイトルに圧倒的に人気が集まっていたからです。また、これまでの13タイトルの開発経験で技術的なノウハウもかなり蓄えられてきて、第1期のころには、作業量や技術的な問題で不可能と判断していたタイトルにも挑戦することができたんです。
――『3D ベア・ナックルII』については「移植は不可能である」とお話されていたと記憶しています。できるようになった理由について、ご説明いただけますか?
『セガ3D復刻プロジェクト』の制作が正式に始まったのは2011年でしたが、それから現在までの約4年間、13タイトル+αの開発を続けてきたスタッフの腕が上がったからに他なりません。『3D ベア・ナックルII』に限らず、今回発表した3タイトルに関しては、どれも4年前に企画を立ち上げる際に候補として選ばれていたのですが諦めたタイトルでした。
もし強引に開発を決定して、『3D ソニック』1作目をリリースした2年前のスキルで始めていたら、おそらくオリジナルの半分の描画速度で、かつ背景の立体化は諦めていた無残なものになっていたでしょう。
ちなみに前作は、背景は1つのステージに1種でしたので、おおまかに言うと8つのステージで計8種の絵を立体化できればよかったのですが、今回は、同じ8ステージでも1ステージ中に2~4種類くらいの変化があり、さらに斜め移動などのギミックがあり、背景の描き込みも増えているので、労力は2倍以上です。前作の成功をもとに予算も過去より増やすことができたことも大きいです。
――なるほど。ではそれぞれのタイトルの見どころ、苦労したところについて教えてください。まずは『3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌(レクイエム)』から。
元々のメガドライブの時から、1作目から2作目になった際の進化ぶりが話題になったタイトルでした。キャラクターのサイズや技の豊富さ、背景のバリエーションなど、すべての面でリッチになった要素が、今でも“ベルトアクション史上最高”と呼ばれる所以(ゆえん)だと思います。
これら、前作からさらに立体的になった背景グラフィックの3D化がノウハウの蓄積により可能になったところがポイントなのですが、それだけでなく前作が30fpsだったのに対して60fpsになった描画と、さらにそれをローカルプレイで2人同時プレイできるようになっていることです。また、第2期シリーズに合わせて、追加要素もより多く、リッチになっています。
――続いて『3D ガンスターヒーローズ』は?
まだ開発は中盤というところなのですが、とにかくキャラクターも背景もにぎやかに動き変化するゲームなので、3D立体視の作業は過去最高の作業量になっています。おかげでオリジナル版を遊んだ人でも新鮮な映像体験を味わえるでしょう。オリジナル版や移植版にはない追加要素ももちろん用意しています。
――最後に『3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』をお願いします。
まだ開発は30%程度というところで、まだまだこれからですが、前作以上に凝ったギミックをひとつひとつ3Dにしています。また『ソニック2』でもっとも有名なスペシャルステージをどうやって3D化するのかが気になるところだと思います。楽しみにしていてください。
――いまお話にありましたが、2人同時プレイはできるのでしょうか?
現時点でお話しできるのは『3D ベア・ナックルII』だけですが、こちらについては実現しています。実機と比較しても同じ処理速度で2人同時プレイができるようになりました。プログラマはかなり頑張りましたね。
――新たに追加されているモードについてもご説明いただけますか?
大きく分けて2つの新モードを用意しています。“カルテット”モードは、4人のプレイヤーキャラクターを順番に操作してさまざまなキャラクターのアクションを一度に楽しめるというモードです。せっかく4人のキャラクターがいるのに、お気に入りのキャラでしか遊ばない人も多かったと思いますので、このモードを機会に他のキャラクターにも触れていただき、キャラそれぞれでかなり異なる個性的なアクションを味わって欲しいですね。
次に“ノックダウンモード”。こちらは『3D ベア・ナックル』の“一撃必殺モード”に代わるモードです。“一撃必殺モード”はとにかく一発でもパンチを当てれば倒せるというモードでしたが、“ノックダウンモード”はとにかく敵を地面に吹っ飛ばせば倒せるというモードです。これにより、前作から大幅に増えた技や連続コンボをきちんと味わいつつ、オリジナル以上にアップテンポなプレイを味わえます。
これらのモードは単体だけでなく組み合わせても選べますので、2つのモードを使えば、オリジナルともこれまでのすべての移植バージョンとも異なる新しいプレイ体験になるはずです。もちろんローカルプレイ時でも使えます。
――2012年の『ベア・ナックルコレクション』以来、久々となる『ベア・ナックルII』を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
メガドライブ史上でも、ベルトアクション史上でもベストゲームと呼ばれることもある名作格闘アクションが、ついにニンテンドー3DS上で甦ります。ジャンルとしても3DSではまだ多くないジャンルですし、メガドライブを知らない人でも楽しんでいただけるゲームだと思います。
古代祐三さんによるオリジナル同様の素晴らしいBGMとともに、ゴールデンウィークはぜひ友だちと一緒にローカルプレイでお楽しみ下さい。
(C)SEGA
MUSIC(C)YUZO KOSHIRO
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