ある日貴女の元に届いた、自分の祖母を名乗る者からの遺言状。遺言には、幼少期をともに過ごしたという祖母の屋敷にて、貴女に“薔薇の世話”をしてほしい、という内容が綴られていた。祖母と暮らした、という記憶だけがどうしても思い出せない貴女は、その屋敷に赴く決心をする。そんな貴女を出迎えたのは、屋敷の住人たち。祖母の弟子であるという6人の“香水師”だった――。

　彼らもまた祖母と同じく、名香と呼ばれる香水を世に送り出してきた香りのスペシャリスト――のはずが、彼らはみな、仕事嫌いでマイペース、さらには極度の匂いフェチという問題児ぞろい！　貴女に託された祖母を名乗る者の遺言“薔薇の世話”とは、彼ら6人の“香水師”を導くことだったのだ。

　覚えのない祖母からの遺言、その真相を突き止める為、屋敷で暮らす事にした貴女。しかしその一方で、屋敷で暮らすようになってから、長年見続けている悪夢が、だんだんと酷くなっていることを感じていた。日を増すごとに恐ろしさを増す悪夢に、徐々に体力を奪われていく貴女。その時、貴女の失った祖母との記憶を知る唯一の存在が静かに動き出す――。

　祖母の屋敷での生活に慣れはじめた貴女のもとに、先日までケガで入院ていたという香水師“銀月ダイヤ”が戻ってくる。退院して日も浅いというのに、ダイヤは木に登ったり飛び降りたりと落ち着かない。貴女は“永遠をテーマにした香水の制作”という仕事を受けてもらえるよう彼を追いかけるが、いつもうまく逃げられてしまう。そして何かと理由をつけて貴女の匂いを嗅ぎたがるダイヤだったが、突然「お願いだから、来ないで……。君の心を知りたくない！」と、部屋に閉じこもってしまう。さらには貴女と祖母の関係について、信じがたい事実が明らかになり――!?