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2015年5月12日(火)

稲船敬二さん、河野一二三さん、イシイジロウさんが語るクラウドファンディングの実情と思わぬ苦労

文:たけのこ

 5月8~10日に開催された“東京インディーフェス 2015”。本記事では、一般公開日1日目の9日に行われたワークショップの中から、“キックスターター ~ ゲームのためのクラウドファンディングや資金調達”についてレポートをお届けします。

“東京インディーフェス 2015”

 登壇したのは、アクションゲーム『Mighty No. 9』を制作中のcomceptの稲船敬二さん、ホラーゲーム『NightCry』を制作中のヌードメーカーの河野一二三さん、アニメ『under the dog』を制作中のイシイジロウさんの3名。

 ワークショップでは、クラウドファンディングサイト“キックスターター”での資金集めに成功した上記3名による、クラウドファンディングや資金調達に関する経験談が語られました。

“東京インディーフェス 2015”
▲左から河野一二三さん、稲船敬二さん、イシイジロウさん。

■クラウドファンディング成功後に待ち受けていたものとは?

 最初のテーマは“キックスターター(クラウドファンディング)のメリットとデメリット”。それぞれ数千万から数億の資金集めに成功した3名ですが、周囲がその額に口を揃えて「すごい!」と言うことについて、周りが想像する以上に苦労があることを指摘。

 キックスターターで資金を集めると、その資金の中から投資をしてくれた人にリワード(リターン報酬)を用意する必要もあり、その報酬内容が豪華なほどやりくりが非常に大変とのこと。報酬を盛りすぎても、その費用を資金から捻出する時に苦労することもあるそうです。

 イシイさんはこの報酬について、『under the dog』はフィギュアを約束していたため、制作に苦労したことをコメント。フィギュアや画集など、莫大な費用がかかるものを報酬として設定してしまうと、本当に苦労と後悔を重ねることになると述べ、お金を集めたいあまりに報酬を盛りすぎることについて危険視していました。

“東京インディーフェス 2015”

 稲船さんは、報酬に対する資金繰りもそうですが、内容によっては開発側の負担が増えることも指摘。250ドル以上支援してくれた人に“直筆サイン入りアートブック”をプレゼントするというリワードについて、想定では数百冊ほどだったのですが、その数は3,600冊にもおよんだとのこと。これから資金集めを予定している人は、そうした苦労を念頭に置いてリワードを設定していくのがよさそうです。

 その他、資金集めをしても企画が頓挫してゲームが発売されない事例が多くあることから、ユーザーの信用を得ることがテーマに挙がりました。稲船さんは、制作途中の画面を披露するなど進捗を毎月報告しているものの、なかなか信用を得られず、「頓挫しているのではないか?」と言われることが多いと述べました。

“東京インディーフェス 2015”
“東京インディーフェス 2015”
▲『Mighty No. 9』のキャラクター・ベック。稲船さんは、報酬の1つに直筆スケッチブックも用意しており、このベックを一発描きするのが大変だと語りました。

 河野さんが言うには、これからは初めの時点で配信時期を明確にするなどしなければ、クラウドファンディングを成功させることも難しくなってくるとのことです。戦略的に臨まなければ、今後資金集めに失敗する人が増えるだろうと語りました。

 ちなみに『NightCry』を今年の末には発売できる目途が立っていることが明かされました。資金も少なく時間をかけられないことから、急ピッチで制作しているとのことです。

“東京インディーフェス 2015”

 イシイさんは、自分たち3人がプロジェクトを成功させることで日本人クリエイターに対する信頼が深まり、日本のインディゲーム会社が資金集めをしやすくなることに期待を抱いていました。

 現在でも“日本人クリエイター”というだけでいい反応が返ってくるそうで、ここで自分たちが頓挫すれば信頼はがた落ちするため、絶対に失敗するわけにはいかないと大きな責任を感じているとのこと。日本のインディ業界のためにも、プロジェクトを成功させてほしいですね。


 ここまで苦労話ばかり挙がりましたが、クラウドファンディングならではの魅力ももちろんあります。それは、ここで集めた資金が銀行で借りたような“ただのお金”ではなく、ファンの“想い”の結晶であるということ。ファンの「やりたい」といった想いが目に見える形で現れるのです。

 稲船さんは、ファンの想いに対して“自分が作りたいものを作ること”が最大級のお返しであるとコメント。自分の作ろうとしているゲームに魅力を感じて投資してくれた人には、そのやり方が一番なのだと述べていました。

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