2015年6月18日(木)
いよいよ6月19日18時よりアーリーアクセスによる早期サービスが開始する『ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド』。『FFXIV』初の拡張パックとなる本作について、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがった。
▲吉田直樹プロデューサー兼ディレクター。 |
今回は、サービス開始直前ということもあり、『蒼天のイシュガルド』に向けて心を躍らせている人には、待ち望んだ情報も多く含まれているだろう。このインタビューが掲載された6時間後には、『FFXIV』は24時間メンテナンスに入る。6月17日公開されたパッチノートとあわせて、メンテナンス中に楽しんでもらいたい。
――『蒼天のイシュガルド』の制作はパッチ2.0シリーズとの並行作業などもあり、いろいろ大変だった部分も多かったと思いますが、今一番印象に残っているエピソードはなんでしょうか?
ラスベガスのファンフェスで、『蒼天のイシュガルド』を発表した際に、発売時期を「2015 Spring」って書くんじゃなかったってことでしょうか(苦笑)。
単純に物量とパッチ制作の同時進行での見積もりを誤りました。初のエクスパンション(拡張パッケージ)という意味で、結果的には単体のパッケージとしてものすごいボリュームと遊び応えをご用意できたと思っています。ご購入いただいたものに対して、元が取れすぎるぐらいに詰め込んでいるので、プレイヤーの方々が満足できるレベルのものを仕上げてくれた開発チームにも大感謝です。
ですが、パッチ2.55はある意味『新生』の初のグランドフィナーレでもあったので気合いを入れすぎて、ちょっとこちらに作業リソースを引っ張られすぎました。3.0を作るだけならば十分な時間だったとは思うのですが、本格的に『蒼天のイシュガルド』の作業に入っているスタッフも、パッチ2.5シリーズの作業に引っ張られてしまって。さすがに6月をSpringとは言えないですよね……。「5月はまだSpringだよね」と話し合って、昨年10月のファンフェスで「Spring」と出したのですが、こんなことなら「Summer」にしとくんだったなと(苦笑)。
でも、あのタイミングでSummerと発表したら、皆さんには「遅いよ~」と言われそうですし難しいところですね。他のグローバル運営のMMORPGと比較すれば、これだけの期間で、毎回のメジャーアップデートの物量を維持しつつ、短期間で拡張パッケージを作るのは相当早い。それを考慮して「みなさんが思っているよりも早いです」と発表したのですが、ここも意図ズレしましたね。
――ユーザーとしては、あまりほかのオンラインゲームでの拡張パッケージを体験したことがありませんから、普通の新作の感覚で待っていたりしますしね。
『FFXIV』はワールドワイドでサービスしているので、ほかのオンラインゲームとの比較はかなり重要です。ただしかし、プレイヤーのみなさんと見ているところが違うと気づいて、「そうだよな」と……。いずれにせよ、そのあたりは通り過ぎたことなので、今(取材は6月上旬)はアーリーアクセスの混雑のほうに全力で集中していますね。
――今回からパッチノートは、最近よりも多くの情報がマスクされているとのことですが、これはどういった意図があったのでしょうか?
今回のパッチノートは徹底的に「あまり詳しく書くな」と指示しました。「新たなメインクエストが大量に追加されました」の1行でストーリーの内容発表は終わり、みたいな感じです。クエスト受諾の座標位置を記載しつつ、クエストタイトルでのネタバレを回避すると、すべて「????」で埋まってしまいますから。
今回はメインクエストのスタートとなる最初のクエスト名だけ書いてあって、あとはゲーム内で楽しんでくださいというスタンスにしました。全ジョブの新アクション名称と習得レベルは、リストとして記載されていますが、効果内容なども一切伏せました。
▲パッチノートでは習得レベルとアクション名だけ記載され、効果は書かれていない。 |
――そうなると、ひさしぶりに情報交換が盛り上がりそうですね。
そのほうが、ゲーム内だけでなくネット上でもいろいろ盛り上がると思ったことも大きいです。また、これに合わせて、公式サイトのデータベースの更新も少しずつ遅らせるつもりです。
――『蒼天のイシュガルド』は“陰影”を強調したデザインにしているとのことですが、その方向性に舵を切った理由を教えてください。
理由はいくつかあるのですが、『新生』ではMMORPGが初めてという方も意識して、“とにかくわかりやすく”というところを全体的に目指しました。序盤はとくにわかりやすく、あえて進行のテンポを落としていました。MMORPGという日本国内だと取っ付きにくいと思われてしまっているジャンルに、「とりあえず『FF』だから」と飛び込んで買ってくれた人が、できるだけ入りやすいように注意しました。
例えば、意識的に明るく画作りしたり、海外的なリアリティの追いかたをしないようにしている部分がそうですね。このようにプレイしやすい方向へ全力で舵を切っていたので、“作り手側の作品性”という部分は、あまり強調しないようにしました。
▲光と影のコントラストが強く描かれるイシュガルド。 |
ただ、世界中を飛び回ってメディアの方や現地のプレイヤーの方、ファンの方と話しているときに、「最近の『FF』は、マンガ・アニメっぽすぎて大人が遊べない」というお声も頂戴しました。世の中の酸いも甘いも知っていると、あまりきれいな側面だけ描かれても感情移入できないと。もう40歳を超えた僕もそこには思うところがあったので、今回はあえて絵の方向性としても全体的な陰影を強調してみました。
ただ、ストーリー的には、『新生』と同様に「これぞ『FF』」というシーンは意図的に作ったつもりですし、血みどろでグチャグチャ……なんてこともないので、そこは安心して『FF』だと思ってもらえるように作っています。このあたりは、うまくミックスできたかなと。もう少し濃い表現でもよかったかなと思わないでもないですが、そこはまた、みなさんの反応を見てから3.Xシリーズ内で展開していきたいと考えていますです。
――『新生』では、サービス開始時点で「アルテマウェポンやガイウスを倒して帝国の思惑を阻止する」という物語の区切りがありました。『蒼天のイシュガルド』の物語も同様に、パッチ3.0実装ぶんでひとまずの完結を迎えるのでしょうか?
はい。物語自体は『新生』のときよりも長く、ボイス量もかなり多いです。もちろん、カットシーン量も大量にあります。きちんとエンドロールが流れる区切りは作りましたので、どうぞお楽しみに。
――イシュガルド地方の話だけではなくて、ウルダハのゴタゴタも進展がある感じですか?
今回は、大きく幾つかの軸に物語が分かれています。まず大筋となるのが、もちろん“竜詩戦争”です。イシュガルドにおける、人とドラゴンとの千年に渡る竜詩戦争に光の戦士が飛び込んだことで、大きな進展を見せることになります。その結末や「なぜ人とドラゴンが戦い始めたのか」、「イシュガルド側の人が見た竜詩戦争と、ドラゴン側から見た竜詩戦争の意味の違い」、「イシュガルド建国伝説にまつわる謎」などが、大きな括りになってます。
それ以外にも、ウルダハを中心とした政変がどういう決着をみせるのかという“3国エオルゼア編”と、しばらく鳴りを潜めていたガレマール帝国で新皇帝が着任して本格的な動きを見せ始める“帝国編”、“アシエン編”。そしてエオルゼアの根底にある“蛮神問題編“などがあります。アシエンや蛮神問題は究極的なテーマの1つなのでここで終わるということはないですが、竜詩戦争やウルダハの政変は完全決着が付く形です。3.0までの段階で、蒔いた伏線はいったんすべて回収しています。
――PVではタタルやアルフィノとプレイヤーの姿は見ることができましたが、パッチ2.5で新たにプレイヤーを先導する存在として登場したミドガルズオルムも引き続きプレイヤーの側で監視している感じですか?
ミドガルズオルムは、惑星ハイデリンに生み出されて星の在り方を見てきた最初の竜なのですが、彼はここからのハイデリンがどう進んでいくかを淡々と見ていて、監視対象である光の戦士の側にいる感じです。『蒼天のイシュガルド』でも要所要所に出てきますが、彼は自ら物語に手を出しません。光の戦士がとっていく行動に対して、ミドガルズオルムがどう考えていくかというところも1つのポイントではあります。冒険の合間、忘れたころに出てきますよ(笑)。
あとは、3国エオルゼア側から流れてきた光の戦士やアルフィノ、タタルに加えて、アイメリク、ルキア、エスティニアン、オルシュファン、イゼル、教皇トールダン7世あたりが重要人物ですね。物語のキーは全員が持っています。
――イシュガルド地方に足を踏み入れた冒険者が初めて目にする破壊の傷跡が非常に濃い皇都ですが、かつてのキャンプ・レヴナンツトールのようにのちのち修繕されていったりするのでしょうか?
イシュガルドの街自体は修繕されません。これは、プレイヤーによって街にくるタイミングが違いすぎるという理由からです。レヴナンツトールは、メインストーリーに絡んでいないからできたことなのです。開拓団の小さな街だったという事実は物語の主軸とは関係ない部分なので、時間軸的に先行している人と後続の人たちでレヴナンツトールの発展度合いに違いがあったとしても、全体の世界観には影響を与えません。
逆にイシュガルドの場合は、例えば1年後に『新生』を初めた方がイシュガルドに着いたとき、街が修復されていたら「こんな綺麗な街が戦争中?」となってしまいます。もし、徐々に修繕されるイシュガルドを実現しようとすると、キャラクターがいるインスタンスを分ける必要があります。でも、そうするとコミュニケーションが取りにくくなりますので、第4の首都となるイシュガルドが修復される予定は今のところありません。
――ちなみに、『新生』でのレヴナンツトールのような第二の拠点となる場所もありますか?
今まで一切情報は公開していないですが、高レベルになったときに訪れるレヴナンツトールのような場所も用意してあります。また、新しい拠点は、ネタもたくさん仕込んでいます。記念館まで建ててしまったロウェナがどうなるか、などもです(笑)。
『新生』に登場していた愛すべき、憎むべき脇役たちが光の戦士を中心にどういう行動をしていくのかというところも、注目していただけたらと思います。とくに、世界設定考察が好きな人はニヤニヤしながら見ていただけるかと。
――同じエリアでも時間や天候で違う顔になる印象を受けましたし、フィールド関係は力を入れているのがよくわかりました。
飛んでいるときに見える画作りは、どのエリアもガッチリ行いましたので、天候や時間による違いはかなり顕著ですね。フライングマウントで飛んでるときに周囲が霧になると、遠方がまったく見えなくなります。「天気が悪いから、高度を下げないと先が見えない」といった部分は、意図的に調整しています。
また、シャドーをきつくしているのと同時に、フォグの距離感や濃さなどもこだわって調整しました。雨や霧になると対象物を求めて高度を下げないと……みたいなことが、無意識に働いてくれたらいいかなと思っていて、ふと気づいたときにリアリティを感じてもらえればと。
霧の場合は視界が一気に狭くなるので、ずっと霧の中を飛んでいると方向性がわからなくなるんですが、高度を下げることで、木や建物といった対象物を見ながら移動できるようになります。そうすることで、フィールドを走っている冒険者が空を見上げたとき「天気が悪いから、みんな高度を下げて飛んでいるんだな」といったように、世界の空気を感じてもらえるとうれしいです。
――そういったグラフィック周りの処理はPCやPS4なら問題ないと思いますが、PS3での再現はかなり大変でしたか?
大変でしたね。メモリのサイズもそうですが、PS3に搭載されているHDDは、データを展開するスピードも当時のままです。ハードディスクをSSDに換装すれば、ある程度早くすることは可能ですが、メモリにロードする速度はハードウェア構成が変えられない部分なので物理限界があります。
高速でフライングマウントが飛び回ると、サーバーからの読み込みの指示がきたとしても、メモリにデータを展開している間に、プレイヤーがそこを通り過ぎてしまい、次の読み込みの指示がくる……。といったように、情報と読み込み差のスタックが発生したりするのです。この辺りをどう効率よくやりとりしていくかが問題でした。
例えば、NPCを読み込もうとしても、移動速度が速すぎて読み込む前に次のエリアに行ってしまう。結果、クエストを持っているNPCなのに、NPCが表示されないせいでクエストの位置がわからないという状況が出てきてしまいます。ですから、クエスト情報やネームタグだけを先に読み込んで優先表示し、情報を最優先に描画するなどの工夫をしました。
情報が見えれば冒険者は立ち止まるので、その間にほかの情報を展開する形になっています。これは、設計の段階からそういうレギュレーションを決めて、これが実現できるようにと指示していました。
グラフィックリソースは最悪あと回しでいいのですが、コリジョン(衝突判定)が読み込めないと床を突き抜けたりしてしまうので、コリジョンもできるだけ小さいデータで構成するようになど、フィールドの仕様は厳格に作りました。これらはPS3だけでなく、ロースペックPCでもプレイできるようにと、腐心して制作しています。これらに関しても、開発チームはすごくがんばってくれたと思います。
――本作のテーマ曲として発表された『Dragonsong』は植松伸夫さんが手掛けられていますが、オファーをするときに伝えたイメージなどを教えてもらえますか?
一番最初にお話したのが、「今回もボーカルは女性で、千年に渡る人とドラゴンとの戦争が決着してし、エンドロールが流れているときにかける曲にしたい」というのと、「竜詩戦争の本質を理解できたときに、感じられる感情の表現。また、星の意志であるハイデリンがそれを歌っている形でいきたい」と伝えました。
――ネットなどでは「悲恋歌なのでは?」と話題になっていますね。
そうですね。このイメージは植松さんに伝えると同時に、歌詞を作るコージ(ローカライズ担当のマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏)と前廣(シナリオ担当の前廣和豊氏)にも話しています。そこでシナリオから出てきたのが今の歌詞のアイデアです。
今回は、シナリオを全通ししたあとに歌詞を見れば、「あぁ、こういうことなのか」とわかるようにはなっています。また、以前発表したトレーラーは、「Dragonsong」という曲のプロモーションビデオ、というつもりで作っています。『FFXIV』のPVというよりも、植松さんが作曲された「Dragonsong」という曲のPVというイメージですね。
――同じ曲つながりで、『新生』のときにはバトル曲というのが1つのオリジナルがあってエリアごとにアレンジされる形になっていました。『蒼天のイシュガルド』でも、そういった手法になるのでしょうか?
今回もイシュガルドのバトルエリアでしか流れない専用のバトル曲があります。そしてさらに、地域によってその曲のアレンジが異なる感じですね。イシュガルドは宗教国家なので、全体観ではパイプオルガンなどを使った宗教楽曲のイメージをしっかりと出すようにという話をしました。そのイメージが強い曲が多いと思います。
――ちなみに『新生』では『天より降りし力』という曲がゲームの方向性を決めたというお話がありましたが、今回はそれに相当する曲はありますか?
『蒼天のイシュガルド』のオープニングムービーで使われている曲が、それに当たると思います。あれが、『蒼天のイシュガルド』のエンディングに至るまでのメインテーマですね。なので、あの曲のアレンジがいたるところで使われていますよ。
――その曲が流れたら、ここは重要なシーンだ、と思えばいいわけですね。
――ではあらためまして、プレイヤーの注目度が高いジョブについてお聞きしたいのですが、レベルキャップ解放後のジョブ調整を各種発表されたあとの反響はどうでしたか?
新ジョブに関しては、暗黒騎士が他の2ジョブと比べて一段頭が抜けた反響があります。ただ、新ジョブは完全新規なだけにプラス方向の想像が回っているので、あまり気にしていません。どちらかと言えば、既存のジョブに対する反響のほうが大きかったですね。特に忍者の反響は大きかったですが、方向指定は条件を満たすことでボーナスが付くと考えればプラスになると考えてもらえればいいかと。
――レベルキャップに到達した後の反応予測としてはどうでしょう?
複数ジョブカンストする人はまだ少ないでしょうし、最初のうちは他ジョブとの比較もしにくいと思います。とりあえず単体ジョブについて、アクションのローテーションなどの研究がされているところだと思います。
――レベルキャップに到達して、新アクションをある程度把握できて、エンドコンテンツでパーティを組んでみて初めてわかることも多いかもしれないですね。
まず、極蛮神が最初のラインだと思います。極蛮神は、スタート時のコンテンツ開放制限もありませんので、機工城アレキサンダー解放前の試金石になると思います。
▲新たな蛮神として登場する“ラーヴァナ”。極蛮神としてのコンテンツも用意されている? |
――ストーリーのなかに蛮神戦が組み込まれているというお話を以前されていましたが、真蛮新が終われば極蛮神に挑める感じですか?
いえ、レベル60になってメインシナリオが終わってからになります。完全に『新生』スタート時と同様の心持ちに切り替えてほしいんです。各種エンドコンテンツは、すべてレベル60になってからです。新しいアラガントームストーン:法典もレベル60になってからじゃないと入手できないですし。
レベリングしながらルーレットで稼ごうという書き込みも拝見しますが、そういうものではないです。現在でもレベル45のジョブでルーレットを回しても、アラガントームストーンは手に入らないのと同じで、レベルがカンストしていないので手に入るのはアラガントームストーン:詩学だけになります。
――ちなみに、どんどんレベルが上がり装備が更新されていくなかで、アラガントームストーン:詩学の使い道は増えたりするのでしょうか?
いえ、増えません。アラガントームストーン:詩学は、レベル50のアラガントームストーンとして残ります。改めて新生編からスタートしたプレイヤーの方が、レベル50に到達した際に使うトークンという位置づけですので、当面残ることになります。
――レベル50から60までの成長速度は、どんな感じなのでしょうか?
『蒼天のイシュガルド』リリースと並行して、『新生』側の成長速度に手を入れましたので、イメージが変わってしまいますが、『新生』スタート時のレベル1から50ぐらいまでとほぼ同じだと思ってもらってけっこうです。1ジョブ目は、もう少し長いかもしれないです。
――2ジョブ目以降は、これまでと同様に経験値ボーナスはかかりますよね?
レベル50から60までは従来どおり1.5倍のボーナスが発生します。レベル1から50までは、今までの1.5倍から2倍に増加しています。新規の方ができるだけ早くみなさんに追いつけるように、サブジョブのレベル50までの育成はかなり早くしました。
――レベル上げに関しては、今までのイメージですとまずID、F.A.T.E.、ギルドリーヴなど、主な経験値の入手方法でしたが、これからも同じような感じですか?
『新生』スタート時にしかなかったのでみなさん忘れているかもしれませんが、新しい地域に入ってマップが開示されると経験値が入ります。そういった探索要素も経験値リソースですね。
――そういえば、それもありましたね! すっかり忘れていました(笑)。
レベル上げからは遠ざかっている方が多いですから。みなさん、2.0の感覚を思い出してくださいね(笑)。
――討伐手帳は増えているのでしょうか?
新ジョブのぶんも含めて、討伐手帳は増えていません。クラスではないですし、レベル30からなのでダンジョンやF.A.T.E.、ギルドリーヴを活用してもらえればと。
――新ジョブ用の蛮神武器などは発表されましたが、ジョブクエストで手に入る、いわゆるアーティファクトなどの旧コンテンツの新ジョブ装備は追加されていますか?
いえ、彼らのカンストはレベル50ではないのでレベル50のアーティファクトはなく、レベル60からのものだけになります。ジョブクエストは、既存ジョブと同じでレベル50までは5刻み、レベル50以降は2刻みになります。ただ、レイドである“大迷宮バハムート”の新ジョブ用武器は、邂逅編、侵攻編、真成編のすべてに追加してあります。
――新ジョブも含めてさまざまなダンジョンに挑むことになると思いますが、コンテンツルーレットの分け方はどのように変わりましたか?
まず、『新生』のレベル1から47までの今までは“ローレベル”と呼ばれていたダンジョンと、『蒼天のイシュガルド』で追加されるレベリングを行うダンジョンをすべてまとめて、“レベリング”というカテゴリになります。
ここで新旧のプレイヤーたちが足並みをそろえて、レベル上げをするイメージです。“ハイレベル”には、今までのレベル50以上のダンジョンがすべてまとめられています。“エキスパート”は、レベル60になったあとのダンジョンになります。
――経験値稼ぎという意味でのダンジョンは、初心者であろうがイシュガルドに行っている人であろうが、みんな一緒にレベル上げをしていく感じですね。ちなみに現在のハイレベルは、すべてのダンジョンを開放していないと使えませんが、この仕様は継続されているのでしょうか?
同時に変更するかの検討はしました。ですが、パーティでハイレベルを申請する場合に「誰がどこのダンジョンを開放しているか、開放していないか」の情報を、マッチングするときにサーバーへ送っていないのがこれまでの仕様です。
これは、全員のクリア状況と突入条件を満たしているかのチェックをサーバーでやっていると、非常に大きな負荷がかかってマッチングが非常に重くなるためです。逆にローレベルのほうは大丈夫なのかというと、個人でしか申請できないから負荷にはなりません。この仕様を変えてしまおうという話も出たのですが、マッチングサーバーが非常に混雑する『蒼天のイシュガルド』リリースタイミングでは負荷上昇は危険ということでハイレベルの調整は一時見送りになりました。
事前パーティで挑めないようにしてしまえば実装は可能なのですが、それでは利便性を失ってしまうので難しい判断でした。今回から、少人数でも挑めるようになったので、ダンジョンの開放だけが目的の場合は、レベル60のフレンドに頼んでみるのもいいかもしれません。ただ、もう少し状況が落ち着いたら、また実装に挑戦してみたいと思っています。
――ルーレットだけではなくて少人数パーティでの攻略も、今後は積極的に行っていってほしい感じですか?
FCでのイベントとか、ソロでのチャレンジなどもいいかなと。あとはお友達のヘルプなどを想定しています。『新生』のコンテンツのほとんどがそれに対応していて、またパッチ3.Xシリーズが先に進んだときにパッチ3.0にあるダンジョンも徐々に開放していく……という流れになります。ただ、ソロではボスによってはプレイヤーが吸い込まれた時点で終了するなんてものもあるので、倒せるかどうかはみなさんしだいですけど(笑)。ソロでオールクリアは厳しいかもしれないですね。
――ギミック自体の問題もありますからね(笑)。ちなみに少人数で挑む場合、バディは使えるのでしょうか?
いいえ、バディは呼べません。
――レベル50以降のジョブのアクションが増えてホットバーの設定も大きく変わっていくと思います。高レベルのアクションを、例えば威力などを下げて低レベルでも使えるようにする……といった調整は行われないのでしょうか?
威力だけ下げてという形ではバランスが取れないので、今のところそれを導入する予定はないです。単純にWSだけなら威力調整だけでいいのですが、「インビンシブル」などのアクションはどうするかという問題が出てきてしまいます。さすがに、低レベルダンジョンでは強すぎますし。
また、周りの敵が弱くてかなり無茶ができてしまいますので、逆に少人数トライのときには無茶をしてください、という感じですね。また、タンクが適正レベルのときに、高レベルDPSが多くのアクションを使えてしまうと、何が起こるかまったくわからなくなってしまいます。
新規のプレイヤーが大変になることを避けるために、現在の仕様になっています。リクエストが多いことは理解しているのですが……。
――スタートから2週間後に“機工城アレキサンダー”のノーマルが開放されますが、開放されてどれぐらいでクリアされると予想していますか?
その質問にも、最近答えづらくなっちゃいましたね(笑)。ワールドトップ5みたいな方たちなら、6~8時間ぐらいで4層クリアまでいくんじゃないでしょうか。どのパーティもギミックは完全に手探りですし、新アクションもまだ完璧に使いこなせていないとは思いますが、どうなりますか……。
レイドでパーティを組んで初めてわかるところを試しながらになってくるので、トータルDPS的にも果たして「適正なのか、むしろ前より落ちてないか?」なんてことも手さぐりで、予測しづらいところでもあります。上級者の皆さんなら、ぶっ通しでやり続けて半日ぐらいじゃないかなーと思います。
▲サービス開始後2週間で開放される“機工城アレキサンダー”。ノーマルはレベル60でIL170あたりで臨むようなコンテンツなようだ。 |
――アラガントームストーン:法典の装備がIL170ということですが、機工城アレキサンダーの装備品はそれ以上という感じですか?
もちろんそうです。ただ機工城アレキサンダーのノーマルクリアは、ノーマルといっても一応レイドダンジョンなので全身アラガントームストーン:法典の装備で固めることが最低条件です。アラガントームストーン:法典は、週制限がありませんので、コツコツ集めていただけたらと思います。
――アイテムのロット方式が“クリスタルタワー”と同じということで、難易度もそこに近いと思われがちですが、そうではないと。
はい、クリスタルタワーほど簡単ではないので、その点だけご注意ください。ちなみに機工城アレキサンダーでは武器や防具の直接的なドロップはなく、それらと交換できるトークンを入手できます。ロット方式はクリスタルタワーと同じですが、装備の入手方法は異なります。例えば、アーマートークンなら4個そろえないとアーマーとは交換できない、といった感じです。
――それは、アーマートークンを指定個数持っていれば、どんなジョブの胴装備とも交換できるということですか?
そうなります。
――では、最後にアーリーアクセスを目前にした冒険者たちに向けてひと言お願いします。
実際このインタビューをお受けしている今は、まだアーリーアクセスも始まっていないので、正直、混雑が想定数値範囲内に収まるかどうかドキドキしています……。復帰される方と新規で入ってくる方の数が、まったく読めないうえに、あまり楽天的な数字は出せないので、想定以上に人が入ってきた場合が心配です。
おそらく『蒼天のイシュガルド』スタート時点では、いい意味でも悪い意味でも「ヨシダーーーーーーー!」という叫びがさまざまなところで飛び交っていると思うんですよね(苦笑)。いい意味ならよいですが、「ログインできねーぞ!」とか「メンテかよヨシダー!」となっている可能性もなきにしもあらずでして……。
我々はその叫び声に対して、そのときできる最善手を尽くそうと対応しているはずので、それぐらいハマれるゲームなんだと生暖かく応援してもらえれば嬉しく思います。もちろん、順調に動いているに越したことはないですし、僕らも裏で最大限のバックアップをしていますので、ひとりでも多くの方に『蒼天のイシュガルド』発売の熱量に乗ってもらえれば、開発一同報われると思います。
また、あらためて注意していただきたいのが、プレイヤーのみなさんは、レベルキャップ開放によって、最強の光の戦士ではなくなっているという点でしょうか……。今までの感覚で肩で風を切りながらフィールドをオラオラしていると、あっとう言う間に撃退されますし、F.A.T.E.で“オーバーパワー”などを連発していると、すぐに沈んでしまうと思いますので、本当に気を付けてくださいね(笑)。
同レベル帯は1対1という原則を守ってください。あとは、「レベリングってこうだったな」とか、宝箱を開けて「Need・Greed・Passを真剣に押す」という、ひさしぶりの感覚を楽しんでもらえたらと思います。なんにせよ、数年に一度のお祭りを楽しんでいただければ幸いです!
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