2015年6月18日(木)
『バイオハザード』シリーズの川田氏が関わる“Project Morpheus”の技術デモ『KITCHEN』は恐すぎた…【E3 2015】
米国ロサンゼルスで開催されているコンピュータゲームの見本市“E3 2015(Electronic Entertainment Expo 2015)”。そのサプライズのひとつが、PS4専用のバーチャルリアリティ(VR)システム“Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)”向けに開発されている『KITCHEN』という技術デモだ。
『KITCHEN』は“PlayStation”ブースの“Project Morpheus”コーナーに出展されており、そのタイトル画面をよく見ると、なんと“CAPCOM”の権利表記がある。事前に聞いていなかったタイトルで、とても気になったので、いち早く体験してみた。
■“モーフィアス”で実現される“痛み”すら感じる恐怖体験
“モーフィアス”では、HMDをかぶっている人以外でも別回線で映像出力ができるので、モニターに映っているプレイ画面を見ることができるのだが、この『KITCHEN』に関してはその映像出力がなく、まさに体験した人しか見ることができない。
プレイしている人を外から見ていると、体がビクッ! としたり、悲鳴をあげる女性がいたりと、ただならぬ模様。若干ビビリながら体験した内容を以下に書いていこう。
なお、撮影は一切禁止だったため、文字だけのインプレッションとなる点はご了承いただきたい。
デモは、まず古めかしいキッチンに座った状態から始まる。
部屋は暗い。いくつかのサーチライトで部分的に明かりはある。目の前にはなぜか三脚で固定されたカメラがこっちを向いている。撮影されているのは自分。コントローラを前に出してカメラを倒す。ここで自分の両手が縛られていることに気がついた。座っている椅子に足も縛られて動けないようだ。
よく見ると冷蔵庫の前にスーツを着た男性が横たわっている。こちらも手は縛られている。気を失っていたのに気がついて目を開けるが、ライトの明るさからか、ひどい状態だからか、目がうまく見えないようだ。
気がついた瞬間から、今のこの状況が危険なものだとわかっているのかひどく慌てている。彼は見えないながらも床に落ちたナイフを見つけ、こちらの両手を縛っている紐を切ろうとしてくれる。目が見えていないので、たどたどしく、それがこちらを刺さないか不安になる。
と、そこで突然、男性の後ろに黒髪を乱した女性が現れる。今から何かをするのを楽しみにしているような不敵で、恐ろしい笑顔。いきなり男性を後ろから包丁のようなナイフで刺す。必死の抵抗を試みる男性。しかし信じられないぐらいの強い力を持つ女性が圧倒的に支配する。ついでのように、ナイフでこちらの太ももを刺してから、男性をひきづってキッチンの裏に連れて行く。
嫌な音が続いたあと、男性の断末魔が響き、若干の静寂。
何かがこちらに投げられてきて、見るとそれは男性の頭。そして、恐怖に打たれたこちらを笑うかのような声。
少し間が空いた後、いつ移動したのか、自分の後ろに回った女性が、目隠しのように両手で目を覆ってくる。手は血まみれだ。こちらの視界も血によって赤くなる。もてあそぶように顔をなで回した直後、目の前に姿を現し、またあの恐怖の笑顔だ。次の瞬間、ナイフをこちらの胸に突き刺してくる――突き刺さったところでデモは終了した。
グラフィックはフォトリアルで、登場人物はいずれも外国人。キッチンもどこか異国のキッチンで、廃墟のようだった。
とにかく動けない状況が絶望的で、何もすることができないところに、目の前で惨劇が繰り広げられていく。そして自分もそこに巻き込まれてしまう。最も恐怖を感じたシーンは、最後の、自分が刺される瞬間だった。
具体的に書くととても抵抗感がある表現だが……ナイフが自分の体に入っていく感覚。“あ、そのナイフがそこから先に来ると自分の体に刺さる”というのがわかり、それによって起こる痛みを予想してしまう。そんな恐怖を感じてしまうぐらい、リアルな、恐ろしいデモだった。
あとで取材班でこの体験の話をしたら「恐かったら目をつぶればいいんだよ!」という奴がいましたが、そんな余裕ないからね! プレイする前にそのことを意識していれば、あの場面はそうしたかもしれない、というぐらいインパクトのある恐怖体験でした。
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そして! デモの最後に現れるスタッフクレジットには
Producer:MASACHIKA KAWATA
の文字が。川田将央さんといえば、例のあのシリーズのプロデューサーさんです。もしかしてこのデモは、新たな恐怖につながるデモなのかもしれませんね。じつは『KITCHEN』に関して、北米向けにリリースが出ているので、それを抜粋すると……。
【『KITCHEN』北米向けリリースの内容(抜粋)】
・今までにない没入感を提供するとともに、ゲームプレイ体験の限界をさらに押し広げる
・不穏な雰囲気が漂う『KITCHEN』での体験は、プレイヤーを今までに無い最高峰のバーチャル世界へ引きずり込む緊張感あふれる演出により、常に不安に駆られる体験環境を創出している
・バーチャルリアリティー(VR)に完全対応した新型エンジン(名称未定)で動作している
・これは、現在開発を進めているゲームプレイの次のレベルのベンチマークといえる
・フォトリアルなグラフィックは“1080pフルHD/毎秒60フレーム”で描写。また“モーフィアス”システムによる“毎秒120フレーム出力”にも対応
・DTS社が開発した最新のサラウンドサウンド技術“DTSヘッドフォンX”にも対応
以上をもとに“革新的なフォトスキャンや最新のエフェクト技術などとともに、次世代の技術を用いることで、より写実的なキャラクター表現やより現実に近い環境設定を実現し、ファンが興奮するような新しいゲームプレイを提供していく”とのこと。
ひっそりと出展されていますが、かなり本気のプロジェクトなのがわかります。E3の3日間でプレイできる人数はごくごく少数ですし、非常に貴重な体験をさせてもらいました。
この『KITCHEN』という技術デモ、みなさん覚えておいたほうがきっといいですよ。
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