2015年6月21日(日)
『Life Is Strange』の女子高生・マックスは時間を巻き戻せるけど人生はやり直せない【E3 2015】
スクウェア・エニックスがパブリッシングを行い、DONTNOD Entertainmentが開発したPS4/PS3/Xbox One/Xbox 360/PC用AVG『Life Is Strange』(日本での発売は未定)のインタビューをお届けする。
『Life Is Strange』は、エピソードに特化したモダンアドベンチャーゲーム。オレゴン州の架空の町“Arcadia Bay”という美しい町が舞台となり、5年ぶりにこの町へ戻ってきた女子高生のマックスと、幼なじみのクロエを中心にストーリーが展開する。
●動画:『Life Is Strange』E3トレーラー
海外ではすでにエピソード3までが配信されている本作。海外ユーザーの反応やゲームの注目ポイントについて、DONTNOD Entertainmentの開発陣にお話しを伺った。
▲インタビューに応じてくれたDONTNOD Entertainmentの開発陣(左からディレクターのMichel Koch氏とRaoul Barbet氏、プロデューサーのLuc Baghadoust氏)。 |
――昨年の“gamescom”でもゲーム内容が紹介されましたが、改めて本作のコンセプトを教えてください
プレイヤーが選ぶ選択だったり、行動によって物語が変化していったりするコンセプトがあります。
以前に開発した『Remember Me』は、人の記憶を書き換えることでさまざまな変化が起こり、ストーリーが変化していくゲームでした。『Life Is Strange』では、時間を巻き戻す能力を使うことで、ストーリーにさらなる深みであったり、変化を与えることができるようになっています。
▲とあるきっかけから、時間を巻き戻す能力を手にした女子高生のマックス。 |
そのコンセプトとマッチしていたのが高校時代です。高校時代は、人生の中でいろいろな選択が起きるタイミングになります。自分がどういった大人になるかが決まる、とても大事な時期なので、高校生を主人公としました。
――なぜ主人公を女子高生にしたのでしょうか?
最初にゲームを作り出した時は、いろいろなキャラクターが候補として出ていたのですが、コンセプトやストーリーを考えると、やはり少女・マックスが一番適していました。マックスと幼なじみであるクロエの2人が織り成すドラマ、2人がどういう人間であるのかに注目してください。
▲左が主人公のマックス、右が幼なじみのクロエ。 |
▲5年ぶりに故郷に戻ると、クロエはすっかりグレてしまっていた。 |
――オレゴン州が舞台とのことですが、そこを選んだ理由はあるのでしょうか?
オレゴンは、ネイティブアメリカンの歴史もある場所で、そういった深い歴史がある町を舞台にしたかったのです。ゲーム全体に懐かしいような雰囲気を出すのも、歴史のある場所が最適だったので選びました。
小さな町を舞台にしたのは、ミステリーの要素を取り入れているからです。小さな町なので誰もが顔見知りで、でも何か人には言えないことを隠しています。
実際にオレゴンの小さな町に行って、いろいろな建物であったり学校を見て写真を撮りました。そこで見つけたものの中で、『Life Is Strange』の世界観に合うような場所をピックアップして、ゲームに組み込んでいます。
――グラフィックが水彩画のようだったり、文字も手書き風になっていたりするのはなぜですか?
『Life Is Strange』はノスタルジアをテーマにしています。キャンバスに描いたような絵が動いているようにすることで、プレイヤー自身の捉え方や思いを投影できます。リアルなグラフィックにしてしまうと、そういった要素が失われてしまう懸念がありました。
――ノスタルジアをテーマにするのなら、舞台は現代にせず80年代を選ぶということもできたと思いますが、それをしなかった理由は?
確かに、80年代を舞台にするという考えもありました。ですが、あえて現代にすることで、今現在のアメリカのティーンエイジャーの中で起きている問題についても触れたかったのです。
ゲームをプレイする皆さんは、今の高校生たちと自分の高校時代は違うと思うかもしれませんが、インターネットでのいじめであったり、現代のほうがいろいろと辛いことがあったりするのではないかと思います。
――マックスが手にした時間を巻き戻す能力は、どのようにストーリーに影響していくのでしょうか。
その能力をどう使うかによって、物語が大きく変わっていきます。ただ、チェックポイントのようなものがあり、すべてを巻き戻せるわけではありません。
▲時間を巻き戻せる領域には限界があるとのこと。 |
物語が進むと、能力を使ったパズル的な要素も出てきます。また、会話を巻き戻して相手の好きな選択肢を選び直して、相手の機嫌を良くするといったこともできます。
――選択肢もいろいろと選ぶ場面がありますが、一番いいエンディングというものはあるのですか?
ゲームを通してたくさんの選択肢がありますが、それぞれの選択肢に正解・不正解はありません。選択肢の中にそれが不正解であると断言できるようなものがないので、マルチエンディングではありますが、プレイした人がたどり着いたエンディングがその人にとっての体験になります。
たとえば、エピソード1で絶対これだろうと決めた選択肢が、エピソード3になってみると自分が思い描いていた結末にはいかなかったとしても、1度決めてしまったことの結果は変えられません。間違えたと思ってしまっても、次のステップへ行かないといけないという教訓みたいなものもテーマとしてあります。
――エピソードの話がありましたが、リリースをエピソードごとに分けているのには理由がありますか?
20~30時間ほどプレイ時間を要するような大きなタイトルだと、クリエイター側から見て、プレイヤーがどこでいったん区切るのかというのが読めないので、そこをコントロールしたかったというのがあります。
また、いったん区切って「この後どうするんだ」という“次が気になる終わり方”でエピソードを終えることで、モチベーションを保てるような作り方を試してみたかったのです。
――現在はエピソード3まで配信されていますが、反響はいかがですか?
とてもいいですね。ユーザーからメールやプレゼントなどをもらうこともあり、それが私たちのモチベーションとなって今もがんばり続けることができています。エピソードの間にプレイヤーの皆さんがいろいろとやり取りをしているのを見るのも、とてもうれしいことです。
――最終的にエピソード5まで配信されるとのことですが、ユーザーからのフィードバックでのちのシナリオを変えることはあるのでしょうか。
基本的にもうすでにストーリーラインは書き終わっているので、大きな変更をすることはできません。ですが、ユーザーのフィードバックをもとに、細かい調整を行ったり、分岐した先のストーリーを広げたりすることを視野に入れて考えています。
――音楽もいいなと思いましたが、サウンドはどなたが担当しているのですか?
エピソード1で、マックスがイヤホンを付けた時やメニュー内に流れる音楽などは、バンド“Syd Matters”のJonathan Moraliさんが作曲をしてくれています。他にも、ライセンスでいろいろなアーティストの曲がゲーム内で流れます。
単に音楽を流すだけではなくて、たとえばクロエの部屋に行ってステレオをつけるとクロエが聞いているロック調でパンクな音楽が流れる。逆にマックスの部屋に行って音楽をかけると、インディーフォークなゆったりとした音楽が流れます。そういったところもこだわっています。
●動画:Syd Matters - To All Of You(Official music video)
●動画:Syd Matters - Obstacles
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