2015年7月7日(火)

『シニガミライジング』は武闘派の鬼と頭脳派の少年コンビにグッとくる異能バトル!【電撃文庫新作紹介】

文:電撃オンライン

 優木カズヒロ先生が執筆する電撃文庫『シニガミライジング』の紹介記事をお届けします。

『シニガミライジング』

【物語の見どころ】

家族を皆殺しにされた少年を救ったのは“鬼”――
それが都市に巣食う怪異“コトナリ”との出会いだった!!

 物の怪、妖怪、怪異――そんな人外の生き物を総称する言葉“コトナリ”。

 現代社会に溶け込んで暮らす彼らは、異能力を持ち、時には“災禍”(わざわい)と化して人間の命を奪うこともある危険な存在だとか。また、肉体が消滅しても数十年でよみがえってくるゆえに、人間の手で完全に消滅させることは不可能だそう。

 この物語は、千年の歴史を持つ古都・中原市を背景に、“コトナリ”と人間の抗争の中で翻弄される少年と鬼の友情を描いた、せつなくも心打たれる怪異譚です。

 星野伊佐美は鬼でありながら、人に危害を加える“コトナリ”を始末する≪掃除屋≫です。ある日のこと、彼は家族を惨殺されて天涯孤独の身になった少年・桜条凛を保護します。やがて2人は“コトナリ”を殺せる唯一の存在“死神”をめぐる怪事件の数々に巻き込まれていくのですが……。

 狐を奉る神社に住み、伊佐美に裏の仕事を依頼する謎の女性・御陵院の存在。とある理由から極秘に凛を探す警察組織。人から鬼に堕ちた伊佐美の過去――。

 さまざまな事件や思惑が複雑にからみあい、それが凛の家族が惨殺された事件へ集約されていくという展開は、実に読み応えがあります。すべての真相が明らかになった時、凛が己の宿命とどう向き合うのか、衝撃のクライマックスをお楽しみに!!

 また、この独特の世界観を優木カズヒロ氏の筆力が見事に描写しており、最後まで読みやすいのが好印象。ぜひ女性にも読んでいただきたい1冊です!

【キャラクターのみどころ】

武闘派の鬼と頭脳派の少年がコンビを組んだら――!?
互いに反発しながらも理解を深めていく過程がグッとくる!!

 本作のみどころの1つは、星野伊佐美と桜条凛の間に芽生えた友情の行方です。宇佐美の本性は鬼の“コトナリ”。本文の言葉を借りると「西洋風仁王像」のようなたくましい風貌だとか。性格は大雑把で、自宅は散らかし放題。料理は一切しません。

 一方、凛は男子にしておくのがもったいないほどの美貌を持つ少年。頭脳派で几帳面な性格。料理上手で、朝食に完璧なフレンチトーストを振る舞うほどです。それが実においしそうに描写されており、「食べたいな……」と読者の食欲さえも刺激します。(本当です!)

 正反対の性格だけに、最初は激しく反発し合う2人(当然ですね……)。でも、1つ屋根の下で共同生活をするうちに、その関係にも変化が訪れます。

 人生に絶望し、復讐のために生きようとする凛を鬼の伊佐美が静かに諭すシーンなどは、まるで本当の父親と子供のよう。望んでも死ぬことができない鬼・伊佐美の言葉は、生きることの意味を考えさせてくれます。

 特にせつなかったのは、不死身の伊佐美がずっと抱いていた“願い”を凛に叶えてもらおうとするシーン……。いやいや、これ以上はネタバレになるので沈黙します。

 心情描写が非常に丁寧に描かれている本作。この広い世界に1人で生まれ、誰かと一緒に生きる意味や、偶然の出会いが、やがて人生を変える大きな衝動に変わることがあるのだと。そんな本当の“出会い”の物語が読みたいという人は、手に取って損はないですよ!

データ

▼『シニガミライジング』
■著者:優木カズヒロ
■イラスト:南方 純
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:KADOKAWA
■発売日:2015年6月10日
■価格:610円+税
 
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