2015年7月12日(日)
7月11日、12日の2日間、京都で開催されている『BitSummit 2015』。本イベントのステージ講演“Baiyon(Multimedia Artist)×James Mielke”にて、『PixelJank Eden』のアート、サウンドディレクターを務めたBaiyon氏の新たなチャレンジが発表となった。『MUSE: Together Is the New Alone』とは、Baiyon氏が手掛けるPS4/PS Vita対応のノスタルジックアドベンチャー。そこで描かれるテーマは「片思い」だ。
公開された画面写真は、水彩画を撮り込み、2Dドットで表現された幻想的な世界。ただし、夕陽の落ちる集合団地といったシチュエーションのシーンもあり、その世界観は多岐に及ぶようだ。
会場での発表とあわせて公開されたリリース資料からは、ショートフィルムの作品であり、恋愛の孤独感や、さまざまな街や風景、そしてそこに住む人々など、インスピレーションを刺激する不思議な世界であるという。
物語は次の通り。小さい街はずれの部屋のベッドで、永遠に眠ったままの少女……。ある日、少年は少女がしたかったことや行きたかった場所を書き留めていたことを発見。少年はいつか彼女が目を覚ますことを信じて、彼女の代わりにその場所を訪れることを決意する。
登壇したBaiyon氏は「なぜこの作品を作ろうとしたのかは、いまとなってはわからない。ただ片思いといったあいまいな気持ちをカタチにして、多くの人たちと共有したい。デジタルの世界で、人間ならではの“ゆらぎ”を表現していきたい」と語った。
リリースとして公開された開発者たちからのメッセージもあわせて紹介しておこう。
今回、様々なビデオゲームにアート、サウンドディレクションや、楽曲提供という形で関わって来た僕が、長い時間をかけて構想を練った初ゲームディレクションタイトル『MUSE: Together Is the New Alone』を発表する事になりました。
サウンドに始まり、ビジュアルやデザインに重きを置いたマルチメディアの作品を発表してきましたが、それと同時に30歳を超えた時からノスタルジーと共に心象風景に入り込むことが出来るような恋愛、愛をテーマにしたビデオゲームを創りたいとずっと思っていました。それは自分自身が順調に年を取っていっているからなのかは解りませんが、より自分の内面にある物を、クリエイトしたいと思うようになったからかもしれません。
自分自身の大きなテーマの1つとして、デジタルというゲームの理屈の中に、どのように人間らしい不完全さや、ゆらぎの美しさを入れるかという想いがありますが、その想いは音楽にも、ビジュアルにもストーリーにも至ります。
MUSEの中に出てくる人々や動物達は日々何かに悩み、自分の居場所を探します。そして、私がゲームの中で感じてきたことや、日常で好きな風景、ノスタルジーを感じる風景をたくさん詰め込んでいます。また、今回の作品ではドット画を使い、自分自身のルーツである90年代に代表する一風変わった日本のゲームに対して正面から向き合おうと思っています。
私がプロデューサーを務める『野犬のロデム 』『LA-MULANA EX』『ボコスカウォーズ2』の発表の間に、じっくりと水面化にて進めておりました、このBaiyon氏の新作をようやく発表できてとても嬉しく思います。
今回の作品のポイントは、サウンドとアートを中心に活動してきた彼が、沢山のインスピレーションを受けてきたゲームへの恩返しがしたいと、そのLOVEをゲームに注入すべく新領域に挑戦している点です。マルチメディア・アーティストが手掛ける、ならではの世界に期待してください。
発売は2016年を予定。株式会社ピグミースタジオから発売される。
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