2015年7月30日(木)
7月30日~8月2日に中国上海で開催される『China joy 2015』に先立ち、29日に『2015 PlayStation Press Conference in China』が行われた。
中国では今年の3月に上海の自由貿易試験区にてPS4とPS Vitaが販売開始され、また先日、中国全土でのコンシューマゲーム機の製造・販売が解禁されるというニュースが報じられたばかり。このタイミングでのカンファレンスということで、現地での注目度は非常に高く感じられた。
▲龍のデザインのベイカバーを装着した中国限定となるPS4(写真右)と、6月末に行われたMIKU EXPOを記念して販売されたPS4(写真左)。 |
▲カンファレンスで登壇したメンバーでの集合写真。中国初上陸となるProject Morpheusは非常に高い関心を持って迎えられた。 |
カンファレンスはまずVR(バーチャルリアリティ)システムのProject Morpheusの紹介から始まった。登壇したのはもちろん、SCEワールドワイド・スタジオ プレジデント吉田修平氏だ。中国で紹介するのは初めてとなるので、説明は、PS4向けの製品であることや120fpsを実現していることなど、基本的なことから始まった。
また「現在、世界中のたくさんの会社がVRに力を入れている」「6月に行われたE3では20タイトルを見せることができた」という話のあとに「評論家のみなさんからは、VRは孤独な体験で、反社会的という意見もある。これを変えるためにひとつの機能を付けました。Morpheusはモニターに出力して、ほかのプレイヤーと一緒に遊ぶことができます」として、『THE PLAYROOM VR(モンスターエスケープ)』を紹介した。
さらに、『THE DEEP』は「海洋生物のなかに置かれて、サメから逃げ切ることができるのかというゲーム」。『HATSUNE MIKU Project』は「ミクの音楽会をいちばん最前列で体験できる」と紹介。この3タイトルに『SUMMER LESSON(2015 SUMMER VERSION)』を加えた4タイトルがチャイナジョイで実際に遊ぶことができるという。
▲SCEJAデピュティプレジデント(アジア統括)織田博之氏は冒頭で、SCEが中国のゲーム市場を開拓、貢献するために努力し続けてきたことを強調。クラウドファンディングでのタイトル支援に2万名を超える応募があったことを明らかに。 |
▲吉田修平氏によりProject Morpheusの基本的な説明が行われた。『THE PLAYROOM VR(モンスターエスケープ)』は、Morpheusを付けたプレイヤーによるモンスター側と、PS4のコントローラで操作するVRボット側(最大4人)で対戦するゲーム。 |
織田氏が再び登壇し、中国では国内外あわせて101のメーカーがゲームを開発していることを明らかにした。開発中のタイトルのダイジェストムービーのあとに、『JOURNEY』(日本名『風ノ旅ビト』)が8月18日に発売されることが発表されて会場から歓声があがる。『JOURNEY』は中国のクリエイターであるジェノバ・チェン氏が関わったタイトルということで、中国では待望だったようだ。
▲『WAR FRAME』『JUST DANCE』『King of Wushu』『討鬼伝 極』『聖闘士星矢 SOLDIERS’SOUL』『TRANSFORMERS DEVASTATION』『ソードアート・オンライン ―ロスト・ソング―』『MIGHTY No.9』などが発売、バージョンアップ予定であると発表。中国のメーカーで開発されているタイトルも紹介された。 |
ここからはゲストが登壇し、中国での展開をそれぞれ発表していった。まず最初に登壇したのはカプコン『ストリートファイターV』エグゼクティブプロデューサーの小野義徳氏だ。
「今日はシリーズ最新作である『ストリートファイターV』の紹介をさせてください。『ストリートファイターIV』は誕生してから7年を超えました。これもみなさんの応援のおかげです。『V』は、これまでのものを1回リセットして、すべてのプレイヤーのみなさんが入りやすい形のゲームデザイン、システムデザインとして開発を進めています。このようなメジャーチェンジをする機会はめったにありません。
あと1年半でシリーズは30周年を迎えますが、会場にはまだ生まれていなかった人もいるでしょう。その2倍生きてきた人もいるかもしれませんけれど(笑)。サンディエゴのイベントでケンを発表しました。先々週にはEVO2015で『ネカリ』という新キャラを発表しました。チャイナジョイ2015ではケンが実際に遊べます。SCEブースでプレイしてみてください。『V』がどうなったのかを実感してみてください。これからキャラやシステム、どんどん情報をアップデートしていきます。
小野の中国のウェイボ(中国版Twitter)のフォロワーが50万人を超えました。随時情報更新をするのでそちらもチェックしてみてください。『ストリートファイターV』はPS4エクスクルーシブです。よく「ほかの機種では出ないのか?」と質問されるんですが、出ません! ですので、ほかのタイトルのバンドルでもいいのでPS4を買ってください。そして本作の準備をしてください。
センサーシップ(中国政府によるタイトル審査)が通り次第、なるべく早い時期に中国でリリースしたいと思っています。簡体字もフルサポートします。楽しみに待っていてください」と語った。
続いて登壇したのは『FFXIV』のプロデューサー兼ディレクターをつとめる吉田直樹氏だ。
「『FFXIV』は全世界でもうすぐ500万人を突破しようとしているMMORPGです。カジュアルプレイヤーからコアゲームファンまで幅広い層に楽しんでもらえるように開発しています。中国でもシャンダゲームスさんとともにPC版をスタートしていますが、今日はいよいよPS4版の展開についてお伝えに来ました。PC版同様に運営はシャンダさんで、開発のバックアップをSCEさんにしてもらうことになりました。SCEさんとシャンダさんとの強力なタッグのもとPS4版の開発が行われています」
韓国からは『KINGDOM UNDER FIRE II』を開発するBLUE SIDEのCEO、キム・セジュン氏がタイトルをプレゼン。チャイナジョイ2015でプレイアブルで初めて出展されることが発表された。
「本日は最新の映像をご覧いただきました。現在、世界、中国においても2016年の早い段階での発売の準備を進めております。またチャイナジョイのSCEブースでは世界初となるPS4版の試遊台を準備していますので、ぜひ会場でお楽しみください。ブースのステージイベントでは、開発中のPS4版のプレイアブルを披露いたします」
最後に登場したのはアメリカのRED5スタジオからクリス・ホワイトサイド氏。『FIRE FALL』というシュータータイトルだ。
「スケールが大きくリアリティのある世界で戦うゲームです。RED5の若くてやる気まんまんのスタッフが開発しています。クラスには5種類があり、それぞれ能力が違います。それぞれのクラスはアップグレードすることができます。アップデートにより、マップ、武器などを追加し、内容がさらに豊富になります。少しでも早くこの世界で会えることを楽しみにしています」
カンファレンスの最後にはSCE上海プレジデントの添田武人氏が再度登壇。中国でのインディーへの取り組みと発売予定のタイトルが紹介された。北米、欧州、日本でおなじみのPS Loves Indiesのロゴがスクリーンに表示され、中国でもインディーに積極的であることが表明された形だ。また、SCE上海主動によるクラウドファンディングの2回目が8月1日から開催されることも発表された。
▲国内外のインディータイトルが流れるように紹介された。筆者が気になったのは『鯉』というタイトル。何をするゲームなんだろうか… |
吉田修平氏やカプコンの小野氏、スクウェア・エニックスの吉田氏も登壇。本カンファレンスで初めて発表されるタイトルや、多数の中国ローカルタイトルの発表もあり、中国のゲームファンが最も気にしているタイトル数への不安を払拭する形のプレスカンファレンスだった印象だ。カンファレンスではまだセンサーシップをクリアしていないタイトルも多数あったが、SCEJAの織田氏によると、「発表しているということはクリアする確度が高い」と予想しているようだ。
会場には大勢の開発会社も招待され、ゲームファン、関係者ともに、PlayStationという文化を広めていく地盤固めがまだまだ重要な段階だが、着実に意味のあるアプローチができているのではないだろうか。