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2015年8月31日(月)

【電撃PS】『FF14』吉田直樹氏と人気ブロガーの対談の様子をレポート。運営とプレイヤーの新たな形とは?

文:電撃PlayStation

 去る8月22日、2周年記念として行われた『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』14時間生放送の裏側で、とある座談会が開かれていたことをご存知でしょうか。それは、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏と、『FFXIV』のコミュニティーサイトやブログを立ち上げているプレイヤーさんたちの座談会。

 今回は生放送という舞台の裏側で行われた秘密の会合にこっそりお邪魔してきましたので、電撃の旅団員“Mag”がその雰囲気の一端をお届けします。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

そもそも今回の座談会企画はどのようにして立ち上がったのか?

 まず、この日の会合の趣旨について、吉田氏は冒頭で次のように語っていました。


 “MMORPG”はもともと世界中でさまざまなタイトルがリリースされていますが、とくにアメリカで作られるMMORPGの場合、インタビューや情報発信の場に、ゲームメディアさん以外にコミュニティーサイトの方々が遊びにいらっしゃることが多いんです。

 そういう場合、多くの人の注目を集めるサイトでは「インタビュー行ってくるんだけど、何か質問ない?」という形で広くコメントを募集し、インタビューの場で質問をする……ということも多くて。

 日本でも、じつは『FFXI』のときにそういった事例が増えるようにという試みがあったんですが、なかなか日本にその文化が根付かなかったようなんです。ただ今回『FFXIV』が新生してここまでやってきて、だいぶ新しい世代のプレイヤーさん……“開発”と“プレイヤー”との関係に壁を感じずオープンにプレイしてくれている方が増えたのではないかなと。

 ということで、今回新しい試みではあるのですが、こういった場を設けてみて、お互いの新しい関係を探ってみたいなと。そんな経緯で、一言要望を出してみたんです。「座談会やりたい」って(笑)。

 ……とまぁ、ここまでが堅苦しい話。理由はもう1つあってですね。僕は『FFXIV』のプレイヤーでもあるので、当然、身分を隠してプレイしております。そうなると、僕だと知らずにかわいがってくれたり、僕だと知らずにフレンドになってくれる人もたくさんいるんですね。

 で、そんなとき……「オフ会やろう」と(笑)。「エオカフェ行くんだけど、行かない?」って、誘ってもらえるんです。すごくうれしいんですが、「ちょっと仕事が……」と言わざるを得なくて。やはりどうしても、『FFXIV』においては“オフ会”というものができないんですよ。なのでですね……今回が、そのオフ会だと思ってもらえれば(笑)。

 『FFXIV』の話を、いちプレイヤーとしてみなさんとしたかったというのが僕の願望でもあったので、今日はみなさんそれぞれコミュニティ同士のつながりもあると思うんですが、そのオフ会だと思ってやってもらえればと思っています。


 というのが、今回の概要。これまで日本においては例のない試みということでしたが、集まったブロガーさんたちは最初は緊張しつつ、やがて和気あいあいと吉田氏との“オフ会”を楽しんでいました。

 ここでなされた興味深い質問やその回答に関してはすでに参加者の方々がご自身のTwitterやブログなどで発信しています。メディアは記事化しないという取り決めとなっておりますので、ぜひそちらを探していただければと思います。

座談会を経た、プレイヤーとしての新たな想いとは

 座談会が終わったあと、会場で何名かのブロガーさんにお話を聞くことができました。吉田さんとの会話を経て、プレイヤーとして、ブロガーとしてどう感じたかを率直にうかがってみましたので、まずはご覧ください。

今回お話をうかがえたブロガーのみなさん(五十音順)

・アグリさん
・イシュさん
・たけおさん
・ふなっしーさん
・みいなさん
・もすぅちゃんさん

――初めての試みかとは思いますが、こういったイベントに参加していかがでしたか?

たけおさん:今回のイベントで思ったのは、開発の方々が、ネットでいちばん話題になりやすい“バトルコンテンツ”以外の要素にもちゃんと気を配っているんだなということでした。今回のメンバーはその“バトル以外”をメインに活動している人が中心だった感触がありましたので、そこはうれしいと思いましたね。

 『FFXIV』はMMORPGとして“いろんなこと”ができる。バトル以外に、いろんな方面に向けての活動ができて、そこにプレイヤー方面からだけでなく公式側からもアプローチがあるというのはおもしろいなと。

アグリさん:『FFXIV』は、『新生』に入るタイミングで、コミュニティに対する活動というものにかなり気を使っていたと思います。ニコニコ超会議第2回の頃から参加したり、ファンフェスをやったり……。

 プレイヤーと積極的にコミュニケーションをとるというのは、その段階からある程度姿勢としてあったと思うんです。で、なおかつ今回のような形で、『FFXIV』の外で活動している人たちをフォーカスして、さらにコミュニケーションをとって……『FFXIV』の中だけでなく外でも何かしら活動できないかという試みは、活動している我々にとってかなりはげみになります。

 僕ら自身がやってきた活動というのはある種自己満足とも言えるものかもしれないんですが、それを“見ていてくれた”というのが、 “やっていてよかった”とすごく感じられました。

イシュさん:自分で言うのもなんですが、私はほかの方と違ってすごくカジュアルにブログをやっている人間だと思っています。もちろんこんな機会に呼ばれるなんて思ってもなかったので、GMさんからTellがきたときはホントにびっくりしました。

 最も驚いたのは、公式側が、プレイヤーに対して直接アポイントをとってくることがあるものなんだ、ということでした。そこには壁というかある種の距離感があるものだと思ってたのに、“開発側から”距離を詰めてきてくれた。そこが衝撃的でした。

 僕はほんとに自分の趣味の範囲で遊んでいるプレイヤーなのですが、そういう人にもこういった機会を与えてもらえるというのは、いちプレイヤーとしてすごく可能性を感じます。今回はたまたま僕が参加させていただきましたけど、ほかのみなさんにも同じような可能性があるわけですから。

ふなっしーさん:開発側とプレイヤー側でそれぞれ立ち位置があるなかで、一番もったいないことって“ミスコミュニケーション”というか、認識の相違だと思うんです。せっかく同じ『FFXIV』にかかわっているのに、プレイヤー側が問題に感じていることを、開発側がまったく理解していなかったり、聞いてくれなかったり。そして「じゃあいいや」となって辞めてしまう……それが一番悲しい。

 けれど、今回みたいな試みがあれば、プレイヤーが実際に意見を直接開発側に伝えられて、答えていただき、さらにその内容をTwitterなどでほかのプレイヤーにも伝えられる。そういうのがあるだけで、プレイヤーとしては“聞いてくれるんだな”“わかってくれるんだな”と安心してプレイができる。可能性として、僕らが緩衝材になることで開発側とプレイヤーとでよりよい関係性を築けるのかなと思いました。

 今回の座談会と似た機能を持つものとしてフォーラムがありますが、やはり吉田さんと直接お話ができるのが違いますね。実際自分たちが現場に来ているので、“本当にこう言っていたよ”という形で伝えられるのも大きな差だと思います。

もすぅちゃんさん:やっぱり距離感が違うというか、目の前で話してくれるので(笑)。すごく身近に感じることができました。最初は緊張していたんですが、開発の方とも話せて、自分のブログも見てくださってる方が多くて……すごくびっくりしています。これからもがんばろうと思えましたね。

――もし次回に同じような機会があったとして、“次はこうしたいな”といったことはございますか? 例えば時間をたっぷり使いたいとか……。

たけおさん:開発のたけおさんを始め、いろいろな方と話してみたいですね(笑)。やっぱりプロデューサーとして現場をまとめておられる吉田さんと、それぞれの要素を開発しているスタッフさんとでは立場ごとにそれぞれ言えることも異なると思いますので。

みいなさん:そうですね。プレイヤーさんによって世界設定が好きな人とかギャザクラが好きな人とかいると思いますので、それぞれのコアスタッフさんたちとはぜひ話してみたいですね。

アグリさん:時間は……正直足りなかったですね(笑)。

たけおさん:全員の自己紹介だけで全体の3分の2くらい終わっちゃいましたからね。でもそのわりには、いろんなジャンルに話題が及びました。

アグリさん:ジャンルが広くなるってことは、話が広がっちゃって、自分がやっていることにフォーカスし切れないっていう物足りなさもありますけれどね(笑)。

――ある程度、話題に特化した人たちを集めた座談会にするとか?

たけおさん:もし定期的にやれるならそれもいいのかもしれませんね。今月はこのジャンル、来月はこのジャンル……みたいに。

――吉田さんの姿勢というか、印象はどう感じましたか? 

もすぅちゃんさん:私が答えてほしいことに、ちゃんと誠実に答えを返してくれる。とにかく真摯で、それが本当にうれしかったですね。

ふなっしーさん:私は少し違う印象で、吉田さんの立場や、“吉田さんが語った言葉”というものがすごく重いだけに、言葉がどう伝わるかという危険性を、吉田さんご自身が一番理解しているんだなと思いました。言葉で誤解させないよう、嘘にならないようすごく気を使ってらっしゃるなと。開発がやっていることを正しく伝えるために、すごく慎重にやられているんだろうという印象を受けましたね。

――みなさん“PLL”の見方とかも変わってきそうですよね。

みいなさん:それはもう、ものすごく変わりますね(笑)。

――もしかしたら、吉田さんとしてはその点でみなさんに緩衝材的な立場というか、正しく伝えてもらう立場に立ってもらいたい意図があったのかもしれません。

たけおさん:どうなのかなぁ。今回集まったメンバーで言うと、私は“のほほん旅日記”のあるひゃさんがまさにその立場に立っていると思っていまして。それを開発側がある程度認識しているからこそ、今回こういったメンバーを集めたのかなと。

アグリさん:そうですね。わりとお互いに知ってる面子が多かったのが意外でした。……みんなサーバー違うんですけどね(笑)。

イシュさん:僕らのコミュニティは、みいなさんの“ブロガーズミーティング”が大きかった気がしますね。みいなさんを中心にというか。

みいなさん:そういっていただけるとありがたいです(笑)。

たけおさん:プレイヤーコミュニティって、今回集まったみたいに直接つながっている人もいればそうでない人もいますけど、みんなどこかでつながっているのかなと。

ふなっしーさん:直接的なつながりはないけどこの人知ってる、っていう感覚はけっこう大きいかもしれませんね。

イシュさん:ブログとかコミュニティを通じて、サーバーの壁というのはあんまり感じないですね。『FFXIV』に関しては、サブキャラを作ることでサーバーを超えて会いに行くっていうのがけっこう簡単にできるので。

――今回の吉田さんや皆さんとの会合を経て、方針とか、想いが変わった部分はありますか?

たけおさん:方針は変わらないですね。ひたすらめがねを追い続けるだけです(笑)。

アグリさん:方針や、やっていることの内容がガラッと変わることはないと思いますが、そうですね。いい意味でタガが外れたというか(笑)。もっと自由奔放な感じになるかもしれません。ある意味で開発側が“見てくれている”というか(笑)。安心感というか信頼感というか。

たけおさん:信頼感を得たぶん、もうちょっと過激に突っ込んでみるとか(笑)。

アグリさん:匿名掲示板的な過激さではないですが、やりたい方面にこれまで以上に突き進んでいく過激さみたいなものは増した気がします。

イシュさん:いろんな意味で貴重な体験でしたね(笑)

――みなさんありがとうございました!

◆プレイヤーと運営・開発側との、これからのコミュニティ

 実験的に行われた今回の座談会。ブロガーさんたちのなかには、吉田さんに十分に思いを伝えられたという方も、もっと話したい! と物足りなさを覚えた方も、あるいは招待を受けてはいたけれど、やむを得ず参加を断念した方もいるかもしれません。

 けれど大事なことは、そのすべての人たちが『FFXIV』をプレイして、さまざまなアプローチで“楽しさ”を感じている人たちであるということです。そういった人たちが1つの場所に大勢集っていた(集う機会があった)という事実は、ありそうでいて、現実の世界ではなかなか実現しないものですね。

 オンラインゲームで“最も楽しいこと”って何だろうと突き詰めて考えたときに思い浮かぶのは、よく知った仲間、あるいは見知らぬ人たちと“今”を共有することであると思います。ともに困難を成し遂げたり、何かを発見したり、たわいもないことで談笑したり……。別に“濃く”はなくても、ともに何かに没頭する時間。そういった時間を味わいたくて毎日ログインしてしまう。それがオンラインゲームの醍醐味ではないでしょうか。

 もし今回の座談会がさらに発展して、プレイヤー間はもちろんのこと、運営・開発側とプレイヤー側の接点が増えてくれたなら、それはゲームを楽しんでいる側と、自分たちが作った“遊び場”を楽しんで遊んでもらっている側が『FFXIV』の醍醐味を共有する機会が増えるということ。ありふれた結論で申し訳ないけれど、それはきっと、とても楽しくて、お互いにうれしいことだと思います。

 ちなみに、個人的に今回の座談会に一言言わせてもらうなら……メディアといえど、もともと仕事関係なく遊んでいたいちプレイヤーですので、仕事ぶん投げて気兼ねなくいろいろ喋りたかったなーと。すごく。(´・ω・`)

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データ

▼『電撃PlayStation Vol.597』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2015年8月27日
■定価:657円+税
 
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