News

2015年9月20日(日)

GREEもVRに本気だ! 2人1組で謎を解く『サラと毒蛇の王冠』の作り込みがスゴかった【TGS2015】

文:広田稔

 東京ゲームショウにおけるOculus Riftの出展は、Oculus VRブースが中心だったが、スクールやインディーなどのエリアでもちらほらみかけた。そうした「他ブース出展」で最も気になった存在が、GREEが開発した『サラと毒蛇の王冠』になる。ビジネスデイに1時間ほど並んで体験できたので、そのレポートをお届けしよう。

『サラと毒蛇の王冠』
▲GREEブースの奥側にあった『サラと毒蛇の王冠』コーナー。

 本ゲームは2人1組で協力し、王家の神殿の謎を解いて財宝をゲットして脱出するというストーリーになる。珍しいのは、女の子の“サラ”か男の子の“ケマル”として同じバーチャル空間に存在し、共同で何かを作業すると次のステージに進めるという仕掛けだ。1プレイは15~20分ほどと長めだが、その分、すぐ終わるのではなく、ゲームの仕組みを理解して謎を解いていく楽しみを実感できる。

『サラと毒蛇の王冠』
▲こんな感じで4台のOculus Rift DK2が用意されており、2人1組で遊べた。

 例えば台座に4本あるスイッチがあるうち、2本はサラ側が、もう2本はケマル側がライトを当ててアクションを起こさないとクリアとならない。隣のプレイヤーとは、ヘッドセットを通じて会話できるため、相手が何をすべきか気づいていない場合にも「正面のスイッチに光を当てて!」とアドバイスすることも可能だ。

 オンラインゲームのマルチプレイを想像してもらうと近いモノがあるはず。ネット上にある既存のサーバを利用しているとのことで会話は若干の遅延が生じていたが、周囲がうるさいこともあってそこまで気にならなかった。VRの表現の目新しさだけに頼らず、ゲームとしての要素を入れてきたのが○だろう。

『サラと毒蛇の王冠』
『サラと毒蛇の王冠』
▲船のエンジンを入れる場合、左のケマルは青、右のサラは赤いキーが光っている。ここを2人とも見つめるとエンジンを入れて船が発進する。
『サラと毒蛇の王冠』
『サラと毒蛇の王冠』
▲2人で赤いライトを当てて神殿内の謎を解いていく。筆者は最後の謎がよくわからずにゲームオーバーとなってしまいました……無念。

 さらに本アプリで考えられていたのが、体験までの動線だ。しばらく待って行列を抜けたあとに用意されていたのが、4台のモバイル向けVRヘッドマウントディスプレイの『Gear VR』だった。これをかぶることで、協力プレイ前にチュートリアルアプリを体験してもらう。

 初めてVRアプリで遊ぶ人の中には、まず全方位が見渡せるということに気づかない人もいて、ずっと正面を見つめてしまうこともある。また「目線でアクションが取れますよ」と口で説明しても、いざその場に放り込まれると、混乱してしまって身動きが取れないこともある。プレイヤーにあらかじめチュートリアルで慣れてもらうことで、いざバーチャル空間に入ったときにすぐに楽しめるという配慮が素敵だ。

 これまたゲーム性とは別の話になるが、徹底的なVR酔い対策も見逃せない。ゲームを始める前に、“通常”と“エキサイティング”の2つのモードを選ぶことができる。“通常”が視線を引いた三人称、“エキサイティング”が一人称に近くてダイナミックさを味わえるものになっている。

 バーチャル空間での感覚を高めるためにはエキサイティングモードがいいが、酔い易い人も多くなってしまうのが難点だ。筆者はVR大好きマンであるものの、ひどくVR酔いしやすいため、こうしたモードを選べるのはかなりありがたい。

『サラと毒蛇の王冠』
▲2つのモードで、演出のダイナミックさと酔いのレベルを調節できる。

 船に乗っての移動も何も考えずに動かしてしまうとVR酔いが起こりやすいが、波の揺れをカットしたり、ゆっくり加速するのではなくすぐに見せたい速度にあげることで酔いを未然に防いでいる。さまざまな不安を排除して、VR体験に集中させるようにしているところがすごく考えられているなーと感動したところだ。

 GREEは今回が初のVR出店となるが、「うちもつくってみました」ではなく、かなり作り込んだ状態で出してきたところに本気を感じた。Oculus Riftの製品版が発売されたときに、どんなゲーム体験を提供してくれるのか。期待して待ちたい。

■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

(C) GREE, Inc. (C) Wright Flyer Studios All rights reserved.

関連サイト