2015年11月16日(月)
スパイク・チュンソフトとトライエースがタッグを組んで世に贈り出す、12月17日発売『イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-』。
ここでは電撃PSの誌面で掲載された開発スタッフインタビューを全文掲載! 本作が生み出されることになった経緯や、気になるゲームシステムの詳細などを語ってくれている。
▲プロデューサーの齊藤祐一郎氏。トライエース作品のイチファンを自認しており、本作の開発を実現させるために、さまざまな部分で暗躍(?)した。 |
▲トライエースの代表取締役社長にして、現役のリードプログラマーである五反田義治氏。トライエースの則本真樹氏とともに、本作の企画に深く携わる。 |
▲キャラクターデザインを担当する箕星太朗氏。RPG作品でキャラクターデザインを手掛けるのは初経験とのことで、思考錯誤の日々を送っているとか。 |
――まずは、本作が開発されることに決まった経緯から教えていただければと思います。
齊藤:じつは10年くらい前から、弊社の寺澤(寺澤善徳氏。代表作は『ダンガンロンパ』シリーズなど)がトライエースさんと一緒にお仕事をしたいと、いろいろ動いていたんですよ。これまでなかなか実現に至らなかったわけですが、ようやく本作でその夢が結実することになりまして。寺澤から引き継いだ僕が、プロデュースを担当させてもらうことになりました。
――開発のスタート時期は、いつ頃からですか?
五反田:本格的なスタートとしてはもう少しあとになりますが、企画自体は2年ほど前から動いていましたね。
――RPGというジャンルにすることは、最初から決まっていたのでしょうか?
齊藤:そうですね。せっかくトライエースさんとお仕事ができるんですから、少なくともジャンルにかんしては、最初から「RPGしかない!」と思っていました。だからといって、どこにでもあるようなシステムや物語にしても意味はないので、そこはスパイク・チュンソフト的な要素も入れていけるよう務めています。
――箕星太朗さんがキャラデザインを担当されていることもビックリしました。「そうきたか!」と。
箕星:じつは、僕自身もそう思ったんですよね(笑)。僕はこれまでRPGを手掛けた実績が一切ありませんから、「スパイク・チュンソフトさんはずいぶん思い切ったことをするなぁ」と、自分のことながら感じたくらいです。
――でも、イラストはものすごくステキですよ! 各キャラの表情はもちろん、着ている服などもじつに個性的ですし。箕星さんの気合が感じられます。
箕星:そう言ってもらえると僕もうれしいです。いろいろワガママを言ってしまってますし、申し訳ない気持ちもあるんですけど(苦笑)。
齊藤:ワガママというか、アイデアですよね。トライエースのみなさんには苦労をかけていて恐縮ですが……。
――具体的にはどういうことでしょう?
五反田:我々がゲームを作る際は、まず社内のデザイナーがキャラクターのデザインベースを制作して、それをもとに3Dモデルなどを作りつつ、並行してキャラクターデザイナーの方にイラストをおこしてもらうんですよ。
――なるほど。そのお話は、ほかのタイトルでのインタビューでもお聞きしたことがありますね。
五反田:今回もそういった手法でやらせてもらっているんですけど、箕星さんからイラストがあがってくると、こちらの想定にない趣向が盛り込まれていまして(笑)。
箕星:何せ、RPGははじめてですから(笑)。勝手がわかっていないフリをして、インスピレーションのままにデザインしていたら、いつの間にか……。
――なるほど(笑)。具体的にはどのあたりに?
箕星:主人公の九条遼でいえば、この蛍光黄緑のラインですね。これはトライエースさんのデザインにはなかった要素です。
齊藤:蛍光っていうのも斬新なんですが、片側だけにラインが入っているというのも、なかなか既存のゲームにないデザインなんですよね。
五反田:こう言ってしまうと夢がありませんが、片側だけにラインが入った服を着せると、モデリングを反転させて使うことができなくなりますので、それだけ作業が増えるんですよね……(苦笑)。だから、RPGなどにそういった左右非対称のデザインを盛り込むことって、じつはめずらしいことなんです。
箕星:いやいや、僕、はじめてだったので(笑)。
――でも、そこでNGを出したりはしなかったんですね。
五反田:イラストの出来栄えがすごかったので。とはいえ、デザインとしてあるものを無視するわけにはいきませんし、ならば我々のモデルをアレンジしようと(笑)。
齊藤:でも、箕星さんのテイストが加わったことで、キャラのモデリングもより個性づけられたのは間違いないですし、結果的にはいい化学反応だったのではないかと思います。スパイク・チュンソフトとトライエースが組むことで生み出される化学反応に、新たに箕星太朗さんが加わることで、さらなる化学反応が現れる。開発が進むごとに今のたとえ話のような事柄が何度も起こっているので、そのたびに手ごたえを感じていますね。
――物語や世界観は、トライエースの則本真樹さんが作られている、ということでよろしいでしょうか?
齊藤:はい。則本さんの作ってくれたプロットをベースに、いろいろなアレンジを盛り込んでいる形ですね。トライエースさんというと、ファンタジーやSFといったイメージが強いと思います。今回もSF要素はガッツリ盛り込まれていますけど、そこに現代劇の要素もあって、ファンのみなさんには新鮮なのではないでしょうか。
――登場人物が現代の日本人ばかりというのは、トライエース作品では異端かもしれません。ちなみに物語は、基本的にはプロトレクサを舞台に進むのでしょうか?
齊藤:そうですね。冒険の舞台はプロトレクサとなります。そこで主人公たちは、地球に戻るために“存在結晶”を集めることになるのですが、この結晶に触れることで、地球に残された人たちの想いとか、そもそも各キャラが地球でどのように過ごしていたのか、といった物語に触れることもできる仕組みです。
――ただの勧善懲悪な物語ではなさそうですね。
齊藤:少なくとも、ヒーローが活躍する王道の勧善懲悪ものにはなっていませんね。アマツメという神様によって、ヤマトガという邪神の魂の依代にされた主人公たちは、プロトレクサに召喚されます。いわば神と神の戦いに、巻き込まれちゃっただけなんですよ。
――アマツメは、存在結晶を集めれば地球に帰還できると言っていますが、そもそも彼らの死の発端はアマツメがヤマトガの魂を宇宙に放逐したことにあるわけですよね? なんだか理不尽(苦笑)。
齊藤:そのとおり(笑)。いろいろ理不尽なんですよ。しかも、戦うためにはヤマトガの力を借りなければならない局面もあって、ヤマトガとしても自らの復活のために主人公たちを利用しようとたくらんでいるので、そこに奇妙な協力関係が生まれるんですよね。さらにそこへ第3の勢力も絡んで来たりして、最終的に主人公たちは、すなわちプレイヤーのみなさんは、どの勢力を信じてどの勢力に協力すればいいのか、悩むことになるわけです。
――つまりは、プレイヤーの選択によって、物語が変化していくと?
齊藤:そういうことですね。重要な選択肢として、誰をどういった形で地球に帰還させるのか、というのがあります。“主人公自身はどうするのか”といった選択を迫られる局面もあり、ものすごく悩むことになるのではないかと。そうして選んだ答えによって、エンディングへの道筋が変わっていくことになります。
極端な話、選択肢はただのフラグでしかないのかもしれませんが、どちらを選ぶべきなのかプレイヤーのみなさんにはとことん悩んでほしいんですよ。そういった“プレイヤーが究極の選択を選ぶことができる”というのも、ゲームならではの楽しさだと思っています。
――ダンジョン探索も戦闘シーンも、アクション性は高いのでしょうか?
齊藤:そうですね。まずダンジョンですが、高低差があったりトラップが仕掛けられていたりするので、それらをクリアするためにジャンプやスライディングを使いこなす必要があります。とはいえ、操作は直感的ですし、遊べばすぐに慣れると思いますので、進むぶんにはそこまで苦労しないのではないでしょうか。
五反田:あとは、邪神の力を解放してキャラの能力を強化する“グリードモード”も存在します。
齊藤:このグリードモードを使えば、移動速度が上がったり、敵との連戦率に影響する“チェインエンカウント率”が上昇したりします。このへんのシステムについては、続報で詳細をお伝えしていく予定です。
――敵をバインドして足場にしたりといった、特殊能力も使えるんですよね。
五反田:それは“ゼノファクター”という、戦闘因子の力ですね。ダンジョン内には宝箱が設置されているのですが、中にはグリードモードをうまく活用しないと取れないものだったり、ちょっとした仕掛けを解き明かさないとたどりつけなかったりする宝箱もあります。
齊藤:ストーリーには直接関係しないけど、やり込み要素としてそういったギミックは用意しています。当然、そういった宝箱の中には強力なアイテムが隠されていたりもしますよ。
――戦闘シーンはいかがでしょう?
齊藤:戦闘システムも操作は直感的ですので、アクションが難しくて詰まることは少ないかと思います。アタックローテーションで前衛と後衛を入れ替えつつ戦うという戦略面にも力を入れていますので、アクションが苦手な人でも楽しめるようにしたいですね。
――個人的に、“デモンズ・グリード”が気になります。
五反田:デモンズ・グリードは、各キャラ固有の必殺技のようなものですね。
齊藤:パーティメンバーには、アマツメによってヤマトガの魂が宿されていますが、宿っているパーツ自体は異なるんですよ。たとえば主人公は、ヤマトガの右腕の魂が宿っているので、デモンズ・グリードを発動すると、ヤマトガの右腕の力で敵を攻撃する、という具合です。
――ちなみに、クリアまでの時間はどれくらいですか?
五反田:はっきりと明言はできませんが、ストーリーだけでも40~50時間くらいではないでしょうか。
齊藤:ただストーリーを進めるだけで、それくらいになるイメージですね。戦闘の評価で入手できるアイテムが変化するなど、やり込み要素は豊富なので、今どきめずらしいくらい、たっぷり遊べるボリュームになる予定です。トライエース作品には欠かせない、クリア後のエキストラダンジョンももちろん存在しますしね。まだこの場ではお話しできない要素もたくさんありますので、引き続き、続報にもご期待いただければと思います。
――本日はどうもありがとうございました!
本作の開発に深く携わるトライエースの則本真樹氏と、サウンドクリエイターである桜庭統氏からのメッセージもここに全文掲載!
本作では基本的なゲームシステムデザイン、世界観構築、シナリオ制作を担当しています。世界観のイメージについてですが、とくにモチーフなどはありません。主人公が現代人であり、その設定を異質な世界観に自然に落とし込むのは、まじめに取り組むと中世ファンタジーなどと比べるととてもたいへんな作業になり、お約束で済むことが許されなくなってしまうからです。
今回の世界観、ひいてはストーリー展開も、すべては主人公たちが現代人であるという点から結果的に(?)導き出されたものなので、物語中で主人公が主人公らしくあることはとても重視しています。
本作で描こうとしているテーマは……ここで言うとネタバレになってしまうので明かせないのですが、あえてマイルドに言えば“決断”でしょうか。主人公の決断=プレイヤーの決断であり、その決断はストーリー展開の変化(=分岐)となります。それ以外にもキーキャラクターたちの大きな決断があってこそ今回のドラマは成り立っていると言えると思います。
ちなみに、気に入っている登場人物は主人公の“カナタ”と“メインルート”のラスボスです。余談ですが、日本人の登場人物名を考えたのははじめてでたいへんだったのですが、とくに主人公は非常に長く決められない状態が続いてしまい、結果的に気に入っています。子どもの名前を決められる親ってすごい!
本作をひとことで表す言葉としては……なんだろう? ものすごく困ります(笑)。ゲームシステム的にもストーリー的にも“決断”はキーワードになると思うので、“決”かなぁ? あるいは主人公の名前から“遼”とか。あ、こっちのほうがいいですね。
ストーリーは分岐やサブシナリオも豊富なので、音声収録台本は500ミリペットボトルに近い厚さになってしまっており、事前にお渡しした台本をスタジオに全部持ってくる声優さんにはたいへん申し訳ない気持ちになりました。
……話がずれた。ゲーム自体はRPGのなかでも“ハクスラ”と呼ばれる形態になると思います。いわゆるひたすら低確率のアイテムドロップを狙うタイプのゲームなのですが、今回のゲームシステムではプレイヤーが意図的にその確率を変動させる方向に介入できるようになっています。当然、相応のリスクも存在するのですが、確率をぶっ壊して強引にアイテムを奪うことも可能という、少し変わったゲームになりますので、期待していただけたらうれしいです。
▲戦闘評価で入手アイテムの内容が変わるなど、“ハック&スラッシュ”の要素も盛り込まれているようだ。 |
このプロジェクトに参加させていただいて、たいへんうれしく思っております。作曲のほうは現在、絶賛作業中なので今後の曲指定がどのようになるかわかりませんが、現在完成している曲に関しては、テンポがよく明るすぎないといった印象の指定と、参考画像をいただいて作業しました。決して明るい世界観ではないと思いましたので、曲の印象が軽くならないように気を付けています。
音楽を手掛けるにあたっては、明るすぎず、でも暗くなりすぎないというバランス、なおかつテンポよくゲームができる、というイメージを心がけています。変拍子を比較的多用しているボス戦の曲は、自分では気に入っていますね。
本作をもしひとことで表すなら……“帰”ですね。曲を作っていて、なんとなく落ち着く感じがします。自分の家に帰って来た感じです。まだ全貌はわかりませんが、現在できている曲はテンポがよい曲が多いので、ノリながら楽しく遊んでいただけると思います。
電撃PlayStation編集部が独自の切り口でお届けする特別イベント“電撃PlayStationプレミアムイベント PS4 Winterスペシャル”が12月12日(土)に開催!
イベントは4部制になっており、合計で350名様をイベントにご招待します。もちろん参加費は無料です。
【第1部】『Mighty No. 9』
定員:100名 12:00~15:00(ステージ&試遊)
出演者:稲船敬二(comcept) 他
【第2部】『イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-』
定員:100名 14:00~17:00(ステージ&試遊)
出演者:齊藤祐一郎(スパイク・チュンソフト) 他
【第3部】
『GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』
定員:100名 16:00~19:00(ステージ&試遊)
出演者:外山圭一郎(SCE) 他
【第4部】電撃PSスペシャルステージ
定員:50名(+50名/第1部~第3部までの参加者で希望される方のなかから抽選で)
18:00~19:00
出演者:後日発表予定
■電撃PlayStationプレミアムイベント
PS4 Winterスペシャル
●日時:2015年12月12日(土)
●場所:KADOKAWA富士見ビル
〒102-0071 東京都千代田区富士見2-13-12
※会場までの交通費は自己負担となります。
お問い合わせ先:info@dps-event.com
主催:株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス
運営:協立広告株式会社
イベント参加応募締め切りは、【2015年11月24日(火)12:00】まで!
イベント参加を希望される方は、下記の"参加応募"から、空メールを送信頂き、返信メールに記載のURLよりご応募ください。
※メーラーや携帯端末などの設定により特定のメールアドレスからのメールが受け取れない場合がございます。“wjm.jp”と“dps-event.com”のドメインからのメールを受信できるように設定していただけますようお願いいたします。
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