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2015年12月15日(火)

『Fallout 4』日本語版を遊んだ感想を掲載。進化したV.A.T.S.や銃&拠点の改造など新要素が楽しい!

文:hororo

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『Fallout 4(フォールアウト4)』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。
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 初日出荷本数が1,200万本、920億円を達成したモンスタータイトル『Fallout 4』。日本での発売も近づいてきたということで、実際に日本語環境のPS4版を遊んでみたレポートをお届け!

 電撃プレイステーションで本作の担当ライターを務める私ことhororoが、本作の魅力についてご説明していきましょう。ちなみに私の『Fallout』シリーズ経験は、『Fallout 3』と『Fallout New Vegas』の2本。

 せっかくですので、前2作との比較を交えつつ、本作から入る初心者の方々にもわかりやすく魅力を説明していこうと思います。

 ちなみに、過去には『Fallout 3』のDLCのプレイインプレッションも書きましたので、そちらもぜひご覧ください!

『Fallout 4』

『Fallout』って何なのサ!?

 単語としての“Fallout”は、“放射性降下物”のことを指します。いわゆる“死の灰”というヤツですね。これからもご想像できると思いますが、『Fallout』シリーズの設定の核となっているのは“核”です。核だけにね!

 ……それはともかく、核戦争によって滅びたアメリカ大陸と、その後の人々の生活を描いているのが『Fallout』シリーズです。文明が崩壊した後の世界が舞台の、ポストアポカリプスものになっています。

 文明が崩壊しているわけですから、この世界に生きる人々は野蛮だったり、現代の常識が通用しなかったりします。力こそパワー、それがすべて。弱き者から奪い、強き者には媚びへつらう、ヒャッハーな世界。

 そんな中にも一定の秩序はあって、小さな町など独立した集落を築いて生活してる人々もたくさんいます。主人公は、そんな人々とかかわってクエストをこなしたり、取引したり、相手をぶん殴って持ち物をいただいたりして生き抜いていくことに。

 そう、『Fallout』は実に選択肢が多いオープンワールドRPG。何をするもプレイヤーの自由なのです! もちろん、行動した末に起こった出来事の責任を負うのは自分自身ですが、逆にいえば自分が責任を取る覚悟があるなら何をしてもいい! それが『Fallout』!

 ゲーム的な制限はもちろんありますが、オープンワールドゲームとしては、とんでもなく選択肢が多いと思います。

『Fallout 4』

こだわり出すと終わらないキャラメイク!

 本作のもっとも特徴的な部分のひとつがキャラメイク。本作のキャラメイクは、ある一組の夫婦が、鏡の前で身だしなみを整えている体で進行していきます。

 この時、夫か妻、どちらを選ぶかで、プレイするキャラクターの性別が決定します。男女交代させつつ作れるので、とりあえず両方いじってみて気に入った方を採用するというのもアリ。

 ちなみに、本作では会話の途中に主人公の顔が表示されることが多いので、キャラメイクにはある程度力を入れることをオススメします。

『Fallout 4』

 変更できる部位はなかなか多く、月並みな表現ですがキャラメイクをしているだけで1日が終わりそうなレベル。これまでのシリーズに比べて、日本人受けする顔も作れるので、余計悩ましいですね。

 男性の渋いオッサンキャラはとても作りやすい印象でした。ただし声は変えられず、日本語版の男性の声が意外と高めなので、あまり渋めに作ると会話の時に違和感を感じることもあります。ほどほどがいいかもしれません。

 女性はデフォルトの顔がかなりの美人ですので、これを基本に作ってもいいんじゃないかな! 「俺は早くゲームをしたいんだよ!」という人は、プリセットがいくつか用意されているので、その中から選んでもいいと思います。

 キャラメイクで大切なのは顔だけではありません。最初のステータスの振り分けも重要です。『Fallout』シリーズのステータスは“S.P.E.C.I.A.L.”と呼ばれており、全7種類の項目が存在します。

●“S.P.E.C.I.A.L.”の各項目

【Strength】筋力。持ち運べる荷物の量や近接攻撃の威力などに影響

【Perception】状況認識力。V.A.T.S.(後述)での武器命中率などに影響

【Endurance】頑強さ。体力やどれくらい走れるかなどに影響

【Charisma】魅力。会話の説得の成功率や交易時の値段に影響

【Intelligence】知力。獲得できる経験値などに影響

【Agility】素早さ。V.A.T.S.での攻撃回数やステルス状態の見つかりにくさに影響

【Luck】運。クリティカルの発生のさせやすさなどに影響

 “S.P.E.C.I.A.L.”の表記は、これらのステータスの頭文字から付けられているというわけです。与えられたポイントをこれらのステータスに割り振る必要があるのですが、この振り分け方によってキャラの特徴が決まるので、自分のイメージに合った振り方を考えましょう。

 なお、レベルアップ時に手に入るポイントを使い、後から上げることも可能です。

 ちなみに、過去作では“Intelligence振り”が強力でした。これはレベルアップ時に手に入る成長のためのポイントがIntelligenceの数値に比例して増えていたためですが、本作では仕様が変わっているので、過去作ほどIntelligenceを優先しなくてもよくなりました。

 取得経験値は増えるのでレベルの上昇は早くなりますが、逆に言えば経験値の量はプレイ時間でカバーできるため、自分の理想のプレイスタイルに沿った振り方で問題なさそうです。

Vaultに入ってさあ大変!

 キャラメイクが終わると“Vault”と呼ばれる核シェルターに避難することになります。このVaultは、シリーズに何回も登場する、非常に重要な施設です。

 実はVaultは、シェルターと聞くと聞こえはいいですが、実際はいろんな実験をするための施設という側面を持っています。核というテーマを扱っているせいか、こういったブラックな面が多いのもこのシリーズの特徴だったりも。

 なお、Vaultから始まる物語はメインクエストとして登録され、どこに向かえばいいかなどを示してくれます。オープンワールド系のゲームが初めての人は、まずメインクエストを進めるように行動してみるのがいいと思います。ベテランの人は、もうご自由に行動して大丈夫です。

 この、始めからどこに行ってもいいというのが、『Fallout』の魅力ですね。自由に探索し、出会った人からクエストを受けたり、見つけた廃墟を探索したりと、とにかくプレイヤーの好き勝手に行動してもゲームが進んでいきます。

『Fallout 4』

シリーズ経験者には驚きの展開が!

 ゲームを進めていくと、荒れ果てた我が家を懸命に掃除するお手伝いロボット“コズワース”と出会えます。

『Fallout 4』

 先ほどサラッとロボットと言いましたが、『Fallout』の世界のロボット工学は非常に発達しています。でもテレビはブラウン管風だったり、ラジオは大きかったりと、技術水準があべこべ。ですが、皆さんはこの雰囲気を知っているハズ。

 いや、若い子は知らないかもしれません。これは俗に言うレトロフューチャーというものですね。流線型のデザインの車(空を飛ぶ)や丸っこい建物が並ぶ絵など、「これが21世紀だ!」みたいに銘打ってたアレが、『Fallout』世界では採用されているんですよ! 熱い!

 脱線しました。もちろん、出会えるのはコズワースだけではありません。シリーズ経験者にはおなじみのわんこ、ドッグミートとも出会えます。犬肉とあんまりな名前を付けられたこの犬は、『Fallout 3』で主人公のコンパニオン(同行してくれる仲間)として活躍(?)した犬です。

『Fallout 4』

 もちろん舞台や年代が違うので、まったく同じ犬ではないのですが、スタッフのファンサービスを感じられる部分です。

 ちなみに、『Fallout 3』の初期ドッグミートは撃たれ弱くてすぐ死んでしまった(後のパッチで強化され、バケモノじみた耐久性を得ましたが……)ので連れ歩くことをためらいましたが、本作のドッグミートは不死属性! 安心して連れ歩けます。

 そしてシリーズファンとしてうれしいのが、本作では早い段階でパワーアーマーを着れるということ。パワーアーマーとはパッケージに描かれているごっついアーマーのことで、見た目通りごっつい防御力を得られます。

 さらにミニガンもいっしょに取得できるという! これがどのくらいすごいのかというと、最初からクライマックス級の装備を手に入れたくらいのスゴさ!

 なお、パワーアーマーを装着したくらいのタイミングで、デスクローというモンスターに遭遇します。

 デスクローは、闘牛のようなイカツイ頭を持った二足歩行のモンスターで、その攻撃力の高さゆえファンから“デスクロー先生”と呼ばれるほどに危険な相手。そりゃパワーアーマーくらい必要になりますわ。

『Fallout 4』

 そんなデスクロー先生とのバトルで汗を流したところで、今回の体験は終了。序盤のみのプレイになりましたが、日本語なら会話の内容もわかるし、物語への没入度が段違いですね。時間が飛ぶように過ぎていきました。

これまでとどこが変わった!? 本作からの新要素!

 ここからはシステム的なお話を少し。初心者の方でも理解できるように努力しますが、どちらかといえば過去作をプレイ済みの方向けな面も多々ありますので、ご了承ください。

 まず第一に、本作ではスキルが撤廃され、“PERK”と統合されています。これまではキャラクターの個性は“S.P.E.C.I.A.L.”、“スキル”、“PERK”の3種類によって形成されていました。

 例えば銃の射撃精度やピッキング&ハッキングの成功率など、物事の成否判定を決めるのがスキルの数値で、PERKでは特定の条件下で効果を発揮する特殊能力を得ることができた、といった具合です。

 本作では、これらがすべてPERKに統合され、銃の精度を高めるPERKや、ピッキングを行えるようになるPERK、交渉の成功率を上げるPERKといったものに置き換わっています。

 これまでのPERKのように、眠っている人を即座に殺せるPERKや、死体を調べることで“ふしぎなちから”が働いて体力が回復するPERKなど、特殊能力系のものも残っています。

 本作では、こういった無数のPERKをレベルアップ時に得られるポイントを消費して取得していくことになります。ちなみにPERKには取得のための前提条件が設定されており、一定のS.P.E.C.I.A.L.とレベルが必要になることも覚えておきたいところ。

 また、本作では、ほぼすべてのPERKにランクが設定されており、ランクが上がるほど効果が上がったり、追加効果が付いたりします。条件さえ満たしていればツリーの下のほうのものもいきなり取得できるので、選択肢は序盤から非常に広いと言えるでしょう。

 次に戦闘の変更点。まず、『Fallout』には“V.A.T.S.”と呼ばれる戦闘システムが存在します。基本的に本作はFPS(一人称視点のシューター)やTPS(三人称視点のシューター)の形で進んでいくのですが、V.A.T.S.は銃撃戦にターン制RPGのような要素を組み込んだシステムで、敵の部位を狙うと自動的に攻撃してくれます。

 この時、敵との距離や狙う部位の大きさ、キャラの銃の腕前などの要素が命中率に影響します。敵に近かったり、狙う部位が大きかったり、銃の腕前がすごいと、それだけ命中しやすくなる仕組みですね。なお、足を撃つと敵の移動速度が落ちますし、腕を狙うと武器を落とします。どこを狙うか、といった戦術もまた大事。

『Fallout 4』

 過去作では、V.A.T.S.の発動中は完全に時間が停止し、じっくりと狙う対象を考えることが可能でしたが、本作ではゆ~っくりですが時間が進む仕様に変更されています。

 普通に戦うよりは断然考える余裕があるとはいえ、基本の動きが速い敵相手だと、それでもかなり焦ります。いや、むしろ巨大ゴキ●リがスローで迫ってくる様は、恐怖が持続するという点で通常よりも怖いかもしれません……ガクブル。

 とはいえ、条件を整えれば誰でも有効な攻撃を行えるのが、V.A.T.S.のいいところ。シューターが苦手な人でも普通に戦闘をこなせるので、気後れせずにプレイしてほしいです。むしろ『Fallout』はシューターじゃなくて、シューター風味のRPGですし。レベルを上げて殴れば敵を倒せますしね!

 そして、本作からの新要素として注目を集めているのが、クラフト要素です。銃や防具を自由にカスタマイズして、自分の使いやすい一品に変えちゃおうというもの。正確には、銃とアーマーで少々扱いが異なります。

 カスタマイズという言葉のイメージに近いのはアーマーのほうで、アーマーの素材を変える、軽量化やポケットの追加(所持重量が増える)などの機能を追加できます。

 アーマー関連で見過ごせない変更は、アーマーが部位ごとに別れたこと。これまでは防具といったら胴と頭のみでした。しかし本作では、頭、胴、右腕、左腕、右脚、左脚それぞれに異なる防具を付けられます。

 さらに、アーマーとは別にインナーが存在。これが何を意味するかと言うと、オシャレ度が遥かにアップしたということ! 肩だけイカツイものを装備してアクセントにしたりもできるわけですよ!

 レイダー系のアーマーなど露出部分が多いものは、ちゃんと下に着たインナーが反映されます。インナーによって見た目のイメージがガラッと変わるのがおもしろかったですね。

 中には例外もあって、コートみたいに羽織るものはアーマーが付けられなかったりもするので、そこはオシャレを取るか防御力を取るかで葛藤してください。

『Fallout 4』

 武器は、特定の武器をカスタマイズするというより、自分でパーツを組み合わせて作ったものが特定の銃として認識されるという感じ。例えば、これまでですとハンドガンとサブマシンガンは違う武器でした。当たり前です。しかし、本作ではパーツの組み合わせによってはハンドガンがサブマシンガンになったりするのです。

 なぜこんなことが起こるかと言うと、銃のカスタマイズは銃身、グリップ、本体、サイト、マガジン、etc……とほぼすべてのパーツを入れ替えることができるから。

 装弾数が多く、一瞬のうちに数発の弾丸を発射できるよう改造を施したハンドガンは、すでにハンドガンではなくサブマシンガンなのです! 現実だったらマシンピストルといった扱いになるのかもしれませんが。

 とはいえ、あくまでも変更できるパーツは銃によってある程度区分けがあるようなので、ハンドガンがスナイパーライフルに化けたりはしません。たぶん。

『Fallout 4』

 このように、カスタマイズによって銃の性能がガラッと変わります。威力、連射速度、使用する弾丸、装弾数、そして意外と大事な重量。そう、強いパーツは重いことが多いので、カスタマイズしまくった銃をたくさん持っていると、所持重量に響いてきます。このあたりのバランスも悩ましい!

 加えて、よりよいカスタマイズを施すためには特定のPERKが必要になるなど、キャラクターの成長と連動して強化していける様子。もちろん、敵が持つ銃には関係ないので、運よく強い銃を持つ敵を見つけたら奪いましょう。この世界は無慈悲なのだ。

 最後に、個人的にとても気になっているのが拠点カスタマイズ。拠点には、様々な家具を自由に配置できます。

 これらの家具もクラフトで作り出すことになります。単純な家具の他にも食料や水といった資源、敵を迎撃するタレットやトラップ、それらに電力を供給するジェネレーターなど様々です。

 住民を呼ぶビーコンなどを発する設備もありました。設置すれば住民が増えていくようです。

 環境を整えて住民を増やしていくなんて、シミュレーションみたいでワクワクしますね! 防衛設備があるということは、おそらくレイダーあたりが「ヒャッハー! 種もみを寄こせー!」と言って襲ってくるのでしょう。

 タワーディフェンス的な楽しみ方もできるかもしれません。明らかにRPGの楽しみ方からは逸れていますが、そんなカオスさも『Fallout』らしくて好きよ。

 そんなこんなで長くなりましたが、とにかくいろいろできるゲームだということが伝わったなら幸いです。ちょっと人を選ぶような世界観ではありますが、海外作品らしい自由奔放さを堪能するにはうってつけの作品だと思います。

 せっかくの年末年始の休み、ガッツリと崩壊後のアメリカで過ごしてみてはいかがでしょうか? 私は過ごします!


 ソフトだけでなく、12月17日には『Fallout 4 Player’s Navigator(フォールアウト4 プレイヤーズ ナビゲーター)』が発売されます。こちらは、究極のオープンワールドRPGの魅力をいち早くチェックできる特別攻略増刊となっています。注目ポイントは下記の通り。

『Fallout 4』

●ロケーションポイントを掲載したワールドマップを大公開!
●「Perk」リスト、装備品パラメータなどの各種データも充実!
●「V.A.T.S.」やワークショップの使い方など、特徴的なゲームシステムを詳細解説!
●ボブルヘッド、雑誌の在処を掲載したエクストラデータも用意!
●メインクエスト序盤の攻略を展開。 初心者もこれで万全!

 価格は1,200円(税込)。よりどっぷりと『Fallout 4』の世界に浸りたい人は、こちらもお見逃しないように!

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データ

▼『Fallout 4』
■メーカー:べセスダ・ソフトワークス
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG
■配信日:2015年12月17日
■価格:7,980円+税

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